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【新製品レビュー】Minox DCC Leica M3 (5.0)

〜遊び心で愛でたいミニチュアデジカメ
Reported by 本誌:折本 幸治

 往年の銘レンジファインダーカメラ「ライカM3」をモチーフにしたミニチュアデジタルカメラが「DCC Leica M3」シリーズだ。スパイカメラで知られるMinox(ミノックス)が製品化し、国内では駒村商会が取り扱う。最新モデルは1月25日発売の「DCC Leica M3 (5.0)」だ。

 これまでの製品に比べ、5.0では大きな進化がみられた。それは、液晶モニターでライブビューが可能になった点だ。「何を今さら」といぶかしむ人もいるだろう。今まで本シリーズは、撮影可能枚数を表示するモノクロ液晶ディスプレイは備えていたものの、カラー液晶モニターを搭載していなかったのだ。さらに、本体内蔵メモリ(32MB)に加え、SDメモリーカードスロットを新たに装備。大量撮影や撮影画像の受け渡しが可能になった。

 あくまで「光学ファインダーでフレーミングし、撮影した写真はその場で見ない」という、銀塩カメラらしい流れを要求した従来モデルに対し、シリーズ史上最もデジタルカメラっぽく進化したのが、今回の5.0といえる。


ギミック満載のミニチュアボディ

 もちろん「手のひらに乗るライカ」という路線に変更はなく、外観はおおむね前モデルの「DCC Leica M3 (4.0)」と変わらない。大きさもほぼ同じだ。

 ただしレンズ部のデザインが、沈胴エルマー風から第1世代ズミクロン50mm F2や、DRズミクロン50mm F2を思わせる見た目になった。加えて、焦点距離が48mm相当から42mm相当(ともに35mm判換算)になり、開放F値もF2.8からF3に変化した。もちろん単焦点で、フォーカスは目測。本家ライカのような距離計は搭載していない。鏡胴に記された「0.5m」、「1m」、「無限遠」を指標に、自分の距離感を信じて被写体までの距離を合わせるのだ。といっても被写界深度が広いので、無限遠に合わせておけば、1.5mから先はパンフォーカスになる。





M3ではなくM6チタンと並べてみた 本家に比べるとずいぶん小さいのがわかる

 軍艦部には、ライカロゴ、巻き戻しノブ、アクセサリーシュー、シャッターダイヤル、巻き上げレバーを備えている。巻き戻しノブと巻き上げレバー、さらに前面のセルフタイマーは、本家と同じように動く(動作感は全然違うが)。もちろんギミックなので何も起きないが、一般の人からウケを狙うには最高だ。両サイドにストラップ取り付け部を備え、このサイズながら両吊りにも対応するのもマニアックだ。

 ファインダーはガリレオタイプ。大変明るいものの、サイズの制約上、像が小さいのは仕方がない。今回から液晶モニターでのフレーミングが可能になったが、ライカのミニチュアだけあって、光学ファインダーで撮影するのもオツなものだ。ただし繰り返すが、距離計は非搭載。

 ファインダー横の明かり採り窓はダミーだが、ストロボインジケーターが仕込まれている。発売予定の「MINOXクラシックカメラフラッシュ」で活躍するのだろう。基板の一部が透けて見えるので、全体に対し、この箇所だけ少しサイバーな印象を受ける。

 撮像素子は320万画素のCMOSセンサー。リアル解像度の2,048×1,536ピクセルは4.0と同じだが、画像補間での記録解像度が400万画素から500万画素にアップしている。また、オートのみだったホワイトバランスが、「自動」、「デーライト」、「曇り」、「室内」、「タングステン」、「夜」から選べるようになった。感度設定はなく、ISO100固定と思われる。絞りもF3固定のようだ。なお、今まで撮った中で最も速かったシャッター速度は1/2,048秒。

 新設されたSDメモリーカードスロットは、側面のバッテリー/フラッシュメモリ挿入口の中にある。仕様表には対応メディアとして、「SDメモリーカード(4GBまで対応)」とあるが、試しに入れたSDHCメモリーカードも認識した。320×240ピクセルのAVI動画も撮れるので、大容量カードを使うのも手だろう。ただし動画は1クリップ60秒までという制限がある。

 バッテリーはボディに比して大型で、外観はカシオのEXILIM CARD系が採用する薄型タイプに似ている。充電方法が変わっており、PCのUSB端子から給電が可能。PCへの転送と同時に充電できるので便利だ。パッケージにはUSBケーブルに加え、USBケーブルの装着口を備えるACアダプターが付属している。


右がファインダー。左は明かり採り窓を模したストロボインジケーター 巻き戻しノブは回転する。軍艦部は「Leica」ロゴ入り

シャッターボタンは巻き上げレバーと同軸。シャッターダイヤルは非回転
リチウムイオン充電池は意外に大きい。SDカードスロットは写真ではバッテリーの下になる

USBケーブルを装着。「ライカからケーブルが出ている」という違和感がすごい
付属の一部。左からACアダプター、USBケーブル

独特なメニュー操作

 本体が小型だけに、ユーザーが操作するボタン類も数が少ない。背面右上に電源/MODEボタン、その下に▲ボタンと▼ボタン。これらでメニューの表示とカーソル操作を行ない、シャッターボタンで決定する。階層構造がわかりづらく、ボタンが小さいので決して使いやすいとはいえないが、設定をガンガン変えながら撮るカメラでもないだろう。変わったところでは、電源OFFをメニューから行なう(オートOFF設定もある)。これは珍しい。

