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【新製品レビュー】ソニー サイバーショット DSC-T50

~タッチパネルでお絵かきもできる定番スタイリッシュコンパクト
Reported by 小山 安博

 薄型、光学式手ブレ補正、高感度と三拍子そろったソニーの「サイバーショットTシリーズ」が新たな進化を遂げ、「DSC-T50」として登場した。期待の新モデルでは新たにタッチパネルを搭載、新しい使い勝手を求めたのがこのT50だ。


スリムで大画面、しかもタッチパネル

 サイバーショットTシリーズといえば、T9/T10と続いた薄型スタイリッシュモデルで、スタイルといい使い勝手といい優秀なできばえだった。そのバリエーションモデルとなるT30は、3型という大型液晶を搭載して別の使い勝手を高めていた。

 そして今回T50では、3型液晶はそのままに、タッチパネルを搭載。N1で採用したタッチパネル付き液晶と同等の使い方を提案している。





本体前面半ば以上を覆うレンズカバー。下にスライドさせれば電源がオンになり、撮影可能になる
 N1は、デジタルカメラとしては普通な印象のカメラだったが、スライド式のレンズカバーを開けるだけで撮影可能になるTシリーズは、使い勝手の良さは折り紙付きだ。

 デザインとしては、正面から見るとT30と大きな違いはない。前面を覆うレンズカバーを下にスライドすると電源が入り、撮影が可能になる。誤操作を防ぐためかちょっと固めながら、小気味よいスライド感は健在で、全体の質感もいい。

 本体上部にはシャッターボタンと、それを挟んで電源ボタンと手ブレ補正ボタンが並ぶ。電源ボタンは撮影時には使用しないが、レンズカバーを閉じたまま画像を再生するときに利用する。

 手ブレ補正には、常時動作するモードとレリーズ時のみ動作するモードの2つがあるが、手ブレ補正ボタンはオン/オフの切替しかできない。オフにはできるが、基本的にオフにする必要はないだろう。バッテリー駆動時間を気にする場合はレリーズ時のみに変更するといい。


本体上部はシンプル。手ブレ補正ボタンは押すたびにオンとオフが切り替わる
メニュー画面からは手ブレ補正を撮影時のみにするか、常時動作させるかを設定できる

 背面上部にはモード切替スイッチがある。一番左が再生、真ん中が静止画、右が動画モードに切り替える。個人的にこの順番の並びはあまり好きではない。再生モードから静止画撮影モードに切り替えようとすると、力が余って動画モードまでスライドさせてしまうからだ。まぁ、細かい話ではあるので大きな問題ではない。

 背面に回ると非常にシンプルなデザイン。3型という一瞬度肝を抜かれるサイズだが、前述の通りすでにN1などでも実現しているサイズだし、本体サイズもそれなりにあるので、実はびっくりするほどでもない。

 ボタンはズームレバーとオンスクリーンキーボタン、画面表示切り替えボタンのわずか3つ。T30にあったような円形の十字キーなどがなくなったのは、すべてタッチパネルの操作に変わったからだ。

 タッチパネルを操作するためにはオンスクリーンキーボタンを押す。画面には8つのアイコンが表示されるので、アイコンを指先でタッチすることで機能を選択できる。


オンスクリーンキーボタンを押すと表示される画面。基本的にはN1同等。ここでアイコンにタッチすると各機能の設定に画面が遷移する
前画面の「P」ボタンを押すとモード選択画面になる

 各設定画面とも、1画面に横長の4つのアイコンが表示される。アイコンと文字で示されるので一目で機能が判断できて分かりやすく、押しやすい。ただ、一覧性は良くないので、設定項目が多いといちいち下矢印アイコンを押して画面を移動させなければならない。


MENU画面。こちらも1画面に4つのアイコンが並ぶ。ホワイトバランスやISO感度のようなよく変更するような項目もここから変更する。基本的にはホワイトバランスもISO感度もオートで使うカメラだろう
 オンスクリーンキーボタンを押してさらにMENUボタンを押すとさらに細かな撮影設定が行なえる。そのときの撮影モードによって選択できる内容は異なるが、プログラム(P)モードの際はカラーモードや測光モード、ホワイトバランス、ISO感度、画質、撮影モード、コントラスト、シャープネスが設定可能。

 タッチパネルの反応はよく、軽くタッチするたびにパッパッと画面が変わるので、操作感は悪くない。

 タッチパネルを採用しているのだからしょうがないのだが、アイコンをタッチしたときのフィードバックがないので、一瞬とまどう感じがある。このあたりは慣れだろう。

 タッチパネルでソフトウェア的にアイコンを表示しているのだから、アイコンを小さくしたり表示位置を変更したりといったカスタマイズが可能だと便利だと思うのだが、N1のころからそのあたりには未対応だ。


T30同等の撮影機能にタッチパネルの便利さをプラス

これまでと変更のない屈曲光学レンズを採用。ちょっとワイド端が暗いのが難点だが、このクラスとしては普通のレンズだろう
 撮影機能としてはT30と同等。レンズやCCDに関しては変更がなく、レンズは光学3倍のカール ツァイス バリオ・テッサーレンズ。焦点距離は35mm判換算で38~114mm、F値はF3.5~F4.3。

