デジカメ Watch

【那和秀峻の最新デジカメレビュー】 コニカミノルタα-7 Digital

〜手ブレ補正だけではない完成度の高さが魅力
Reported by 那和 秀峻

 コニカミノルタα-7 Digitalが11月19日に発売された。発売直前に製品版をメーカーから借りることができた。ファーストインプレッションはすでにこのデジカメWatchでレポートずみだ。ここではいつもどおりのテスト撮影を中心にレビューをする。

 このカメラはCCDシフト方式による手ブレ補正(AS=Anti Shake)が話題だが、使い込んでみると、それだけではない。コニカとミノルタの両社が合併することで初めて実現したデジタル一眼レフだが、第一号機にしては完成度が高い。

 今回はα-7 Digital(以下、α-7Dと略称)と同時に登場した、ワイドズームの17〜35mmF2.8〜4をメインに使用した。しかし、このカメラの特長はミノルタαシリーズのレンズ資産を生かせるということなので、筆者がフィルム一眼レフで使っている交換レンズも使用してみた。


オーソドックスだが、わかりやすい操作系

 α-7Dはフィルム一眼レフのミノルタα-7をベースに開発されている。このため、操作系はα-7にきわめて近い。とくに、ダイアルやレバー操作はα-7そのものと言ってもいいぐらいだ。

 α-7Dの操作系は6面写真にあるとおり。α-7を使っているユーザーは上面左側に露出補正ダイアルがあり、上面右側に露出モードダイアルというレイアウトにまったく抵抗がないだろう。ただ、ダイアル自体は傾いていて、より操作しやすいようになっている。





 モードダイアルには1〜3の登録ポジションもあり、これもαシリーズの思想を受け継いでいる。ただ、そのダイアルの右にあった液晶パネルがなく、かわりにホワイトバランスのセレクターが設置された。このセレクター自体は使いやすくていい。ただし、撮影可能な残数とか、常時チェックしたい表示がないというのはなんとなく不安だ。後述するように液晶モニタで見なければならない。とっさの場合にはやや違和感が残る。

 ボディー上面左側の露出補正ダイアルは1/3ステップと1/2ステップの切り替えが可能だ。また、その後方には電源スイッチがある。このあたりはα-7とまったく同一と言っていいぐらい。まったく抵抗なく操作できるが、液晶パネルとボタン操作に慣れたユーザーにはとっつきにくいかも知れない。


露出モードダイアルの右には液晶パネルのかわりにホワイトバランスのセレクタがある 露出補正ダイアルは1/3と1/2ステップに切り替えられる。これはフィルム一眼レフのα-7、α-9の伝統を受け継いだもの

 ファインダーのアイピース(接眼部)にはミノルタαシリーズからずっと使われてきたアイスタートのための赤外センサがある。このあたりを見ていると、これがデジタル一眼レフというのが信じられない感じもする。なんだかフィルム一眼レフを使っているような錯覚に陥るのだ。なお、ファインダー自体は見やすく、AFの測距点もスーパーインポーズされ、わかりやすい。

 ボディー背面右手側もα-7とよく似ている。AEロックボタンの周囲に測光モード切り替えがる。また、AFとMFのワンタッチ切り替えやスローシンクロボタンもある。しかしなによりもうれしいのはモードダイアル基部のドライブモードセレクタだ。オートブラケットが簡単にセットでき、しかも解除するまではそのままである。オートブラケットはデジタル一眼レフでは頻繁に使うから、この方式はいい。


ファインダーのアイピース(接眼部)には赤外センサがあり、これもαシリーズの伝統を生かしたものだ
背面右上の操作部もα-7によく似ている。とくに、露出モードダイアルの下部にドライブモードセレクタがあるのがいい

 記録メディアはCFカードだが、ミノルタ(そしてニコン)はカード背面を手前にしてセットする(写真F)。慣れればなんともないが、やや違和感が残る。手ブレ補正のオンオフスイッチは十字キーの下にあり、これはDiMAGE Aシリーズと同じでわかりやすい。

 内蔵ストロボは非常に高い位置にセットされる(写真G)。これはレンズ鏡胴によるケラレを防ぐと同時に、赤目現象を防止する効果もある。非常によく考えられたストロボ位置だ


