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【新製品レビュー】オリンパス CAMEDIA SP-500UZ

~CAMEDIA新シリーズの高倍率ズーム搭載機
Reported by 小山 安博

 オリンパスのCAMEDIAシリーズといえば、まだデジカメ黎明期の2000年から光学10倍ズーム機をリリースしている。最近は高倍率ズーム機も増え、各社から販売されているが、高倍率ズームデジカメの古参だ。

 今回レビューする「CAMEDIA SP-500UZ」は、同社としては定番の光学10倍ズームレンズを搭載したモデル。6メガピクセルCCD、2.5型液晶を搭載したレンズ一体型コンパクトデジカメで、C-700から始まる高倍率ズーム機の流れをくむカメラといえるだろう。


質実剛健なカメラらしい外観

 外観は、大きなグリップを備えたブラックボディのオリンパスらしい質実剛健なスタイルで、「C-7070 Wide Zoom」など、同社の高級コンパクトデジカメに近い。





 作りもしっかりしており、過度に軽くない点もカメラらしくていい。本体サイズは105.5×74.5×71mm(幅×奥行き×高さ)、重量は285gで、ポケットや女性の小さなバッグに入るレベルではないが、横方向に圧縮したオリンパスらしいデザインで、これはこれでファンも多いだろう。

 このクラスとしては大きなグリップを備えており、右手をグリップ、左手をレンズにかける構え方に適しており、安定して構えられる。

 ボタン類は、本体上部に電源ボタンとAELボタン、モードダイヤル、グリップ部にズームレバー一体型のシャッターボタンを装備。背面にはDISP./GUIDEボタン、QUICK VIEWボタン、ストロボ、OKボタンを中央に配置した十字キーとなっている。


大型のグリップを備えるカメラらしい外観。やや横が詰まったデザインで、両手でしっかり構えると少し手が余るが、一眼レフカメラライクの持ち方ができる 上部のボタンは電源とシャッターボタン、ズームレバー、モードダイヤル

 基本的なインタフェースは従来の同社製カメラと大きく違いはないので、経験者であれば迷うことはほとんどないだろう。

 撮影設定は、十字キー中央のOKボタンを押すと、十字に配置されたトップメニューが現れ、さらに十字キー右を押すとメニューが現れる。トップメニューは、撮影でよく使う機能に素早くアクセスするためのもので、十字キーの配列に機能が割り当てられており、初期設定では十字キー上でセルフタイマー、左で画質モード、下にマクロが割り当てられている。


背面は2.5型のTFT液晶を搭載。リアルタイムヒストグラムの表示も可能だ トップメニューは、十字キーと同じ十字型に表示される。割り当てを変更することもできる

 後述するように、500UZにはP/A/S/Mのマニュアルモードを備えており、十字キー上下左右は、露出補正やシャッタースピード、絞りの変更に割り当てられている。一般的にコンパクトデジカメは、撮影中にこうした十字キーを押すとすぐさま割り当てられた機能を設定できるが、500UZではいったんOKボタンを押すというワンクッションが必要になる。


高いカスタマイズ性

メニュー画面。非常に項目数が豊富で、どこに何の設定項目があるか、なかなか覚えきれない。カスタマイズ機能をうまく利用するといいだろう
 このトップメニューの上、左、下についてはカスタマイズ可能で、ISO感度やホワイトバランスの設定を割り当てられる。自分の好きな設定を割り当てるといいだろう。[メニュー]→[設定]→[ショートカット設定]で設定でき、測光方式、マクロ、ドライブ、ISO感度など、23項目もの設定の中から選択可能で、これだけの項目の中から選べるカメラは多くない。

 カスタマイズ機能としては、さらに本体上部のAELボタンも変更可能で、トップメニューよりは少ないものの19項目の中から1つの機能を割り当てられる。トップメニューとは異なり、こちらはワンボタンでダイレクトに設定を変更可能だ。

 4つのマイモード設定も有効だ。これは、上記の23項目に加え、P/A/S/Mモードやシャッタースピード、絞りなど、非常に豊富な設定を登録、それを一括で呼び出せる機能だ。

 これらのカスタマイズ機能を組み合わせることで、かなり使いやすい設定で快適に撮影できる。特にマイモード設定は、シャッタースピードや絞りを切り替えつつ、近景と遠景を交互に撮影する必要がある場合などに、あらかじめそれらの値を設定しておけば、モードを切り替えるだけで指定の値になり、ズーム位置も自動で設定され、わざわざ設定しなくても素早く撮影できる。

 設定項目が多いのも特徴だ。メニュー画面は[撮影]、[画像]、[カード]、[設定]とタブで区切られており、撮影タブでは測光、マクロ、ドライブ(連写)、ISO感度といった一般的な設定から、ストロボ補正、動体予測AFといった項目も用意。画像タブでは画質モード、ホワイトバランス、ホワイトバランス補正、シャープネス、コントラスト、彩度の設定が可能。

