デジカメ Watch

【新製品レビュー】ペンタックス *ist DL (画質評価編)

~世界最軽量ボディに2.5型液晶などを搭載したエントリーモデル
Reported by 根本 泰人

 ここで掲載した画像は特に注釈のない場合、画素数は最大サイズ610万画素(3,008×2,000ピクセル)、ISO200固定、測光は16分割測光、画質はS.ファイン、色空間はsRGB、画像仕上設定はナチュラル、彩度・コントラスト・シャープネスはすべて標準、ホワイトバランスはオートである。また特記のないものはすべてDA 18-55mm F3.5-5.6 ALレンズ使用した。


レンズ性能

 最初にレンズキットのペンタックスDA 18-55mm F3.5-5.6 ALの性能を見てみることにする。

 広角端18mmは35mm判で27mm相当、望遠端55mmは同じく82.5mm相当である。3倍ズームといっても広角端が27mm相当から始まるズームはかなりの画角変化があり、撮影の自由度が高い。とはいってもいろいろな撮影に使うと、もう少し望遠側が長いとよいのにと思うことがある。


【広角端】
18mm / F8 / 1/750(秒)
【望遠端】
55mm / F11 / 1/500(秒)

【広角端】
18mm / F8 / 1/500(秒)
【望遠端】
55mm / F9.5 / 1/350(秒)

 三脚に固定していくつかの焦点距離において建物を撮影し、絞りによる描写性能の違いについて検討した。結果は次のとおりである。なお、画像仕上げは鮮やかで撮影していたことに後で気がついたが、結果に大きな違いはないと考えられたので撮り直しはしなかった。


【18mm / F3.5】
絞り開放から周辺部まで像がよく整っているが、解像感の不足を感じる。歪曲は軽い陣笠型。色にじみは画面中間部からあらわはじめ、外側が紫色、内側方向が緑色だが、緑色が目立つ。周辺減光は隅に近づくほど目立つ
【18mm / F5.6】
コントラストがよくなり、シャープな印象が強まるが、100%に拡大すると解像感の不足はかわらない。周辺減光は改善するが、まだ四隅が暗くなる
【18mm / F8】
周辺減光がより少なくなる以外は、F5.6と同じ

【24mm / F4】
周辺部まで像がよく整っていて、18mmよりは少し解像度が高いようだ。色にじみ、周辺減光などは18mm開放とほぼ同じ。歪曲はごく軽い陣笠型
【24mm / F5.6】
特に周辺部のコントラストが向上し、周辺減光も大幅に改善する
【24mm / F8】
四隅の周辺減光がさらに少なくなる

【35mm / F4.5】
最周辺部までよく像が整っているが、100%に拡大したときにもう少しシャープ感があるとよい。周辺部で緑色の色にじみが薄いがわかる。周辺減光もやや認められる。歪曲はわずかな糸巻き型
【35mm / F5.6】
周辺部のコントラストが向上し、像が締まってくる。周辺減光はまだ残る
【35mm / F8】
画面の大部分がほぼシャープな印象になる。周辺減光はまだわずかに隅に残る

【55mm / F5.6】
最周辺部までよく像が整っているが、全体にわずかに甘い印象。歪曲は糸巻き型。色にじみはわからない。周辺減光は隅部で認められる
【55mm / F8】
周辺部のコントラストが向上し、像が締まってくる。周辺減光はまだ残る

 このレンズは各焦点距離で絞り開放から周辺部までよく像が整っているのが印象的だ。ただ広角側では50%拡大くらいまではたいへんシャープに見えるのに、100%では解像感がやや劣る。これが後で述べるがA4までのプリントはシャープなのに、A3で印刷すると細部が甘く、物足りなく感じる原因のひとつだと思う。また、広角側では周辺部で緑色の色にじみがやや目立つようだ。望遠端では色にじみはなくなる。歪曲については、後で改めて述べる。

