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【新製品レビュー】ソニー サイバーショットDSC-W200

〜堅実な作りの1,200万画素機
Reported by 小山 安博

 ソニーの「サイバーショット DSC-W200」は、有効画素数1,210万画素のCCDを搭載したコンパクトデジタルカメラだ。その後、他社からも有効1,200万画素オーバーのCCDを搭載したコンパクトデジタルカメラが登場したが、アメリカでの発表(2月27日、現地時間)は、1,200万画素機としては一番乗りだった。


 サイバーショットDSC-W200(以下、W200)の最大の特徴は、なんといっても1/1.7型の面積に有効画素数1,210万画素もを実現したCCDを搭載した点。1,200万画素を超えたことで、画像ファイルはなんと4,000×3,000ピクセルにもなる。

 ここまで画像サイズが大きくなると、いくら高解像度のディスプレイを使っても、等倍の画像を一度に見渡すことはできない。また、1つの画像でファイルサイズは約4MBのサイズになり、一昔前のPCだと画像を開くだけでもかなり時間がかかりそうだ。


 コンパクトデジタルカメラを使った撮影では一般的なスナップ写真には、ちょっと過剰なサイズという感じもするので、普段は最高画質ではなく、画像サイズを下げて撮影してもいいだろう。画像サイズを小さくすると、その分だけスマートズームの威力も上がる。

 スマートズームは、画像の中央部分を切り取って疑似的に画角を小さくするデジタルズーム機能だ。だが、W200が搭載するスマートズームは通常のデジタルズームとは異なり、切り取り後の画像サイズを最高画質と同じ1,200万画素相当まで引き伸ばさないため(画素補間しないため)、デジタルズームのような画質の劣化がない。PC上でトリミングすればW200のスマートズームと同じ効果が得られるが、カメラだけで手軽にトリミングできるのは便利だ。

 スマートズームの場合は、撮影可能な画像サイズが大きいほどに切り取りができるサイズが大きくなり、疑似的なズーム倍率を伸ばすことができる。だから、有効1,210万画素のW200の場合、800万画素サイズで光学倍率も含めて約3.7倍、500万画素サイズで同約4.6倍、300万画素サイズで同約5.9倍、VGAサイズでは同約18倍までズームできる。


 最近のサイバーショットは、ハイビジョンテレビに接続してスライドショーを楽しむといった使い方をユーザーに提案している。

 ハイビジョン向けの16:9モードではピッタリ1,920×1,080で記録され、この場合は約6.2倍のスマートズームが利用できる。ソニーはわざわざ「HDスマートズーム」と称している。撮影した画像をすぐにTVにつないで楽しみたいなら、PCでリサイズしてカメラに書き戻してTVにつなぐという無駄な労力と時間が節約できるのは楽でいい。スマートズームのメリットが大きい一面だ。

 スマートズームを使うためには、あらかじめトリミングされる画像サイズの限界をユーザーが好みに応じて設定しておく必要がる。例えば、リコーのコンパクトデジタルカメラあたりのように、ズームを使っていくと自動的に画像サイズが小さくなってズーム倍率が疑似的に伸びる、という仕組みはない。筆者としては800万画素サイズ(約3.7倍)くらいならトリミングしても意味がないと思うので、500万画素サイズのズーム(約4.6倍)や16:9モードの約6.2倍ズームに設定したいと思う。

 1,200万画素という画素数は、一般的なコンパクトデジタルカメラのユーザーの使い方からすると過剰なスペックだ。ソニーがいうようにA3ノビサイズまで高精細にプリントできるレベルといっても、なかなかそんな印刷をするユーザーはいないだろうし、ここまで解像度が高くなると、コンパクトデジタルカメラに搭載されるレンズユニットで像がきちんと解像しない場合もある。高画素化が悪いとはいわないが、画像処理や保存をするPCを含めたデジカメ全体のシステムを考慮すると、1,200万画素もの巨大な画像はちょっと使いにくいというのが正直な感想だ。


分かりやすいインタフェース

 とはいえ、W200のカメラとしての完成度は高い。ボディは奇をてらわないカメラらしいデザインで、アルミの素材感やレンズ周辺のダイヤカットロゴも高級感がある。本体サイズは91×27.3×58.5mm(幅×奥行き×高さ)、撮影時重量は約173gで、十分に小型軽量で持ち運びも容易だ。


