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【那和秀峻の最新デジカメレビュー】オリンパス E-300

〜低価格デジタル一眼レフの実力は?
Reported by 那和 秀峻

 オリンパス E-300はいま話題のデジタル一眼レフだ。話題の中心はもちろん価格で、標準ズーム付きで、実勢99,800円。ボディ単体でも1月に発売されるが、たぶん8万円ちょっとになるだろう。こんなに低価格なのに、ゴミ取り(ダスト・リダクション)は付いているし、撮像素子は8メガである。

 今回は12月3日発売直後にメーカーから借りた標準セット(14〜45mmズーム付き)をいつものとおりテスト撮影および一般撮影をしてみた。E-1用の14〜54mmズームとの比較もしてみた。


独自だが、使いやすくなった操作系

 E-300はE-1のDNA(フォーサーズシステムやダスト・リダクション)を受け継いでいるとはいえ、まったく別系統のカメラだ。E-1は防塵防滴やシャッター耐久性やファインダー視野率などで、プロ用と言って過言でない機能を持っていた。

 しかし、E-300は一般ユーザーをターゲットにした、現状でほぼローエンドのデジタル一眼レフだ。ほぼ、というのはこの先、さらに低価格機種が出ないとは限らないからだ。操作系はE-1がオリンパスの独自色を強く出し過ぎて、やや使いにくかったが、このE-300ではより一般的になった。

 操作系全体のレイアウトは写真に見るとおり。E-1から大きく変わったのは、ペンタカバーのないフラットな上面。同社のC-8080にやや似ているが、もちろんレンズ交換可能。このフラットな上面を実現するために、ポロミラープリズム系を採用した。ペンタプリズムのかわりに、ミラーをリレー式に使うことで、代用をさせている。このデザインは賛否両論というか、好き嫌いが分かれるところだ。ただ、このポロミラー式も昔のオリンパスペンFシリーズのDNAと考えれば納得がいく。それに、実際に見てみると、意外と高級感があるのだ。ロゴも印刷ではなく、彫りになっている。





 ボディー上面右手側にはモードダイアル、その後ろにはコマンドダイアル(拡大縮小再生を兼用)がある。E-1ではコマンドダイアルはモードダイアルの前にあった。操作を比べてみると、E-300のほうが断然操作しやすい。また、モードダイアルにはPASMの一般の露出モードのほか、イメージプログラムとシーンセレクタが加わった。とくにこのシーンセレクタは初心者向きで、実際に作例が液晶モニターに現れ、説明も出る。


上面右手側のモードダイアルとコマンドダイアル。このコマンドダイアルは使いやすい
SCENEにするとシーンセレクタで、液晶モニタに作例と説明が表示される。初心者には非常に親切な設計である

 背面のゲーム機のコントローラのようなセレクタ(十字キー)はE-1とほぼ同じだが、表示がはっきり示されるようになった。露出補正、測光、AF、ISO感度が割り付けてある。上方にはAEロックと測距点切り替えボタンがある。なお、オートブラケットはMENUで選ぶ方式だ。これはボタン式のほうが使いやすい。

 液晶モニターはハイパークリスタルLCDで視認性がいい。その左側には上からストロボモード、ホワイトバランス、画質モード、削除、INFOのボタンが並ぶ。これはE-1にくらべて格段に使いやすくなった。


背面の十字キーには表示がはっきり付いている点、E-1よりも使いやすい。このあたりのレイアウト自体はE-1とほぼ同じ
液晶モニタ左側には上からストロボモード、WB、画質、削除、INFOと並んでいてわかりやすい

 レンズマウントは当然E-1と同じだが、ボディーが低くなっただけ、マウントが大きく見える。レンズ脱着ボタンはE-1よりは下の位置になった。

 記録メディアはCFカードで、xDピクチャーカードはアダプタを併用する。収納部はワンタッチで開くようになった。これはE-1のような防塵防滴構造にはなっていないためである。


