写真展告知

小野淳也写真展「瞬きもせずに」

(ニコンサロン)

8年間、認知症になった祖父を撮影している。祖父は僕が幼少の頃から、軽い認知症を患っていた。そのせいか、祖父との思い出はほとんどない。

祖父との時間を共有するため、お互いの距離を埋めるためにはじめた撮影も気がつけばかなりの期間になっていた。

撮影をはじめて6年がたったある日、祖父は急に歩けなくなった。 それから病院へ入院するまであまり時間はかからなかった。僕の撮影場所は祖父の家から祖父の病室に変わった。

家から病室までわざと遠回りをして歩いた。病室でどんどん衰えていく祖父を見るのがとても辛かった。そのせいもあってか、病院にたどり着くまでのいつまでも変わらずそこにある景色が とても美しく見えた。

撮影した写真を祖父に見せるのが僕の日課になった。 祖父がいなければこの景色に気づくこともなかっただろう。祖父は僕が誰だか思い出せないけれど、彼の記憶が残る場所や環境を大切にしていきたい。

僕にとってこの写真は僕と祖父を結びつけてくれる唯一のものだから、瞬きもせずに二人をつなぐこの景色を記録し続けていきたい。(小野淳也)

カラー約25点。

ニコンサロン bis 新宿 2017年1月 - 写真展 - ニコンサロン|ニコンイメージング

会場・スケジュールなど

  • ・会場:ニコンサロンbis新宿
  • ・住所:東京都新宿区西新宿1-6-1新宿エルタワー28階
  • ・会期:2017年1月31日(火)~2月6日(月)
  • ・時間:10時30分~18時30分(最終日は15時まで)
  • ・休館:会期中無休
  • ・入場:無料

ギャラリートーク

2017年2月4日(土)12時30分~13時30分

作者プロフィール

1987年岡山県生まれ。2010年日本大学芸術学部写真学科卒業。11年「TAP Gallery」の運営に参加。

主な写真展(個展)に、「また、あした。」(09年Juna21新宿ニコンサロン、10年Juna21大阪ニコンサロン)、13年「遠回りする二人」(TAP Gallery)、14年「相槌は残りの歳月に染みを付ける」(Juna21新宿ニコンサロン、Juna21大阪ニコンサロン)、15年「遠回りする一人」、16年「深く眠る前に」(以上、TAP Gallery)がある。グループ展に、16年「Japanese Photography from Postwar to Now」(サンフランシスコ近代美術館)がある。その他、東京を中心に個展を多数開催、グループ展やイベントに参加。作品は、サンフランシスコ近代美術館に収蔵されている。