新製品レビュー

ニコンD7200(実写編)

玄人好みの機能向上が魅力 手堅い装備のAPS-C上級機

D7200は、先代D7100から受け継ぐローパスフィルターレスの有効2,416万画素CMOSセンサーに、最新の画像処理エンジンEXPEED 4を搭載するDXフォーマット機である。最高感度は先代より2段もアップしたISO25600を実現し、強化されたバッファメモリーやWi-Fi/NFCの搭載など、細かなブラッシュアップが多数図られる。

前回は機能編と称して、進化した部分を中心にD7200の詳細を見たが、今回は実写編としてその描写を見ていくことにする。

遠景

作例撮影で使用したレンズは、D7200の「18-140VRレンズキット」に付属するAF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR 。ピクチャーコントロールは「スタンダード」としている。

撮影時の天候は薄曇り。大気中の水蒸気は3月の天候としてはやや多めであったが、生成された画像は線の細いキレのよいものだ。画像を等倍まで拡大するとそれまで見えなかった細かなディテールなど良好に再現しており、ローパスフィルターレスの鮮鋭度のスゴさが実感できる。よりコントラストの高い条件では、さらにキレのある描写となったことだろう。ローパスレスで気になるモアレや偽色の発生については、作例を見るかぎり確認されない。風景撮影などではさほど気にする必要はないように思える。

また、ヴィネットコントロールはデフォルトの「標準」に設定しているが、効きも良好で、今回使用したレンズにおいては十分な効果が認められる。

◯広角端

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです。
F3.5
F4
F5.6
F8
F11
F16

◯望遠端

以下のサムネイルは青枠部分の等倍切り出しです。
F5.6
F8
F11
F16
F22

感度

前述したとおり、D7200の感度設定範囲はISO100からISO25600までとする。先代D7100がISO100からISO6400までだったので、設定できる範囲は大きく広がった。加えて拡張設定によって最高ISO102400相当(Hi-BW2)の撮影も可能に。しかも拡張機能の仕上がりはモノクロのみというこれまでにないものとしている。

なお、高感度ノイズリダクションは従来通り強め/標準/弱め/しないから選択できる。ここではデフォルトの「標準」の場合でチェックした。

以下のサムネイルは青枠部分を等倍で切り出したものです。
ISO100
ISO200
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200
ISO6400
ISO12800
ISO25600
Hi-BW1
Hi-BW2

高感度域における描写については、ISO800までなら作例を見るかぎりノイズの発生や解像感の低下などがほとんど気にならないレベル。ISOオートの上限設定をISO800としておくと、ノイズのことは一切気にせずに撮影が楽しめると考えてもよいだろう。

ISO1600およびISO3200ではノイズは現れるものの、さほど気になるようなことはない。このあたりまでが実用的な感度と述べてよい。ISO6400以上となるとノイズの発生は顕著になり、解像感の低下も現れ始める。

常用最高感度のISO25600では画質の低下が激しく、特別な撮影意図がなければ記録程度に留めておいたほうがよさそうである。

注目の拡張機能のHi-BW1(ISO51200相当)とHi-BW2(ISO102400相当)では、解像感の低下はISO25600の場合と同等レベル。カラーノイズの発生はモノクロであるため当然目立たない。拡張機能として考えればまあまあの結果といえる。

ピクチャーコントロール

従来のスタンダード/ニュートラル/ビビッド/モノクローム/ポートレート/風景に加え、「フラット」を新たに追加。いわゆる素材性を重視した絵づくりで、悪く言ってしまえばパッとしない地味な絵づくりである。同じような仕上がりとして「ニュートラル」があるが、それよりももっと派手さはない。

ただし、これは積極的にレタッチなどの加工をする場合に適した仕上がりであり、シャドー部からハイライト部までの幅広い情報を持ち、レタッチ耐性にも優れている。フォトショップなどで仕上がりを追い込みたいベテランユーザー向けの絵づくりといってよいだろう。

