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【新製品レビュー】オリンパス μ720SW

〜タフなボディに高感度 スリムな水陸両用デジカメ
Reported by 北村 智史

 スリムなボディに水深3mまで潜れる防水性と、1.5mの高さから落としても平気な耐衝撃性を備えたμシリーズのニューモデル。ワイシャツの胸ポケットにすんなり収まる携帯性のよさと、アウトドアでのラフな使用にも耐えられるタフさを両立しているのが大きな特徴。

 1/2.33型の有効710万画素CCDに、屈曲光学系の3倍ズームを搭載している。また、最高でISO2500相当の超高感度撮影も可能だ。実売価格は約4万7,000円。シャイニーシルバー、アクアブルー、ローズピンクの3色のカラーバリエーションがある。





20mmを切る薄さで防水+耐衝撃

 そこはかとなく超合金っぽいヘアラインとメッキ仕上げのメタルボディは奥行き19.8mmと薄い。最近は屈曲光学系やスライド(もしくはリトラクタブル)光学系を採用する機種が多いため、20mmを切るぐらいはそれほどめずらしくはない。実際、現行の光学3倍ズーム機で、720SWより薄いのが10機種ほどある。

 が、この薄さで防水・防塵かつ耐衝撃性能を備えているのはほかにはない。すでにμシリーズでは生活防水機能は実現していたし、30分の時間制限があるとはいえペンタックスのOptio W10が1.5mまで潜れるのだから(奥行きは23mmあるけど)、もうちょっと頑張って3m防水にしましたという程度では驚きはしない(開発陣は相当に苦労したに違いないが)。

 しかし、1.5mの高さから落っことしても大丈夫といわれると、けっこうびびる。同社のウェブサイトの情報によると、電気基板を浮遊構造にしたり、新開発の衝撃吸収材を使ったり、外装パーツの剛性を高めたりして耐衝撃性をアップしているという。「無破損・無故障を保証するものではありません」と念押ししたうえに、どんな条件でテストしたかが細かく書かれていて、さすがに「激突部分の塗装剥離などの外観変化については不問とする」とある。ぶっちゃけた話、へこもうがキズが付こうが、撮れるようなら合格。そういうことであるらしい。試してみなくてよかった。

 レンズは屈曲光学系の3倍ズームで、35mmフィルム換算38〜114mm相当。開放F値はF3.5(広角端)〜5(望遠端)。一般的な光学3倍ズームに比べて広角側がやや暗め、望遠側は普通に暗い。最短撮影距離は通常時は全域50cm、マクロでは広角端20〜望遠端30cm。スーパーマクロでは焦点距離が9.1mm(52mm相当)に固定され、7cmまでの近接撮影が可能となる。

 絞り開放の広角端の四隅は若干アマめ。F6.3に絞られた状態では解像力はよくなるが、色のニジミは残っている。が、実用的には不満のない写りといえる。歪曲収差は広角端でタル型で、量は普通。望遠端では若干のイトマキ型になる。CAMEDIA SP-700に装備されていた歪曲収差を自動的に補正する機能は装備されていないようだ。

 電源は740mAhのリチウムイオン充電池。CIPA準拠の撮影可能コマ数は180コマ。電池の容量から考えれば悪くない数字だと思うが、もうひと頑張りほしい気もする。記録メディアはxDピクチャーカードと内蔵の19MBフラッシュメモリ。メモリカードは付属していない。

 電池/カードカバー、コネクタカバー(USB、AV、外部電源端子を兼ねたマルチコネクターである)にも防水パッキンがあって、水気やホコリなどが侵入しないようになっている。


ヘアラインにメッキ仕上げのボディに、ちょっとわざとらしい気もするが、ヘビーデューティーさをイメージさせるネジがアレンジされている。「μ720SW」のロゴは彫刻だ 38〜114mm相当でF3.5〜5の光学3倍ズーム。レンズユニットを囲むように衝撃吸収材を配置して、ショックからレンズを保護している

