2004年12月27日に掲載したカールツァイス T* ブラナー50mm F2レンズのエプソンR-Dによる試写に引き続き、今回はカールツァイスT*ZMマウトンシリーズのビオゴン35mm F2レンズの試写レポートをお届けする。
昨年12月発売予定のところ、発売が遅れることすでに約3カ月ということで、コシナのホームページにはお詫びが掲載されている。今回はカールツァイスの最終検査を受けた量産製品版での試写レポートをお届けする。発売は3月25日である。
■ ビオゴン35mm
ビオゴン35mm F2は、その名の通りビオゴンタイプの6群9枚構成である。レンズを手にすると、最前面のレンズがガラス玉のように突出して見えることに驚かされる。
宣伝文句の「パワフルなオールラウンダー」とは、これまたやや意味不明であるが、ライカMマウント用レンズの中で活用範囲がもっとも広い準標準レンズである35mmレンズとして、さまざまな撮影シーンに完璧に対応できる高性能レンズという意味と解釈したい。
レンズ性能については、コシナのホームページにMTFのデータなどが公開されており、これを見る限り、対称型のビオゴンらしく歪曲収差が極端に少ないことがわかる。つまり建築写真など直線のゆがみを極度に嫌う撮影にも十分対応できることを意味している。歪曲収差はレンズの持つさまざまな収差の中で、絞ってもまったく改善されない収差であるだけに、この歪曲収差が少ないのはたいへんな美点である。ズームレンズはもとより、レトロフォーカスタイプを採用した単焦点広角レンズには、歪曲収差に関してはこのレンズの敵はいないだろう。
その反面、対称型レンズの特性として周辺光量の低下が生じるのはやむを得ない。F2開放では35mm判の四隅では光量は中心部の30%を切る。これは2絞り分程度暗くなることを意味している。これは絞ることで改善され、F4で60%、約2/3絞り分まで軽減している。画面全体に均質なイメージが欲しい場合には、F5.6以上に絞ったほうが良いだろう。MTF曲線で判断すると、開放でもかなりコントラストが高く鮮明な描写が期待できるが、F4まで絞ると画面全体にきわめて高画質となり、極限まで高い解像度とコントラストを示す。カタログにある「驚くべき解像度」は嘘ではないはずだ。
レンズの外観や操作性の印象は、前回プラナー50mm F2レンズのレポートで述べたものと同じであるので、そちらを参照して欲しい。このビオゴン35mmレンズとプラナー50mmレンズの操作感は非常に良く似たもので、混用したときも違和感がなく大変好ましい。レンズの全長はビオゴンが少し長い。レンズ先端の外爪バヨネットに装着する専用金属フードは、プラナー50mmと兼用のもので、ツァイスではフードではなくレンズシェードと呼んでいる。脱着は簡単確実である。
カールツァイスの誇るT*コーティングであるが、各面の反射の色は緑や紫、薄青といった複雑な様相を見せる。レンズをのぞきこむと非常な透明感を感じる。絞り羽根は10枚で、円形絞りではなく正10角形ではあるが、どの絞りでも形が正確に整っている。絞り開放でも絞り羽根がわずかに残って見えるが、これが正常な状態のようだ。
今回のレンズのシリアル番号は「15535135」で、カールツァイスの検査を受けた合格品はこの9桁のシリアル番号が与えられる。コシナで製造したカールツァイスのレンズは1本ずつすべて検査を受けるため、出荷される製品の品質については万全であるとアナウンスされている。
以上、この新しいコシナ製ビオゴン35mm F2レンズの仕上がりは、プラナー50mm F2同様文句のつけようがない素晴らしいものであった。
■ フォクトレンダーブランド35mmレンズ3本も同時比較
今回の試写にあたっては、デジカメWatch編集部の強い要望により、ビオゴン35mm F2に加えて、すでにコシナ・フォクトレンダーブランドで発売され好評を博している35mmレンズ、ノクトン35mm F1.2 アスフェリカルとウルトロン35mm F2 アスフェリカル、カラースコパー35mm F2.5P IIを加えて、この4本を同一条件で比較することとなった。
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ノクトン35mm F1.2 アスフェリカル
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ウルトロン35mm F2 アスフェリカル
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カラースコパー35mm F2.5P II
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カラースコパー35mm F2.5P IIは、コシナ・フォクトレンダー最初期の製品であるカラースコパー35mm F2.5Pタイプの改良型として1年ほど前に発売された。VMマウントとなったため、R-D1にはそのまま装着できる。レンズは5群7枚で、非球面レンズなど特殊なレンズは使用していないが、F値が暗いのにぜいたくなレンズ設計が目をひく。
デザインはライカのレンズによく似た姿となっていて、操作性も良い。元々のカラースコパー35mm F2.5レンズはライカスクリューマウント(L39)仕様で、バルナックライカによく似合うクラシック(C)タイプと、ベッサRなどで使いやすいパンケーキ(P)タイプの2種類があった。これらはいずれも大変コンパクトでありながら高性能を追求したレンズで、価格も安いことからベストセラーレンズとなっており、愛用者が大変多い。
ウルトロン35mm F1.7 アスフェリカルはライカスクリューマウント(L39)のレンズで、R-D1に使用するにはMアダプターリングを使用する。その名の通り片面非球面レンズを1枚使用した6群7枚構成で、対称型のレンズ構成を採用し、絞り開放から安定した性能を持つレンズであるという。レンズ性能とレンズの大きさ、価格などのバランスがとても良く、コシナ・フォクトレンダーレンズシリーズを代表するレンズと言え、実際このレンズの描写性能の良さはユーザーから大変に好評である。特にF1.7開放でのシャープさとボケの良さは見事で、私も手元のこのレンズを大いに信頼している。
ただ最短撮影距離が0.9mまでで、もう少し被写体に寄れれば文句のないところなのだが。なおF1.7という明るさは中途半端に思うが、その昔、日本の名レンズとしてコレクターの間では名高いズノー35mm F1.7にあやかったものとコシナの小林社長からうかがったことがある。
ノクトン35mm F1.2は2003年4月に発売開始された新鋭レンズで、35mm級レンズで一眼レフ用交換レンズも含め世界一明るいレンズとして世界中の話題をさらったレンズである。他に例を見ないF1.2を実現するため、高屈折ガラスをふんだんに使い、両面非球面レンズ1枚と片面非球面レンズ1枚を採用し7群10枚構成の非常に凝ったレンズ構成を持つ。カタログにあるように「現在考えられるすべてのテクノロジーを投入」したというのは本当だろう。まさにコシナの技術力を誇示した製品であり、これほどのハイスペックながら価格は141,750円とその安さにも驚嘆の声があがった。
発売後の評判も大変に良く、F1.2開放でのごく薄いがシャープなピント面とその前後の大きなぼけのなめらかさは感動ものである。いずれの絞りでもピント面のシャープさは素晴らしく、その巨大なレンズ鏡胴さえ気にならなければ、常用レンズとしてこれ以上のものはないかもしれない。私は光が弱い条件になる時には、迷わずこのレンズを選んでいる。
■ 個人的興味から比較レンズを追加
さらに私の個人的な興味から、手元にあったライカのズミクロン・アスフェリカル35mm F2と、エルンスト・ライツ時代の初代ズミクロン35mm F2(8枚玉)、それに復刻生産で話題沸騰のニコンSPに装着されているWニッコール35mm F1.8のオリジナル版のライカマウント仕様、さらにこのレンズタイプを改良したコニカ・ヘキサーの35mm F2レンズを単体レンズとした藤澤商会発売のヘキサノン35mm F2まで試写テストした。
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ズミクロン・アスフェリカル35mm F2
