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【新製品レビュー】松下電器 LUMIX DMC-FX8

〜電池寿命や動画機能が改善されたFX7の後継機
Reported by 安孫子 卓郎

 昨年大ヒットした「DMC-FX7」の後継機種として、今年は「DMC-FX8」が登場した。FX7は大ヒット商品であり、そもそもの完成度が高く、変更する部分もさほど見あたらない。そのため、FX8は細かい手直しだけのマイナーチェンジといった印象を受ける。

 とはいうものの古くささは全くなく、現在でもこのクラスでは珍しい「手ブレ補正付きコンパクト」として、おすすめ度最高ランクに位置付けて良い製品となっている。


手ブレ補正はそのままにバッテリー関連を強化

 2004年8月にFX7が発売されたときにはずいぶん小さく、薄く、そのコンパクトさにびっくりしたものだが、他社からも薄型の機種が数多く登場した今、見慣れたこともあって薄さも並に感じられる。FX7とほぼ同じ大きさなのだが、普通に思えてしまうから慣れというのは恐ろしいものだ。

 逆にFX7は薄すぎて持ちづらかった印象があるが、これもほかの機種で慣れてきたためだろうか、FX8では気にならなくなっている。





 基本的な部分はFX7と変わらないため、操作性などについては軽く触れるにとどめておく。ボディ上部のスライドスイッチで起動し、シャッターボタン周りのズームレバーでズームする。再生、撮影、オート撮影、マクロ、シーン、動画の各モードは、ダイヤルで切り替える。

 上部には手ブレ補正のスイッチがあり、手ブレ補正モードとして“1”、“2”、“OFF”を選べる。常時補正する“2”の方が効果は高いというので、今回は2を常用した。背面は2.5型液晶と、十字ボタン、ディスプレイボタン、削除・連写ボタンなどが並ぶ。

 手ブレ補正があるため、スローシャッターの限界速度を1/2秒、1/4秒、1/8秒から選択できる。筆者の場合、経験的にスローの限界値は1/4秒と見ているので、今回は安全を見越して1/8を選択した。

 スローシャッターは一眼レフを含め、だいたい1/4秒くらいが限界と思われる。1/2秒でもブレないこともあるが、5枚から10枚は撮影しておかないと、「あたり」が出ない印象がある。皆さんが設定する場合も、基本は1/8秒にしておき、特にスローに挑戦したい場合のみ変更するのがおすすめである。

 感度設定オートではISO200まで増感する。ISO200の画質はまずまず良好である。これは昼間増感してどれくらいノイズが目立つか、という意味ではなく、暗い場所で暗さに合わせて増感された場合の印象だ。ライトなどの光源がありつつ暗い場合は問題ないが、全体に薄暗い場合、マイナス補正をしておかないと明るく写ってしまう。黒が浮いて灰色になるとノイズも目に付くので、暗い場所ではマイナス補正する撮り方を覚えておくと良いだろう。

 最大の改良点は、FX7に比べて2.5倍の撮影が可能となったバッテリーの持続時間である。画像処理エンジンを「ヴィーナスエンジンII」から「ヴィーナスエンジンプラス」に変更し、あわせてバッテリーも大容量化した。その結果、CIPAの基準で300枚の撮影が可能だ。撮影スタイルによるのだが、個人的にCIPA基準は当てにして良い基準と考えている。

 おそらく300枚撮影できれば、ほとんどの人は予備バッテリーを必要としないだろう。また充電器も直接コンセントに差し込むコンパクトなタイプで、旅行などで持ち歩いても負担が少ない。


SDメモリーカードスロットおよび電池室 電池室の蓋。LOCKスイッチは手動

DC IN端子(左)とAV出力端子

 もうひとつの改良点は、「赤ちゃん」、「美肌」、「料理」の各モードがシーンモードに追加されたこと。ユニークなのは赤ちゃんモードで、誕生日を設定しておくと、赤ちゃんモードでの撮影時と再生時に、生後何年何カ月と何日といった具合に年齢と月齢が表示されるのだ。また赤ちゃんの肌がきれいになるように、色調も補正されるという。

