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写真で見るソニー「α350」

Reported by 本誌:田中 真一郎

α350+DT 18-70mm F3.5-5.6
 3月7日に発売されるデジタル一眼レフカメラ「α350」を借りることができたので、外観やメニューの写真をお届けする。現在α350は画質の追い込みを行なっており、貸出機の実写はできないため、外観のみのレポートとなる。実写レポートは、実写可能な機材が揃い次第、改めてお届けする。

 α350は、有効1,420万画素CCDを搭載したデジタル一眼レフカメラで、αシリーズのエントリークラスに属する。姉妹機のα200と共通のボディを持つが、より解像度の高いCCDやライブビュー機構を与えられ、α200よりもやや上のクラスに位置づけられる。

 α350のライブビューは、ペンタミラーの一部を動かし、ペンタ部に収められたライブビュー専用イメージセンサーにレンズからの像を導くことで、実現されている。したがって現在主流の、撮影用センサーをそのままライブビューに使う方式とは異なる。

 α350の方式ではライブビュー中もミラーはダウンしたままなので、ライブビュー時も高速な位相差AFを使えるのが最大の特徴だ。このため、ライブビュー方式の名称も「クイックAFライブビュー」となっている。

 ボディは基本的にα200と共通だが、α350では2.7型約23万ドットの液晶モニターが上下にスイングするようになっており、ライブビューの使い勝手を高めている。

 ここではα100、α200などとの比較を交えてレポートする。


外観






α100ではプリントだったαのエンブレムは、刻印と表面処理処理が加えられた α350、α200では、ボディ正面レンズ脇に有効画素数がプリントされるようになった

ポップアップストロボ。ペンタ部脇(写真向かって右)にポップアップボタンが新設された
ファインダー接眼部下のアイスタートセンサーは継承されている

コントロールダイヤルはグリップ部の1つのみ ペンタ部脇の「LIVE VIEW/OVF」と表記されたスイッチがライブビュー切り替えスイッチ。OVFはOptical Vier Finderの略。モーターなどの動力を介さず、スイッチを操作する指の力でメカニカルに切り替わる。
また、α100にあったファンクションダイヤルは廃止され、ファンクションダイヤルにあった機能はISOボタンとFnボタン(ファンクションメニュー)に移された

α100では右手側にあったモードダイヤルが左手側に 右手側上端、AEロックボタンの右にあるのがα350のみの装備「スマートテレコンバーターボタン」

左手側のボタンもα100と同じレイアウトだが、表示切替ボタンの表記が記号から「DISP」に変更され、わかりやすくなった。表示切替ボタンは液晶モニターの明度調整ボタンを兼ねる イメージセンサー

バッテリーはα100のNP-FM55HからNP-FM500Hに変更された。α700、α200もNP-FM500Hを使う 付属品一式。メモリースティックデュオのCFアダプタは同梱されなくなった。ボディの前にある小さなパーツはアイピースカバー。アイピースカップを外して装着する

ライブビュー

液晶モニターは2つのジョイントで上下に可動する
 α350最大の特徴であるライブビューは、上下可動式の液晶モニターと組み合わされて実装されている。

 ミラーをダウンしたまま、ペンタ部内のライブビュー専用イメージセンサーでスルー画を得る仕組みのため、ライブビュー中も高速な位相差AFが利用でき、光学ファインダー使用時と変わらないレスポンスを実現している。また、ライブビュー中はライブビュー専用センサーが1,200分割AEセンサーとなるため、より精度の高い測光が可能だ。なお、ライブビュー専用センサーの画素数は公表されていない。

 他社のライブビューの多くには、ライブビュー画面の任意のポイントを拡大する機能があるが、α350にはそのような機能はない。その代わりに手ブレインジケーターや手ブレ警告など、コンパクトデジタルカメラライクな表示がされる。

 ソニーはライブビューのメリットとして、被写体と顔を見合わせながら撮影したり、数人でライブビュー画面を見ながら撮影できるといったように、ファインダーに接眼しているときよりも被写体や仲間とのコミュニケーションがしやすいことや、ハイ/ローポジション撮影がしやすいこと、ファインダー接眼時のような化粧が落ちる心配がないことなどをあげている。