レンズマウントは当然E-1と同じだが、高さが低くなったせいで大口径に見える
記録メディアはCFで、開閉はワンタッチになった

 内蔵ストロボはE-1ではプロ用機ということで組み込まれていなかった。E-300ではフラットな上面に組み込まれている。背面のボタンを押すとポップアップする。また、イメージプログラムやシーンセレクトでもモードによりオートポップアップになる。ペンタカバーがない分、発光部の位置は低い。しかし、実写してみたらケラレはよっぽど近距離でないかぎり出ない。

 電源は専用のリチウムイオン電池。E-1の電池と同じである。

 電源を入れると、上面の青いランプが点灯して、SSWF(超音波フィルター)によるダスト・リダクションが作動しているのがわかる。E-1ではなかった表示ランプで、安心感がある。


内蔵ストロボはペンタカバーのない分、高さは低めだがよほど近距離でないとケラレはない 電源はE-1と互換性のあるリチウムイオン電池

 スイッチオンで液晶モニターには初期画面として、設定を全部表示した画面が出る。この画面は操作ボタンに連動しているため、設定を簡単に変えられる。コマ残数なども電源スイッチオンでしか見られないのは残念だ。小さくていいから撮影コマ残数だけでも表示する液晶パネルが欲しかった。

 INFOボタンを押すと、ヒストグラムあるいは撮影情報が細かく見られる。測距点がサムネイルに示されるのは面白い。

 MENUは基本的にはE-1と同じで、オリンパス独自のスタイル。E-1と併用してもとまどうことはない。

 全体として、操作系はかなり考えられていて、使いやすい。


スイッチオンするとこの初期画面が液晶モニターに出る。ここで各種の設定ができる INFOボタンを押していくと、ヒストグラム、そしてサムネイルと撮影情報を表示できる メニュー画面はE-1とほとんど同じ。そのひとつを示した

優秀なAWBと標準ズームレンズ

 実写はいつものビルの定点撮影から。標準ズーム14〜45mmの14mm側では絞り開放だと、わずかに前ピン気味。しかし、全体の解像感はあり、さすがに8メガ機ということを実感させられた。絞り開放から2段、つまりF6.3に絞ると非常にいい画質になった。E-1用の標準ズーム14〜54mmの14mm側と比較してみると、むしろ新しい14〜45mmのほうがいいぐらいだ。


14〜45mm標準レンズの14mm側で、絞り開放
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
14〜45mm標準レンズの14mm側、開放から2段絞りのF6.3。わずかに前ピン気味だが、解像感はある
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100

14〜54mm標準ズームで撮影。絞り開放
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
14〜54mm標準ズーム、開放から2段絞り。わずかに甘い描写である
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100

 45mm側では絞り開放がF5.6ということもあり、絞り開放からぴったり合焦しているし、解像感も高い。F11まで絞り込むときわめていい描写になる。14〜54mmズームの54mm側はさすがに絞り開放F3.5から合焦精度も高く、画質もいい。開放2段絞りのF6.3だとさらにいい。広角側では14〜45mm、望遠側では14〜54mmが優秀だ。


14〜45mmの45mm側、絞り開放
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
14〜45mmの45mm側、開放から2段絞り。いい画質である
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100

14〜54mmの54mm側、絞り開放
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
14〜54mmの54mm側、開放から2段絞り。さすがに14〜45mmの45mm側よりさらに画質が高い
絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100

 人物撮影には14〜54mmを使用した。望遠側でいつも撮影している35mm判換算の100mm前後に揃えるためだ。合焦精度は高く、目にぴったりピントが合った。また、オートホワイトバランスと晴天モードとでは色再現性もほとんど差がない。日陰でのオートとマニュアルのホワイトバランスも差はあまり感じられない。


14〜54mmの54mm側で、AWBで撮影。合焦精度が高い
絞りF4、絞り優先AE、SHQ、ISO100
14〜54mmの54mm側で、晴天モードで撮影。ホワイトバランスが正確で、AWBでも晴天モードでも差がほとんどない
絞りF4、絞り優先AE、SHQ、ISO100