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ズミクロン35mm F2
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Wニッコール35mm F1.8
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ヘキサノン35mm F2
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ライカの純正35mmレンズは戦前の'30年に発売されたエルマー35mm F3.5からスタートするが、最初のF2級大口径レンズは'58年に登場したズミクロン35mm F2である。このレンズはガウスタイプの6群8枚構成であるが、その銀塩写真における素晴らしい描写性能はもはや伝説的と言って良いだろう。当時はエルンスト・ライツの最盛期でもあり、レンズの工作精度や品質、外観デザインの美しさなど、いまだにこれ以上は無理と言われるほどの出来栄えで、俗に8枚玉と言われるこのレンズは今も非常に人気が高い。ただし使用上の問題やメンテナンスの不良により、レンズ性能が劣化した中古レンズもよく見かけるようになってきたので、入手の際には十分な注意が必要である。
ズミクロン35mm F2は'69年に4群6枚構成となり、外観デザインも変更された。3代目は'79年の登場で5群7枚構成に改良され、軽量化されている。そして'97年、非球面レンズを1枚採用した5群7枚構成の最新レンズに改良されて、ズミクロンM35mm F2アスフェリカルという名称になっている。このレンズの性能については、ライカのホームページでMTFや歪曲収差、ビネッティングなどのデータを確認することができる。
このレンズもたいへん高性能であるが、歪曲収差やMFTなどのデータはビオゴン35mm F2のほうがわずかに良いように見える。また周辺光量の低下はほぼ同程度であることもわかる。なお、今回テストに使用したレンズは、ICS輸入カメラ協会の200台限定版ライカM6ブラックペイントボディとシリアルナンバー揃いのプラックペイント仕上げであるため、外観は通常のものとは異なっている。
この3月から予約販売による配布がはじまったニコンSP復刻版には、同じく復刻されたWニッコール35mm F1.8レンズが装着されている。このレンズは'56年の発売当時世界一の明るさを誇った35mm広角レンズである。ニコンの説明によると3.5cm広角レンズが「準標準レンズ」として多用されるようになってきたので、市場のニーズに対応すべく'56年1月大口径広角レンズを製作し、ニコンSマウント用は'56年4月発売、ライカマウント用を'57年3月に発売したとある。
大口径広角レンズにもかかわらず、像面の平坦性が良好なうえ、球面収差、コマ収差、非点収差を抑え、周辺まで鮮鋭に解像するという優れた特徴を持っていた。米国特許を取得したというレンズ構成は、同種広角レンズでは他に例のないクセノタールタイプで、5群7枚の光学系の4枚が高屈折率のランタンクラウンガラスだそうである。このレンズの開発の経緯などは、ニコンのホームページ上の「ニッコール千夜一夜物語」( http://www.nikon.co.jp/main/jpn/society/nikkor/ )に詳しい解説がある。
なお、今回使用したレンズはライカスクリューマウント(L39)用で、外観形状はS用ニッコールとはまったく異なっている。
驚いたことに、このニコンが開発したクセノタールタイプそのものの構成の大口径広角レンズを搭載したカメラが登場した。'92年に登場したコニカ(当時)のヘキサーである。コニカの解説では、ヘキサー35mm F2はまったく独自の新設計とあったが、Wニッコール3.5cm F1.8の改良型であることは構成図を見れば疑いようがない。ヘキサーはWニッコールと異なり前群に空気レンズが採用され、また最後部群の形状がわずかに異なるが、実際に撮影してみるとその描写はかなり似ていると思う。ヘキサーはマルチコートなど最新の技術で作られているから、逆光時のフレアの少なさやコントラスト、カラーバランスなどWニッコールより当然優れているが、ピント面のシャープさと四隅のぼけの崩れ方などは両者とも共通のレンズ構成に基づく特徴がある。
'96年にはこのヘキサーのレンズのみが独立し、藤澤商会からヘキサノン35mm F2レンズとしてシルバー仕上げのライカスクリューマウント版が1,000本限定で発売され、これは短期間で完売した。さらにコーティングと外観デザインが改良されたプラックペイント仕上げの新型UCヘキサノン35mm F2が'01年に再度限定1,000本で登場し、これは現在も発売中である。UCはウルトラ・コンパクトとウルトラ・コーティングの両方の意味がある。手元にはいずれのレンズもあるが、試写テストしたのはシルバー仕上げの初期型のほうである。
■ 実写結果
実写にあたっては、R-D1の設定は初期設定とし、その他の条件は一切変更していない。フィルムは標準設定、ISO200、ホワイトバランスはオート、画質はJPEGのFine、露出はカメラまかせの絞り優先AEである。ピント合わせと構図の決定は、R-D1のファインダーによる。R-D1の撮像素子はAPS-CサイズのCCDであり、35mmレンズは35mm判換算で53mm相当となる。すべて三脚に固定して撮影し、手ぶれの影響が出ないよう注意した。
撮影は特に注釈がない限り、開放F値がF2のレンズは開放から1段ずつ絞っていった。ノクトン35mm F1.2はF1.2とF2で、ウルトロン35mm F1.7はF1.7とF2で、Wニッコール35mm F1.8はF1.8とF2で、カラースコパー50mm F2.5はF2.5とF2.8で撮影し、その後はすべて1段ずつ絞った。今回は天候に恵まれなかったことと、レンズ本数が多く撮影に時間がかかったため撮影場所が限定され、撮影対象があまり良くないことはあらかじめお詫びしておく。
なお、今回のテストはあくまでもエプソンR-D1との組み合わせにおける結果であり、銀塩フィルムで撮影した場合の結果との相関は保証できない。
※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像そのものです(ファイル名のみ変更しています)。縦位置のものは、サムネールのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。
【遠景】
R-D1は最低感度がISO200であるが最高シャッター速度は1/2,000秒までのため、各レンズの開放近くの絞りでは完全に露出オーバーとなり日中の撮影は無理である。したがって今回はF4からF8まで絞って江戸川の風景を撮影した。F4でもやや露出オーバーである。
ビオゴンは絞りF4ですでに四隅までたいへんにシャープである。周辺光量の低下がわずかに認められ四隅方向に暗くなっていく。F5.6、F8も同様の傾向だ。歪曲収差はまったくわからない。発色は自然だが、わずかに赤味が強いように感じる。端正な画像である。
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【F4 / ビオゴン】
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【F5.6 / ビオゴン】
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【F8 / ビオゴン】
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ノクトンもビオゴン同様絞りF4で四隅まできっちりシャープである。周辺光量の低下はビオゴンより少なく、F5.6ではほとんど気にならなくなる。歪曲収差はビオゴン同様わからない。発色は自然な感じである。
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【F4 / ノクトン】
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【F5.6 / ノクトン】
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【F8 / ノクトン】