 なかなか面白い機能だが、色調補正はオプションの方が良かったようにも思う。というのも、このモードは「○月○日アサガオの種をまいた」など、観察日記にも流用できそうだからだ。あるいは料理モードと組み合わせて「×月×日の食事」のようにダイエット日記に使うとか、色々とアイデアは出る。まあ補正は極端ではないので、気にしなければ他の用途にも流用は可能だ。

 なお、年齢や月齢はFX8本体の液晶モニターに加え、Windows用の同梱ソフト「LUMIX Simple Viewer」内の「赤ちゃんモード」でも確認できる。

 また9画素混合で高感度のVGA動画が撮影できるようになった。今日では当たり前になってきているものの、30fpsのフレームレートでの動画撮影は重要な機能だ。特に動画では手ブレ補正のあるなしが大きく影響する。ここもまた、FX8の手ブレ補正機能が威力を発揮する部分である。

 AFは、より早く合焦する「高速1点モード」が搭載された。マルチAFより体感的に速く、快適性が増している。何も考えずにシャッターを押すと中抜けなどの失敗を起こしそうだが、フイルムのコンパクトカメラと違い、液晶モニターにAFのフレームが表示されている。フォーカス位置を確認できるので常用して問題はないはずだ。また、コンパクトデジカメなので被写界深度も深く、フォーカスロック後にレンズの角度を変えてもピントがずれる心配はほとんどない。

 ひとつ残念なのは、底のバッテリーとメディア室のストッパーにバネがなく、蓋を閉めた後、手動でスライドさせる必要があること。わずかなことではあるが、オートでカチッと留まる方が気持ちも良いし、うっかり外れる心配もない。


撮影時の画面 露出補正 オートブラケット

撮影設定1 撮影設定2 撮影設定3

シーンモード選択 シーンモード「赤ちゃん」の設定

魅力は今年も継続、おすすめのコンパクトモデル

 「手ブレ補正では被写体ブレは止まらない。増感する方がよい」といった考えが最近流布し始めているが、本来は手ブレ補正か増感かという、二者択一のものではない。被写体ブレは必ずしも失敗写真にはならず、躍動感につながる場合もある。滝の写真などは、あえてスローシャッターにして水の流れをつなげて写すのが定番である。流し撮りも同様だ。

 一方、被写体ブレを止めるためには、一般論だが1/250秒くらいのシャッター速度は必要といわれており、遅くても1/125秒くらいはほしい。ただし、夜の室内などでこのシャッター速度を得るのは、ISO800やISO1600程度の感度ではまず不可能だ。

 どちらにしても被写体がブレるなら、手ブレがない方が良い。被写体ブレはあえて作画に利用することもあるが、手ブレはまず間違いなく、ほとんどのケースで失敗写真となる。増感して速いシャッターを切ることにも大きな意味と価値があるが、それと比較して手ブレ補正の価値が減ったり、意味が薄れたりするわけではない。手ブレ補正機能の搭載は、従来と何ら変わりなく、大きな利点として評価して良い部分である。

 被写体ブレを止めるには、増感と共にもうひとつの選択肢がある。明るいレンズを使うことだ。増感性能に優れ、手ブレ補正がつき、明るいレンズを搭載しているコンパクトデジカメが有ればベストなのだが、残念ながら現在この3つを兼ね備える機種はなく、いずれかひとつを選んで選択しなくてはならない。

 FX8はそのうちのひとつ、手ブレ補正を搭載しているわけだ。上級者にはスローシャッターによる作画の広がりがあり、初心者には手ブレによる失敗の軽減がえられ、幅広いユーザー層にマッチする機種と考えている。マイナーチェンジと軽く考えるものではなく、今シーズンのおすすめベスト3の一角と判断している。


作例

※以降に掲載する作例のリンク先は、撮影した画像データそのものです(ファイル名のみ変更しています)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。

※キャプション内の画像データは、画像解像度(ピクセル) / 露出時間 / 絞り値(F) / 露出補正値(EV) / ISO感度 / レンズ焦点距離(35mm判換算、mm)です。



●画角


【広角端】2,560×1,920 / 1/250(秒) / 5.6 / -0.3 / 80 / 35 【望遠端】2,560×1,920 / 1/100(秒) / 10 / -0.3 / 80 / 105


●ホワイトバランス

 手ブレ補正を活かす場面として、室内での撮影がある。しかし室内ではどうしても色がかぶる。FX8にはホワイトバランスのカスタム登録機能があり、登録することができる。今回はエクスポディスクでホワイトバランスを取ってみたが、オートより良好な結果が得られた。