14〜54mmの54mm側で、AWBで撮影
絞りF3.5、絞り優先AE、SHQ、ISO100
14〜54mmの54mm側で、晴天モードで撮影。この場合にもAWBはあまり差がない
絞りF3.5、絞り優先AE、SHQ、ISO100

 つぎは室内の白熱電球(約3000K)でのホワイトバランステスト。AWBでもかなり低いところまで追尾している。しかし、朝日夕日を生かすにはやはり赤く出るように設定されている。プリセットで白熱電球(3000K)にすると、ほぼ完全な補正ができた。


色温度約3000Kの白熱電球下で撮影。AWBは当然赤みがかるがその度合いは少ない
14〜54mmF2.8〜3.5、絞りF3.1、絞り優先AE、SHQ、ISO100
白熱電球モードではほぼ完全に補正された
14〜54mmF2.8〜3.5、絞りF3.1、絞り優先AE、SHQ、ISO100

 蛍光灯での撮影もAWBまかせでほぼ完全な補正がされている。プリセットで4500Kの昼光色蛍光灯に合わせたら、わずかに黄色寄りになった。なお、この蛍光灯の色温度はカラーメーターで測定して、4300〜4400Kだった。このオートホワイトバランスは信頼性が高い。


色温度4300〜4400Kの蛍光灯で撮影。AWBはほぼ完全に補正している
14〜54mmF2.8〜3.5、絞りF4、絞り優先AE、SHQ、ISO100
4500Kの蛍光灯モードではわずかに黄色っぽい
14〜54mmF2.8〜3.5、絞りF4、絞り優先AE、SHQ、ISO100

 夜景の30秒露出で長時間ノイズを見たが、これもオフとオンではほとんど差がない。つまり、ノイズリダクションオフでもかなりノイズが低減されているのだ。なお、この被写体を15カットほど撮影したが、そのうちの2コマがグリーンを補正する方向に働き、そのほうが肉眼には近い色になった。


夜景の長時間露出でノイズの出具合を見た。こちらはノイズリダクションオフ。
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF18、30秒、SHQ、AWB、ISO100
ノイズリダクションオン。オフとほとんど差がない。それだけノイズ低減が画像処理でできているということだ
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF20、30秒、SHQ、AWB、ISO100

 特急列車の通過をコンティニュアスAF、連写で撮ったところ、6コマ撮影できた。そのうちの5コマを掲載する。3コマ目と4コマ目は合焦しているが、ほかは前ピン気味である。ただ、普及タイプのデジタル一眼レフでここまで追えるのはいい。なお、2コマ目はブレているので、判定はできないが。


特急列車の通過をC-AF、連写で撮影。6コマが切れたが、そのうちの最後の5コマ。中央1点測距だが、合焦しているのは3〜4コマ目。全体に前ピン気味である
14〜54mmF2.8〜3.5、絞りF3.5、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO200


 歪曲収差(ディストーション)のテストも14〜45mmと14〜54mmを比較してみた。14mm側でのタル型歪曲はほとんど同じで、やや目立つ。望遠側では両方のレンズともほとんど歪曲は目立たない。


歪曲収差の比較。14〜45mmの14mm側
絞りF5.6、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
14〜54mmの14mm側。ほとんど変わらないが、わずかに14〜45mmのほうが大きい
絞りF3.5、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100

14〜45mmの45mm側。歪曲収差はほとんどない。
絞りF5.6、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
14〜54mmの54mm側
絞りF5.6、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100

 このカメラは通常はISO100〜400で、ISO800以上は拡張モードになる。ISO800ではわずかに高感度ノイズが出るが、画素が小さい割りには少ない。


ISO感度を変えて、高感度ノイズの出方を見た。ISO100
絞りF8、絞り優先AE、SHQ、AWB
ISO200
絞りF8、絞り優先AE、SHQ、AWB

ISO400。ここまではほとんどノイズがない
絞りF8、絞り優先AE、SHQ、AWB
ISO800。わずかにノイズがあるが、気になるほどでもない
絞りF8、絞り優先AE、SHQ、AWB