マクロは20〜30cm、スーパーマクロは7cmまで。“スーパー”なんだからもう少し寄りたい リチウムイオン充電池はCIPA準拠で180コマ撮れる。記録メディアはxDピクチャーカード。19MBの内蔵メモリーも備えているので、メモリカードは同梱されていない

USB端子はAV出力、ACアダプターなどの外部電源端子も兼ねたマルチコネクター。ここのカバーの裏にも防水パッキンが装備されている

ISO1600相当でもそこそこ使える画質

 液晶モニターはサイズは2.5型だが、自慢のハイパークリスタル液晶ではないし、画素数も11.5万画素と少なめ。筆者個人としては、せっかくのアウトドア仕様なのだから、アウトドアでくっきり見える液晶モニターを搭載するのが筋だと思う。元量販店店員の立場でいうと、筋の通ってないカメラは売りづらいものだ。なので、メーカーの方には、きちんと筋を通してから、コスト計算をやってほしいのである(なんてことをいってると、商売としては成り立たないのかもしれないけどね)。

 メニューの初期画面は十字キーで選択しやすいように並べられており、背面いちばん下の左側の「MENU」ボタン→十字キー中央の「OK」ボタンと押すと撮影メニューが表示される(再生メニューはもっと項目数が多いが)。このうち、ホワイトバランス、感度、連写、測光の各モードと撮影モードは、「FUNC」ボタン(OKボタンと兼用)押しで表示されるファンクションメニューでも切替が可能。画像を見ながら素早く切替できるのはいいところだ。

 感度はISO64相当から。オートではISO400相当まで、「ぶれ軽減」モードではISO1600まで、シーンモードの「キャンドル」、「寝顔」では最高ISO2500相当まで自動的に感度があがる。マニュアルではISO1600相当まで選択可能だ。

 ISO200相当まではあまりノイズは目立たないし、ISO800相当でも50%表示ならそれほど気にならない。さすがにISO1600相当になるとカラーバランスが悪くなってくる。とはいえ、ちょっと前のモデルならISO400相当でもこれよりひどい画質のものは少なくなかったから、かなり優秀といっていい。

 ISO2500相当になるシーンモードでは、記録画素数は約315万画素(2,048×1,536ピクセル)に減る。切り替えたときに、赤い文字で「画質モードが変わりました」と警告が表示される親切設計だ。画素加算+補間処理をしているようで全体的にアマい描写になり、白い線の部分などはギザギザになってしまう(かなり暗くしないと感度がISO2500相当まであがってくれないので、光の具合がほかのコマと違っているのはご了承いただきたい)。ピクセル等倍で見ると、うーん、という感じだが、L判プリントぐらいなら十分に使えるだろう。

 感度オートでISO1600相当まで使える「ぶれ軽減」は、基本的に全自動なので、内蔵ストロボも自動発光になってしまう。高感度撮影=ストロボOFFという頭でいると、シャッターを切った瞬間にびっくりすることになりかねない。特にストロボ撮影が禁止されている場所で撮るときには注意が必要だ。


撮影時に「MENU」ボタンを押したときの画面。かなりシンプル。シーンモード時以外は「SCN」は選択できない こちらは再生時のメニューの初期画面。撮影時より項目数はぐっと増える

撮影メニューの1ページ目 撮影メニューの2ページ目

「W」のズームボタンの下が「モードボタン」。「ぶれ軽減」やシーンモードへの切替を行なう。十字キー中央は「OK」と「FUNC」を兼ねたボタン 撮影時に十字キー中央の「OK/FUNC」ボタンを押すとホワイトバランスや感度、測光モードなどが簡単に切り替えられる

感度はISO64相当からISO1600相当まで。オート時はISO400相当まで、「ぶれ軽減」モードではISO1600相当まで自動で上がる 「ぶれ軽減」モードに設定すると、手ブレを示す小さなアイコンが表示される。画質よりも手ブレと被写体ブレの軽減が優先となるため、感度は早め早めにあがっていく

