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【新製品レビュー】キヤノン IXY DIGITAL 810 IS

〜手ブレ補正機能で気軽に撮れる
Reported by 工藤智道

IXY DIGITAL 810 IS
 コンパクトデジカメの最近のトレンドとなっている機能といえば、「高感度」や「顔認識」そして「手ブレ補正」だ。このほかにも28mm相当から始まるズームや、高倍率なズームなどがあるだろう。

 「IXY DIGITAL 810 IS」は、お馴染みのキヤノンのコンパクトデジタルカメラ、IXY DIGITALシリーズの最新機種。スタイリッシュな外観と高い質感のあるボディが人気のシリーズで、便利で手放しがたい撮影機能がいくつかある。


屋外でも見やすい2.5型液晶モニターとタッチホイール式十字キーを搭載
 それらは、「ISO1600」までの高感度撮影、手ブレ補正機能は「光学式手ブレ補正」、人物の顔を認識して人物にピントを合わせてくれる「フェイスキャッチテクノロジー」などだ。

 ズームレンズは35mm判換算で35〜140mm相当の光学4倍ズーム。広角側に強いレンズではないが、最近のコンパクトデジカメのもう1つのトレンドであるズーム倍率のアップと望遠側の充実を実現している。このあたり、昔のIXY DIGITALが35〜70mmの光学2倍ズームであったことを考えるとすごいと思う。

 このカメラに興味を持って、いろいろな風景を撮影してみた。はじめに気がついたのは2.5型の液晶モニターの描写がきれいなことだ。晴天時の明るい屋外でも見やすく、色も鮮やか。おかげで撮影した画像がきれいに映し出されるので鑑賞が楽しくなる。

 そして、操作し始めてから気付いたのだが、十字キーはタッチホール式となっている。大きな液晶モニターを搭載したために、限られたスペースに操作系を配置した同機には、とても使いやすい機能に思えた。


マイカラーの設定は、Func.ボタンを押して背面十キーを操作して行なう
 見た目よりも鮮やかに写るのが好みの私にとっては、気持ちのいい発色の写真が液晶モニターに映し出されたおかげで、第一印象は「おっ、なかなかきれいでいいな」と感じていた。

 帰宅後、撮影した写真をPCに取り込んで鑑賞すると「ん?」と思った。写真の発色傾向がPCのディスプレイとカメラの液晶モニターが異なるのだ。このあたり、PC環境などでも差があるのだろうが、私としてはカメラの液晶モニターで見た方がきれいだと感じた。ただし。このあたりはやはり個人の主観が判断に大きく影響するので、なんとも言い難い。写真を見ると最近では主流のハデ系の発色に思える。最近では過去と違ってより多くのユーザーが存在するので、キヤノンとしても発色などの味付けをどの層に合わせるか……このあたりは悩むところだろう。

 そこでどうにか私好みの、自然で鮮やかな発色で撮影できないかと、カメラをいじりまくってみた。その中にIXY DIGITAL 810 ISには、発色を変えられる「マイカラー」機能があることに気付いた。このマイカラーを設定すればきれいに写るのかもしれないと思い、試しに各設定で撮影してみた。


マイカラー

マイカラー機能の設定画面。12種類の設定ができる
 マイカラーには「オフ」、「くっきりカラー」、「スッキリカラー」、「ポジフィルムカラー」など12種類もの設定がある。「セピア」や「黒白(モノクロ)」などは効果がわかりやすい設定だが、中にはどのシーンで使ったらよいのがわかりにくものあった。

 風景写真の撮影で使えそうなのは、「オフ」、「くっきりカラー」、「すっきりカラー」、「ポジフィルムカラー」、「あざやかブルー」、「あざやかグリーン」、「カスタムカラー」のあたりだ。選択の幅広くて、どれもよさそうで正直悩んでしまう。

