トキナーReflex 300mm F6.3 MF MACRO
E-M5 / Reflex 300mm F6.3 MF MACRO / 約7.4MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F6.3 / +0.3EV / ISO500 / WB:オート / 300mm |
トキナー「Reflex 300mm F6.3 MF MACRO」は、35mm判フルサイズ換算で600mm相当となるマイクロフォーサーズ用ミラーレンズである。本テキスト執筆時におけるReflex 300mm F6.3 MF MACROの大手量販店店頭価格は3万4,800円前後。
1970年代から1980年代初頭のMF一眼レフ全盛時代、カメラおよびレンズメーカーの多くがミラーレンズをリリースしていた。特にレンズメーカーのものは廉価なこともあって人気を博したため、その響きに懐かしさを感じるベテランカメラ愛好家も少なくないだろう。かくいう筆者自身も10代の頃ミラーレンズに世話になった一人なので、今回はたいへん楽しく試用した。
Reflex 300mm F6.3 MF MACROは全長、最大径とも66mm。ミラーレンズは、焦点距離に対して格段にコンパクト鏡筒を持つもののも少なくないが、本レンズも例外ではない。特に全長に限ってみれば、カメラメーカーのマイクロフォーサーズ用望遠/超望遠ズームよりも短く、カメラバッグなど収納スペースに困るようなことも少ないだろう。
フィルター径は55mm、質量は298gとしている。余談だが、焦点距離や大きさから、本レンズはかつてミノルタからリリースされていたRF ROKKOR 250mmF5.6を彷彿させる。
鏡筒は金属製で、質感が高いのも特筆すべきところ。ローレットの加工も丁寧に仕上げられており、メーカーのこのレンズに対するこだわりを感じさせる。実写ではオリンパスOM-D EM-5を使用したが、本レンズを装着したときのルックスもホールディングしたときのバランスもよい。
フォーカスをMF専用としているのも特徴のひとつだ。フォーカスリングは動きはじめから滑らかで、撮影距離全域において適度なトルク感を持つ。さらに思った位置にもスッと正確に停止する。この節度ある動きは、フォーカシングが楽しく思えるほどだ。
最短撮影距離は0.8m。距離エンコーダを内蔵しているため、カメラと距離情報を常時やりとりするほか、Exif情報に撮影距離のデータを記録する。
ミラーレンズの描写といえば、構造的に内面反射が起きやすいため、筆者の経験上、古いレンズは解像感の低いものも少なくないように思える。特にダイレクトにレンズの描写が影響するデジタルカメラの使用では、その傾向は一気に強まる。そのため、最新といえども本レンズの描写は気になるところであったが、結果はよい意味で見事に裏切られた。
解像感、コントラストとも上々。目立つようなコマ収差など見受けられず、周辺減光も少ないほうである。同じく画面周辺部の像も鮮明で、ミラーレンズとして満足できる描写である。これらは最新の光学設計と進化したコーティング、特性の優れた高屈折ガラスなどの採用などによりもたらされるもので、デジタル時代に相応しいミラーレンズといってよいだろう。
ただし、その分フォーカスはより精度を求められそうだ。EVFや液晶モニターではわずかなピント位置の違いが、PCの画面などで見ると大きく現れてしまうからである。今回の撮影では、アングルを決めたら部分的に拡大表示を行ない、ピントをより正確に合わせるように留意したほか、しっかりとした三脚とリモートケーブルを使用してブレにも十分気を払って行なっている。それでも、いくつかのカットはピントが思った位置に合っておらず、撮り直しをしたほどである。
独特のリングボケや強烈な二線ボケは被写体を選ぶこともあるけれど、高品質な超望遠の世界をリーズナブルにノンレフレックス(ミラーレス)カメラで楽しみたいなら、このレンズがベストのように思える。
- 作例のサムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像をダウンロード後、800×600ピクセル前後の縮小画像を表示します。その後、クリックした箇所をピクセル等倍で表示します。
- 縦位置で撮影した写真のみ、無劣化での回転処理を施しています。
E-M5 / Reflex 300mm F6.3 MF MACRO / 約6.4MB / 4,608×3,456 / 1/320秒 / F6.3 / +1.3EV / ISO400 / WB:オート / 300mm |
2012/8/6 00:00