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【新製品レビュー】エプソン P-5000

〜Adobe RGB表示に対応、さらに進化したHDDフォトストレージ
Reported by 本誌:折本 幸治

 世代を重ねるごとに完成度を増しているエプソンのフォトストレージビューアー。新製品「P-5000」は、HDD容量こそ80GBと変わらないものの、より多機能で完成度の高いフォトストレージとして進化している。ここでは前機種の「P-4500」からの変更点を中心に、簡単な使用感をレポートする。


圧倒的に美しい「Photo Fine Ultra」液晶

 まず目を惹くのは、カラーフィルターにEG(エメラルドグリーン)を加えた「Photo Fine Ultra」液晶だろう。前モデルまでの「Photo Fine」液晶もその美しさに定評があったが、今回はさらに精細かつ階調豊か。24bitフルカラーの1,677万色表示に対応したこともあり、単色面での階調トビが見られず、同時に複雑な色味がスカっと出るようになった。表示面積は異なれど、おそらく大抵のPC用液晶ディスプレイより、パッと見の美しさは上だろう。

 明部や暗部の再現性もP-4500より高くなった印象で、ただストレージするだけのデバイスではなく、安心してセレクトやプレゼンテーションに利用できると思う。Photo Fine Ultra液晶のサイズは4型。解像度はP-4500と同じく640×480ドット。ちなみに、P-4500の液晶サイズは3.8型だった。

 色域の広さを活かし、Adobe RGBに対応したのもトピックだ。Adobe RGBに対応するPC用ディスプレイはまだ一般的ではない。そのためコンシューマーのほとんどが、プリントするまでAdobe RGBを再現する手だてを持たないのが現状だ。そうした中登場したP-5000は、Adobe RGBを体験できる表示デバイスとして最も手軽な製品といえる。

 Adobe RGBとsRGBの切り替えは、設定メニューの「表示」から可能。ただしこの設定は、色空間が指定されていない画像にのみ適用される。画像に色空間が指定されている場合は、自動で色空間が切り替わる。一般的なRAWデータは前者に含まれるようだ。




SDHC/SDメモリーカードスロットとCFスロットを装備 バッテリー「PALB3」は従来機種と共用できる

アイコンを多用した従来のホームメニューは、シンプルなリスト表示に変わった 色空間の指定画面。Adobe RGBに設定できる

使い道が広がるUSBホスト機能

中央の端子がUSBホスト用
 Photo Fine Ultra液晶以外の変更点も多い。まず左側面にUSBホスト端子が加わり、USBデバイスへのバックアップ、またはP-5000へのバックアップが可能になった。対応するUSBデバイスは、デジタルカメラ、外付けHDD、USBメモリ、カードリーダー。

 P-5000とUSBデバイスをつなぐと、USBデバイス内部のファイルをフォルダ単位で確認できる。USBデバイス→P-5000とコピーする場合、CFスロットやSDメモリーカードスロットからのバックアップと同様、「全バックアップ」と「部分バックアップ」を選択できる。

 PictBridge対応プリンタとはこれまで通り直結できるので、外付けHDDを上手く使えば、PCを介さないデジタル写真の運用方法も視野に入ってくる。また、ストレージクラスに対応したデジタルカメラをUSBケーブルでつなげば、CFスロットやSDメモリーカードスロットのないデジタルカメラからも、P-5000へのバックアップが可能になる。カードリーダーやUSBメモリからデータをやりとりできるので、動画や音楽用途でも活用できるだろう。


レーティング情報をPCで再現

 面白いのは、P-5000上で画像に設定したレーティング情報が、PCにバックアップした画像にも反映すること。P-5000でレーティングした画像を「Photoshop CS2」に付属する画像管理ソフト「Adobe Bridge」で確認すると、レーティングがそのまま引き継がれているのがわかる。レーティングをもとにBridge上で絞り込み表示が可能なので、P-5000でセレクト→PCにバックアップ→Bridgeで管理→納品といったワークフローが組める。

 レーティング情報はAdobeのメタデータ規格「XMP」(Extensible Metadata Platform)を利用したもの。P-5000からPCへのバックアップ時にレーティング情報を引き渡すには、P-5000付属のソフト「EPSON Link2」でバックアップする必要がある。そのとき、EPSON Link2が自動的にメタデータを格納した「XMPサイドカーファイル」(.XMP)を画像と同一フォルダに生成、そのXMPサイドカーファイルをBridgeが参照するという仕組みだ。


一番下の★ボタンがレーティング用のボタン P-5000内でもレーティングごとの表示が可能

Windows用のEpson Link2。左から「バックアップ」を選ぶと、P-5000のバックアップフォルダを表示する。一度バックアップしたフォルダは転送できない Epson Link2でPCにバックアップした画像をAdobe Bidgeで表示。P-5000で付けたレーティング(★)が反映されている