レンズを繰り出した状態 レンズを収納した状態

 レンズは沈胴式で前から見て右端に配置されている

 背面には2.5型11.5万画素の液晶モニタを備える。Wシリーズ最上位機種としてはちょっと液晶の画素数が足りない気もするが、視野角や見やすさは一般的なレベルで、大きな不満はない。

 Wシリーズは、ソニーのコンパクトデジタルカメラでは数少ない光学ファインダー搭載モデル。このW200もしっかりと光学ファインダーを備えている。バッテリー消耗を抑えたい場合や、直射日光で液晶が見づらいときに活用できる。ファインダー位置は本体の左端にあり、レンズのほぼ真上。ファインダーを見ながら撮影しても、鼻が液晶モニターに当たって油がついてしまう、といったことがないように配慮したようだ。


背面の液晶は2.5型。今時はいたって普通のスペック。光学ファインダーを搭載するなど、カメラらしいデザイン
 基本的なデザインはサイバーショットDSC-W80をベースにしているようで、特に背面のデザインはかなり似通っている。背面右側に集約されたボタン類は、上部にズームレバー、その下にモードダイヤル、再生ボタン、メニューボタン、中央ボタンを含む円形の十字ボタン、ホームボタンが並ぶ。

 ボタンはそれぞれ小さいが、特に詰まっているという印象もなく、適度なクリック感もあって特に押しにくくはない。奇抜なデザインでもないため、ほとんど迷うことなく使いこなせるだろう。


ボタンの数は多くはないので1ボタンで実行できる機能は少ない 本体上部には電源ボタンとシャッターボタン

 インタフェースもW80のものを継承。メニューボタンを押すと画面左側に撮影機能アイコンが縦に並び、さらに横にその機能の中の設定項目が表示される。キヤノンあたりのコンパクトデジタルカメラのインタフェースに近いので、分かりやすく使いやすい。

 ただ、キヤノンは機能アイコンを1画面に収めようとしているのに対し、W200の場合は機能アイコンがずらっと縦に並ぶので、やや目的の機能が探しにくいという弊害もある。アイコンは見やすくてきれいなデザインだが、アイコン切り替え時のレスポンスには難を感じる。


 メニュー画面。縦にずらっと並ぶアイコンを十字ボタン上下で選び、左右で機能を選択する モードダイヤルを回すと、グラフィカルなアイコンで各モードの説明が表示される

ホーム画面は、撮影や再生、印刷などに手軽にアクセスできる
 メニューボタンからは撮影に関する各機能が呼び出せ、撮影モードによって設定できる機能は異なるが、マニュアル露出モードの場合、画像サイズや露出補正、ホワイトバランス、ISO感度、測光モードなどが設定できる。個人的には、よく使う露出補正、ホワイトバランス、ISO感度に素早くアクセスできる配置だとうれしいが、W200の場合、上から画像サイズ、撮影モード(連写やブラケッティング)、カラーモード、ISO感度、露出補正、測光モード、フォーカス、ホワイトバランス……と並んでおり、アクセスはあまり良くない。

 ISO感度などの機能を設定し、撮影をして再びメニューボタンを押すと、前回設定した機能アイコンが選択されているので、設定を変えながら撮影する場合には問題を感じなかった。

 メニューボタンとともに、最近のソニーのデジカメに搭載されているのがホームボタン。ソニーのデジタル家電製品に搭載されているような、上部にアイコンが並び、その下に各項目が並ぶインタフェースで、撮影、再生、印刷、設定などといった機能アイコンが並び、十字ボタンで機能を選択し、たとえば再生であればスライドショーなどの項目を選択する。


 基本的に撮影中に利用することはなく、再生中も普通に再生ボタンを押してスライドショーを行なったり、メニュー画面の「SETUP」からカメラ設定を行なったり、ホームメニューにある機能は「設定」以外は使うことは少ないだろう。テレビにつないでカメラの操作をする時に使うインタフェースなのかもしれないが、わざわざハードボタンを用意する必要性があるのかは少々疑問がある。露出補正などのボタンを割り当てるなどのカスタマイズ性があるとうれしかった。

