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最新タッチパネル式デジカメを試す

キヤノン、ソニー、ニコン、富士フイルム、GEをまとめてチェック
Reported by 小山安博

  • 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。

 デジタルカメラの普及が一巡して、新しい機能を持ったカメラが目立ってきている。そのうち、今夏のモデルで一気にラインナップが急増したのは「タッチパネル付き液晶搭載モデル」だ。画面にタッチするだけで操作でき、新しい操作感を実現するデジカメをまとめてチェックしてみよう。

キヤノンIXY DIGITAL 930 IS(実勢4万円前後) ソニーサイバーショットDSC-TX1(実勢4万3,000円前後)
ニコンCOOLPIX S70(実勢4万3,000円前後) 富士フイルムFinePix Z300(実勢3万7,000円前後)
GE E1250TW(実勢2万7,000円前後)

iPhoneが一新したタッチパネル事情

 タッチパネルは、指やペンで画面に直接触れて操作するユーザーインタフェースで、画面に直接触れるため、直感的な操作ができるというのが特徴だ。もともといろいろな分野で使われているが、最近は特にスマートフォンの分野で急増している。

 その中で、大きな転機となったのがアップルの音楽プレイヤーiPod touchとスマートフォンiPhone(以下、まとめてiPhone)の登場だろう。iPhoneは、それまでスマートフォンで一般的だった感圧式(正確には抵抗膜方式)のタッチパネルではなく、静電容量方式を採用した点が大きなポイントだ。

最新モデルのアップルiPhone 3GS

 両方式の詳細は省くが、静電容量方式を採用したことで、軽く触れただけで操作でき、反応も早く、指を2本使ったマルチタッチも使えるなど、従来にはない快適な操作感を実現していた。

 従来は画面に表示されるアイコンにタッチする程度だったタッチパネルだが、iPhoneの登場によってダブルタップやピンチ(2本の指を閉じたり開いたりする)での拡大縮小、スワイプ(指を画面に触れたまま横にスライドさせる)での画像送りといった操作が可能になった。このようにiPhoneではタッチパネルが単なるボタンの置き換えではなく、今までなかった新しい操作性とよく練られたUIとして機能しているところが人気の秘密の一つだ。

 こうしたことから特にiPhoneに慣れたユーザーにとっては、タッチパネルに同程度の操作性を求めるわけで、デジカメにもこれまでとは異なるアプローチが必要になるといっていいだろう。

 というわけで、今回のレビューである。これまでタッチパネル対応デジカメはソニーとニコンが積極的で、毎回ラインナップにタッチパネル対応デジカメを用意してきている。その老舗のソニーとニコンに加え、今夏はキヤノン、富士フイルム、そしてGEからタッチパネル対応デジカメが登場してきた。

主な仕様
機種名 IXY DIGITAL 930 IS サイバーショットDSC-TX1 COOLPIX S70 FinePix Z300 E1250TW
メーカー キヤノン ソニー ニコン 富士フイルム GE
有効画素数 1,210万 1,020万 1,210万 1,000万 1,220万
光学ズーム比 5倍 4倍 5倍 5倍 5倍
焦点距離
(35mm判換算)
24〜120mm 35〜140mm 28〜140mm 36〜180mm 28〜140mm
感度 ISO80〜3200 ISO125〜3200 ISO80〜6400 ISO100〜1600 ISO80〜1600
背面モニター 3型23万ドット(液晶) 3型23万ドット(液晶) 3.5型29万ドット(有機EL) 3型23万ドット(液晶) 3型23万ドット(液晶)


 とり上げるのはこの5モデル。今回からキヤノン、富士フイルムと大手が参入しているのが特徴だ。この5モデルの内、ニコンとGEが静電容量方式を採用しており、それ以外は感圧式だ。


外観

●IXY DIGITAL 930 IS

 タッチパネルとボタンのハイブリッドともいうべき存在。上部には電源ボタン、シャッターボタン一体型ズームレバー、モード切替スイッチがあり、背面にも最近のIXY DIGITALらしい円形の十字キー+コントローラーホイール、MENUボタン、再生ボタンが配置される。液晶モニターは明るく、上下左右の視野角も広い。

IXY DIGITAL 930 IS。従来のIXY DIGITALシリーズのデザインだが、液晶モニターはタッチパネル対応。タッチパネルとボタンのいいとこ取りのデザインとえいる