 なおP-5000でのレーティングは、本体右手側の専用ボタンで行なう。1回押すごとに★1つを設定でき、レーティング後、HDD内の全画像から★の数ごとに絞り込み表示が行なえる。操作そのものは楽なので、移動時間などにP-5000でレーティングしておけば、時間の節約になるだろう。

 XMPに対応しているソフトは少ない。エプソンではP-5000でのレーティング情報の表示をBridgeでのみサポートしているが、Photoshop CS2に付属するソフトなので、利用できるユーザーが限られるのが現状だ。また、Bridge自体も動作が重く、等倍に表示できないなど使い勝手があまり良くない。対応ソフトが増えれば状況も変わると思うが、現状ではせっかくP-5000がXMPをサポートしても、活かせるユーザーがプロにほぼ限られるのが残念だ。


Lightroom β4にEpson Link2経由でPCにバックアップした画像をインポート。レーティングの継承に成功した
 そこで、Bridge以外に利用できるXMP対応ソフトはないかと探してみた。手元の環境で検証したところ、Lightroom β4だとレーティングが反映されることがわかった。Ver.1.5からXMP対応を謳うApertureは×。XMPの書き出しは可能だが、読み込みが不可能なためと思われる。Photoshop Elements 5.0もダメだった。

 ちなみに画像ファイルがJPEGの場合、BridgeではXMPをJPEGファイルに埋め込んで保存できる。しかしEPSON Link2ではファイルの同一性保持のためか、JPEGへの埋め込みは行なわない。また、P-5000でレーティングした画像のメタデータをBridgeで確認すると、「使用ソフトウェア」という項目内容が「Epson Link2」になっている。通常、撮影したままの画像の場合、この項目はカメラのファームウェア名のはず。第三者に撮影したままの画像であることを証明したい場合は、XMPサイドカーファイルを削除するか、XMPに対応していないソフトで情報を見てもらえば、カメラのファームウェア名が表示される。


起動時間が高速に

 バックアップに関する基本的な機能は、P-4500とあまり変わらない。記録メディアをスロットに挿入すると、バックアップするかを聞いてくるので、指示に従うとバックアップが始まる。バックアップした画像はまず、4×3コマ、または8×8コマのサムネイルで表示される。拡大はP-4500と同じくOKボタンのほか、十字ボタン上の拡大ボタンが利用できる。OKボタンの場合、拡大したい箇所を赤枠で選び、さらにOKボタンを押すと等倍まで拡大する。拡大後のスクロール表示があまり速くないので、OKボタンでの拡大操作の方が使いやすかった。

 画像を表示中、DISPボタンを押すことで、この種の製品としては比較的詳細な情報表示が可能。ヒストグラム表示も継承し、上記のレーティングを組み合わせることで、拡大表示からチェックまでの動作を柔軟にこなせると思う。なお、RAW画像はRAW内部のプレビュー用JPEGを表示する。プレビューの解像度が小さいと、拡大はできない。

 なお、バックアップの速度はP-4500とあまり変わらなかった。2GBのCFいっぱいまで記録したD200のRAWデータ(232ファイル、1.88GB)をバックアップしたところ、所要時間は平均4分29秒。P-4500で同様の計測をしたとき(238ファイル、1.8GB)は4分50秒だった。若干速くなっているのかもしれない。使用したCFはともにExtreme IIIだ。それよりも、起動が大幅に速くなったことがうれしい。P-4500で10秒程度かかっていたのが、約3秒で操作可能になる。


サムネイル表示1 サムネイル表示2

情報表示 内蔵HDDや記録メディアの残り容量が確認できる

まとめ

 Adobe RGB、USBホスト機能、XMPへの対応を果たし、事実上ライバル製品がない状況のP-5000。とくに、BridgeやLightroomで画像を管理している人には、スムーズなワークフローが期待できるだろう。それ以外の人でも、Epson Link2上で「★2つ以上のみ表示」などで絞り込み、その後PCにコピーすることは可能。これまで、動画や音楽機能でしかこれといって使い道がなかったEpson Link2が、急に重要度を増した印象だ。

 もちろん、液晶ディスプレイ、HDD容量、転送速度、電池寿命など、基本機能に隙はない。実勢価格は7万円弱と、撮影用品のひとつとして考えると高価だが、完成度の高さを考えると仕方がないところか。今後は表示の高速化や、本体の軽量薄型化にも期待したい。



URL
  エプソン
  http://www.epson.jp/
  製品情報
  http://www.epson.jp/products/colorio/photoviewer_digitalcamera/p5000/

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本誌:折本 幸治

2006/11/24 00:00
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