 また焦点距離全域で、絞り開放では周辺減光が目立ち、特に広角端18mmではF11まで絞っても解消しないことには注意したい。つまり四隅が暗くなるため、被写体によっては目立つ。

 周辺光量の低下が気になったので、広角端において遠景での撮影テストを行なった。その結果は、F3.5開放ではやはり周辺部の光量低下がかなり気になる。F11に絞っても、四隅がはっきりと暗くなっていることがわかる。


【F3.5】
18mm / 1/2,000(秒)
【F11】
18mm / 1/250(秒)

 レンズのボケ味を見るため、広角端と望遠端で狛犬を撮影した。作例は絞り開放の状況である。結果は広角端も望遠端もとても素直なボケ味である。ズームレンズの中には後ろのボケが円を描くような感じになるなど、ボケ味が汚くなるものがあるが、このズームはそうした癖はまったく認められず、大変によい。


【広角端】
18mm / F3.5 / 1/500(秒)
【望遠端】
55mm / F5.6 / 1/500(秒)

18mm / F11 / 1/4,000(秒)
 梅雨の一瞬の晴れ間に太陽を入れて撮影し、ゴーストなどの発生があるか調べてみた。その結果、特に目立った問題は認められなかった。そのほか逆光気味の撮影でも、すっきりと描写されていた。



 2mほどの距離の壁面を撮影した。明るい灰色の壁だったが、カメラまかせの露出では意外とアンダーになってしまった。広角端では陣笠型(真ん中では樽型にふくらむが周辺部では直線に戻る)の歪曲がやや目立つ。望遠端では軽い糸巻き型の歪曲がある。

 これはさきほどの建物テストでも、同じ傾向が認められることがわかる。


【広角端】
18mm / F4.5 / 1/60(秒)
【望遠端】
55mm / F5.6 / 1/60(秒)

 このレンズは描写性能については、各焦点距離において絞り開放から周辺部まで良く像が整っており、ボケ味もとても素直な点、なかなかよいレンズと言える。解像度がさらに高ければ高性能レンズと言えるのだが、ただしこの点や発色についてはカメラ側の性能も関係しており、従来のフィルムカメラでのレンズテストのように簡単にレンズだけの善し悪しを判断することができない。


画素数、圧縮率による変化

 JPEGで設定可能な画素数は6M(3,008×2,000ピクセル、以下同)、4M(2,400×1,600)、1.5M(1,536×1,024)の3種類。

 画像サイズは説明書には掲載されていなかったが、作例では順に約2.7MB、約1.8MB、約980KBであった。なお同じシーンをRAWで撮影すると約10MBとなった。


【6M】
3,008×2,000 / 18mm / F8 / 1/500(秒)
【4M】
2,400×1,600 / 18mm / F8 / 1/500(秒)
【1.5M】
1,536×1,024 / 18mm / F8 / 1/500(秒)

 JPEGはS.ファイン(約1/3)、ファイン(約1/6)、エコノミー(約1/12)の3種類の圧縮率設定が可能。それぞれ600万画素時のデータ量の目安は、約3.7MB、約1.8MB、約900KBであるが、実際のデータサイズはS.ファインで2MB~4MBの範囲にかなりばらついていた。

 なおモニター上で圧縮率の異なる画像の違いを観察すると、ピクセル等倍では3者の間の差がわからない。しかし200~400%に拡大すると、エコノミーでは建物と空の境界や木の枝に、圧縮にともなうノイズと画像の乱れが発生している。

 しかしファインとS.ファインの差はわずかで、比べるとファインがわずかに画像の乱れがあるぐらいだ。一般的な撮影ならばファインモードでもよいのではないだろうか。もちろん、最良の画質を得たいならばS.ファインモード、さらにはRAWで撮影して後処理ということになる。


【S.ファイン】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)
【ファイン】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)
【エコノミー】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)