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ウルトロンはF4では中心付近はシャープだが四隅で像が流れ、にじみが認められる。空の隅の部分では周辺光量もわずかに不足する。F5.6に絞るとほぼ全画面シャープになるが、画面のごく端のところにまだ像の甘い部分がある。F8まで絞ると、まず満足できる画質になる。歪曲収差はわからない。発色は自然な感じである。
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【F4 / ウルトロン】
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【F5.6 / ウルトロン】
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【F8 / ウルトロン】
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カラースコパーはF4ではウルトロン同様四隅で像が流れ、にじみが認められる。周辺光量の低下はウルトロンより大きい。F5.6に絞っても四隅の像が甘く、F8までしぼるとなんとかほぼ全画面シャープな感じになる。しかしまだ周辺光量の低下が気になる。歪曲収差はわからない。発色は自然な感じである。
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【F4 / カラースコパー】
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【F5.6 / カラースコパー】
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【F8 / カラースコパー】
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ズミクロン・アスフェリカルは絞りF4でほぼ画面全体にシャープだが、右手奥のビルの右側部がわずかに流れて見える。周辺光量の低下は隅でやや認められる。F5.6では画面全体に高画質となり、周辺光量の低下もわずかである。F8ではさらに良くなり、申し分ない。歪曲収差はわからない。発色は自然な感じである。
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【F4 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F5.6 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F8 / ズミクロン・アスフェリカル】
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8枚玉ズミクロンは、絞りF4ではほぼ画面全体にシャープであるが、左端でほんのわずかに流れが認められる。しかし画面右側のビル群は、ズミクロン・アスフェリカルよりシャープである。周辺光量の低下は、ノクトン、ニッコールと並び少ない。F5.6では画面全体に高画質である。F8ももちろん申し分ない。発色も自然な感じだ。歪曲収差は認められない。'50年代のレンズで、ここまでの性能があるとは驚いた。
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【F4 / ズミクロン】
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【F5.6 / ズミクロン】
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【F8 / ズミクロン】
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Wニッコールは絞りF4ではほぼ画面全体にシャープであるが、ズミクロン8枚玉同様、左端でほんのわずかに流れが認められる。周辺光量の低下はノクトン、ズミクロン8枚玉同様に少なく、優秀である。F5.6では画面全体に高画質となり、F8でさらに向上する。発色はズミクロン8枚玉にくらべて、わずかに黄色みが強いように感じる。歪曲収差は認められない。ズミクロン8枚玉と互角の実力を持つレンズである。
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【F4 / Wニッコール】
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【F5.6 / Wニッコール】
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【F8 / Wニッコール】
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ヘキサノンはニッコールと同傾向で、絞りF4ではほぼ画面全体にシャープで、ニッコールやズミクロン8枚玉に認められた左端部の流れはないが、右手奥のビルの右端部がわずかに流れて見える。周辺光量の低下はニッコールなどと同様に少なく、優秀である。F5.6では画面全体に高画質となり、F8では申し分ない。発色は現在のレンズらしくニュートラルであろう。歪曲収差は認められない。
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【F4 / ヘキサノン】
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【F5.6 / ヘキサノン】
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【F8 / ヘキサノン】
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以上8本のレンズを同一絞りで見てみると、遠景では画質の均質性でみてF4で最良なのはノクトンとビオゴンで、僅差でズミクロン・アスフェリカル、ズミクロン、ニッコール、ヘキサノンが同等、ウルトロン、カラースコパーという順になる。最新のレンズが良いのは当然として、'50年代の2本のレンズが大変な実力を持っていることに感心した。
【中景】
近所のお寺の門を撮影した。撮影した画像は少し左に傾いているが、ファインダーのフレームに水平を合わせて撮影している。つまり今回使用したR-D1は、フレームが水平に対して傾いているか、あるいは内部のCCDが斜めに取り付けられているようだ。他の作例にも、皆この影響が出ている。
晴天下の撮影であり絞りF2以上では完全に露出オーバーとなるため、すべてのレンズでF2.8以上に絞って撮影した。F2.8ではこれも若干露出オーバーであるが、画質の検討は可能と判断した。瓦の模様の鮮明さ、周辺部の画質の変化などに注目して欲しい。
ビオゴンは、F2.8では画像の四隅の端で像が流れて乱れているが、大部分はシャープである。このような作例では周辺光量の低下は目立たない。F4まで絞るとほぼ画面全体にシャープとなる。瓦の菊の花状の模様も今回テストしたレンズの中でトップを争う鮮明さである。F5.6になると被写界深度が深くなりピントの合う範囲が広く、画面全体が素晴らしい画質となる。F8も申し分ない。
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【F2.8 / ビオゴン】
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【F4 / ビオゴン】
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【F5.6 / ビオゴン】
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【F8 / ビオゴン】
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ノクトンは、F2.8ではビオゴンより四隅の乱れが少なく、すでに画面全体に高画質である。F4ではさらに均質性が増し、非常に良い。F5.6、F8も同様である。ノクトンは非常に安定した画質を見せることに感心した。