 ストロボを使ってもほぼ同様の色合いになるが、ストロボ光の反射が起きる。被写体が動かなければ、カスタムホワイトバランスと手ブレ補正で撮影する方が良好な結果となる。


【WBオート / ストロボOFF】
2,560×1,920 / 1/8(秒) / 2.8 / -0.3 / 200 / 35
【WBオート / ストロボON】
2,560×1,920 / 1/60(秒) / 2.8 / -0.3 / 100 / 35
【WBカスタム / ストロボOFF】
2,560×1,920 / 1/8(秒) / 2.8 / -0.3 / 200 / 35


●感度

 オートではISO200相当まで増感するようだ。ISO200は結構使える品質。作例は木陰の暗い場所を選んで撮影したが、空に対して幹が暗いので、ノイズが浮きやすい。また夜間よりも昼間の増感の方が気になるものだ。

 もちろんPCで等倍に拡大すればノイズも見えるが、縮小してWEBに掲載したり、A4までの印刷で使用するのであれば、十分耐えられるはずだ。


【ISO80】
2,560×1,920 / 1/320(秒) / 2.8 / -0.7 / 80 / 35
【ISO100】
2,560×1,920 / 1/400(秒) / 2.8 / -0.7 / 100 / 35

【ISO200】
2,560×1,920 / 1/200(秒) / 5.6 / -0.7 / 200 / 35
【ISO400】
2,560×1,920 / 1/400(秒) / 5.6 / -0.7 / 400 / 35


●カラーモード


【ナチュラル】
2,560×1,920 / 1/50(秒) / 3.8 / -0.3 / 80 / 63
【ヴィヴィッド】
2,560×1,920 / 1/40(秒) / 3.8 / -0.3 / 80 / 63


●エフェクト


【エフェクトなし】
2,560×1,920 / 1/100(秒) / 2.8 / 0 / 80 / 35
【ウォーム】
2,560×1,920 / 1/80(秒) / 2.8 / 0 / 80 / 35

【クール】
2,560×1,920 / 1/100(秒) / 2.8 / 0 / 80 / 35
【セピア】
2,560×1,920 / 1/80(秒) / 2.8 / 0 / 80 / 35

【白黒】
2,560×1,920 / 1/80(秒) / 2.8 / 0 / 80 / 35


●そのほか


ISO200、1/10秒でも手ブレはない。仮にISO800に増感したとしても、1/40秒にしかならないため、犬が動けば被写体ぶれは起きるし、1/40秒なら手ブレ率も高まる。やはり手ブレ補正のメリットは高い
2,560×1,920 / 1/10(秒) / 2.8 / 0 / 200 / 35
発色はきれいなのだが、コンパクトデジカメ故に背景はあまりボケない。記録的な写真には十分だが、写真を趣味として楽しむには、もう少し背景がボケて欲しいものである
2,560×1,920 / 1/320(秒) / 5 / -0.3 / 80 / 105

ISO80に固定して低速シャッターを狙ったが、ここでは1/25秒まで。1/8秒まで落とせれば、さらに水が流れておもしろい絵が撮れる。PowerShotGシリーズのように内蔵NDフィルターがあれば手ブレ補正を利用した作画をさらに楽しめてベストなのだが
2,560×1,920 / 1/25(秒) / 5 / -0.3 / 80 / 105
ISO80で1/50秒。コンパクトデジカメは通常、Pモードでの撮影で十分だと思う。しかし、時には物足りないことも。ここではスローで煙をもっと写したかったのだが、Pモードしかないため手の施しようがなかった。線香そのものの写りはシャープ
2,560×1,920 / 1/50(秒) / 2.8 / -0.7 / 80 / 35

ISO200で1/13秒。絵画を撮影。かなり暗くてもスローシャッターが切れると撮影できるものだ。肉眼の印象とも近く、利用範囲が広いデジカメである
2,560×1,920 / 1/13(秒) / 2.8 / 0 / 200 / 35


URL
  パナソニック
  http://panasonic.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/fx8/

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松下、手ブレ補正搭載薄型デジカメの後継機「DMC-FX8」(2005/05/09)



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2005/05/26 14:06
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