新製品レビュー

SIGMA dp3 Quattro(外観・機能編)

光景を切り抜く中望遠Quattro登場

SIGMA dp Quattroシリーズに、中望遠担当となるdp3 Quattroが加わった。35mm判換算28mm相当のdp1 Quattro、45mm相当のdp2 Quattro、そして75mm相当のdp3 Quattroと、広角から中望遠まで3つのdp Quattroがそろったことになる。

CP+2015に実機が展示されていたので、発売を心待ちにしていた人も多いことだろう。まずは機能、外観から本機をレポートしていこう。

新たにコンバージョンレンズを用意

dp3 Quattroはシリーズ中の中望遠を担当する。8群10枚の50mmレンズを搭載し、35mm判換算75mm相当となるレンズ一体型コンパクト機だ。

ボディデザインは既存のdp Quattroシリーズを踏襲し、横長で特異なグリップを備えたボディに仕上がっている。横幅と高さは従来機と同じサイズで、奥行きのみ101.8mmとシリーズでもっとも長くサイズになった。重量も465gでシリーズ中もっとも重いモデルである。そうは言ってもその差は微々たるもので、dp Quattroシリーズの印象から大きく外れるようなちがいではない。

イメージセンサーは約2,900万画素のFoveon X3 ダイレクトイメージセンサーを採用している。他のQuattroシリーズと同様、垂直色分離方式を採用した世界で唯一のイメージセンサーである。すぐれた階調性と解像力を実現し、コンパクト機を超えた高画質が特徴だ。dp1 Quattroとdp2 Quattroですでに実績のあるイメージセンサーなので、画質面で不安を感じる要素はないだろう。dp Quattroシリーズの高画質を保ちつつ、75mm相当の中望遠レンズを備えたモデルである。

既存モデルと大きく異なる点は、コンバージョンレンズが用意されているところだ。オプションのFT-1201はdp3 Quattro専用の1.2倍テレコンバーターである。FT-1201はねじ込み式になっており、dp3 Quattroが90mm相当となる。レンズ構成は3群4枚で、レンズ先端に取り付けるため、開放F2.8のまま撮影できる。なお、最短撮影距離はテレコンの有無を問わず22.6cmだ。

8群10枚の50mmレンズを搭載。dp3 Quattroのために設計された専用中望遠レンズである
焦点距離が1.2倍になるテレコンを用意する。35mm判換算75mmが90mm相当となる
取り付けはねじ込み式だ。レンズの先端にねじ込んで取り付ける

他のdp Quattroは光学ファインダーとフードがオプションで用意されていたが、dp3 Quattroはフードのみとなる。このフードは既存のLH4-01にエクステンションフードHE1-01を組み合わせた2ピース構成だ。すでにLH4-01を持っている人はHE1-01だけ追加すればdp3 Quattro用のフードになる。両アイテムをセットにしたフードセットもオプションとして用意されている。

純正フードを装着したところ。2ピース構成でLH4-01が流用可能。テレコン先端には取り付けできない

まとめ

操作性は大柄なボディだけあって、しかるべきボタン類を着実にコントロールできる。特異なデザインのわりにホールド感がよく、グリップを握った状態で軍艦部のダイヤルも操作しやすい。

AFは特別速い印象こそないが、ピント精度が高くて安心して撮影できた。AFリミットモードでマクロ、中距離、遠距離を選択でき、効率の良いAFパフォーマンスを引き出すことも可能だ。今回の試写では近接撮影する際にAFリミットモードでマクロに設定することが多かった。

画質については、「実写編」にて詳しくレポートしたい。

MODEボタンで撮影モードを選択。絞り優先AEの場合、左ダイヤルで絞りを、右ダイヤルで露出を調整する
背面の操作ボタンは右側に集中している。レイアウトに余裕があり、操作性は良好だ
バッテリーは底面から装着する。既存のdp Quattroシリーズと同様、BP-51を採用している
側面の樹脂カバーを開けるとSDカードを挿入できる。開閉にちょっと手間取るのがストレスか
ストラップ用のスリットは1cm以上の幅があり、ストラップを選ばないカメラだ
dp3 Quattroは中望遠機なので、外付け光学ファインダーは用意されていない