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【F2.8 / ノクトン】
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【F4 / ノクトン】
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【F5.6 / ノクトン】
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【F8 / ノクトン】
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ウルトロンは、F2.8では画面中央部の門は鮮明だが、その外側の部分の画像がかなり流れてしまっている。F4に絞ると相当改善するが、まだ周辺部に流れが残り、画質の均質性ではビオゴンのF2.8に及ばない。F5.6まで絞るとほぼ全画面シャープになり、F8では均質性がさらに良くなる。
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【F2.8 / ウルトロン】
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【F4 / ウルトロン】
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【F5.6 / ウルトロン】
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【F8 / ウルトロン】
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カラースコパーはF2.8はほぼ開放と言えるF値であり、周辺光量の低下が目立つ。画面中心部は鮮明だが、周辺部は像が流れて不鮮明である。しかしウルトロンのF2.8よりは、像の乱れは少ないようだ。F4に絞ると画質の良い範囲が広がるが、四隅が相変わらずダメである。またこの絞りでも周辺光量の低下が目立つ。F5.6になると画面の大部分が良い画質になるが、それでも四隅の端に乱れがまだ残る。F8まで絞るとまずまずである。
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【F2.8 / カラースコパー】
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【F4 / カラースコパー】
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【F5.6 / カラースコパー】
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【F8 / カラースコパー】
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ズミクロン・アスフェリカルは、F2.8で画面全体に高画質だが、画面の左端部と四隅に甘さが見られ、ビオゴンにわずかに及ばない。F4まで絞るとほぼ画面全体にシャープとなる。周辺光量の低下も目立たない。F5.6とF8は十分満足のいく画質と言えよう。
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【F2.8 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F4 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F5.6 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F8 / ズミクロン・アスフェリカル】
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8枚玉ズミクロンは、F2.8では画面左端部の像の乱れがやや大きい。画面中心部から右側の画質は良好であるので、このレンズにはわずかに像面の湾曲による片ぼけの傾向があるのかもしれない。周辺光量の低下は認められない。F4では画面のごく左端に像の甘さがあるが、大部分はシャープである。F5.6では四隅までシャープでたいへん良い画質である。F8も同様で申し分ない。
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【F2.8 / ズミクロン】
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【F4 / ズミクロン】
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【F5.6 / ズミクロン】
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【F8 / ズミクロン】
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WニッコールもF2.8では、8枚玉ズミクロン同様画面左部に画像の乱れがあり、その度合いは8枚玉ズミクロンよりも大きいようだ。画面中心部から右側の画質は良好である。またわずかに周辺光量の低下もある。F4でも画面左端の像の乱れが残る。F5.6では像の乱れはほぼ解消し、四隅までシャープで安定した良い画質となる。F8ではさらに均質性が高くなる。
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【F2.8 / Wニッコール】
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【F4 / Wニッコール】
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【F5.6 / Wニッコール】
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【F8 / Wニッコール】
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ヘキサノンはF2.8で画面全体に高画質だが、画面の四隅がやや甘い。わずかに周辺光量の低下もある。F4まで絞るとほぼ画面全体にシャープとなる。F5.6、F8と絞るほど画質が良くなっている。
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【F2.8 / ヘキサノン】
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【F4 / ヘキサノン】
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【F5.6 / ヘキサノン】
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【F8 / ヘキサノン】
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以上8本のレンズを同一絞りで見てみると、中景ではF2.8で最良なのはノクトン、次がビオゴン、その次がズミクロ・アスフェリカル、そしてヘキサノンで、8枚玉ズミクロンとニッコールは画面の左端の流れが気になった。ウルトロンとカラースコパーは、周辺部の像の乱れが大きい。画質にこだわる作画をするなら、ノクトン、ビオゴン、ズミクロン・アスフェリカルの3本だろう。F5.6まで絞るとカラースコパー以外のすべてのレンズが実用になる。
【近接撮影1】
いままで同様に人物を撮影したかったがモデルが手配できず、代わりに窓辺の花を近接撮影し背景のボケ方がわかるようにした。また背景が明るい逆光状態として、描写に影響が現れるかも検討した。緑色の菊の花の左手前部にピントを合わせている。撮影距離は0.9mである。また逆光であるため露出を+1.0EVオーバーに設定してAE撮影した。すべてのレンズは絞り開放からF5.6まで撮影した。