 α350のライブビューは、マクロ撮影などで「じっくり使う機能」というよりも、まさしくコンパクトデジタルカメラのように「気軽に撮影領域を広げる機能」という位置付けといえる。


液晶モニターの可動範囲。下は40度まで
液晶モニターを手前に引き出すと、上は水平まで可動する

ライブビュー表示。露出パラメーターや感度、フォーカスモードなど、各種設定が表示される。合焦するとフォーカスポイントも表示される ライブビュー中にリアルタイム・ヒストグラムを表示することもできる

ライブビュー画面でDレンジオプティマイザーやホワイトバランス、感度などの設定を変更すると、ライブビュー表示にも設定結果が反映される ナビゲーションディスプレイは縦位置時には縦位置用のレイアウトになってくれるが、ライブビュー表示中は、縦位置にしても縦位置レイアウトにはならない(この写真では縦位置グリップを装着)

右下隅の携帯電話の電界表示のようなアイコンは、手ブレの度合いを表す手ブレインジケーター

「スマートテレコンバーター」は1.4倍または2倍の倍率相当の画角に画面をトリミングしてくれる機能。スマートテレコンバーターボタンを押すたびに、1.4倍→2倍→1倍と切り替わる。写真は左から1倍、1.4倍、2倍。トリミングのみで画素補完はされないので、倍率を上げるたびに画面右上隅の画像サイズがL→M→Sと小さくなってゆき、撮影可能枚数は増えていく。
スマートテレコンバーターは、ライブビュー中の画面拡大機能のようにも見えるが、まったく違うもので、任意の位置を拡大したりはできない

液晶モニター表示

ナビゲーションディスプレイ。拡大画面表示
同じく詳細画面表示

これまでのα同様に、縦位置時にはナビゲーションディスプレイが回転する
Fnボタンを押すと表示されるファンクションメニュー

ファンクションメニュー内のDレンジオプティマイザー設定画面
ファンクションメニュー内のフォーカスモード設定画面。α100にあったDMF(ダイレクトマニュアルフォーカス。AF合焦後にMFで微調整できる機能)は省かれた

設定メニュー。「クリエイティブスタイル」が初めて搭載されたα700では、Cボタンでクリエイティブスタイルを呼び出せたが、α350/α200ではCボタンがないのでメニュー内で設定する クリエイティブスタイルの設定画面。コントラストなどのパラメーターをカスタマイズすることもできる

再生画面1
再生画面2

再生画面3

縦位置グリップ

 オプションで縦位置グリップ「VG-B30AM」(2万6,250円)が用意されたのも、α350/α200の大きな新機能だ。ボディのグリップに劣らぬグリップ感と操作性を備えた縦位置グリップは、ミノルタ時代から続くαならではの伝統といえる。



縦位置グリップを装着するときには、本体のバッテリー室のふたを外す。ふたについているグレーのラッチをスライドさせるだけで、簡単に着脱できる
本体バッテリー室のふたは縦位置グリップに格納できる


1~2本のNP-FM500Hが入る
縦位置グリップに2本バッテリーが入っていると、ナビゲーションディスプレイにも2本のバッテリーが表示される

縦位置グリップの操作系。背面には電源スイッチとAEロックボタン、露出補正ボタン。本体のボタンと同じく、再生時には拡大/縮小ボタンとなる
縦位置グリップのレリーズボタンとコントロールダイヤル

α100、α200と比較

左からα100、α350、α200
 前機種のα100、多くの構成パーツを同じくする姉妹機のα200との比較をしてみた。なお、「ソニーα200(試作機) 海外実写画像」( http://dc.watch.impress.co.jp/cda/review/2008/01/15/7735.html )ではα200とα100を比較しているので、こちらも合わせてごらんいただきたい。


上面。左からα100、α350、α200。α100で左手側にあったモードダイヤルは、α350/200では右手側に。これにともなってダイヤルの回転方向(PASMなどの配列)が逆になっている。
α200と350の違いは、ライブビュー切り替えスイッチとスマートテレコンバーターボタンの有無。ライブビュー切り替えスイッチの有無で、ボタンのマークの位置も変えてある
背面。左からα100、α350、α200。100と350/200ではナビゲーションディスプレイのレイアウトが若干異なる