ISO感度変化

 撮像感度はISO200から3200まで5段階が可能である。もっとも低感度のISO200の画像はノイズがほとんどみとめられないが、ISO400になると建物の均一な色の壁や影などにわずかだがノイズが乗ってくる。作例では、中央右の時計の柱の後ろにある建物の壁を、200%程度に拡大して観察するとよくわかる。

 ISO800ではノイズがはっきりしてくる。ISO1600になると100%の拡大率でもノイズがわかるようになり、ISO3200では画面全体がざらざらした感じになってしまう。

 この結果を見る限り、*ist DLはISO感度をあげるとノイズは段階的に増えていく傾向で、ノイズを目立たせないで撮影するにはISO800かできればISO400までで撮影したい。最良の結果を得たいならISO200固定で撮影すべきである。


【ISO200】
18mm / F8 / 1/500(秒)
【ISO400】
18mm / F8 / 1/750(秒)
【ISO800】
18mm / F9.5 / 1/1,500(秒)

【ISO1600】
18mm / F9.5 /1/2,000(秒)
【ISO3200】
18mm / F11 / 1/4,000(秒)

画質調整

 *ist DLには「画像仕上げ」という項目があり、「鮮やか」と「ナチュラル」の設定をあらかじめ行なっておく必要がある。説明書などによると、鮮やかの場合は、メリハリのきいた画質になり、ナチュラルはレタッチを行なう場合に合う、自然な感じの画質に調整される。撮影結果でわかるとおり、鮮やかの方がコントラストと彩度が高く明るい感じになる。ナチュラルの方はやや眠い感じに仕上がる。


【鮮やか】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)
ほかの画質関係項目はすべて標準
【ナチュラル】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)
ほかの画質関係項目はすべて標準

【基本画像(全項目標準)】
S.ファイン / 18mm / F6.7 / 1/350(秒)
 次に画質仕上げとは別に、彩度、シャープネス、コントラストを±5段階調整できる。このうちそれぞれの項目について+2および-2に設定した画像を示す。


【彩度】

 彩度が強いと原色系の色がより鮮やかになる。彩度が弱いと全体にくすむが、今回の作例では思ったほどの差はなかった。それでも空の青色の出方などはかなり違う。


【+2】
18mm / F6.7 / 1/350 (秒)
【-2】
18mm / F6.7 / 1/350 (秒)

【シャープネス】

 +2ではシャープ感が強い非常にくっきりした画像となるが、被写体によっては不自然な印象である。-2ではシャープ感が弱いだけでなく少しボケたような画像になる。


【+2】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)
【-2】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)

【コントラスト】

 コントラストを最大にすると、暗部がほとんどつぶれた画像となる。-2では暗部から明部までトーンが比較的よく保持されているが、コントラストが低いため画像は見映えがしない。レタッチを行なうなら、ここから各パラメーターを調整していくとよいのではないだろうか。


【+2】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)
【-2】
18mm / F6.7 / 1/350(秒)

ホワイトバランスの変化

 ホワイトバランスのマニュアル設定は太陽光、日陰、曇天、白色蛍光灯、昼白色蛍光灯、昼光色蛍光灯、白熱灯、ストロボ、マニュアル設定が可能である。またオートホワイトバランス(AWB)の調整範囲は約4,000~8,000Kであり、白熱灯以外の光源に対応できる。

 最初の作例は、晴天時の正午頃の屋外で撮影したもので、オートと太陽光との撮影結果はとても近似している。

※撮影データはすべて18mm / F8 / 1/500(秒)です。


【AWB】 【太陽光】 【日陰】

【曇天】 【白色蛍光灯】 【昼白色蛍光灯】

【昼光色蛍光灯】 【白熱灯】 【ストロボ】

 次に晴天正午頃、建物の日よけだなの下で人物を撮影してみた。ホワイトバランスは日陰が適合するかと思ったが、実際の撮影結果では、日陰で撮影するとかなり黄色みが強くなっている。太陽光の設定でも少し黄色みが強く感じられ、オートが一番自然な感じになったがわずかに青みが強いようにも感じる。露出はカメラまかせなので、今回のような条件では全般にややアンダー気味になるようだ。