ビオゴンはF2開放では菊のイメージが甘い。背景のボケは癖がなく、とてもなめらかだ。画面全体は逆光でもすっきりした画像である。ただしこの画像だけではよくわからないが、次のF2.8の画像と比べるとかなり周辺光量が低下していることがわかる。ビオゴンタイプは開放での周辺光量落ちはやむをえない。F2.8に絞ると菊の花が中心部が鮮明になる。向こう側の花弁はボケているから、ピント面は浅いことがわかる。周辺光量の低下はかなり改善される。F4に絞るとさらに菊の花はシャープできりっとしてくる。背景のボケの量は絞るにつれて少なくなっていく。F5.6でまず文句のない画像である。
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【F2 / ビオゴン】
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【F2.8 / ビオゴン】
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【F4 / ビオゴン】
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【F5.6 / ビオゴン】
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ノクトンはF1.2開放では、ピントが極端に浅いがピントがあったところはかなり鮮明である。ただ、背後の木の枝などに紫色のにじみが大きく出ているのが気になる。背景のボケは大変大きいが、癖がない。周辺光量の低下もあるが、ビオゴンの開放よりはかなり少ない。F2に絞ると菊の花ははっきりし、ビオゴンのF2開放よりはるかに鮮明である。ただし背後の木の枝などの紫色のにじみはまだかなり目立つ。周辺光量の低下はほとんど目立たない。F4ではさらに菊の花の鮮明さが向上し、まず良好な画面と言える。F5.6ではさらにピントの合う範囲が広くなる。
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【F1.2 / ノクトン】
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【F2 / ノクトン】
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【F2.8 / ノクトン】
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【F4 / ノクトン】
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【F5.6 / ノクトン】
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ウルトロンはF1.7開放では、菊の花はややにじんでいるがピントのあったところは比較的鮮明である。ノクトン同様背景の枝などに、紫色のにじみが大きく出て気になる。周辺光量の低下もわずかにあり、これはF2、F2.8と絞ると解消されていくのがわかる。ボケはなめらかである。F2に絞ると菊の花の鮮鋭度があがり、F2.8でかなり良くなる。ただし紫色のにじみはまだ認められる。F5.6まで絞るとまず良好な画面となる。
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【F1.7 / ウルトロン】
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【F2 / ウルトロン】
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【F2.8 / ウルトロン】
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【F4 / ウルトロン】
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【F5.6 / ウルトロン】
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カラースコパーはF2.5開放ではピント面は深く見えるが、菊の花の鮮明さが不足している。他のレンズを同等に絞った時の画像の鮮明さにはおよばない。ただしノクトンやウルトロンに認められた紫色のにじみは、このカラースコパーにはない。背景のボケ方は素直で気持ちがよい。周辺光量の低下はやや認められ、F2.8、F4と絞るにつれて解消する。F4まで絞ると菊の鮮鋭さが向上し、まずまずの感じである。F5.6ではさらにコントラストがあがって鮮明に見える。
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【F2.5 / カラースコパー】
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【F2.8 / カラースコパー】
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【F4 / カラースコパー】
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【F5.6 / カラースコパー】
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ズミクロン・アスフェリカルは、F2開放では菊の花がかなり甘い。ビオゴンと同程度に見える。周辺光量の低下はほんのわずかに認められ、F4まで徐々に減少しながらも残存している。ボケはなめらかだが、今までのレンズとわずかに異なるように感じられる。F2.8で菊の花はかなり鮮明になり、F4でまずまずである。F5.6が最良である。
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【F2 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F2.8 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F4 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F5.6 / ズミクロン・アスフェリカル】
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8枚玉ズミクロンは、F2開放ではやはり菊の花のイメージがかなり甘い。これはF2.8でも解消せず、F4に絞ると急にシャープになる。そしてF5.6で最良となる。周辺光量の低下はF2開放でわずかに認められ、F4で解消する。このレンズも背景のボケはどの絞りでもなめらかである。
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【F2 / ズミクロン】
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【F2.8 / ズミクロン】
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【F4 / ズミクロン】
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【F5.6 / ズミクロン】
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WニッコールはF1.8では菊の花のイメージが甘い。ところが1/3絞り絞ったF2ですこし改善され、F2.8で相当によくなりF4ではニッコールらしいシャープな画像となる。F5.6はF4と同等でピントの合う範囲が広くなる。周辺光量の低下はF1.8開放ではわずかにあるが、F2.8で解消する。背景のボケはこのレンズも癖がなくて良い。
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【F1.8 / Wニッコール】
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【F2 / Wニッコール】
