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【新製品レビュー】リコー Caplio R5

~高感度ISO1600にも対応したハイスペックカメラ
Reported by 小山 安博

 CCDシフト式の手ブレ補正機能に光学7.1倍ズームレンズを搭載しながらコンパクトなデザインを実現。そんな非常に高い基本性能を誇るリコー「Caplio」のRシリーズの最新モデル「Caplio R5」がお目見えした。

 これだけコンパクトだと、ライバルとなりそうなのはパナソニックの「LUMIX DMC-TZ1」くらいしか思いつかない。光学倍率は劣るが、それでも一回りは小さく、より気軽に持ち歩けるカメラだ。


コンパクトな光学7.1倍ズームは健在、新たなズーム機能も

 R5の特徴はスペックの割にとにかくコンパクトなところ。本体サイズは96×55×26mm(幅×高さ×奥行き)、重量約140g(本体のみ)で、実は前モデルのR4と比べるとほんのちょっとだけ大きくなっているが、それでも前述のTZ1から見ればずっとコンパクト。





 TZ1は光学10倍ズームレンズ、R5は光学7.1倍ズームレンズで、その影響もあるかもしれないが、R5は35mmフィルム換算で28mmからという広角ズームレンズを搭載している。このあたりはRシリーズが継続している大きなポイントだ。7.1倍ズームということで、望遠側も200mmまでズーミングできる。

 レンズ自体は特に変更点はないようで、F値はF3.3~4.8と、テレ端はともかくワイド端はもうひとがんばり欲しかったところ。とはいえ、レンズ収納時にレンズ群の一部が鏡胴外に移動することで、このスペックでも26mmの厚さを実現している点はすばらしい。


このサイズで光学7.1倍というのは得難い特徴。極端に秀でたレンズではないが、描写もまずまず。ただ、ズーミングとAF時の動作音は相変わらずうるさい
 ズームの部分での新機能は、画質を落とさずにデジタルズームする「オートリサイズズーム」を搭載した点。画像サイズを下げて、写真の中心部分をトリミングして使う方式で、パナソニックであれば「EX光学ズーム」、ソニーでは「スマートズーム」と呼ぶ機能と同等だ。

 R5の場合、光学ズームが200mmまでのとき、500万画素(5M)サイズで240mm、300万画素(3M)サイズで300mm、100万画素(1M)サイズで480mm、VGAサイズで960mm相当の倍率にすることができ、最大で34.1倍までのズームが可能になる。

 オートリサイズズームを使う場合は、メニュー画面の「セットアップ」から「デジタルズーム切替」で「オートリサイズ」を選んでおく必要がある。あとは光学7.1倍までズーミングした後、いったんズームレバーを離し、もう1度ズームレバーを望遠側に倒して1~2秒ほど押し続けるとオートリサイズズームに移行する。その後はズームレバーを押し続けてもズーミングせず、ズームレバーを改めて押しなおせば5M、3M……と倍率が変化する仕組みだ。


オートリサイズズームはメニュー画面から設定する。いちいち明示的に画素数を切り替えなくても、勝手に記録画素を落として倍率を上げてくれるのは便利だが、もうちょっとスムーズに切り替わるとよかった
 LUMIXシリーズのEX光学ズームのようにあらかじめ画素数を設定しておく必要がないのはいいが、逆にLUMIXのようにシームレスに、滑らかに倍率を変更してくれるわけでもない。どちらがいいのかは、ちょっと一長一短な気がして難しいところだ。

 ちなみに「Caplio R4」では「ズームボタン」だったが、今回から「ズームレバー」に変更になった。使いやすさに関しては正直どっちもどっちという気もするが、少なくともレバーの方が省スペースであることは間違いない。レバーの配置が本体背面の右端ギリギリから液晶そばに移っているが、これはこの省スペース性のおかげ(というより、この位置に変更にするためにレバーに変えたのか?)。R4の位置はちょっと落としそうになるような位置だったから、ズーミング時の安定性が増してうれしい変更点だ。

