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パナソニックDMC-L10【第3回】
手持ちマクロでMFライブビューに挑戦

Reported by 安孫子 卓郎


 DMC-L10のライブビューには、位相差検出AF、コントラスト検出AF、顔認識に加えて、MFでの撮影モードがあります。MFに切り替えて十字ボタン左を押すと、画面の中央に拡大表示をする枠が出ます。この機能をパナソニックは「MFアシスト」と呼んでいます。

 MFアシストの枠は十字ボタンで画面の中、どこへでも自由に移動でき、本当に液晶モニターの端に張り付くギリギリまで移動できます。コンパクトデジタルカメラでもAF枠を移動できる機種はありますが、端まで動かせるものは少ないのが現状です。同様の機能はオリンパスなどほかのライブビュー対応デジタル一眼レフカメラにも搭載されており、デジタル一眼レフカメラにおけるライブビューの利点のひとつになっています。

 DMC-L10の場合、MFアシスト枠を移動させた後に、十字ボタン中央のMENU/SETボタンを押して拡大するわけですが、その前に十字ボタン左を押す必要があります。ライブビューAF時にAFモードや測距枠の選択に割り振られている左ボタンが、MFになると拡大枠の表示開始に替わるわけです。MFに設定後、5秒間は液晶モニターに虫眼鏡のアイコンと「◁」の表示が現れますが、わかるまで試行錯誤するか、マニュアルを読むかでないと気づかないかもしれません。

 小さなボディでボタンが限られている中、ライブビューという新たな機能に対応するためには、やむをえないところでしょう。拡大専用ボタンを持たないDMC-L10でのMFアシストは、拡大専用のボタンを備える機種(キヤノン、ニコンなど)と操作手順が異なるのはもちろん、操作をAF枠の移動と拡大に制限する機種(オリンパス)とも、また違った方法論といえます。

 さて、十字ボタン左を押した後にMENU/SETボタンを押すと、枠内が約8倍に拡大され、液晶モニターで精密なピント合わせが行なえます。また、約10秒間ピントリングの操作をしなかったり、シャッターボタンを半押しすると、拡大枠が消えて、通常の表示に復帰します。自動で復帰するのは、ほかのライブビュー機には見られない工夫でしょう。


MFライブビュー時は、MFアシストで任意の箇所を拡大可能
MFアシストで約8倍に拡大。ピントリングを回して調整する


 ところが実際に使っていると(手持ち撮影の場合ですが)、思わぬタイミングでMFアシストを解除しがちです。というのも、手持ちで右人差し指をシャッターボタンにかけない状態でカメラを持ってピントを合わせることは、過去にはなかった動作になります。従来であれば、MFでピントを合わせるとき、あるいはAFでも同じですが、右手はカメラをホールドして人差し指でシャッターに触れながら、左手でピントリングをまわすのが当たり前でした。それ以外の方法でのピント合わせは、例外的な動作でしょう。

 そのため長年の癖で、右手の人差し指がシャッターボタンに触れてしまい、軽く触れたつもりがシャッターボタン半押しと判断され、拡大表示の解除になってしまうことが多いのです。MFアシストを半押しで解除するなら、半押しを感知する感度を、もう少しボタンの深いところに設定しても良さそうに思います。

 もうひとつ困った点は、液晶モニター表示のコントラストが高すぎることです。花のマクロなどでは、拡大表示すると原色などが飽和してしまい、ピントの位置が見えにくくなります。通常表示のときとは別に、マクロで拡大表示する場合は、コントラストの調整ができると便利でしょう。

 また、MFライブビューでマクロ撮影をして感じるのは、キットレンズ「D Vario-Elmar 14-50mm F3.8-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.」のピントリングが電動のため、MFがやりにくいことです。AFで撮影する場合は電動でも問題ありませんが、MFでピントを合わせようと思うと、パワーフォーカスのピントリングはとても使いにくいものです。まあ、今回のキットレンズを使ってMFでマクロ撮影する人は少ないかと思いますが、ロードマップに載っている45mm F2のマクロレンズなどは、是非ともメカ連動のピントリングにしてほしいものです。

 色々苦言を呈しましたが、デジタル一眼レフカメラでのライブビューは、まだ始まったばかり。MFでの拡大表示は利用価値が高く、ライブビューの特権ともいえる操作なので、今後も改善を重ねて欲しいところです。今回の作例はマクロ撮影がメイン。すべてライブビュー、手ブレ補正ON、MFアシストを使っての手持ち撮影に挑戦しました。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 使用レンズは、レンズキットに付属するLeica D Vario-Elmar 14-50mm F3.8-5.6 ASPH. MEGA O.I.S.です。


3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.6 / -0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm

3,648×2,736 / 1/60秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 47mm


3,648×2,736 / 1/80秒 / F5.6 / +0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 47mm

3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm


3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.6 / +0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm 3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.6 / -0.33EV / ISO125 / WB:晴れ / 50mm

3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.6 / -0.66EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm 3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.6 / -0.66EV / ISO250 / WB:晴れ / 50mm

3,648×2,736 / 1/100秒 / F5.6 / -0.66EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm 3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm


3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.6 / +0.33EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm

3,648×2,736 / 1/30秒 / F5.4 / 0EV / ISO200 / WB:晴れ / 40mm


3,648×2,736 / 1/50秒 / F5.6 / -0.66EV / ISO100 / WB:晴れ / 50mm



URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/l10/
  パナソニックLUMIX DMC-L10関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2007/09/26/7096.html
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポート(2007年)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm



安孫子 卓郎
(あびこたくお) きわめて頻繁に「我孫子」と誤変換されるので、「我孫子ではなく安孫子です」がキャッチフレーズ(^^;。大学を卒業後、医薬品会社に就職。医薬品営業からパソコンシステムの営業を経て脱サラ。デジタルカメラオンリーのカメラマンを目指す。写真展「デジタルカメラの世界」など開催。現在パソコン誌、写真誌等で執筆中。

2007/12/19 00:59
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