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【F2.8 / Wニッコール】
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【F4 / Wニッコール】
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【F5.6 / Wニッコール】
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ヘキサノンはニッコールとよく似ていて、F2開放では菊の花のイメージは甘いが、F2.8で大幅に改善し、F4でほぼ良好な画像となる。周辺光量の低下はわずがだがF4まで認められるようだ。背景のボケはこのレンズも良好である。
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【F2 / ヘキサノン】
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【F2.8 / ヘキサノン】
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【F4 / ヘキサノン】
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【F5.6 / ヘキサノン】
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以上の結果をみると、今回テストしたいずれのレンズも背景のボケはなめらかである。ピント面の鮮鋭さでは、F2で画像がもっとも鮮鋭だったのはノクトンで、他のレンズを大きく引き離した性能を持っている。F2.8でなんとか使えそうなレンズはビオゴン、ウルトロン、ズミクロン・アスフェリカルである。F4になるとこれにニッコール、8枚玉ズミクロン、ヘキサノンが加わり、F5.6ではすべてのレンズが実用になると言える。
【近接撮影2】
歪曲収差の程度などを調べたかったのだが、天候に恵まれず野外でビルの壁面の撮影ができなかったので、室内でタンスを撮影した。撮影距離は1.2mである。白熱光下で撮影したが、色温度が低すぎオートホワイトバランスでは補正しきれなかったが、色を見る撮影ではないのでそのままとした。タンスの各部の線の描写、中心部と周辺部の絞りによる像の崩れ方の違いなどを見て欲しい。なお線が傾いているのは、先に説明した理由である。
ビオゴンはF2開放では、像のにじみが大きくピントがきていないように見える。何度も撮影し直したが、結果はまったく同じであった。しかし線のゆがみはまったく認められない。さすがにビオゴンである。周辺光量の低下は、F2.8やF4の画像と比較するとかなりあることがわかる。F4まで絞ると四隅までほぼ鮮鋭なイメージになっている。
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【F2 / ビオゴン】
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【F2.8 / ビオゴン】
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【F4 / ビオゴン】
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【F5.6 / ビオゴン】
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ノクトンはF1.2開放ではすこしにじみがあるがピントは合っている。周辺光量の低下ははっきり認められる。このレンズも線の歪曲はほとんどわからない。F2ですでに四隅以外は相当良い画像で、F4で四隅までほぼシャープになり気持ちがよい。
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【F1.2 / ノクトン】
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【F2 / ノクトン】
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【F2.8 / ノクトン】
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【F4 / ノクトン】
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【F5.6 / ノクトン】
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ウルトロンはF1.7開放ではすこしにじみがあるがピントが合っている。周辺光量の低下ははっきり認められる。このレンズも線の歪曲はほとんどわからない。F2.8で四隅以外は相当良い画像だが、四隅までシャープになるのはF5.6まで絞らなければならない。このレンズは遠景より近接撮影時の性能のほうが良いようだ。
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【F1.7 / ウルトロン】
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【F2 / ウルトロン】
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【F2.8 / ウルトロン】
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【F4 / ウルトロン】
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【F5.6 / ウルトロン】
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カラースコパーは、F2.5開放ではにじみがあるがピントは合っている。周辺光量の低下ははっきり認められる。このレンズも線の歪曲はほとんどわからない。絞るにつれて画質は向上するが、F5.6まで絞って四隅までなんとか大丈夫という感じである。
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【F2.5 / カラースコパー】
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【F2.8 / カラースコパー】
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【F4 / カラースコパー】
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【F5.6 / カラースコパー】
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ズミクロン・アスフェリカルはF2開放ではわずかににじみがあるが、ピントは合っている。周辺光量の低下はわずかだが認められる。このレンズも線の歪曲はほとんどわからない。F2.8ですでにほぼ四隅まで良い画像で、F4で画面全体がシャープになるのは素晴らしい。
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【F2 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F2.8 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F4 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F5.6 / ズミクロン・アスフェリカル】
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8枚玉ズミクロンは、F2開放ではかなりにじみがあるがピントは合っている。周辺光量の低下はズミクロン・アスフェリカルに比べるとかなり大きい。このレンズも線の歪曲はほとんどわからない。F2.8でも画面中心部のイメージは甘いが、F4に絞ると急にシャープになる。画面全体がシャープになるのはF5.6以上に絞る必要がある。