記録メディアのCFカードは背面を手前にしてセットする。十字キーの右下には手ブレ補正のオンオフスイッチがある
内蔵ストロボの発光部は非常に高い位置にあがる。これはレンズによるケラレを防ぎ、同時に赤目現象も軽減する

 レンズマウントはミノルタαシリーズと同じ。ただし、撮像素子がAPS-Cサイズだから、そのぶんミラーは小さい。またマウント横にはAFモードの切り替えスイッチがある。この動きはテスト機ではやや固めだった。

 液晶モニタは2.5型と大きい。そして、ここにα-7と同じようにナビゲーションディスプレイが表示される。その左側には、MENU、拡大表示、再生拡大、削除、再生ボタンが並んでいる。拡大表示では非常に大きな文字になるし、タテ位置では回転表示される。

これだけ見ていると非常に親切でいいのだが、液晶モニタをオンにしないと情報がわからないというのはやはり不安だ。


レンズマウントはフィルム一眼レフのミノルタαシリーズと同じ。ただし、ミラーは撮像素子に合わせて小さい
大型の2.5型液晶モニタの左には操作ボタンが並んでいる

 電池は専用のリチウムイオン電池を使用する。ただ、電池の持ちはそれほどよくないようだ。これは手ブレ補正を常時オンにしておいたことも関係しているのだろう。

 撮影情報の見やすさではこのα-7Dは断然ほかのカメラを圧倒している。ただ、このうちの残量表示程度は常時液晶パネルに出すべきだったと思う。


電池は専用のリチウムイオン電池を使用する α-7と同じようなナビゲーションディスプレイ。大型で非常に見やすいし、タテ位置では自動的に切り替わる

 ヒストグラムおよび撮影情報は十字キーの操作で呼び出せる。ただ、この操作は別のボタン(液晶モニタの左側)に割り付けてもよかったのではないだろうか。

 メニューは豊富であるが、やや煩雑な感じもある。代表的なところを掲載しておこう。コニカというフィルムメーカーが母体になっているので、カラーモードはもっと豊富にあった方がよかった(たとえば富士写真フイルムのFinePix S3 Proのように)。


ヒストグラムと撮影情報は十字キーの操作によって呼び出すことができる メニュー画面の例。やや煩雑である

 このカメラの操作系はフィルム一眼で完成したものをアレンジしているから、フィルムユーザーにはとっつきやい。細かい点に不満はあるが、完成度は高い。動体よりも手ブレ補正を生かした撮影がいい


スペック以上の写りのよさ

 実写はいつものように、ビルの定点撮影から。17〜35mmレンズの絞り開放ではほんのわずかに後ピンだが、測距精度は高い。絞りF5.6に絞り込むと非常にいい描写になる。ただ、左上の白い看板は肉眼で見るよりも白とびしてしまっている。この白看板を再現するデジタルカメラはいまのところないのだが。

※作例のリンク先は、特に記載がない限り、撮影した画像データそのものです。縦位置のものは、サムネイルのみ回転していますが、拡大画像はあえて回転せずに掲載しています。クリックすると撮影した画像が別ウィンドウで表示されます。


17mm側での絞り開放(F2.8)撮影。絞り開放ではわずかに後ピン気味だ。また、左上の白い看板は完全に白とび。絞りF2.8、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100 絞りをF5.6まで絞り込むと、非常にいい画質になる。絞りF5.6、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100

 35mm側では絞りF4開放からいい描写である。絞り開放から2段、つまりF8まで絞り込むと、素晴らしい画質になる。このレンズは35mmフルサイズもカバーするから、フィルム一眼レフにも使える。


広角ズームの望遠側35mmで撮影。絞り開放からいい画質である。絞りF4、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100 絞りをF8まで絞ると、さらにいい画質になる。絞りF11、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100

 いつもの人物撮影には70〜200mmF2.8を使用した。SSM(超音波モーター)を使った高級レンズである。さすがに絞り開放からいい描写で、測距精度もいい。このシーンではオートホワイトバランスと昼光モードの差はあまり感じられなかった。また、ボケ味もいいし、高価なレンズだけのことはある。


70〜200mmズームの70mm側で撮影。合焦精度も高く、質感もいい。また、ボケ味も好ましい。絞りF2.8、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100。
同じ場所でデーライト(昼光)モードに変えたが、色あいの変化はほとんどない。絞りF2.8、絞り優先AE、ラージ・ファイン、昼光モード、ISO100。