スタンダード
ニュートラル
ビビッド
モノクローム
ポートレート
風景
フラット

明瞭度

ピクチャーコントロールには各仕上がりにそれぞれレベル調整機能が備わる。そのなかで追加されたのが「明瞭度」だ。AdobeのLightroomには以前から搭載されているので、RAW現像のときなどに愛用しているユーザーもいることだろう。描写は、プラス側に調整するとディテールが強調されメリハリのある描写に、マイナス側に補正するとディテールが弱まりソフトフィルターをかけたような描写となる。

ピクチャーコントロールが「スタンダード」の場合、明瞭度のデフォルトは+1としている。上手く活用すれば風景やポートレートなどではより自分の思ったような仕上がりが得られること請け合いだ。なお、明瞭度をはじめとする各レベル調整は、これまでの1段ステップから0.25段ステップとなり、より細かい調整を可能としている。

デフォルト
-5
+5

まとめ

正直に言えば、D7200はD7100とのスペック的な違いが拍子抜けするほど少ない。バッファ増というニュースは見逃せないが、イメージセンサーは変わっていないし、コマ速だって同じだ。劇的な変化を臨むユーザーにとっては少々物足りないように思える。

だが、直接描写と関わる機能はさらに充実し、より多彩な表現が楽しめるようになったことを見逃してはならない。今回描写を見たピクチャーコントロールの「フラット」や、調整機能の「明瞭度」など、どちらかといえば玄人好みの機能が搭載され、デジタル一眼レフとしての魅力は一層高まったといえる。ニコンユーザーの間では“D400”の登場を期待する声も聞こえるが、本モデルでもその役割は十分担えるもののように思える。

作品集

鮮鋭度の高い描写である。ピントの合った部分は線が細く、立体感も強く感じられる。ダイナミックレンジも広く、特に作例を見るかぎりシャドー部はよく粘っているように思われる。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F8 / 1/320秒 / -0.3EV / 90mm

こちらもダイナミックレンジの広さを感じさせる描写である。シャドー部から空のハイライト部まで、黒ツブレや白トビをよく抑えている。レンズの描写特性に因るところもあるが、シャープネスも高い。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F5.6 / 1/400秒 / -0.3EV / 50mm

フォーカスポイントのカバーする範囲が広いのもDXフォーマットであるD7200の特徴だ。画面四隅にある被写体にもピントが合わせやすい。なお、1.3×クロップ機能の場合、ほぼ画面全域をフォーカスポイントがカバーする。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F4.8 / 1/400秒 / +0.7EV / 50mm

これまでと同様AFも速く、シャッターチャンスを見逃すようなことがない。スナップ撮影でも出番の多そうなカメラである。階調再現性にも優れ、シャドー部からハイライト部まで滑らかに再現する。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F8 / 1/320秒 / -0.3EV / 60mm

モルタルの壁のディテールを余すことなく再現し、リアルな描写である。このような描写はローパスフィルターレスのイメージセンサーが得意とするひとつといえるだろう。ホワイトバランスの結果も上々だ。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F5.6 / 1/320秒 / +0.3EV / 40mm

コントラストおよび鮮鋭度の高い描写である。ピクチャーコントロールは他の作例同様スタンダードだが、色の偏りのようなものはなく、ナチュラルに感じられる。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F5.6 / 1/500秒 / 0.0EV / 10mm

マストに張られたロープの一本一本を忠実に再現。ローパスフィルターレスのイメージセンサーによる解像感の高さは、レンズの描写特性を忠実に知ることができる。ただし、その分手ブレには注意したい。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F5.6 / 1/640秒 / -0.3EV / 12mm

ダイナミックレンジは広く、特にシャドー部はよく粘るように思える。掲載した被写体のような条件では、露出を大胆に切り詰めた撮影も面白そうである。

AF-S DX NIKKOR 18-140mmF3.5-5.6G ED VR / ISO100 / F5.6 / 1/160秒 / -0.7EV / 62mm

大浦タケシ

(おおうら・たけし)1965年宮崎県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業後、二輪雑誌編集部、デザイン企画会社を経てフリーに。コマーシャル撮影の現場でデジタルカメラに接した経験を活かし主に写真雑誌等の記事を執筆する。プライベートでは写真を見ることも好きでギャラリー巡りは大切な日課となっている。カメラグランプリ選考委員。