 撮像素子は1/2.5型有効画素数720万画素の「Super HAD CCD」で、リアル・イメージング・プロセッサー、クリアRAW NR、NRスローシャッターといった機能も変わらない。

 要するに、T50はT30をタッチパネル化したバリエーションモデルであり、これから購入するユーザーであれば、タッチパネルの使い勝手が欲しければT50を、普通のデジカメが欲しければT30を選べばいい。

 撮影機能はT30と同じだが、一応確認しておくと、撮影モードはオート、プログラムオート、シーンセレクションから選択でき、普段はプログラムオートで撮影するといいだろう。

 シーンセレクションは夜景 / 夜景&人物 / 風景 / ビーチ / スノー / 高速シャッター / 打ち上げ花火 / ソフトスナップ / 高感度の9種類。

 ISO感度ではISO1000の高感度撮影に対応。ISO1000になると画質はかなり荒れるが、それでも粘っている方で、常用する気にはなれないが、まったく使えないというほどでもない。

 タッチパネルの機能を生かしているのがAFのフレキシブルスポットAFで、これを選択すると撮影時、画面上にAFエリアが表示され、その中であれば指先で触れたところにAFポイントが移動するというもの。

 これ自体はN1にもあった機能だが、ピントを合わせたい部分を触ればそこにピントが合うというのは非常に直感的で分かりやすい。三脚を使ったマクロ撮影なんかでも便利だろう。


さらに詳細な設定画面。こちらも1画面4アイコン。最上段から最下段へジャンプすることはできない
フレキシブルスポットAFの画面。AFエリア内であればどこでも触った場所にAFが合う

 撮影時にタッチパネルが生かされるのはそのぐらい。タッチパネルなのだから、もっとそれを生かした機能は盛り込めそうで、たとえばマウスジェスチャーのようなもの、画面の四方の端に触れるとオンスクリーンキーボタンを押さなくても特定の撮影設定画面が表示される機能なんてのも考えられる。

 露出補正や設定画面のページ送りも、上下の矢印アイコンを押さなければいけないが、スライダーのようなもので一気に上下できると(多少操作は難しいかもしれないが)おもしろそう。現在、露出補正や画像送りでは、矢印アイコンを押し続けると一気に移動する仕組みになっているが、スライダーの方が移動量が目で見えて分かりやすいと思う。

 いずれにしても、T30と同様に、T50の魅力はコンパクトでスマートで手軽に撮影できる点につきる。T50は、基本的にタッチパネル液晶を搭載した程度なので、T30の良さは失われていない。その点では安心して人に勧められる。


お絵かきや音楽きスライドショーで楽しむ

 3型の大型液晶を搭載しており、撮影画像の閲覧は快適。液晶の視野角も広く、高精細で明るい液晶は撮影画像をみんなで閲覧するのにも向いている。

 画像送りは、画面に表示される左右の矢印アイコンをタッチする。アイコンを押し続けると画像が高速で切り替わるのは便利。

 サムネイルは1画面12コマまで。画面下に表示されるMENUアイコンと矢印アイコンが大きいので、せっかくの大画面が有効活用されていないようにも見える。スライドバーも表示されるが、これを触って画面を一気に移動させることはできない。

 サムネイルの画像をタッチするとその画像が等倍表示される。これはタッチパネルならではで使いやすい。


再生画面。ディスプレイボタンを押せば主要な撮影情報が表示される。中には限られた情報しか表示しないカメラもあるが、このぐらいの情報は表示できて欲しい サムネイル画面。特徴的な管理方法は特にない(フォルダ分けができるぐらい)

 等倍表示時、オンスクリーンキーボタンを押すとMENU・矢印アイコンが消え、代わりにマウスジェスチャー(もどき)が利用できる。画面に触れ、右に指をスライドさせると次の画像へ、左にスライドさせると前の画像へ移動する機能で、指を多少強く押しつけるか、爪を使うときちんと動作する。

 同様に拡大表示時、通常は十字の矢印アイコンとMENUアイコンが表示されるが、ここでもオンスクリーンキーボタンを押すとそれらが消え、表示位置を指先で移動できるようになる。


拡大再生時、通常は十字アイコンとMENU、x1.0アイコンが表示される。x1.0アイコンを押すと一気に等倍表示に戻る
こちらはオンスクリーンキーボタンを押した場合の表示。すっきりとした画面で、指でドラッグ&ドロップすると画面が移動する

 いずれも指をちょっと強めに押しつけないと動作しないし、やや滑らかさには欠ける。拡大表示時、画像の斜め移動が効かない点もちょっと惜しいが、タッチパネルを生かした機能としておもしろい。

 再生機能としておもしろいのがスライドショー機能。最近のソニー製カメラでは「音フォト」という名称で搭載されている機能だが、要するにBGM付きのスライドショーだ。エフェクトのかけ方を「シンプル」「ノスタルジック」「スタイリッシュ」「アクティブ」「ノーマル」と5種類から選べるのが特徴で、BGMとともにさまざまなエフェクトをかけながら画像がスライドショーしていく様子は、なかなか見応えがあって楽しい。