 ただ、この位置はR4でモード切り替えスイッチがあった場所で、一瞬ズームボタンを探してしまい、気づいたときに苦笑してしまった。これはR4のイメージが残っていたせいで、この位置への変更自体はいいと思う。


カスタマイズで撮影しやすく

シーンモードは従来通り少なめ
 さて、前述のようにズームレバーの位置が液晶側に移ったことで、それまでそこにあったモード切り替えスイッチが背面右端に移動。R4までは静止画撮影/動画撮影/音声録音の3種類のスイッチだったが、R5では静止画撮影/シーンモード/動画撮影に変更された。

 この変更にともない、R4までは円形の4方向ボタン上に設定されていたシーンモードボタンは単なるモードボタンに変わっている。従来は円形ボタン上を押してシーンモード、さらに上を押すとシーンモード切り替え画面になったが、今回はスイッチでシーンモードで切り替え、モードボタンでシーンモード切り替え画面に変わる仕組みだ。


一部のカメラのように、流し撮りや撮影時のみといった手ブレ補正の動作が複数あるわけではないので、オン/オフはメニュー画面にあってもいい。三脚を使う場合でもない限りオフにはしないだろう
 さらにインタフェースの変更は本体上部にもおよび、手ブレ補正切り替えボタンが廃止され、その位置に電源ボタンが移動した。この位置変更は特に違和感ない。もともとつめの先で押すことを前提としていた電源ボタンは、サイズがさらに小さくなったことは確かだが、個人的には特に問題は感じなかった。もっとも、誤動作を防ぐ意味合いもあるのだろうが、決して押しやすいわけではなかったので念のため。

 手ブレ補正のオン/オフについてはメニュー画面の「撮影」設定にある。せいぜい三脚利用時ぐらいしかオフにする理由はなさそうなので、これは特に構わないだろう。


 インタフェースの変更点はこれぐらい。細かい点だと背面の再生ボタンが四角から丸形に変わったが、ADJ.ボタン、削除/セルフタイマーボタン、ディスプレイボタン、円形ボタン、その中央のMENU/OKボタンといった配置は変わらない。

 円形ボタンの右にクイックレビュー、下にマクロ、左にフラッシュが割り当てられている点も従来通り。

 操作性のキモはやはりADJ.ボタン。露出補正とホワイトバランスの変更を素早く呼び出せ、さらに自分で2つの機能を割り当てることができる。設定できるのはISO感度/画質/フォーカス/シャープネス/測光方式/連写/オートブラケット/音声付き撮影で、状況に応じて割り当てを変更してもいいだろう。


ADJ.ボタンを使いこなすことが操作のポイント。ADJ.ボタンを押すか、左右ボタンで項目が切り替わり、上下で各項目を選択する。露出補正とホワイトバランス以外の2つがカスタマイズできる項目
ADJ.ボタンでカスタマイズできるのはISO感度やフォーカスなど

 設定を変更するとオレンジのフォントカラーで大きく設定が表示されるのは分かりやすくていい。設定を変更した状態で電源を切り、再び起動するとそれがさらに点滅するので、設定を元に戻すのを忘れて撮影、といったミスが減りそう。このあたりはR4からの引き継いだ有効な機能だ。

 自分で変更できる撮影設定は一般的なコンパクトデジカメクラスで、シャッター速度や絞りはカメラ任せ。オート以外で撮影する場合は、モードスイッチを「SCN」にスライドさせ、シーンモードを利用する。