【オート】
55mm / F5.6 / 1/90(秒)
【太陽光】
55mm / F5.6 / 1/90(秒)
【日陰】
55mm / F5.6 / 1/60(秒)

 続いて室内の蛍光灯下での撮影結果を示す。照明はナショナルのパルック昼光色蛍光灯である。撮影の2日前に蛍光管をすべて新品に換えたばかりだが、蛍光灯を覆う白色ディフューザーの影響で色温度が偏っている可能性もある。

 3種類の蛍光灯の設定とオートで撮影してみたが、昼光色の設定では黄色みが強く不自然であった。昼白色の設定では昼光色よりは黄色みがかなり軽減するが、まだ黄色い。白色蛍光灯が一番自然な感じだが、やや青みを感じる。オートは昼光色と白色の中間の色味のようで、全体的なバランスではオートが一番良いように思う。


【オート】
24mm / F4 / 1/10(秒)
【昼光色蛍光灯】
23mm / F4 / 1/10(秒)

【昼白色蛍光灯】
33mm / F4 / 1/8(秒)
【白色蛍光灯】
26mm / F4 / 1/10(秒)

 下の作例は白熱灯が中心の照明下での撮影で、オートでは色温度の低さに対応できずかなり赤みがかっている。白熱灯にセットすると、まだ黄色みが強いがオートに比べれば自然な感じに補正されている。


【オート】
31mm / F4 / 1/10(秒)
【白熱灯】
29mm / F4 / 1/10(秒)

 以上、白熱灯下をのぞく一般的な撮影シーンでは、オートがもっともよい結果を示す。厳密なホワイトバランスのマッチングを行なうには、RAWモードで撮影し、PENTAX PHOTO LabarotryでRAW現像する際に、細かく調整することができる。


連写

 連写速度とAF動作を調べるため、電車のホームへの進入時の様子を撮影してみた。焦点距離は55mm、AF-C、ワイドAF、連写モードである。結果は、最初の5コマまでは高速に切れたが6コマ目は内蔵バッファがいっぱいになりメモリーカードに書き込んでからシャッターが切れるため、撮影間隔が開いたことがわかる。絞りF8と少し絞り込んで被写界深度も若干広いこともあり、すべてのコマでピントは合っている。


F8 / 1/500(秒) F8 / 1/350(秒) F8 / 1/350(秒)

F8 / 1/250(秒) F8 / 1/250(秒) F8 / 1/350(秒)

一般作例

オートピクチャーで撮影したが、自動的に風景モードになった。したがって画質仕上げは「鮮やか」である。なんの変哲もないシーンだが、メリハリのついた写真になっている
55mm / F9.5 / 1/350(秒)
日陰に咲いていたアガバンサス。少し暗めの露出だが、雰囲気はよく出ている
55mm / F6.7 / 1/125(秒)

オートピクチャーで撮影したところ、標準モードになっていた。したがって画質仕上げは鮮やかである。ストロボは強制発光したが、自然な感じに仕上がった
18mm / F3.5 / 1/125(秒)
これもオートピクチャーで撮影したところ、標準モードとなった。画質仕上げが鮮やかのため、彩度が高くメリハリがついている。実際の光景よりきれいに見え、これはこれで気に入った仕上がりである
18mm / F5.6 / 1/90(秒)

オートピクチャーで撮影、標準モードとなった。この*ist DLは、たまに大きく露出が狂うことがあり、これはそのひとつ
18mm / F6.7 / 1/180(秒)
マクロモードで撮影。したがって画像仕上げは鮮やかである。最短撮影距離で撮影した。わずかに後ピンになっている
55mm / F8 / 1/90(秒)

人物モードで撮影。したがって画像仕上げは鮮やかである
38mm / F9.5 / 1/125(秒)
問題は、この2つのコマは連続的に撮影しているのにもかかわらず、これだけ露出が異なってしまったことである。突然露出が不安定になるのは困る
38mm / F11 / 1/180(秒)