 場所を変えても、オートホワイトとデーライトモードの差はほとんどない。それだけオートホワイトが優秀であるという証拠だろう。


やはり70〜200mmレンズを使い、逆光の木陰だが、オートホワイトの効果が高い。絞りF2.8、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100 プリセットホワイトバランスでデーライトに変えたが、写りの変化はほとんどない。絞りF2.8、絞り優先AE、ラージ・ファイン、昼光モード、ISO100

 タングステン光(約3000K)での撮影では、オートホワイトだとやはりやや赤みが残る。しかし、プリセットで白熱電球モードにするとみごとに補正された。


タングステン光(約3000K)でのオートホワイト撮影。やはり少し赤みが残る。絞りF2.8、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100
プリセットホワイトバランスにして、白熱電球モードを選んだら、きれいに補正された。絞りF2.8、絞り優先AE、ラージ・ファイン、白熱電球モード、ISO100

 蛍光灯はオートホワイトまかせだと、やや黄色味が残る。と言って、蛍光灯モードではこんどはややマゼンタがかかってしまう。このカメラでは色温度指定もできるので、カラーメーターで測定して、4400Kにセットしたが、やはり黄色味はとれない。フィルムカメラと同じように、色温度変換だけではなく、色補正(CC)フィルターも必要なようだ。この蛍光灯でぴったり補正したデジタルカメラはいままでのところはない。


蛍光灯でオートホワイトだと、少し黄色みがかる。24〜105mmズームの望遠側で撮影。絞りF4.5、絞り優先AE、ラージ・ファイン、AWB、ISO100
プリセットホワイトバランスで蛍光灯モード。こんどはややマゼンタがかった。絞りF4.5、絞り優先AE、ラージ・ファイン、蛍光灯モード、ISO100

色温度をダイレクトに4400Kに設定して撮影。しかし、やっはり黄色みは残る。絞りF4.5、絞り優先AE、ラージ・ファイン、マニュアルモード、ISO100

 夜景の定点撮影もいい描写だった。ノイズリダクションをオンとオフで撮影してみたが、その差はほとんどない。長時間ノイズに関してはこのカメラは安心である。


長時間露出ノイズを調べるため、30秒の露出をした。しかし、ノイズリダクションオフでも目立たない。絞りF20、30秒、AWB、ISO100。
やや露出がちがうが、ほとんど同じ明るさにした。ノイズリダクションオンである。絞りF18、30秒、AWB、ISO100。

 これも定点撮影の一種だが、手ブレ補正の効果を調べるため、70〜200mmレンズの70mm側で撮影。35mm判に換算すると105mmになる。1/10秒の手持ち撮影でもブレなかった。つまり、手ブレ限界から3段以上スローシャッターでもだいじょうぶなわけだ。手ブレ補正をオフにするとみごとにブレた。


70〜200mmF2.8という大きめのレンズの70mm側で、1/10秒の撮影。ASオンだとこのようにブレがない。絞りF2.8、絞り優先AE、AWB、ISO200。
同一条件で、ASをオフにすると、このように手ブレが起きた。絞りF2.8、絞り優先AE、AWB、ISO200。

 特急列車の通過を連写する定点撮影だが、今回から駅を変えた。いつもの駅は工事で、条件が変わってしまった。そこで、以前と条件の近い駅を探して撮影した。それでも光の具合などがちがうが、通過の距離などはほぼ同じだ。ところがどういうわけか前ピンになってしまった。自動選択だとそうなりやすいので、中央1点測距なのだが。ただ、これは最後の5コマで、ここまで追えたというのは立派だ。




特急列車の通過を毎秒約3コマで連写したうちの最後の5コマ。ここまで追えたのはいいが、みんな前ピン気味である。絞りF4.5、絞り優先AE、AWB、ISO100

 このカメラの撮像素子は周知のとおりにソニーのCCDで、ニコンD100やペンタックス*istシリーズに使われているものと同じだ。しかし、撮像感度をISO100まで下げている。そのISO100から800まで同一被写体を撮影してみたが、高感度でもノイズは少ない。

 さらにISO3200でも撮影してみたが、暗部から中間部へかけての高感度ノイズも目立たない。同じCCDを使っていても、やはり画像処理によって違ってくるのだということがわかる。