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【F2 / ズミクロン】
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【F2.8 / ズミクロン】
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【F4 / ズミクロン】
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【F5.6 / ズミクロン】
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WニッコールはF1.8開放では、像のにじみが大きくピントがきていないように見える。しかし線のゆがみはこのレンズもまったくわからない。周辺光量の低下はF1.8開放ではかなりあるが、F2.8まで絞ると解消する。F2.8までは四隅が甘いが、F4まで絞ると四隅までほぼ鮮鋭なイメージになる。
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【F1.8 / Wニッコール】
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【F2 / Wニッコール】
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【F2.8 / Wニッコール】
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【F4 / Wニッコール】
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【F5.6 / Wニッコール】
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ヘキサノンもニッコールとほぼ同じである。F2開放では像のにじみが大きく、ピントがきていないように見える。F2.8でもにじみが大きい。しかし線のゆがみはこのレンズもまったくわからない。周辺光量の低下はF2開放ではかなりあるが、F2.8まで絞るとほぼ解消する。F5.6まで絞ると四隅までほぼ鮮鋭なイメージになる。
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【F2 / ヘキサノン】
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【F2.8 / ヘキサノン】
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【F4 / ヘキサノン】
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【F5.6 / ヘキサノン】
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以上の結果から、歪曲収差についてはどのレンズも優秀であることがわかる。やはり対称型を基本としたレンズ構成の利点であり、一眼レフ用などのレトロフォーカス型広角レンズの歪曲収差の性能とは一線を画すものだ。
【夜景】
夜景撮影により、点光源の乱れ方を調べてみた。画像の右側のビルの点光源や、強い街路照明光のまわりのフレアなどに注目して欲しい。
ビオゴンは、F2開放では周辺部の点光源のまわりに、鳥の翼のような大きな光芒が現れることがわかる。また強い光のまわりには紫色のにじみが認められる。しかし1段絞ってF2.8になると、嘘のように消えてしまう。紫色のにじみはまだ残存する。F4まで絞ると紫色のにじみも消え、画面上の光源はだいたいすっきりした描写となることがわかる。
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【F2 / ビオゴン】
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【F2.8 / ビオゴン】
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【F4 / ビオゴン】
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【F5.6 / ビオゴン】
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ノクトンは、F1.2開放では光源の周囲にいろいろな色の光芒が現れる。ただしビオゴンよりは全体に少ないようだ。ごく強い光のまわりには青紫色のにじみが出る。F2に絞るとほとんどの光芒は消え、すっきりした画像になる。ただし白色光のまわりには紫色のにじみが認められる。F4まで絞ると、この紫色のにじみはほぼ解消する。
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【F1.2 / ノクトン】
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【F2 / ノクトン】
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【F2.8 / ノクトン】
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【F4 / ノクトン】
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【F5.6 / ノクトン】
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ウルトロンもノクトンと似ていて、F1.7開放では光源の周囲にいろいろな色の光芒が現れ、これはF2では解消しない。F2.8に絞るとほとんどの光芒は消え、すっきりした画像になる。ただし白色光のまわりには紫色のにじみが認められ、これはF5.6まで絞らないとなくならない。
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【F1.7 / ウルトロン】
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【F2 / ウルトロン】
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【F2.8 / ウルトロン】
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【F4 / ウルトロン】
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【F5.6 / ウルトロン】
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カラースコパーはF2.5開放でも光源のまわりの光芒の広がり方は少ない。F2.8で光芒はほぼ消えるが、白色光のまわりには紫色のにじみが認められ、これはF5.6まで絞っても完全には消えない。
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【F2.5 / カラースコパー 】
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【F2.8 / カラースコパー 】
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【F4 / カラースコパー 】
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【F5.6 / カラースコパー 】
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ズミクロン・アスフェリカルは、F2開放でも光源のまわりの光芒の発生はとても少ない。白色光のまわりには紫色のにじみが認められるが、これはF2.8でほとんど解消してしまう。非常に優秀である。