人物モードで撮影。背景に露出が合ってしまい、人物は真っ黒になってしまった。分割測光なら人物がもっと明るく写るはずだと思ったが、期待どおりにはならなかった
23mm / F11 / 1/125(秒)
ストロボを発光させ、日中シンクロの効きを見てみた。人物にストロボ光があたり、明るくなった。しかしまだ人物は露出アンダーで、もっと明るく補正したい
23mm / F9.5 / 1/180(秒)

プログラムモードでストロボ発光。ストロボの調光は少しアンダー気味に調整されるようだ
33mm / F4.5 / 1/30(秒)

特殊レンズを使用した作例

 *ist DLはペンタックスKAFマウントであるから、ペンタックス67や645用レンズを、KAFマウントに変換する純正マウントアダプターを使用すれば、これらの中判カメラ用レンズを使用できる。また昔のペンタックスの標準マウントであったプラクチカ(M42)マウントのレンズを使うための純正アダプターも用意されていて、これは非常に安価だ。

 プラクチカマウントのレンズは、ペンタックス以外に国産ではフジ、マミヤ、オリンパス、ヤシカ、リコー、コシナ、チノン、ペトリなどのメーカーが一眼レフ用マウントとして採用していた時期があり、また国産レンズメーカーも多数の交換レンズを出していた。海外ではプラクチカ、コンタックス、エキザクタ/エクサ、イカレックス、レグラ、エディクサ、アルパ、ゼニットなどさまざまなカメラがあり、レンズメーカーもカール・ツァイスやシュナイダーなどの一流メーカー以下多数存在する。

 これらのレンズを使っての作画は*ist Dシリーズの大いなる楽しみでもあり、実際私のまわりで*ist Dシリーズを所有している友人はすべて、これらを使うために純正マウントアダプターを買ったと言う。

 このマウントアダプターを使用して使う場合には、カメラ側のカスタム設定でSレンズ使用時のFIという項目を設定する必要がある。同時に絞りリングの使用の項目も可能に設定する。こうすることでカメラが動作するようになり、フォーカスインジケーターも使用可能となる。さらにAF/MFのスイッチを操作すると、AF側ではフォーカスインジケーターが点灯しないとシャッターが切れず、MF側では関係なくシャッターを切れるようになる。

 露出については絞り込み測光となるため、レンズ側でマニュアル絞りに設定できないレンズは開放絞りでしか使えないことに注意したい。例えば現行のコシナSLレンズシリーズのM42マウントレンズ群は、自動絞りにしか対応していないので、絞ることができない。

 また*ist DLで絞り優先AEに設定して実絞りAEで撮影すると、なぜか大幅に露出がアンダーになってしまう。面倒でもカメラの電源スイッチを兼ねた絞り込みレバーを操作して、実絞りでマニュアル測光して露出を合わせなればならない。

 ただしこのカメラはよくできていて、AE-Lボタンを押すと即座にシャッター速度を変化させて適正露出に合わせてくれるので、実際の測光操作は素早くできる。


ペンタックス67用105mm F2.4レンズを純正マウントアダプターを介して*ist DLに装着したところ 純正のM42マウントアダプターを*ist DLに装着したところ デッケル-M42マウントアダプターを併用してデッケルマウントのカラースコパー50mm F2.8レンズを装着したところ

ペンタックス67用105mm F2.4レンズで撮影。なめらかなトーンが美しい
105mm / F8 / 1/500(秒)
ペンタックス67用SMCマクロ135mm F4レンズで撮影。マクロレンズらしくシャープである
135mm / F8 / 1/1,000(秒)

東独プラクチカLLCカメラ用標準レンズ、ペンタコン50mm 1.8で撮影。東独メイヤー製のレンズだが、きれいな描写が印象的
50mm / F2.8 / 1/125(秒)
東独カールツァイスの名玉フレクトゴン35mm F2.4レンズだが、絞り優先AEで撮影してしまったため、露出がアンダーになってしまった
35mm / F8 / 1/1,000(秒)