 メニュー画面は背景が透けた状態で表示され、設定中に半押しするとすぐに撮影に移れ、撮影後は再び自動でメニュー画面に戻るので、設定を変えながら撮影する場合には便利だ。

 設定項目が多いのでどの機能がどこにあるのか分かりづらいのが難点だが、よく使う機能はそれほど多くはないので、カスタマイズ機能を駆使して使いやすいように設定するといいだろう。


豊富な撮影機能

 レンズは非球面レンズ2枚、EDレンズ1枚を含む7群11枚構成で、焦点距離は35mm判換算で38~380mm。開放F値はF2.8~F3.7となっている。レンズ収差はワイド端でもそれほど大きくなく、EDレンズの効果か、色にじみの少ない写真が得られる。ズームの焦点距離移動はワイド端からテレ端まで3秒程度と、特に高速というわけではない。

 起動時間は公称で最短約2.6秒、レリーズタイムラグは最初にシャッターを切る場合でワイド端は約0.6秒、テレ端は約0.85秒、それ以降は約0.08秒で露光する。一気押しでシャッターを切ることもでき、この場合はワイド端で約0.65秒、テレ端で約0.9秒。基本的なレスポンスは快適で、再生画像のコマ送りや拡大再生などの動きもいい。

 画像処理は従来通り「TruePic TURBO」を搭載。このクラスとしてはノイズもよく抑えられており、素直な記憶色に近い色作りだ。派手さはないが、好感の持てる仕上がりとなる。ホワイトバランスはおおむね正確だ。

 10倍ズームレンズということで、ファインダーはEVF。0.2型の反射型強誘電性液晶EVFを搭載する。20.1万画素相当と画素数は十分。液晶モニターに比べるとやや暗めで、0.2型という小ささも気になったが、強誘電性液晶は、画面全体をリフレッシュしない方式のため、応答速度に優れるようで、背面液晶よりも高速に動く被写体は見やすい。

 背面のモニターは現在主流の2.5型TFT液晶を搭載。画素数が11.5万画素と並みのレベルなのが残念だが、明るさも視野角もほぼ問題はない。

 通常はオートモードで撮影するが、ちょっと凝った撮影をしたい場合はマニュアル露出やシーンモードが利用できる。マニュアル露出の場合、十字キーの上下でシャッタースピード、左右で絞りを変更、それ以外のP/A/Sモードの場合は左右で露出補正となる。

 シャッタースピードは15~1/1,000秒で最長8分のバルブ撮影も可能。絞りはF8までだ。ISO感度はAUTO/ISO80/100/200/400、ホワイトバランスはオート/ワンタッチ/晴天/曇天/夕日/電球/蛍光灯1(昼光色)/蛍光灯2(昼白色)/蛍光灯3(白色)。

 シーンプログラムも豊富にそろっており、夜景やポートレート、スポーツ、料理、オークションなど21種類を用意。単に彩度や色味の変化だけでなく、たとえば「オークション」であればオートブラケットで撮影したり、「ショット&セレクト1」では連続撮影した写真から1枚を選び出したりと、場面に応じた撮影ができるよう工夫されている。

 マクロモードでは、ワイド端で7cm、スーパーマクロでは約3cmまで近寄れる。AFスピードはあまり高速ではないが、ここまで近寄れれば十分だろう。

 AFはiESP、スポットに加え、AFポイントを画面上で自由に動かせるターゲット選択やマニュアルフォーカスも選べる。半押ししなくてもAFをあわせ続けるフルタイムAF、前後に移動する被写体の移動距離を予測する動体予測AFも搭載する。ピント合焦時にAELボタンを押すことでAFロックも可能で、AELボタンを1秒以上押すと、撮影後もAFが固定され続けるなど、豊富なAF機能もありがたい。

 なお、RAWモードでも撮影できるが、記録に10秒近い時間がかかるなど、普段の利用では使いづらい。ここぞという場面で使うといいだろう。


編集・アルバム再生も可能な再生機能

 再生はモードダイヤルを再生にあわせるか、撮影中にQUICK VIEWボタンを押す。QUICK VIEWボタンを使った場合でも、通常の再生モードと同様にサムネイル表示や拡大再生、各種画像編集が可能だ。また、QUICK VIEW中にシャッターを半押しするとすぐさま撮影状態に移れるのもいい。

 再生機能では、2.5型液晶をいかした25コマまでのサムネイル表示が可能。さらにカレンダー表示機能もあり、さまざまな角度から画像を探すことができる。逆に拡大再生では、非常に高速な拡大が可能で好感が持てる。コマ送りが多少引っかかるが、これはxDピクチャーカードの転送速度も影響していそうだ。コマ送りは、左右キーで1枚ずつ、上下キーで10枚ずつのジャンプができる。


25コマのサムネイル表示 カレンダー表示機能も搭載

 再生中は、ヒストグラムやシャッタースピードなど、基本的な撮影情報を表示でき、さらに画像表示後3秒ほど情報が表示される仕組みは便利だ。


 編集機能も優れており、赤目修正機能や、フレーム、タイトル、カレンダー、レイアウトといった合成機能を搭載。明るさ、鮮やかさの調整も可能だ。また、PCレスでRAW現像が可能な点も便利で、画質モードからホワイトバランス、ホワイトバランス補正、シャープネス、コントラスト、彩度の調整が可能だ。