 十字ボタンには、左から時計回りにマクロ、画面表示、ストロボモード、セルフタイマーがそれぞれ割り当てられている。

 W200は、Wシリーズ最上位のモデルで、有効1,210万画素CCDの搭載をはじめ、光学ファインダーも備え、マニュアル露出での撮影にも対応するなど、ハイエンドコンパクトデジタルカメラといってもいいほどの機能を備えている。その割に、インタフェースに関してはフルオートの初心者向けコンパクトデジタルカメラという感じで、ちょっと位置づけがあいまいな印象だ。もうちょっと思い切った割り切りがあっても良かったかもしれない。


ハイエンドらしい、充実した撮影機能

 インタフェースに関しては少々疑問を感じた部分ではあるが、機能自体は豊富で高機能。

 レンズは非球面レンズ3枚を含む5群6枚構成のCarl Zeiss Vario Tessarで、ズーム倍率は光学3倍。焦点距離は35〜105mm、開放F値はF2.8〜F5.5と、ちょっと望遠端が暗いことをのぞけばまずまずのスペック。

 ハイエンドらしく、レンズアダプター経由で0.7倍のワイドコンバージョンレンズ「VCL-DH0737」(1万2,600円)、2.6倍テレコンバージョンレンズ「VCL-DH2637」(1万3,650円)がそれぞれ用意されているのもうれしい。

 レンズで注目したいのは、レンズシフト式の手ブレ補正機能を搭載している点。手ブレ補正はそれなりに強力で、テストしてみた限りはシャッタースピード3段分ぐらいの補正能力はありそうな印象だった。

 撮影機能としては通常のオートに加え、プログラムオート、夜景/夜景&人物/風景/ビーチ/スノー/打ち上げ花火/ソフトスナップ/高感度/ EX高感度という9種類のシーンセレクション、さらにマニュアル露出にも対応。

 マニュアル露出時は、最初に決定ボタンを押すとシャッタースピードと絞り値を変更できるので、上下でシャッタースピード、左右で絞りを変更する。再び決定ボタンを押せば十字ボタンに割り当てられた機能が利用できるようになる。


レンズは、ハイエンドカメラとしては標準的なものだが、大きな特徴がないのも確か マニュアル露出でシャッタースピードと絞りの変更画面

 レンズシフト式手ブレ補正に加え、高感度撮影が可能。対応するISO感度はISO100/200/400/800/1600/3200で、さらにシーンセレクションのEX高感度では、画像サイズは300万画素相当になるものの、ISO6400という高感度撮影が可能だ。


ISO感度はメニューから変更。ここからはISO3200までしか利用できない シーンセレクションからEX高感度を選べば、自動で最大ISO6400まで増感する

Dレンジオプティマイザーはメニューの「コントラスト」から。その上にある顔検出のオン・オフは、通常のモードでは表示されない
 ソニーが2007年春モデルから搭載し始めた顔検出機能「顔キメ」、ダイナミックレンジを拡張させるDレンジオプティマイザーも搭載。顔キメは、人物の顔を判別してAFや露出を設定する機能だが、顔キメの特徴は、さらに人物の肌の色に合わせてホワイトバランスを設定できる点と、肌色をきれいに再現できるという点が他社にはない特徴だ。

 ただし、シーンセレクションのソフトスナップなどでしか顔検出が選択できず、マニュアル露出やプログラムオートでは顔検出が使えないところには疑問を感じる。

 Dレンジオプティマイザーは、ダイナミックレンジを拡大する機能だが、あくまで暗部の明るさを持ち上げるだけ、といった感じなので、厳密な意味ではダイナミックレンジの拡大とは言えない。しかし、それでも使い方次第では有効に使えそうだ。


オーソドックスなコンパクト機

スライドショーの設定画面
 再生機能では、やはりハイビジョンテレビへの出力機能が特徴的。最近のソニーのデジカメではほとんど搭載されている機能だが、別売りの「サイバーショットステーション CSS-HD1」やHD端子・コンポーネント端子搭載のテレビと接続するためのアダプターケーブルを使うことで、手軽にハイビジョンテレビに写真を出力できる。