フォクトレンダーのベッサマチック用カラースコパー50mm F2.8レンズ(デッケルマウント)で撮影
50mm / F4 / 1/750(秒)
コダックのレチナレフレックス用レチナ・クセナー50mm F2.8(デッケルマウント、シュナイダー社製)で撮影。いずれもよく写っているが、発色がかなり異なり雰囲気が違うのに驚く
50mm / F8 / 1/250(秒)

プリント時画質評価

 *ist DLで撮影した画像のプリントを作成して、画質を検討した。JPEGは撮影したままのデータを、いつも評価に使用しているエプソンのPX-G900とA3ノビ対応のPX-G5000を使用してプリントしてみた。プリントはカメラ付属のPENTAX PHOTO Browser 2.1やPhotoshop CS2、あるいはNikon Viewなどからプリントしたが、結果には差がなかった。

 まずA4サイズ以下については、600万画素のデジカメらしく、非常に鮮明なプリントが得られる。ただしJPEG圧縮の影響なのか、ごく細部の解像がよくない傾向があるのがやや気にかかる。色合いは良好で特に画像仕上げが「鮮やか」になっていると、彩度とコントラストが高くメリハリのついたプリントとなる。これがよいという人も多いだろうと思うが、わざとらしいほどの鮮やかさが気になるという人もいた。これは好みの問題ではある。

 A3ノビに印刷した場合であるが、全体としてはとてもきれいな画像が印刷されるのであるが、先ほどの解像感の不足がより強く感じられ、細部の描写が今ひとつである。もうひと息のシャープ感が私には欲しい。600万画素級の他社ライバル機と比べると、明らかに一段甘い画像に見えてしまうのである。


説明書

 付属のカメラ取扱説明書は200ページに達する分厚いものだが、A5サイズのページを比較的ゆったりと使い、そして説明文のフォントが大きめで全体にとても読みやすい。他社のマニュアルの中には、小さめの判に細かいフォントでびっしりと説明文が記載されていて読みづらいと感じるものもある。

 説明は簡潔明瞭だが、しかしもう少し詳しく説明して欲しいと思う箇所もあり、例えばそれぞれのシーンモードでカメラがどのようなアルゴリズムで制御を行ない、撮影の際にどういうことに注意するとよく撮れるかといったことは、ぜひ詳しく書いて欲しいところである。

 なお付属のPENTAX PHOTO BrowserおよびLaboratoryのマニュアルも100ページほどの厚さのものが付属する。


総評

 撮影画像については、上級機の*ist DSと同様、細部の解像感が不足気味だ。画像そのものの仕上がりの印象は悪くないだけに、残念なところだ。

 ペンタックスKAFマウントや645、67マウントレンズに加え、ユニークなレンズが星の数ほどあるM42(プラクチカ)マウントのレンズを装着して、さまざまな写りを楽しむことができるのも、ペンタックスカメラの別のおもしろさであり、さらに画質が向上したモデルの登場を期待したいところである。

 なおDA 18-55mm F3.5-5.6 ALレンズは、周辺光量の低下と歪曲収差が目立つが、周辺部まで比較的均質な安定した画像である点を評価したい。クイックフォーカスシステムなど、操作性もとても良好で、*ist Dシリーズの標準レンズとして活躍することだろう。



URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/ist-dl/

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根本 泰人
(ねもと やすひと)クラシックカメラの収集が高じて有限会社ハヤタ・カメララボを設立。天体写真の冷却CCD撮影とデジタル画像処理は約10年前から、デジカメはニコンE2/E900から。趣味は写真撮影、天体観測、ラン栽培、オーディオ(アンプ作り)等。著書「メシエ天体アルバム」アストロアーツ刊ほか。カメラ雑誌、オーディオ雑誌等に寄稿中。 http://www.otomen.net
http://www.hayatacamera.co.jp

2005/08/12 00:07
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