 アルバム管理機能も備えており、1つのアルバムに付き100枚まで登録できる。カレンダーを使い、同じ日に撮影した画像をすべて登録することも可能。同梱ソフトの「OLYMPUS Master」を使えば、アルバムとしてPCに取り込むこともできる。


再生画面のトップメニュー。ここからカレンダー表示を選択することもできる アルバムへは、画像表示中にOKボタンでトップメニューを出し、さらにOKボタン長押しで登録できる

手ブレ補正機能が惜しい

 基本的にこの500UZは、機能が豊富でカスタマイズ性もよく、写りもこのクラスとしてはいい方だと感じるが、それだけに手ブレ補正機能がない点が惜しまれる。今回の500UZの場合、テレ端の焦点距離が380mm相当になり、一般的なシャッタースピードと手ブレの尺度でいうと、1/320~1/400秒程度を確保できなければ手ブレすることになる。屋内であればよほど光の回った状況でないと確保できない数値であるし、基本的には晴天の屋外専用と考えざるを得ない。

 松下電器のLUMIXが光学式手ブレ補正のブームに火をつけた形だが、オリンパス自身もそれより以前にC-2100 Ultra Zoomや、E-100RSなどの手ブレ補正機能搭載カメラを発売している。しかしこれ以来、オリンパスには手ブレ補正機能搭載カメラがない。現行の一眼レフカメラ用レンズ「ZUIKO DIGITAL」にも手ブレ補正機能はないので、このあたりは現時点であきらめるしかないのかもしれないが、いずれにせよ残念なところだ。


電源は単3形アルカリ乾電池×4で、電池寿命は約480枚(CIPA規格)と十分。気軽に手に入るアルカリ電池を使っても長寿命を実現。記録媒体はxDピクチャーカード
 それ以外は特に大きな欠点らしい部分がないCAMEDIA SP-500UZは、使い勝手もよく、操作性も高く、高度な撮影にも対応できる高機能なデジカメだ。


作例

※作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更してあります)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の撮影データは、画像解像度(ピクセル) / 撮影プログラム / 露出時間 / 絞り値 / 露出補正値 / ISO感度 / ホワイトバランス / 焦点距離(35mm判換算)です。


【ISO80】
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/2秒 / F3.3 / 0EV / ISO80 / オート / 189mm
【ISO100】
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/2.5秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / オート / 189mm

【ISO200】
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/5秒 / F3.3 / 0EV / ISO200 / オート / 189mm
【ISO400】
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/10秒 / F3.3 / 0EV / ISO400 / オート / 189mm

青空にも暗部にもノイズは少なく、良好な描写
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/800秒 / F3.5 / 0EV / ISO80 / 太陽光 / 38mm
かなりコントラスト差の激しい場面だが、白飛びも少なく、色味もほぼ正確。ハイライト部にも特に気になる色収差は出ていない
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / 太陽光 / 38mm

テレ端での撮影。レンズのワイド端の10倍ズームなので、やや望遠よりの38mm、テレ端は380mmとなる
2,816×2,112 / 風景モード / 1/500秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / 太陽光 / 380mm
コントラスト、シャープネス、彩度を+1にしている。夕闇が迫る空の色がうまく描写されている
2,816×2,112 / Av / 1/800秒 / F3.5 / 0EV / ISO80 / オート / 47mm

マクロでの撮影。彩度、コントラスト、シャープネスを+1にしているため、鮮やかな花の描写になった
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/120秒 / F2.9 / +0.3EV / ISO80 / オート / 41mm
テレマクロでの撮影。テレマクロの最短撮影距離は1.2mであまり近寄れるわけではないが、コンパクトデジカメながら、10倍ズームならではのボケが出せる。ボケ味もなかなか良好
2,816×2,112 / プログラムAE / 1/640秒 / F3.7 / 0EV / ISO80 / 太陽光 / 380mm

細部の表現はやや厳しいが、このクラスであればまずまずだろう。ワイド端で樽型の収差がやや見られるが、このぐらいであればそれほど気にならない
2,816×2,112 / 風景モード / 1/1000秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO80 / オート / 38mm
夜景モード。シャッタースピードは3.2秒になった。ノイズは抑えられている
2,816×2,112 / 夜景モード / 3.2秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / オート / 38mm


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/lineup/digicamera/sp500uz/

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小山 安博
某インターネット媒体の編集者からライターに転身。無節操な興味に従ってデジカメ、ケータイ、音楽プレーヤー、コンピュータセキュリティなどといったジャンルをつまみ食い。軽くて小さいものにむやみに愛情を感じるタイプ。デジカメ、音楽プレーヤー、PC……たいてい何か新しいものを欲しがっている。

2005/10/24 00:01
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