 ISO1600でいつもの定点撮影だが、これも高感度ノイズが縞状にはならず、それほど気にはならない。ISO400はまったく問題なく使える。ISO800でも被写体によってはまったく気にならない。


いつもの超高感度ノイズの定点撮影。シャドーから中間部にかけてノイズはあるが、これぐらいだったら許容範囲だ
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF3.5、絞り優先AE、AEロック、SHQ、AWB、ISO1600
ISO400で手持ち撮影。ノイズはまったく気にならない
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF3.7、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO400
ISO800で手持ち撮影。この感度でもノイズは気にならない。よく見ると少しあるが、実用上は問題ない
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF3.8、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO800

 画素が小さくなると、ダイナミックレンジの点でも不利になるはずだ。さすがに冒頭の作例の左上の白看板は完全に飛んでいるが、これはほかのメーカーでも同じだ。ハイライトとシャドーが混在している被写体で、ハイライト基準で露出を合わせたが、シャドー部もつぶれはしない。ダイナミックレンジはこのタイプとしては広いほうである。

 このカメラのホワイトバランスは日陰(色温度は7000K以上)でも威力を発揮した。プリセットで7500Kにセットしたら、記憶色どおりの写真が撮れた。トーンも豊富で、硬くはなく、ちょうどいい調子になる。


ハイライトとシャドーが混在する被写体で、ハイライト基準で露出を決めた。しかし、シャドーもつぶれてはいない
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF5.6、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
日陰だったので、プリセットホワイトバランスを日陰モードにして撮影。記憶色に近い鮮やかな色再現だ
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF5.6、絞り優先AE、SHQ、日陰モード、ISO100
このカメラはE-1の特長である階調の豊富さを受け継いでいる。ハイライトからシャドーまでよく出ている
14〜54mmF2.8〜3.5、絞りF3.5、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100

 思わず電車内からシャッターを切ったら、完全逆光で、太陽が入っているが、フレアはほとんどない。わずかなブルーミングと反射像が出ただけだ。結果としてかなり意地悪なシーンだが、これぐらいクリアであれば十分だ。

 ストロボの配光特性は約1.5メートルで14mm側で撮影。ケラレはなかったが、やや周辺が落ちて、中央が円状になった。

 Olympus StudioがVer.1.2に進化したので、RAW撮影もしてみた。色温度を微調整し、トーンカーブを少し変えた。イメージどおりの写真ができた。


電車内からとっさにシャッターを切ったもの。完全な逆光だが、ブルーミングがわずかに出ているだけ。フレアはほとんどない
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF5.6、絞り優先AE、SHQ、AWB、ISO100
配光特性を見るために白っぽい壁をストロボで撮影。真ん中が丸くなり、周辺光量が低下している。しかし、レンズによるケラレはない
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF3.5、1/125秒、内蔵ストロボ使用、SHQ、AWB、ISO100
Olympus StudioでRAW現像してみた。色温度とトーンカーブを少し変えてイメージに近づけた
14〜45mmF3.5〜5.6、絞りF8、絞り優先AE、RAW、AWB、ISO100

 オリンパスE-300は衝撃的な低価格のデジタル一眼レフだが、動体撮影を除けば性能はまったく問題がない。これからデジタル一眼レフに入門をしようとする向きには絶対におすすめの機種である。



URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  E-300スペシャルサイト
  http://e300.jp/

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【インタビュー】 オリンパス E-300開発陣に聞く(2004/12/13)



那和 秀峻
(なわ ひでたか)写真家およびテクニカルライター。1976年以来、カメラ雑誌を中心に活動。現在はほとんどデジカメ関係の仕事が多い。PC Watchに「那和秀峻の最新デジカメレビュー」を2003年より不定期連載。PCは自作Pentium 4機が主力だが、Mac G4もときどき使用。モバイルはInterlinkだが、そろそろ電池がだめになってきた。1989年よりMS-DOS 3.3CでPC入門。趣味のウェブサイトもあります( http://www.nawa-jp.com )。

2004/12/20 00:03
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