●サイバーショットDSC-TX1

 薄型ボディが特徴のDSC-TX1は、上部にシャッターボタン、ズームレバー、電源ボタン、再生ボタンが並び、背面はほぼ全体を液晶モニターが覆う形。視野角は広い。

とにかく薄いDSC-TX1。タッチパネル操作を強く意識したスタイリングだ

●COOLPIX S70

 レンズカバーを下にスライドさせることで撮影が可能になり、ボタンはシャッターボタンだけというシンプルなスタイル。モニターが背面全体を覆うフラットな形状だ。有機ELを採用するため、視野角は抜群で、3.5型とサイズも大きいので見栄えがいい。

背面全体を有機ELディスプレイが覆うCOOLPIX S70のボディ

●FinePix Z300

 レンズカバーが斜めにスライドして電源オン。上部にシャッターボタン、ズームレバー、電源ボタンを配置する。それ以外のボタンはなく、背面はフルフラット。液晶モニターは背面サイズに比べると一回りほど小さい。液晶モニターの見栄えは標準的で、左右はともかく上下の視野角は狭め。

レンズカバーをスライドさせる定番Zシリーズがタッチパネルに対応。コンパクトなボディを実現している

●E1250TW

 コロッとしたデザインで、ちょっと厚みのあるボディ。上部にはシャッターボタン一体型ズームレバー、再生、電源の各ボタン配置。背面にはボタンがなく、本体から一回りくらい小さい液晶モニターを備えている。

一般的なボタン式のデジカメといった感じのデザインだが、背面は静電容量方式のタッチパネル


操作性(撮影時)

 撮影時は、全機種ともタッチ操作で画面の任意の位置にAFを合わせられる。COOLPIX S70と、FinePix Z300はそのままシャッターも切れる。

 COOLPIX S70はタッチ時の動作が選択でき、シャッターを切るだけじゃなく、AFをあわせた被写体を追尾したり、単にAF/AEを合わせるだけの設定も可能。AFをあわせた被写体を追尾するのはDSC-TX1やIXY DIGITAL 930 ISでも可能だ。

 なお、タッチできるエリアは、FinePix Z300とE1250TWがやや狭いようだ。

●IXY DIGITAL 930 IS

 IXY DIGITAL 930 ISは、撮影時に右側に大きなアイコンが並び、その部分は指で操作できる。各種撮影設定はFUNCボタンを押すことで左側にアイコンが並び、十字キーで操作する。MENU画面もタッチ操作はできない。シャッターボタンを下にして縦持ちするとカメラアイコンが表示され、これをタッチするとAF合わせと撮影が行なわれる。携帯カメラのような撮影ができるわけだ。



撮影時(クリックすると動画を再生します) 

●サイバーショットDSC-TX1

 画面左右にアイコンが並び、右側には撮影モード切替、再生アイコンが並ぶ。右側が撮影設定用のアイコンで、4つのアイコンはカスタマイズができ、露出補正や連写、スマイルシャッターなどの機能をドラッグ&ドロップで入れ替えられる。露出補正時にバーをなぞったり、バーの任意の場所をタッチすることでその露出に補正できるのはDSC-TX1、COOLPIX S70、IXY DIGITAL 930 ISの3機種。+と−のアイコンをタッチするやり方は単にボタン操作を置き換えただけなので、この3機種の方がタッチパネルの良さが出ている。

 
撮影時(クリックすると動画を再生します)

●COOLPIX S70

 ズーム操作も画面右側のアイコンにタッチすることで行なう徹底ぶり。INFOアイコンをタッチすると画面の上下にアイコンが現れ、撮影設定を変更できる。アイコンを出したり消したりすることで、撮影時は邪魔にならない。設定する際は、1画面内にすべてが表示されるので設定しやすい。


撮影時(クリックすると動画を再生します  

●FinePix Z300

 独特のUIのFinePix Z300。モードを切り替えてタッチショットを利用する。タッチしてAFが合わせられるのは緑の枠の範囲。左右に並ぶアイコンにタッチすることで各種操作が行なえる。ただしモードメニューから「タッチショット」モードを選択しなければ画面タッチによる撮影はできない。

 
撮影時(クリックすると動画を再生します

●E1250TW

 右下のアイコンをタッチするとメニューが表示されるので、そこから露出補正などの調整ができる。一部の機能は画面上のアイコンタッチで操作できる。画面下部に撮影設定の表示・非表示が選べるが、特に邪魔になる感じでもないので、常時表示してもよかった気がする。静電容量方式のため反応はいい。


