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パナソニックLUMIX DMC-LX3【第2回】
「マルチアスペクト」を考察する

Reported by 安孫子卓郎


 DMC-LX3にあるユニークな機能、それがマルチアスペクトです。16:9のアスペクト比(縦横比)が特徴的なDMC-LX3ですが、3:2や4:3にも切り替えることができます。どの場合でも35mm判フイルム換算で24~60mm相当の画角を得られるとあります。はっきりわかりませんが、おそらく対角線画角で84~40度程度ということになるのでしょう。その3種類のアスペクト比の画像を一気に撮影してしまうのが、「マルチアスペクト」です。1回のシャッターで3種類の画像が記録されます。

 マルチアスペクトで撮影した写真を3枚並べてみると、中心部分は変わらず、16:9、3:2、4:3となるにつれて長辺方向が縮まり、短辺方向が伸び、それぞれのアスペクト比になっていくのがわかります。「どのアスペクト比で撮影したらよいんだ?」というときに使うのが良いのでしょう。

 しかしどうせなら、1:1のスクエア画像も選択できると面白かったかなと思います。そこまで行くと、ハイビジョン16:9が売りのLXシリーズのポリシーに反してしまうかもしれません。でもカメラとしては、そのような遊びが入っていても楽しいかなと思います。1:1で500万画素相当になっても十分だと思いますし、16:9の中に8:8のスクエア画像が2枚並ぶような機能がついていたら、ちょっとはまりそうだなと思ったりします。


・マルチアスペクトの例

  • サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


DMC-LX3 / 3,648×2,736 / 1/100秒 / F2.7 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 52mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,776×2,520 / 1/100秒 / F2.7 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 52mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/100秒 / F2.7 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 52mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 2,736×3,648 / 1/125秒 / F2.7 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 52mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,520×3,776 / 1/125秒 / F2.7 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 52mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,232×3,968 / 1/125秒 / F2.7 / 0EV / ISO125 / WB:曇り / 52mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F3.2 / 0EV / ISO80 / WB:曇り / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,776×2,520 / 1/500秒 / F3.2 / 0EV / ISO80 / WB:曇り / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/500秒 / F3.2 / 0EV / ISO80 / WB:曇り / 24mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 2,736×3,648 / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO80 / WB:曇り / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,520×3,776 / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO80 / WB:曇り / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,232×3,968 / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO80 / WB:曇り / 24mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 3,648×2,736 / 1/800秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,776×2,520 / 1/800秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/800秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO100 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 2,736×3,648 / 1/1,000秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO160 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,520×3,776 / 1/1,000秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO160 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,232×3,968 / 1/1,000秒 / F4.5 / -1.3EV / ISO160 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / WB:曇り / 60mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,776×2,520 / 1/125秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / WB:曇り / 60mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/125秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / WB:曇り / 60mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 2,736×3,648 / 1/125秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / WB:曇り / 60mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,520×3,776 / 1/125秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / WB:曇り / 60mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,232×3,968 / 1/125秒 / F2.8 / -0.3EV / ISO200 / WB:曇り / 60mm(35mm判換算)

 マルチアスペクトを設定するには、十字ボタンの上、「露出補正/露出ブラケット/マルチアスペクト/ストロボ発光量調整ボタン」という長い名前のボタンを2回押します。すると、まず露出ブラケットのメニューが出てきます。このときDISPLAY/LCD MODEボタンを押すと、マルチアスペクトのオン/オフの切り替えが出てきます。

 そこまでは良いのですが、露出ブラケットとマルチアスペクトの併用ができません。露出ブラケットを設定するとマルチアスペクトが解除され、その逆も同じです。それのみならず、フイルムモードの「マルチフイルム」や連写モードとも並立しません。つまり、マルチアスペクト、露出ブラケット、マルチフイルム、連写のうちから、どれかひとつだけを選択することとなり、重ねて使うことはできません。


マルチアスペクトの設定画面
 もし仮に、マルチアスペクトとマルチフイルムと露出ブラケットをすべて設定したとすれば、1回シャッターを押すと27枚の画像が撮れてしまうわけで、「露出も決めない、アスペクト比も決めない、色も決めないでカメラマンと言えるのか!」という部分はとりあえずおいておくとして、コンパクトデジカメの処理能力を超えてしまいそうです。ただ、DMC-LX3はパナソニックの中で「ハイエンドコンパクト」として紹介されています。そういう位置づけならば、「なんでもOK、カメラマンが自由に選択してください」という作りの方が正解ではないかと思います。

 さて、肝心のアスペクト比の話ですが、16:9はワイド感が高く、とても面白いアスペクト比です。ただ、縦位置だと不安定感が高くなります。そもそも横位置は安定した印象を与え、風景などに向き、縦位置は不安定感や動感につながり、スナップやポートレートに向くと言われています。それがより長い16:9になるため、縦横それぞれの印象も強調されます。

 その逆なのが4:3で、横位置ではどっしりし、縦位置にしても不安定感が少なく落ち着いて見れますが、動感には欠けてしまう部分がありそうです。そんな目的がほしい縦位置のスナップ写真には、3:2のアスペクト比が、ちょうどよい安定と不安定のバランスを持っているようで、似合っているのかなと思われます。

 作例のため、マルチアスペクトでしばらく撮影していましたが、次第に構図の作り方が訳がわからなくなり、もやもやした気分になってきてしまいました。どのように写るのかが計算できず、えいっとシャッターを押したら3枚写るわけです。面白い機能なんですが、構図を考える上級の人向きではないと思います。やはり、縦位置横位置どのアスペクト比で撮影するのかを決めてから、構図を考えて撮影するのが本筋のようです。




  • サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


DMC-LX3 / 2,232×3,968 / 1/500秒 / F2.8 / 0EV / ISO125 / WB:オート / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 2,232×3,968 / 1/1,000秒 / F4 / 0EV / ISO80 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO80 / WB:晴天 / 60mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,648×2,736 / 1/500秒 / F4 / 0EV / ISO125 / WB:― / 60mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/500秒 / F4 / -1EV / ISO80 / WB:晴天 / 57mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/400秒 / F2.8 / 0EV / ISO80 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算)

DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/400秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO80 / WB:晴天 / 24mm(35mm判換算) DMC-LX3 / 3,968×2,232 / 1/200秒 / F2.8 / +0.3EV / ISO80 / WB:晴天 / 60mm(35mm判換算)


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/lx3/

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安孫子卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2008/09/22 13:33
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