シーンモードの「キャンドル」。記録画素数が約315万画素に減るものの、ISO2500相当の超高感度撮影が可能になる 同じく画素補間になる「寝顔」

「キャンドル」「寝顔」では、画素数が強制的に変わるため、注意をうながすために警告表示が出る 「ぶれ軽減」モードは高感度の全自動なので、内蔵ストロボは自動発光が標準。ストロボ撮影禁止の場所で撮るときには、発光禁止に切り替えるのを忘れないように

まとめ

 720SWの最大のセールスポイントは、3m防水+1.5mの高さから落としても平気なヘビーデューティーさ。加えてISO2500相当までの高感度撮影を可能にしているので、撮る場所も時間も選ばないカメラといえる。もちろん、コンクリートやアスファルトの地面に落っことせばキズつくだろうし、へこむかもしれないが、泥にまみれても水で洗えばOKという安心感はほかの機種では味わえないありがたさだ。

 濡れれば止まる、落とせば壊れるのが、従来のカメラという機械の常識であって、子どもに持たせるのはとても不安なものだが(落とす、ぶつけるは日常茶飯事だからね)、この720SWなら、気軽に子どもに預けても壊れる心配が少ないのがいい。アウトドア派にはもちろんのこと、お子さん用としてもおすすめだ(買ってあげるのにはちとお高い気もするが)。もっとも、筆者もオリンパスにならって、無破損・無損傷を保証したりはしないが、いろんな場所でいろんな遊び方が楽しめるカメラであるのは間違いない。


作例

※作例のリンク先ファイルは、撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


◆ISO感度

 ピクセル等倍で見ると、ISO200相当からザラツキが出はじめ、ISO400相当では細かい泡の再現が悪くなってくる。ただ、ISO800相当でもそれほど極端な画質低下はないので、大きくプリントしさえしなければ十分実用に耐えそうなレベル。さすがにISO1600になると、50%表示でもザラツキは気になるし、緑色の石けんが青みがかってきたりするが、ちょっと前の機種のISO400相当よりもずっといい。

 ISO2500相当だと高感度ノイズによるザラツキはないが、細部の描写はかなりアマく、白い線の部分はギザギザになっている。とはいうものの、L判プリント程度なら問題なく見られる画質だ。


3,072×2,304 / 1/10秒 / F5 / 0.3EV / ISO64 / WB:電球 / 14.1mm 3,072×2,304 / 1/15秒 / F5 / 0.3EV / ISO100 / WB:電球 / 14.1mm

3,072×2,304 / 1/30秒 / F5 / 0.3EV / ISO200 / WB:電球 / 14.1mm 3,072×2,304 / 1/60秒 / F5 / 0.3EV / ISO400 / WB:電球 / 14.1mm

3,072×2,304 / 1/100秒 / F5 / 0.3EV / ISO800 / WB:電球 / 14.1mm 3,072×2,304 / 1/160秒 / F5 / 0.3EV / ISO1600 / WB:電球 / 14.1mm

2,048×1,536 / 1/8秒 / F5 / 0.3EV / ISO2500 / WB:オート / 14.1mm

◆一般作例


広角端ではタル型、望遠端ではわずかなイトマキ型の歪曲収差があるが、量的には大きくない。が、SP-700のようなソフトによる自動補正機能がないのは不思議。建物とか撮るときにはありがたいのにね
3,072×2,304 / 1/100秒 / F3.5 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 6.7mm
光学式手ブレ補正機構のないカメラで、感度をあげずに日陰で望遠端で撮るのはけっこうしんどい。同じ場所で何コマか撮ったがブレてなかったのはこの1コマだけ。やっぱりもう少しレンズを明るくしてもらいたい
3,072×2,304 / 1/30秒 / F5 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 20.1mm

全体的に解像力は高くない印象。広角端の四隅はアマさが出るし、若干色のニジミも見られる(絞り開放になる条件だと、もっとアマくなる)。が、光学3倍ズームなら平均点レベルといえる
3,072×2,304 / 1/640秒 / F6.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 6.7mm
色のノリがよすぎる機種だと、ベタ塗りっぽくなりがちなシチュエーション。もう少し彩度を高くしてもいいかもしれない。間が悪くてすごく普通の噴水しか撮れなかった
3,072×2,304 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 6.7mm