撮影時(
クリックすると動画を再生します



操作性(再生時)

 全モデルで、再生時にスワイプ動作をすることで前後の画像に移動できる。拡大縮小の操作はそれぞれ異なる。

●IXY DIGITAL 930 IS

 指でタッチしたところが拡大、連続で2回タッチするダブルタッチで全画面表示に戻る。縮小はマイナスアイコンにタッチする。


再生時(クリックすると動画を再生します)  

●サイバーショットDSC-TX1

 タッチしたところが拡大、マイナスアイコンで縮小、×アイコンで全画面表示に戻る。メニューの表示方法が独特。


再生時(クリックすると動画を再生します)  

●COOLPIX S70

 INFOアイコンで各種操作アイコンが表示される。2本指で同時に触れて指を開くピンチアウトで拡大、指を閉じるピンチインで縮小する。全画面表示は×アイコン。


再生時(クリックすると動画を再生します) 

●FinePix Z300

 プラスアイコンに触れて拡大縮小モードにしてから任意の位置をタッチして拡大。縮小はマイナスアイコン、全画面表示はBACKアイコン。画像送りができる状態で画面にタッチすると下部に操作アイコンが表示される。その状態で高速画像送りができる。


再生時(クリックすると動画を再生します) 

●E1250TW

 指を上にスライドさせると拡大、下にスライドさせると縮小、1秒ほど画面に触れると拡大位置を移動させられる。1秒ほど待つと再び拡大縮小モードになる。


再生時(クリックすると動画を再生します) 


作例(遠景・画角)

 光学ズーム倍率はDSC-TX1をのぞいて5倍。DSC-TX1もこれだけ薄いのに4倍と健闘している。もっとも望遠に強いのはFinePix Z300の180mm相当。それに対して正反対の性格のレンズを持つのがIXY DIGITAL 930 ISで、24mm相当の広角撮影が可能だ。

 ズームに関してはCOOLPIX S70が特殊で、画面の「T」アイコンにタッチし続けると望遠側に、「W」では広角側にズーミングする。思い切った仕様だが、静電容量式のおかげで反応がよく、ズーミング速度も速い。ただ、全面がディスプレイというデザインのCOOLPIX S70は、普通のデジカメを構えた時に親指を置く位置にズームアイコンがあり、誤操作しやすかった。人さし指と親指でつまむように構える必要がある。

 画角として使いやすいのは28mmスタートの3モデルだが、広角、望遠どちらを重視するかによって選択してもいいだろう。こうしたバリエーションが豊かなのはうれしい部分だ。

●IXY DIGITAL 930 IS

広角端
IXY DIGITAL 930 IS / 約2.6MB / 4,000×3,000 / 1/1,250秒 / F3.5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.3mm
望遠端
IXY DIGITAL 930 IS / 約2.9MB / 4,000×3,000 / 1/400秒 / F5.9 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 21.5mm

●サイバーショットDSC-TX1

DSC-TX1 / 約3.8MB / 3,648×2,736 / 1/1,000秒 / F5.6 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 6.2mm DSC-TX1 / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/400秒 / F7.1 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 24.7mm

●COOLPIX S70

COOLPIX S70 / 約5.0MB / 4,000×3,000 / 1/306秒 / F7.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm COOLPIX S70 / 約5.2MB / 4,000×3,000 / 1/443秒 / F5.8 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 25mm

●FinePix Z300

FinePix Z300 / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F6.4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm FinePix Z300 / 約4.2MB / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 32mm

●E1250TW

E1250 TW / 約5.6MB / 4,000×3,000 / 1/543秒 / F5.2 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 5.1mm E1250 TW / 約5.7MB / 4,000×3,000 / 1/271秒 / F8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 25.5mm


作例(最短距離)

 広角端での最短撮影距離は、FinePix Z300がちょっと離れた9cmで、もっとも近づけるのはDSC-TX1の1cm。屈曲光学系でレンズが飛び出さないため、ボディが被写体に触れるくらい近寄れる。

 全機種とも、タッチ操作を生かしたピント合わせが可能で、画面に触れるだけでその場所にピントを合わせてくれる。特に三脚を使ったマクロ撮影時には、被写体に触れるとその場にAFをあわせてくれるので直感的で使いやすい。