 実験の意味をあって全設定で撮影してみたが、鮮かであっても見た目の色とかなり違う発色で撮れた。これが最近人気の発色傾向なのか、とか学ぶことが多い。私個人としては、高めの彩度をもう少し抑えめに撮りたいと思った。


※作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。

※例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/絞り値/露出時間/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。

※強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


マイカラー・オフ
3,264×2,448 / F8 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.8mm
くっきりカラー
3,264×2,448 / F8 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.8mm

すっきりカラー
3,264×2,448 / F8 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.8mm
ポジフィルムカラー
3,264×2,448 / F8 / 1/320秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.8mm

あざやかブルー
3,264×2,448 / F8 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.8mm
あざやかグリーン
3,264×2,448 / F8 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.8mm

ワイド端(35mm)で撮影
3,264×2,448 / F8 / 1/250秒 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 5.8mm
 次は青空の描写に注目した。雨上がりでスッキリと晴れ渡り綺麗な青空を撮影したのだが、PCのディスプレイで確認してみると青空にノイズが目立つ。ザラザラとした描写でカラーノイズが浮き上がっているのだ。1/2.5型CCDでは健闘している方かもしれないけれど、このあたりの改善を願いたい。

 レンズの描写にも気になる点がある。ズームは35mm相当から4倍ズームであるため、それほど無理な設計ではない。その割にはレンズ周辺の描写が甘いのが気になる。中心部分の描写はとてもシャープでキレがあるので、さすがは最新型のカメラだと納得する。しかし、ズームをワイド端にすると、写真の四隅の描写からシャープ感が失われる。これが実に惜しい。あともう一歩頑張ってほしい。

 青空に映える白い灯台を、何気なく画面の隅にフレーミングして撮影した写真を見てほしい。肝心の灯台の先端が、シャープ感のない描写になってしまった。2L判くらいのプリントなら問題ないだろうが、A4サイズくらいにプリントすると目立つかも知れない。

 描写に対しては厳しいことを書いてしまったが、「IXY DIGITAL 810 IS」には良い点もたくさんある。冒頭にも書いたが、信頼性の高い光学式手ブレ補正「IS」、人物は撮影していないが人物の顔に素早くピントが合う「フェイスキャッチテクノロジー」、さらにスペック表には現れないレスポンスの良さはIXY DIGITALならではだ。


 IXY DIGITALシリーズの最大の魅力の1つは、ボディ形状がモデルチェンジの度に大きく変更されながらも、どれも「IXY」であることが一目でわかる、初代のコンセプトに忠実なデザインではないかと思う。つまり、フィルムカメラ時代も含めて「IXYはIXY」、そして「IXYとそれ以外」という主張を感じるのだ。

 また、IXYであれば、ボディのどこを触っても安っぽさを感じさせないという合意が、メーカーとユーザーの間でいつの間にか成立していると思う。こういった仕上げの良さは直接手に持って使う機械だけに、重要な要素の一つだと思っている。今回使用したIXY DIGITAL 810 ISも、誰もが納得できる質感とデザイン性を持っているカメラだった。


初代スタイリッシュ機でありながら、決してスリム化という時代の潮流に乗らないのもIXYデザインの魅力だ 撮影モードが集められたダイヤルの操作にも適度な力を要求するなど、ユーザーのフィーリングにも訴えるものがある

ファンタジーナイトモード

ファンタジーナイトモード(ハート)
3,264×2,448 / F2.8 / 1/8秒 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 5.8mm

ファンタジーナイトモードの設定画面。6種類の模様が選べる
 IXY DIGITAL 810 IS ならではの特徴的な機能の1つに、「ファンタジーナイトモード」がある。シーンモードに組み込まれたこの撮影モードはイルミネーションをバックに人物撮影する際に、背景にある点光源を丸いボケではなく星形やハート、音符、クロス、花形などにしてしまうというモード。これはこれで遊べる機能としてはなかなか面白い。イルミネーションなどをバックに人物撮影する機会がどのくらいあるのかは別としても、こういった撮影モードがあると撮りたくなってしまう。