ネオンは白飛びしてそうに見えて、わずかにトーンを残している。なかなかうまいコントロールだと思う
3,072×2,304 / 1/60秒 / F3.5 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 6.7mm
ペインティングされたレンガ造り(風のタイルだと思うが)の壁。もう少しコントラストがあると凹凸の感じがよく出るだろう
3,072×2,304 / 1/320秒 / F3.5 / 0EV / ISO64 / WB:晴天 / 6.7mm

岩肌の調子を出したくてスポット測光に切替てマイナス補正。こういうシチュエーションだと多分割測光では露出補正でカバーしきれないことがある。ファンクションメニューで測光モードを素早く切り替えられるのが便利
3,072×2,304 / 1/80秒 / F5 / -1EV / ISO64 / WB:晴天 / 20.1mm
春先なのに、水の流れと落ち葉。濡れた石の感じがいい
3,072×2,304 / 1/80秒 / F4.2 / -1.7EV / ISO64 / WB:晴天 / 10.3mm

スーパーマクロで撮ったカット。“スーパー”なのにレンズ前7cmまでというのはもうちょっと物足りない
3,072×2,304 / 1/320秒 / F4.5 / -0.3EV / ISO64 / WB:晴天 / 9.1mm
こちらはマクロの望遠端。望遠端ではまったく寄れない機種も少なくないが、30cmならまあまあなほう。背景はあまりボケてくれないけど
3,072×2,304 / 1/160秒 / F5 / -0.7EV / ISO64 / WB:晴天 / 20.1mm

これもスーパーマクロでの撮影。若干二線ボケ的傾向があるが、ひどく気になるというほどではない
3,072×2,304 / 1/25秒 / F4.0 / -2EV / ISO64 / WB:オート / 9.1mm
奥の戸にピントを合わせたはずが、なぜか前ピン。たまにだが、コントラストが強い条件でピントをはずすことがあった。個体差なのかどうかは不明だ
3,072×2,304 / 1/30秒 / F3.5 / -1.7EV / ISO64 / WB:晴天 / 6.7mm

借り物のカメラでは気が引けたのと、水面まで遠かったので、水の上から。水面の反射がよけきれなかったので、マイナス2段補正した
3,072×2,304 / 1/50秒 / F5 / -2EV / ISO64 / WB:晴天 / 20.1mm
シャッター速度が適度に落ちてくれるのを待っての撮影。他社の手ブレ補正付きの機種などと取っ替え引っ替えしながら撮ったが、やはり手ブレ補正機構のない720SWはいちばんブレ率が高かった
3,072×2,304 / 1/50秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO64 / WB:オート / 6.7mm

ズームの望遠端。広角端と違って四隅が落ちることはないが、全体的にはシャープ感がいまひとつといった感じ。まあ、実用的には不満のないレベルではある
3,072×2,304 / 1/80秒 / F5 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 20.1mm
夕暮れどきの手持ち撮影は、手ブレ補正機構のないカメラではきつい。軽いうえにカメラを顔で支えられないから、一眼レフに比べると限界が低く、広角ならなんとかなるが、望遠で撮ったのは全滅状態だった
3,072×2,304 / 1/30秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO64 / WB:オート / 6.7mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/digitalcamera/mju720sw/

関連記事
オリンパス、耐衝撃性と水深3mの防水機能を備えた「μ720SW」(2006/01/31)



北村 智史
(きたむら さとし)1962年、滋賀県生まれ。国立某大学中退後、上京。某カメラ量販店に勤めるもバブル崩壊でリストラ。道端で途方に暮れているところを某カメラ誌の編集長に拾われ、編集業と並行してメカ記事等の執筆に携わる。1997年からはライター専業。最初に買ったデジタルカメラはキヤノンPowerShot S10。 ブログ:http://ketamura08.blog18.fc2.com/

2006/04/10 00:00
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