 COOLPIX S70、IXY DIGITAL 930 ISの追尾AFは、ピントを合わせてから構図を変えたいときにもAFが追従してくれるので、マクロ撮影時にも便利だ。

●IXY DIGITAL 930 IS

IXY DIGITAL 930 IS / 約2.2MB / 4,000×3,000 / 1/100秒 / F4 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 4.3mm

●サイバーショットDSC-TX1

DSC-TX1 / 約3.9MB / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F3.5 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 6.2mm

●COOLPIX S70

COOLPIX S70 / 約5.0MB / 4,000×3,000 / 1/138秒 / F3.9 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5mm

●FinePix Z300

FinePix Z300 / 約4.1MB / 3,648×2,736 / 1/140秒 / F3.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 6.4mm

●E1250TW

E1250 TW / 約5.2MB / 4,000×3,000 / 1/157秒 / F3.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 5.1mm


作例(高感度)

 最も高感度での撮影に対応しているのがCOOLPIX S70で、ISO6400まで対応する。ただし、画像サイズは約300万画素になる。ISO3200ではCOOLPIX S70に加え、IXY DIGITAL 930 ISとDSC-TX1が対応する。COOLPIX S70は約300万画素、IXY DIGITAL 930 ISは約200万画素での撮影になる。

 それに対してフル画素で撮影できるのはDSC-TX1。DSC-TX1はCMOSセンサー「Exmor R」を採用。裏面照射型CMOSという新しいセンサーを採用し、高感度での画質が改善されているのが特徴だ。その効果は大きく、他社のISO1600にも負けない画質を実現している。さらに、6枚連写した画像を合成してノイズを低減する機能も備え、それを使えばさらに低ノイズの画像を撮影でき、高感度画質では一歩ぬきんでている印象だ。

●IXY DIGITAL 930 IS

ISO400 ISO800 ISO1600
ISO3200    

●サイバーショットDSC-TX1

ISO400 ISO800 ISO1600
ISO3200    

●COOLPIX S70

ISO400 ISO800 ISO1600
ISO3200 ISO6400  

●FinePix Z300

ISO400 ISO800 ISO1600

●E1250TW

ISO400 ISO800 ISO1600


まとめ

 最後に動画について触れておきたい。FinePix Z300以外は1,280×720のHD動画撮影に対応。DSC-TX1は動画撮影時の光学ズームにも対応しており、動画撮影機能は優秀。それ以外のモデルでは、デジタルズームの対応はあるものの、撮影開始時のズーム位置での撮影になる。

 IXY DIGITAL 930 ISはモードスイッチで動画に切り替えられ、それ以外はタッチパネルを使ってモードを切り替える形だ。IXY DIGITAL 930 ISでは指定した色以外を別の色に変えるなどのワンポイントカラー/スイッチカラーといった動画撮影機能も備えている。各モデルとも、基本的に動画撮影時にタッチパネルを生かした機能は特にないようだ。

 さて、それぞれ性格の異なる5機種のタッチパネル対応デジカメを試してみたが、反応速度をはじめとした操作性は、やはり静電容量方式を採用したCOOLPIX S70とE1250TWがいい。ただ、DSC-TX1は爪先で操作すれば反応もよく、さすがにこなれている。初参入のキヤノンは、マウスジェスチャーのようなタッチアクションという新しい操作性を持ち込んでいるほか、ボタンを併用したタッチパネルとのハイブリッドが珍しい。FinePix Z300はいち早くタッチした場所で自動撮影するタッチショットを備え、実売価格も安いのでコストパフォーマンスがよい。

 タッチパネル対応デジカメは、従来に比べてずいぶん使いやすくなってきたというのが各モデルを使っての感想だ。COOLPIX S70のように画面上にアイコンを並べても、タッチパネルなら素早く指先で選択できるので、十字キーで一つずつ移動するよりも効率がいい。

 DSC-TX1のようにドラッグ&ドロップで画面上の機能を入れ替えたり、IXY DIGITAL 930 ISのようなジェスチャー動作は、タッチパネルを生かした機能。また、露出補正時に補正バーを指で操作できるのも便利な部分だ。

 それでもまだ十字キーなどのボタンを置き換えただけという操作も残っており、さらなる工夫を求めたいところ。iPhoneがスマートフォンに旋風を巻き起こしたように、デジカメに旋風を巻き起こす、革新的なデジカメの登場に期待したい。





小山安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2009/9/29 17:01


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