 同モードではISO感度はカメラ任せのオートになり撮影状況に応じて感度がコントロールされる。同時に手ブレ補正機能のISもあり、ストロボも発光するため手持ちでの撮影でもなかなか綺麗に撮影できる。三脚を使わなくてもブレに注意しながら撮影すればいいから、気軽に撮影できて面白い。クリスマスシーズンなどイルミネーションが街にあふれる時期には楽しめる機能だ。


撮影感度

 キヤノンの光学手ブレ補正機能は、フィルム一眼レフ全盛の時代から優秀だった。だから、暗いところで撮影する時も、IXY DIGITAL 810 ISなら手ブレも心配はあまりしない。ただ、シャッター速度が遅くなることで生じる被写体ブレには十分注意が必要だろう。被写体ブレを回避するには、感度を上げることで同時にシャッター速度を上げることができる。しかし、高感度による描写の乱れは気になるところだ。

 各感度で夜景を撮影してみたが、ISO80やISO100ではとてもきれい。ISO200でもあまりノイズは気にならない。ISO400になると少しざらざらする感じもあるが、小さなプリントならば十分だ。ISO800、1600ともなればノイズが目立つ。

IXY DIGITAL 810 ISは、コンパクトデジカメの中ではノイズは比較的少ない方だといえる。手ブレ補正のISとISO400までのノイズが少なめな感度で撮影すれば、手持ちでも色々な場面で撮影できるだろう。

 また、ISO感度は十字キー(上方向)に割り当てられているため、撮影後に液晶モニターで写真を確認して気に入らなければ、素早く設定を変えて再撮影もできる。だから、このカメラの高感度域は積極的に使ってみてもよいと思う。


ISO80
3,264×2,448 / F2.8 / 1秒 / 0EV / WB:オート / 5.8mm
ISO100
3,264×2,448 / F2.8 / 2/3秒 / 0EV / WB:オート / 5.8mm

ISO200
3,264×2,448 / F2.8 / 1/3秒 / 0EV / WB:オート / 5.8mm
ISO400
3,264×2,448 / F2.8 / 1/6秒 / 0EV / WB:オート / 5.8mm

ISO800
3,264×2,448 / F2.8 / 1/13秒 / 0EV / WB:オート / 5.8mm
ISO1600
3,264×2,448 / F2.8 / 1/25秒 / 0EV / WB:オート / 5.8mm

まとめ

 少々、辛口なレポートなってしまったが、持ち歩いて気軽に撮影するにはとてもいいカメラだ。ボディは、金属外装によるシャープなイメージとやや丸みを帯びたスタイリッシュデザインでまとめられていて見た目もよい。

 手ブレ補正のIS機能はしっかりとブレを軽減してくれ、AFも気持ちよく素早くピントを合わせてくれる。気軽にパッと構えて撮影してもシャープな写真が撮れるのは、誰にとっても重要な能力を持つなど撮影能力も高い。おかげで同機は、気軽に失敗なく撮れるコンパクトデジタルカメラに仕上がっている。


マクロ作例

3,264×2,448 / F8 / 1/320秒 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 5.8mm

その他の作例

3,264×2,448 / F8 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 5.8mm 3,264×2,448 / F8 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 5.8mm

3,264×2,448 / F5.5 / 1/1,250秒 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 / 23.2mm 3,264×2,448 / F5.5 / 1/60秒 / -1.67EV / ISO80 / WB:太陽光 / 23.2mm

3,264×2,448 / F8 / 1/160秒 / +1EV / ISO80 / WB:太陽光 / 5.8mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/810is/

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工藤智道
(くどうともみち)風景写真家。日本の自然風景をメインに撮影。カメラ雑誌などでデジカメの評価記事も多く手がける。今までに撮影したカメラの機種は数えきれない。最近は沖縄がお気に入りの場所。ビールが大好きで、沖縄ではオリオンビールはかかさない。

2007/06/11 15:34
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