 音楽付きのスライドショー再生「音フォト」ももちろん対応。PC経由でカメラ内の楽曲を入れ替えられ、ハイビジョンテレビに出力すれば、けっこう楽しく迫力のあるスライドショーが実現できる。

 W200は、ハイエンドコンパクトとして、高画素、高機能、使いやすく奇をてらわないボディと、ソニーらしい意外性はないが、堅実な作りをしたカメラだ。


再生画面はヒストグラムをはじめ、必要な情報は表示される 撮影可能枚数はCIPA準拠で約300枚と、サイズの割には健闘している

作例


※作例のリンク先のファイルは撮影した画像です。クリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。
※作例下の撮影データは、画像サイズ/露出時間/絞り/感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


・ISO感度
 ISO感度を上げていくと、ISO200からすでにノイズリダクションの影響が見られるが、ISO400ぐらいまではまずまず。ISO800以降は、個人のセンスと状況に応じて使うか使わないかを健闘するといいだろう。ISO6400は、自動で増感するため、なかなか最高感度にならずに苦労した。そのため、ほかの作例とは微妙に連続していない


ISO100
4,000×3,000 / 1/5秒 / F3.5 / ISO100 / WB:オート / 11.5mm
ISO200
4,000×3,000 / 1/10秒 / F3.5 / ISO200 / WB:オート / 11.5mm

ISO400
4,000×3,000 / 1/20秒 / F3.5 / ISO400 / WB:オート / 11.5mm
ISO800
4,000×3,000 / 1/40秒 / F3.5 / ISO800 / WB:オート / 11.5mm

ISO1600
4,000×3,000 / 1/80秒 / F3.5 / ISO1600 / WB:オート / 11.5mm
ISO3200
4,000×3,000 / 1/160秒 / F3.5 / ISO3200 / WB:オート / 11.5mm

ISO6400
2,048×1,536 / 1/8秒 / F4 / ISO6400 / WB:オート / 13.1mm

・スマートズーム


通常の光学3倍
4,000×3,000 / 1/60秒 / F5.5 / ISO100 / WB:オート / 22.8mm
スマートズーム(約5.9倍)
2,048×1,536 / 1/80秒 / F5.5 / ISO100 / WB:オート / 22.8mm

スマートズーム(約6.2倍、16:9モード)
1,920×1,080 / 1/100秒 / F5.5 / ISO100 / WB:オート / 22.8mm
スマートズーム(約18倍)
640×480 / 1/160秒 / F5.5 / ISO100 / WB:オート / 22.8mm

・一般作例


4,000×3,000 / 1/250秒 / F5.6 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm 4,000×3,000 / 1/250秒 / F5.5 / ISO100 / WB:オート / 22.8mm

4,000×3,000 / 1/160秒 / F4.5 / ISO100 / WB:オート / 15mm 4,000×3,000 / 1/200秒 / F2.8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm

4,000×3,000 / 1/8秒 / F8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm 4,000×3,000 / 1/400秒 / F2.8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm

1,920×1,080 / 1/200秒 / F5.6 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm 4,000×3,000 / 1/100秒 / F2.8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm

4,000×3,000 / 1/80秒 / F5.5 / ISO100 / WB:オート / 22.8mm 4,000×3,000 / 1/100秒 / F4.5 / ISO1250 / WB:オート / 17.2mm

4,000×3,000 / 1/60秒 / F5.5 / ISO100 / WB:オート / 22.8mm 4,000×3,000 / 1/100秒 / F2.8 / ISO1600 / WB:オート / 7.6mm

4,000×3,000 / 1/80秒 / F2.8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm 4,000×3,000 / 1/60秒 / F3.2 / ISO1600 / WB:オート / 10mm

4,000×3,000 / 1/100秒 / F3.5 / ISO100 / WB:オート / 11.5mm 4,000×3,000 / 1/160秒 / F2.8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm

4,000×3,000 / 1/60秒 / F2.8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm 4,000×3,000 / 1/100秒 / F2.8 / ISO100 / WB:オート / 7.6mm

4,000×3,000 / 1/200秒 / F5.6 / ISO125 / WB:オート / 7.6mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-W200/

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小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2007/07/10 00:02
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