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【F2 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F2.8 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F4 / ズミクロン・アスフェリカル】
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【F5.6 / ズミクロン・アスフェリカル】
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8枚玉ズミクロンは、F2開放では照明光の周りにかなり大きな光芒が発生する。ところがF2.8で、これがほとんど解消する。白色光のまわりの紫色のにじみはごくわずかで、これもF2.8で解消する。このレンズも優秀だ。
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【F2 / ズミクロン】
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【F2.8 / ズミクロン】
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【F4 / ズミクロン】
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【F5.6 / ズミクロン】
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Wニッコールは、F1.8開放では照明光の周りにかなり大きな光芒が発生する。F2でも少し軽減する程度である。ところがF2.8では、これがほとんど解消する。このレンズは白色光のまわりに紫色のにじみはまったく出ない。かわりに黄緑色のにじみが認められるが、これはあまり目立たない。
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【F1.8 / Wニッコール】
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【F2 / Wニッコール】
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【F2.8 / Wニッコール】
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【F4 / Wニッコール】
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【F5.6 / Wニッコール】
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ヘキサノンは、F2開放では照明光の周りにかなり大きな光芒が発生する。ところがF2.8で、これがほとんど解消する。白色光のまわりの紫色のにじみはごくわずかで、これもF2.8で解消する。そのかわりニッコールに似た黄緑色のにじみが認められるのはおもしろい。
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【F2 / ヘキサノン】
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【F2.8 / ヘキサノン】
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【F4 / ヘキサノン】
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【F5.6 / ヘキサノン】
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以上の結果から、夜景を撮影したときに光源の乱れがもっとも少ないのはズミクロン・アスフェリカルで、F2開放から乱れがあまりめだたない優秀さである。F2.8に絞るとかなり良好なのは8枚玉ズミクロン、Wニッコール、ヘキサノンである。像の乱れの少なさはノクトンも優秀だが、白色光のまわりの紫色のにじみが目につくのが減点材料だろう。ビオゴンはF4まで絞れば、とても良くなる。
【総評】
今回テストした8本のレンズは、いずれも優秀なレンズである。私の個人的な評価では、もっとも優れているのはノクトン35mmF1.2で、F1.2という世界一の明るさを持ちながら、画質が開放から相当に良く、絞った状態では夜景をのぞいて常にトップの画質を誇る。まさに驚異的なレンズだ。1本しか選べないなら、迷うことなくノクトンである。価格は当然高価だが、この性能なら安心して皆さんにお勧めできる。
続いてビオゴンとズミクロン・アスフェリカルで、個人の好みも入るが、遠景描写での画面全体の解像力の高さと歪曲の少なさ、そして価格の安さでビオゴン優位だろう。
それにしても'50年代のWニッコールと8枚玉ズミクロンが、予想外に健闘したのには驚かされた。銀塩フィルムではすでに確固たる評価を確立している名レンズだが、50年も前のレンズが、デジタルカメラでここまで良く写るのは見事である。
【ビオゴン35mmの作例】
最後に最新のビオゴンで撮影した作例を何点か掲載する。R-D1の設定はテストと同じである(絞り値はすべてF5.6)。
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【小学校】建物は歪みがなくすっきり写る。これでシフト撮影できたら申し分ないのだが
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【街路】直線はあくまでも直線に写るのが、気持ちよい
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【階段】半逆光だが、明快に描写されている。解像度は高い
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【土手】明快な描写
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【土木機械】シャープに描写されている
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【カーブミラー】このビオゴンはともかくすっきり写る
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【自転車】朽ち果てかけた自転車の雰囲気が良く出た
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【酒】直射日光にあたっているのはどうも……
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【時計】直線と丸
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【壁絵】まっすぐ写したはずなのに、R-D1はどうもファインダーが見づらい
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【ケトル】雑貨屋の店先はおもしろい
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【店先】斜めに傾いているのは、R-D1のファインダーフレームと撮影される画像に狂いがあるため
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■ URL
コシナ
http://www.cosina.co.jp/
製品情報
http://www.cosina.co.jp/z.html
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2005/03/28 00:00
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