 BGMはデフォルトで4曲が用意されているが、好きな曲をPCから転送して利用することもできる。ソニーではHDDレコーダーやフォトストレージにも同様の機能を搭載していているほか、歌手の藤井フミヤさんの曲を使った音フォトを公開していたりして、マメに普及を図っている。


ペイント画面。ペン先のサイズや色、スタンプの色も選択できる
 再生機能としてはもう1つ、ペイント機能も搭載。タッチパネルを生かし、画面にお絵かきをしたりスタンプを押したりといったことが可能になる。N1から搭載されていたので目新しい機能ではないが、手書きメモを取ったり、撮ったその場でメッセージを書き込んでもらったり、使い方はいろいろある。

 スライドショーもペイントもおまけ機能ではあるが、デジカメの使い方としてはある意味正しいと思う。


書き込みをしているところ。こんなマンガ風の味付けもいいし、被写体のメモを書き込めば業務にも使えそう。書き込んだ画像はVGAサイズで別名保存される
その他の編集機能

まとめ

バッテリーはインフォリチウムで、撮影可能枚数はCIPA規格で約400枚。バッテリー残量が分刻みで表示されるのはソニー製デジカメの大きなメリットだと思う。カードはメモリースティックDuo/PRO Duoで、約56MBの内蔵メモリも備える。へたに小容量のメモリカードを付属させるより内蔵メモリの方がメリットは大きい
 T50は、T30のバリエーションモデルとして、液晶にタッチパネルを搭載したモデルだ。撮影機能としてはT30相当、タッチパネルとしては(N1の後継の)N2相当ということで、やや中途半端感が否めないが、T30の操作性と扱いやすさ、N2の楽しさを併せ持つと考えれば悪くはない選択肢だ。

 タッチパネルになってボタンが排除されたからといってもサイズ的なメリットはなく、新しい操作感を実現しているというだけで、使い勝手自身もタッチパネルが有効なシーンと、やや冗長に感じるシーンがあり、評価がちょっと難しい。それでも、タッチパネルには将来性を感じるのも確か。今後もブラッシュアップを続けて欲しい。

 いずれにしてもコンパクトデジカメとしては使い勝手の良さ、持ち歩きやすさなど、優れた点の多いカメラだ。T30とどちらを選ぶかは迷うところだが、タッチパネルは実際に触ってみないと分からない。一度店頭などで触れてみてから検討するといいだろう。


感度別作例

 ISO200まではまったく無問題。ISO400もノイズは増えているが、解像感は維持していて、色もまずまず。ISO800以上は厳しくなってくる。


※作例のリンク先は、撮影した画像です。等倍の画像(3,072×2,304ピクセル)を別ウィンドウで開きます。
※すべてホワイトバランスはオートで撮影しています。
※画像下の撮影データは、 シャッタースピード / 絞り / 露出補正値 / 感度 / 実焦点距離です。


【ISO80】
1/2秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO80 / 9.3mm
【ISO100】
1/3秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO100 / 9.3mm

【ISO200】
1/6秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO200 / 9.3mm
【ISO400】
1/13秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO400 / 9.3mm

【ISO800】
1/25秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO800 / 9.3mm
【ISO1000】
1/30秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO1000 / 9.3mm

作例

1/30秒 / F4 / 0EV / ISO1000 / 11mm
ISO1000での撮影。カラーノイズをかなり無理して処理した結果か、背景の色の一部がまだらになったりしているが、階調感は比較的残す方向で処理されている感じがする。ブログで掲載する程度なら使えそう
1/250秒 / F5.6 / -1EV / ISO80 / 6.3mm
ワイド端。35mm判で38mmのレンズだが、たる型の歪曲収差は結構ある。もう少し補正されていると良かったのだが

1/200秒 / F7.1 / -1EV / ISO80 / 19mm
こちらはテレ端
1/100秒 / F3.5 / 0EV / ISO80 / 6.3mm

1/160秒 / F3.5 / -1EV / ISO80 / 6.3mm 1/60秒 / F3.5 / 0EV / ISO160 / 9.2mm 1/200秒 / F5.6 / -1/3EV / ISO125 / 9.8mm

1/500秒 / F6.3 / 0EV / ISO125 / 10.2mm 1/500秒 / F7.1 / -2/3EV / ISO125 / 19mm 1/50秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO160 / 7.8mm

1/400秒 / F5.6 / -2/3EV / ISO125 / 6.3mm
1/40秒 / F3.5 / -1/3EV / ISO125 / 6.3mm

1/80秒 / F3.5 / 1/3EV / ISO125 / 9.4mm 1/200秒 / F5.6 / 0EV / ISO80 / 6.3mm

1/250秒 / F3.5 / -2/3EV / ISO125 / 6.3mm


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-T50/

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ソニー、3型タッチパネル採用の「サイバーショットDSC-T50」(2006/09/11)



小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2006/12/04 00:01
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