 日本語メニューもあるが、海外製DVDプレーヤーのメニューを思わせる明朝系の書体で、洗練されたデザインとはいい難い。しかも一部に変な日本語表現も見受けられる。例えばファームウェアバージョンアップは「FW上り坂」だ。ここは英語かドイツ語にした方が雰囲気が出るだろう。

 再生時の拡大表示も変わっており、再生メニューの「ズーム」を選択し、▲ボタンを押すと拡大を開始。そのまま画像の左上へ、ずいっと斜めにスクロールする。さらに▼ボタンを押すと今度は右下にスクロール。別の方法で任意の箇所を拡大することも可能だが、私はこの大味かつスピーディーな拡大表示が気に入った。これだと対角線上しかピントを確認できないが、このカメラは基本的にパンフォーカスなので、拡大した状態で詳細にチェックすることはほとんどないだろう。


シンプルな撮影中の表示。4GBのSDHCを入れたので、撮影可能枚数が3,000枚弱になっている 電源/MENUボタンを押すと現れる第1階層メニュー。もう一度押すと再生メニュー、さらに押すと撮影状態に戻る

撮影設定 本体設定

設定→設定で現れる画面。「FW上り坂」って? 再生メニュー。この下に「全件削除」がある

再生画面 9画面サムネイル表示。このほか4画面も

強烈な印象を与える「ぐにゃり写真」

 画質についてとやかく解説する製品でないのは理解しているが、簡単にまとめると、数年前のトイカメラのレベルから大きな進化はない。カラーノイズが多く、ラチチュードも狭い。色も鈍く、オートホワイトバランスはよく外れる。レンズの解像力も然りだ。ただし、距離が合えば想像以上にシャープな像が得られることがある。

 それよりも、画像の一部が歪むことこそ、このカメラの個性だろう。シャッターを切り、普通にカメラを下ろすと、画面の一部がぐにゃりと歪むのだ。どうもCMOSセンサーの撮像中にカメラを動かすと歪むようで、しかも撮像時間は予想以上に長い。初めて見たときはかなりのショックを受け、発売元の駒村商会に問い合わせたほど。「シャッターのないカメラならではの現象で、センサーが記録中にカメラが動くことで起こる」そうだ。

 もっとも歪みを活かすことで、一般的なカメラでは不可能な写真が作り出せる。これが「ぐにゃり写真」と呼ばれて支持されているそうで、実際に体験すると、その面白さがわかるような気もする。例えば駒村商会の「ローライミニデジ」の場合、山崎正路氏による「ミニデヂ写真展 スクエア・ポイント」というページで、素晴らしい「ぐにゃり写真」を鑑賞できる。ここまで歪みを作品に活かせらればいいのだが、いかせん偶発的な部分もあり、私にはまだ思い通りに歪められない。うまくやれば、短辺もしくは長辺の片側だけや、四隅の一方だけを歪められるのだろう。

 「ぐにゃり」を防ぐには、撮像中にカメラを動かさなければいい。撮像完了までの具体的な時間は不明。感覚的には1秒程度だろうか。ボディが小さいこともあり、完全に保持したまま1秒持ちこたえるのは難しい。三脚を使えればいいのだが、三脚穴のピッチが通常と異なる(径は同じ)ので無理。カメラ量販店で合う雲台やアダプターを探してもらったが、結局、クリップで本体を挟み込む携帯電話用のものを薦められた。ライカにそれはないだろうと思った。


まとめ

 背面液晶モニターやSDメモリーカードスロッとの装備で、通常のコンパクトデジタルカメラに近くなったDCC Leica (5.0)。トイデジカメ然としたシンプルな構成から、通常のコンパクトデジタルカメラに幾分近くなったのは使い勝手の面でうれしい。それでいて、M3をバランスよくデフォルメしたフォルムや、遊びごころあふれるギミックは健在だ。

 もちろん画質面や機能を見れば、最近のコンパクトデジタルカメラに太刀打ちできないのは事実。高画質や高機能を求めるのではなく、「ぐにゃり写真」をはじめとするトイカメラっぽさを味わいながら、日々携帯して愛でるのが正しい付き合い方だろう。


作例

 説明書によると、このカメラの開放絞り値はF3。しかし、ExifにはF2.8と記録される。また、ホワイトバランスの変更と露出補正もExif上では反映されない。記載した作例データとExifの記述とでは異なる部分があるので注意いただきたい。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


●ぐにゃり写真


2,560×1,920 / 1/1,720秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:オート
2,560×1,920 / 1/2,048秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:オート

2,048×1,536 / 1/181秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光
2,048×1,536 / 1/197秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光

●露出補正


0EV
2,048×1,536 / 1/394秒 / F3 / ISO100 / WB:太陽光
-0.3EV
2,048×1,536 / 1/559秒 / F3 / ISO100 / WB:太陽光
-0.7EV
2,048×1,536 / 1/941秒 / F3 / ISO100 / WB:太陽光

●そのほか


2,048×1,536 / 1/128秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光
2,048×1,536 / 1/865秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光

2,048×1,536 / 1/666秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光
2,048×1,536 / 1/166秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:曇り

2,048×1,536 / 1/1,581秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:太陽光 2,048×1,536 / 1/117秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:曇り


URL
  駒村商会
  http://www.komamura.co.jp/
  製品情報
  http://www.komamura.co.jp/minox/DCCM3_5.html
  ミニデヂ写真展 スクエア・ポイント
  http://www.rollei.jp/pd/MDPhClct2.html

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本誌:折本 幸治

2007/02/09 15:33
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