デジカメドレスアップ主義
ライカMを巡るふたつの究極
ライカM(Typ 240) + Orion-15 28mm F6
Reported by澤村徹(2014/12/22 09:00)
- ボディ:ライカMタイプ240
- レンズ:オリオン-15 28mm F6
- マウントアダプター:レイクォール L-Mリング(半欠きタイプ)
- サムグリップ:ジェイツジムラ Treasure Grip for Leica M
- ソフトレリーズボタン:ジェイツジムラ Treasure Button
- ストラップ:ユリシーズ レザーストラップ クラシコ・ドリット
M型ライカのドレスアップはふたつの側面がある。古くからのライカファンであれば、M型ライカそのものの機能美を重視し、シンプルかつストイックなスタイルを好む人が多いだろう。一方、デジタル以降のライカファンであれば、着飾ることに抵抗感は少なく、ミラーレス機と同じように個性派ドレスアップを楽しんでいるにちがいない。今回はストイック派と個性派、それぞれを象徴するようなM型ライカに似合うアクセサリーをそろえてみた。
まず、軍艦部に注目してほしい。シルバーのサムグリップが強烈な存在感とともに目に飛び込んでくる。ジェイツジムラのトレジャーグリップは、シルバー925製のライカM用サムグリップだ。同ブランドはこれまでシルバー製のシューカバーとソフトレリーズボタンをリリースし、カメラジュエリーという新たな世界を切り拓いた。そのエレガントかつワイルドなスタイルは、世界中のライカファンから高い評価を受けている。今回のトレジャーグリップはカメラジュエリーの集大成とも言うべきアイテムだ。
ジェイツジムラ氏によると、トレジャーグリップというネーミングは宝島に由来するそうだ。ライカを船、シャッターチャンスを宝島に例え、サムグリップは宝島を目指す際の船の舵だという。財宝を探す航海と、ライカを握り締めてシャッターチャンスを狙う姿を重ね合わせているわけだ。ドクロマークのトレジャーボタン(ソフトレリーズボタン)はさしずめ宝の在処である。愛機に添えるラッキーチャームとして、至高の存在と言えるだろう。
一方、ユリシーズのクラシコ・ドリットは、その対極とも言えるシンプルなストラップだ。昔ながらの二重リング式の定番スタイルだが、実は定番だからこそたくさんのこだわりが詰まっている。
まず、取り付け部分が昨今のデジタルカメラ事情をしっかりと踏まえている。二重リングの下にレザーカバーがあるのだが、このカバーのせいで二重リングがうまく付かないといった経験はないだろうか。最近のデジタルカメラはアイレットの穴が小型化し、さらにボディ側に接近している。M型ライカと比べるといかに小さいかがひと目でわかるほどだ。穴が小さいとレザーカバーが穴を半分ほど塞いでしまい、二重リングを通しづらい。
クラシコ・ドリットはこうした今時のデジタルカメラ事情に考慮し、レザーカバーは薄い革を選び、二重リングはオリジナルのものを採用している。オリジナルリングは柔軟性と復元性にすぐれ、線径と口径は最近のデジタルカメラに合った設計にしているという。また、爪を差し込みやすいように研磨加工も施している。定番スタイルを現状に合わせてていねいにリファインしているわけだ。
クラシコ・ドリットは長さにも秘密がある。Mが105cm、Lが120cmという2サイズ展開だが、120cmのLサイズに着目してほしい。この手の一枚革のストラップは90〜100cmのものが大半で、120cmという斜め掛けに対応した製品はきわめてめずらしい。なぜか?
完成時で120cmということは、両端の折り返しの部分も入れると、少なく見積もっても130cmのレザーテープが必要になる。直線で130cmのレザーテープを切り出すには、相当大きな革が必要だ。さらにその大きな革であっても切り出せる量は限られている。にも関わらず、MサイズとLサイズ、同じ値段で販売するというのだから太っ腹だ。クラシコ・ドリットは、ユリシーズのこだわりと良心が詰まったストラップである。
軍艦部のシルバーカメラジュエリーに合わせ、レンズはシルバー鏡胴のオリオン-15 28mm F6を選んでみた。2〜3万円で買える安価なロシア製広角レンズだが、開放F6と無理がないため、収差が少なく安定した描写だ。発色は思いの外力強さがあり、やや多めの周辺減光が興を添えてくれる。前玉が奥まった場所にあるため、ノンフードで手軽に携行できる広角オールドレンズだ。