ISO100、絞りF8、絞り優先AE、AWB
ISO200、絞りF8、絞り優先AE、AWB

ISO400、絞りF8、絞り優先AE、AWB
ISO800、絞りF8、絞り優先AE、AWB

ISOを3200にあげて超高感度撮影したが、暗部から中間部のノイズはそれほど目立たない。絞りF4、絞り優先AE、AWB、ISO3200

 17〜35mmの歪曲収差(ディストーション)のチェックもしてみた。17mm側ではやや樽型の歪曲が目立つが、35mm側ではほとんどわからない(写真12)。ふつうは長焦点側で糸巻き型歪曲が出るのだが。


17〜35mmズームの17mm側。樽型の歪曲が目立つ。絞りF5.6、1/640秒、AWB、ISO100
17〜35mmズームの35mm側。歪曲はほとんどない。絞りF5.6、1/640秒、AWB、ISO100

 このα-7Dの手ブレ補正でいちばんありがたいのは、反射望遠の500mmF8が手持ちで使えることだ。いままではISO感度をあげなければ手持ち撮影はむずかしかったレンズだ。このようにISO100で手ブレなしに撮影できる。

 それはというので、100〜400mmレンズも使ってみた。しかし、テストしたレンズの調子が悪いのか、動体を撮影してピントが合ったコマは少なかった。どうやら、このカメラは全交換レンズが使えると言っても、相性はありそうである。


AS(手ブレ補正)の最大のメリットは反射望遠レンズが手持ちで使えるようになったことだ。500mmF8だから、35mm換算で750mmにもなる。絞りF8固定、絞り優先AE、AWB、ISO100
100〜400mmズームの400mm側(600mm相当)で動体を追ったが、AFの測距が甘い。このカットはその中でましなほう。絞りF6.3、絞り優先AE、AWB、ISO100

 この手ブレ補正は望遠レンズだけでなく、広角でも効果的だ。いままではISO1600で撮っていた被写体が、ISO400で撮れる。それだけ画質のいい写真が撮れるわけだ。
 明暗の差の激しい被写体でも、とびやつぶれはなかった。ダイナミックレンジは広いほうだと言える。


17〜35mmの17mm側だが、1/10秒で手ブレなしの撮影ができる。いままでなら、ISO1600で撮影していた条件だ。絞りF2.8、絞り優先AE、AWB、ISO400
明暗の差が激しい被写体だが、ハイライトもシャドーもそれなりに出た。ダイナミックレンジは広いほうだろう。絞りF5.6、絞り優先AE、AWB、ISO100

 微妙な色の再現もなかなかいい。これは24〜105mmレンズだが、いい感じの色が出た。

 最後に内蔵ストロボの配光特性もチェックしてみた。距離約1.5メートルで17mmで撮影。やはり四隅は落ちるが、まずまずの照明特性である。


24〜105mmズームの105mm側で撮影したが、微妙な色がよく出た。絞りF5.6、絞り優先AE、AWB、ISO100
内蔵ストロボの配光特性を見るため、白っぽい壁を距離約1.5メートルで撮影。四隅は光量が落ちたが、まずまずだ。絞りF8、1/125秒、内蔵ストロボ使用、AWB、ISO100

 コニカミノルタα-7 Digitalは動体撮影でややAFの動体予測機能に不満が残ったほかは、バランスのとれたいいカメラだ。610万画素という数字だけでは判断できない写りのいいデジタル一眼レフであり、その意味ではコストパフォーマンスは高い。



URL
  製品情報
  http://konicaminolta.jp/products/consumer/digital_camera/a-7digital/

関連記事
コニカミノルタ、「α-7 DIGITAL」の発売日を11月19日に決定(2004/10/29)
【実写速報】コニカミノルタ α-7 DIGITAL(2004/11/17)



那和 秀峻
(なわ ひでたか)写真家およびテクニカルライター。1976年以来、カメラ雑誌を中心に活動。現在はほとんどデジカメ関係の仕事が多い。PC Watchに「那和秀峻の最新デジカメレビュー」を2003年より不定期連載。PCは自作Pentium 4機が主力だが、Mac G4もときどき使用。モバイルはInterlinkだが、そろそろ電池がだめになってきた。1989年よりMS-DOS 3.3CでPC入門。趣味のウェブサイトもあります( http://www.nawa-jp.com )。

2004/11/25 00:08
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2004 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.