左からα350、α100。ボディの「肩」の高さがほぼ変わらないのに対し、ペンタ部の高さが大きく異なることに注目。α350のペンタ部は、ライブビュー専用イメージセンサーを格納している 左からα350、α100。可動液晶モニターのため、ボディの厚みはα350のほうがある

左からα200、α350 左からα200、α350。ライブビュー機能を持たないα200だが、ペンタ部の高さや形状はα350と同じ。大きく違うのは液晶モニターとグリップ。α200はホールド時に指がかりがよい形に、α350のグリップはライブビュー時に指がひっかからないよう滑らかな形になっている

α200のファインダー内 α350のファインダー内。α200のファインダー内画像となるべく大きさを揃えるようにしたが、正確ではないのであくまで「参考」としてほしい。
α350の倍率の低さは、α200と見比べれば気づくが、単体で見るぶんには特に問題はない。こうして写真を並べるとα350のファインダーが大幅に小さく見えるが、実機を並べて交互に覗いても、ここまで小さくは感じない

参考までにα700と並べてみた。左からα200、α700、α350
左からα200、α700、α350

左からα200、α700、α350

α100、α200、α350のスペック比較
  α100 α200 α350
撮像素子 APS-CサイズCCDセンサー(23.6×15.8mm) APS-CサイズCCDセンサー(23.5×15.7mm)
有効画素数 約1,020万画素 約1,420万画素
記録形式 JPEG / RAW / JPEG+RAW
記録画素数(ピクセル) 3,872×2,592 / 2,896×1,936 / 1,920×1,280 3,872×2,592 / 2,896×1,936 / 1,920×1,280 / 3,872×2,176 / 2,896×1,632 / 1,910×1,088 4,592×3,056 / 3,408×2,272 / 2,288×1,520 / 4,592×2,576 / 3,408×1,920 / 2,288×1,280
画角変化 レンズ表記焦点距離の約1.5倍に相当
感度(拡張設定含む) ISO100~1600相当 ISO100~3200相当
手ブレ補正機能 撮像素子シフト方式
手ブレ補正効果 約2~3.5段相当 約2.5~3.5段相当
ライブビュー なし クイックAFライブビュー
ファインダー方式 ペンタミラー
ファインダー倍率
(50mmレンズ時)
約0.83倍 約0.74倍
ファインダー視野率 約95%
アイポイント(最終光学面から / 接眼枠から) 20mm / 16mm 17.6mm / 13.5mm 20.8mm / 16.7mm
AF測距点 中央クロス9エリア
測光 40分割ハニカムパターンSPC搭載
多分割測光
中央重点平均測光スポット
40分割ハニカムパターンSPC搭載
多分割測光
中央重点平均測光スポット
1,200万分割ライブビュー分析測光(ライブビュー使用時のみ)
最高シャッター速度 1/4,000秒
連写速度 約3コマ/秒 約2.5コマ/秒(ライブビュー未使用時)
約2コマ/秒(ライブビュー使用時)
液晶モニター 2.5型 約23万ドット 2.7型 約23万ドット 2.7型 約23万ドット(可動式)
Dレンジオプティマイザー オフ / スタンダード / アドバンス
クリエイティブスタイル なし スタンダード / ビビット / ポートレート / 風景 / 夜景 / 白黒 / Adobe RGB
記録メディアスロット CF Type I / CF Type II / Microdrive
PCインターフェイス USB 2.0
内蔵ストロボ あり
電池 NP-FM55H NP-FM500H
サイズ
(幅×奥行き×高さ、mm)
133×71.3×94.7 130.8×71.3×98.5 130.8×74.7×98.5
重量(g、本体のみ) 545 532 582



URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  ニュースリリース
  http://www.sony.jp/CorporateCruise/Press/200802/08-0201/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/dslr/products/body/DSLR-A350/
  ソニーα350関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7906.html
  ソニーα200関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/02/05/7905.html

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【速報】ソニーα200(試作機) 海外実写画像(2008/01/15)



本誌:田中 真一郎

2008/02/26 00:25
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