 もっとも、他社のデジカメに比べてシーンモードは少なめ。ポートレート/スポーツ/遠景/夜景/斜め補正/文字/ズームマクロ/高感度/マイセッティング1、2を用意。


必要な撮影設定をしたうえで、メニュー画面の「セットアップ」からマイセッティングに登録できる
 このうちマイセッティングは、各種撮影設定を保持してくれるモード。ADJ.ボタンやメニュー画面から必要な設定を行ったうえで、メニューの「セットアップ」から「マイセッティング登録」をすれば、その撮影設定をいつでも呼び出せる。しかもズーム位置も記憶できるので、筆者のような取材記者であれば「発表会のスライド撮影用」(ズームはワイド端から中間、フラッシュオフ、ISO感度高め、など)と「登壇者撮影用」(ズームはテレ端、フラッシュオン、ISO感度低め、など)の2つを登録しておくといった使い分けができて便利。


高感度ISO1600での撮影にも対応

 R5の新機能としては、撮像素子がこれまでの1/2.5型有効604万画素CCDから同724万画素CCDに高画素化した点。この秋モデルでコンパクトデジカメは700万画素超か1,000万画素超の撮像素子を搭載したものが多くなっているが、R5もその例にたがわず、といったところ。

 撮像素子の変更にともないR5では、画像処理エンジンとして「スムースイメージングエンジンII」を搭載しており、高速大容量の処理能力と優れたノイズ低減能力を持っている、という。

 レスポンスは十分で、起動時間はレンズが大きく繰り出すにもかかわらず約1.2秒、レリーズタイムラグはシャッター一気押し時で約0.09秒、半押し時で約0.007秒(いずれも公称)といったスペックは立派。

 個人的には相変わらずのズーミングとAFの駆動音が気になるところではあるが、AFスピードも速く、レスポンスに関してはほとんど不満はないだろう。ただ、個体差かもしれないがちょっとAFの精度に疑問を感じる場面もあり、これは残念なところだ。

 撮影面での最大の変更点ともいえるのがISO1600の高感度撮影。もともとCCDシフト式の手ブレ補正を搭載してきたこのシリーズだが、R4では高感度撮影に関しては他の後塵を拝していたが、新エンジンの搭載で低ノイズ化と高感度化を実現したとしている。

 実際の画像を見ると撮影シーンにもよるがISO400までは常用可能なレベルで、ISO800もノイズは増えるものの普段の利用は可能だろう。ISO1600になるとディテールが甘くなり、ノイズもかなり増えるが、色味の変化はそれほどでもなく、等倍でもなければ結構使えると思う。

 高感度撮影が実用的になったことで、手ブレ補正とあわせて幅広い被写体への対応が可能になったことは大きなメリット。もともと広角28mmからの光学7.1倍ズームを備えていたR4は、どこに持ち歩いてもまずまずの撮影ができる万能カメラだった。R5の高感度対応によって他のカメラに劣る部分は大きく減り、さらに使い勝手が高まったことは間違いない。


高精細化し見やすくなった液晶

 もう一つのポイントは液晶。もともと2.5型の大型(というか今となっては普通)の液晶モニターを搭載していたR4だが、今回は従来の約15.3万画素から約23万画素に高精細化。左右の視野角に加え、下から見上げたときの視野角が改善されているようで、かなり見やすくなった。

 再生は背面の再生ボタンを押す。撮影中に再生した場合、シャッターボタン半押しですぐに撮影状態に戻れる。電源オフから再生ボタン長押しで再生画面になり、その状態でもう一度再生ボタンを押すと撮影状態に移行するのも使いやすい仕組みだ。


前後のコマと同時に表示される3コマ表示 こちらはサムネイル表示

 再生画面では、前後のコマもあわせて確認しやすい3コマ表示、12コマのサムネイル表示が可能。高精細になった割に、という印象もあるが、カレンダー表示などはない。再生画像の編集機能は、相変わらず特にない。

 1コマ再生時、ズームスイッチで拡大再生をし始めた後、すぐにMENU/OKボタンを押すと一気に8倍まで拡大し、さらにもう一度MENU/OKボタンを押すと等倍まで戻る仕組みは、ピントやブレのチェックに便利。


