写真展

東京写真月間2015「島」島は日本の原点
カベルナリア吉田写真展「絶海の孤島」

(オリンパスギャラリー)

©カベルナリア 吉田

「島」と聞くと「癒し」「リゾート」を思い浮かべる人が多いかもしれない。だが実際に島を歩き、島で暮らす人々と触れ合うほどに、その生活は生易しいものではないと実感する。

ひとたび天候が荒れれば船は止まり、本州「大陸」から隔絶される。物資は途絶え、商店の棚から食料品が消える。急病人を、設備の整った病院に搬送することもままならない。そして電気水道ほかインフラに、近年まで不自由した島も少なくない。

本州に近い島々ですら、そうした離島苦は数多い。まして本州から遠く離れ、船便も乏しい「孤島」ともなれば、その暮らしは時に想像を絶する。だがさまざまな「不便」を受け入れて―今も孤島に住み続ける人がいる。人が住み続ける孤島がある。どうしてなのか。そこで生まれた―それだけの理由で、人はその場所に住み続けられるものなのか。故郷とは、島とは何なのか。

日本は狭いようで広い。400前後もの有人島があり、それぞれが独自の世界、空間を育み、人が暮らし続けている。

日本をもっと見て、もっと知りたい、そんな想いで私は、日本の辺境の淵を支える孤島を訪ね歩いた。

都会=日本だと思ってはいけない。私たちが知らない様々な「日本」が、海の向こう遥か遠くにあることを、この機会に知っていただければ幸いである。

(写真展情報より)

会場・スケジュールなど

  • ・会場:オリンパスギャラリー東京
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-24-1エステック情報ビル地下1階
  • ・会期:2015年5月29日金曜日~2015年6月3日水曜日
  • ・時間:11時~19時(最終日15時まで)
  • ・休館:日曜日・祝日
  • ・入場:無料

作者プロフィール

1965年北海道生まれ。
早稲田大学卒業後、読売新聞社ほか出版社勤務を経て2002年からフリー。
沖縄と島を中心に全国を歩き、紀行文を発表している。
写真は独学で、取材現場でひたすら撮影を重ねることで経験を積む。
紀行関連の著作は20冊以上、『絶海の孤島』(イカロス出版)ほか『沖縄の島へ全部行ってみたサー』(朝日文庫)、『ひたすら歩いた沖縄みちばた紀行』(彩流社)など。

(本誌:河野知佳)