まとめ

電源は専用のリチウムイオンバッテリーで、撮影可能枚数はCIPA準拠で約380枚。バッテリー自体はR4と同じだが、新画像処理エンジンのおかげか撮影可能枚数が約50枚増えている。記録メディアはSDメモリーカードのみで、SDHCには対応していない。また、R4でUSB1.1だったUSB端子がUSB2.0になった
 今回のR5は、前モデルのR4と比べるとISO1600の高感度撮影に対応するなどなかなか充実したバージョンアップといえる。光学7.1倍ズームを搭載しながら薄型、CCDシフト方式の手ブレ補正機能、1cmマクロ、ADJ.ボタンといったR4のいいところは残しつつ、さらに使い勝手が良くなり、どんなシーンでも対応できる懐の広いカメラに仕上がっている。


ISO感度別作例

  • 作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。
  • 一部の作例については、作例データの一部項目を別の行で強調表示しています。


【ISO64】
3,072×2,304 / 1秒 / F4.6 / 0EV / WB:オート / 66mm
【ISO100】
3,072×2,304 / 1/2秒 / F4.6 / 0EV / WB:オート / 66mm

【ISO200】
3,072×2,304 / 1/5秒 / F4.6 / 0EV / WB:オート / 66mm
【ISO400 】
3,072×2,304 / 1/9秒 / F4.6 / 0EV / WB:オート / 66mm

【ISO800】
3,072×2,304 / 1/15秒 / F4.6 / 0EV / WB:オート / 66mm
【ISO1600】
3,072×2,304 / 1/28秒 / F4.6 / 0EV / WB:オート / 66mm

 ISO感度を変えての撮影。ISO200からざらつきが感じられ、ノイズが目立ち始めるのはISO400から。それでも十分に実用範囲で、R4に比べてだいぶノイズは改善されている。ISO800になると解像感が失われ始め、コントラストも低下しているが、それでもなかなか良好。ISO1600のノイズ量は多いが、まあ健闘している方か。ただ、常用できるのはISO400までといった印象。


一般作例

3,072×2,304 / 1/217秒 / F3.3 / -2/3EV / ISO64 / WB:オート / 28mm 3,072×2,304 / 1/45秒 / F4.8 / -2/3EV / ISO200 / WB:オート / 200mm

3,072×2,304 / 1/26秒 / F3.6 / +1/3EV / ISO64 / WB:オート / 31mm 3,072×2,304 / 1/79秒 / F4.2 / +1/3EV / ISO400 / WB:オート / 105mm

3,072×2,304 / 1/143秒 / F4.8 / +1/3EV / ISO400 / WB:オート / 200mm 3,072×2,304 / 1/68秒 / F4.2 / +1/3EV / ISO400 / WB:オート / 40mm

3,072×2,304 / 1/34秒 / F4.8 / -1/3EV / ISO200 / WB:オート / 200mm 3,072×2,304 / 1/164秒 / F3.3 / -1/3EV / ISO64 / WB:オート / 28mm

3,072×2,304 / 1/30秒 / F4.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 200mm 3,072×2,304 / 1/45秒 / F4.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 200mm

3,072×2,304 / 1/380秒 / F4.0 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 96mm 3,072×2,304 / 1/440秒 / F4.8 / -1/3EV / ISO100 / WB:オート / 200mm

3,072×2,304 / 1/270秒 / F3.3 / -1/3EV / ISO64 / WB:オート / 28mm 3,072×2,304 / 2秒 / F3.3 / +1/3EV / ISO64 / WB:オート / 28mm

3,072×2,304 / 2秒 / F3.3 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 28mm 3,072×2,304 / 2秒 / F3.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 28mm


URL
  リコー
  http://www.ricoh.co.jp/
  製品情報
  http://www.ricoh.co.jp/dc/caplio/r5/

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小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2006/11/10 08:34
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