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ニコンCOOLPIX P5100【第6回】
最近話題? の正方形フォーマット

Reported by 本誌:折本 幸治


 COOLPIX P5100の諸機能のうち、あまりカタログなどで大きく扱われていないもののひとつに、正方形(1:1)フォーマットでの撮影がある。「画像サイズ」メニューの一番下、3枚目の画面にひっそりと存在するのがそれで、あまりにも地味な扱いゆえ、気づいてないユーザーもいるかもしれない。

 ご存知の通り正方形フォーマットといえば、今春にリコー「Caplio GX100」への搭載で話題を呼び、好評につき最新機種の「GR DIGITAL II」にも受け継がれた機能だ。リコーでは2005年発売の「GR DIGITAL」ユーザーがブログに写真を掲載する際、正方形にトリミングする例が多いことから採用したという。かようにリコーでは存在感のある正方形フォーマットながら、ほかのメーカーではあまり聞かない。記憶に新しいところでは、ローライの「MiniDigi」ぐらいだろう。

 もちろん、スクエア写真の元祖は中判の6×6cm(66判、ロクロク)に求められる。ハッセルブラッドなど66判カメラでの作品づくりに、熱いこだわりをみせるプロ&アマが多いのは周知の通りだ。

 COOLPIX P5100の正方形フォーマットを紹介すると、記録画素数は2,992×2,992ピクセル=895万2,064ピクセル。4:3のフル画素(4,000×3,000ピクセル)から左右を計25%ほどカットすることで正方形にしているわけで、それでも約895万画素も残っているのは、さすが1,200万画素といったところだ。縦方向の画素数が微妙に3,000ピクセルに達していないのが不思議だが、何か訳があるのだろうか。

 正方形フォーマットにすることで、特に制約が生じることはない。P/A/S/Mの各露出モードが使用でき、カスタマイズを含めた「仕上がり設定」すべてを適用できる。光学ズームももちろん使用可能。第4回で紹介したカラーと白黒の同時記録も行なえる。


画像サイズメニュー1
画像サイズメニュー2。3:2と16:9が見える
画像サイズメニュー3。ようやく1:1が現れた

撮影時表示。4:3
撮影時表示。3:2
撮影時表示。16:9

撮影時表示1:1。その1
その2。格子線の表示も可能
その3。そのほかモニター消灯も選べる

 また、第2回でピックアップした「ゆがみ補正」も正方形フォーマットと併用できる。4:3の左右を大きくカットして正方形にしていることを考えると、無理に補正する必要はない気もするが、被写体や構図によってはONとOFFでかなり違う結果になる。あえて制約を探すなら、低解像度で撮影できないことと、それに伴い電子ズームで「クロップ」(画像が劣化しない範囲で電子ズームの倍率を制限する機能)が使えないことくらいだろう。

 中判一眼レフレフカメラや二眼レフカメラではなく、手のひらに乗るコンパクトデジタルカメラで撮る正方形フォーマットは、なかなか新鮮な体験だ。もちろん、ハッセルブラッドやローライフレックスを抱え、ファインダーを凝視しながらシャッターを切るのとでは、撮影時ののめり込み度が違う。とはいえ12枚しかとれない120フィルムと違い、残り枚数を気にせずガンガン撮れるし、当然AFも作動。気軽に撮影できる正方形フォーマットもなかなか楽しいものだと認識した。これでCaplio GX100のEVFのような、ウエストレベルファインダーを代用できるアクセサリーがあれば最高なのだが……。

 ほかにもCOOLPIX P5100では、3:2(3,984×2,656ピクセル)や16:9(3,968×2,232ピクセル)を選べる。アスペクト比については多彩なカメラといえるだろう。16:9では、テレビ出力を意識した1,920×1,080ピクセル(フルHD)ではなく、ある程度の大きさのプリントに耐えるクオリティをキープしてくれるのがうれしい。なお、動画は4:3のみとなる。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


1:1(広角端)
2,992×2,992 / 1/202秒 / F5.4 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 7.5mm
1:1(望遠端)
2,992×2,992 / 1/159秒 / F5.8 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 26.3mm

4:3(広角端)
4,000×3,000 / 1/209秒 / F5.4 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 7.5mm
4:3(望遠端)
4,000×3,000 / 1/160秒 / F5.8 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 26.3mm

3:2(広角端)
3,984×2,656 / 1/206秒 / F5.4 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 7.5mm
3:2(望遠端)
3,984×2,656 / 1/160秒 / F5.8 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 26.3mm

16:9(広角端)
3,968×2,232 / 1/207秒 / F5.4 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 7.5mm
16:9(望遠端)
3,968×2,232 / 1/165秒 / F5.8 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 26.3mm

参考:Caplio GX100(1:1、広角端)
2,736×2,736 / 1/290秒 / F5.1 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 5.1mm
参考:Caplio GX100(1:1、望遠端)
2,736×2,736 / 1/470秒 / F5 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 15.3mm

 正方形フォーマットでの不満は、当たり前だが広角端の画角が狭くなること。もともと広角端が35mm相当とあまり広くないことから、広角端でも標準レンズを使っている感覚になる。その点、24mm相当がベースのCaplio GX100は、正方形にしてもそれなりに画角が広くてうらやましい。好きな画角はひとそれぞれだが、ある程度広角側が強いベース機にこそ、正方形フォーマットがふさわしいのかもしれない。

 多画素時代を迎えて昔ほどトリミングが不利にならなくなった今、1,200万画素もあれば、25%ほどの画素が減っても個人的には気にならない。これからはひょっとすると銀塩と同じく、アスペクト比の選択が撮影者の個性を引き出す有効な手段になると思う。こうなったらCOOLPIXシリーズには、66判以外に、645判、67判、68判、おまけでシネスコをシミュレートするほどの遊び心を期待したい。さほど需要はなさそうだけど……


1:1
2,992×2,992 / 1/226秒 / F5.7 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 8.5mm
1:1
2,992×2,992 / 1/233秒 / F6 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 18.6mm

1:1
2,992×2,992 / 1/115秒 / F3.8 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 7.5mm
1:1
2,992×2,992 / 1/93秒 / F3 / 0EV / ISO100 / WB:晴れ / 7.5mm

1:1
2,992×2,992 / 1/61秒 / F5.1 / -0.7EV / ISO317 / WB:晴れ / 24.5mm
1:1
2,992×2,992 / 1/48秒 / F3 / -0.7EV / ISO64 / WB:曇り / 7.5mm

1:1
2,992×2,992 / 1/204秒 / F3.8 / -0.7EV / ISO200 / WB:曇り / 7.5mm
1:1
2,992×2,992 / 1/95秒 / F3.8 / -0.7EV / ISO64 / WB:ストロボ / 7.5mm

1:1
2,992×2,992 / 1/65秒 / F3 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 7.5mm
1:1
2,992×2,992 / 1秒 / F3.9 / 0EV / ISO64 / WB:タングステン / 12.9mm

1:1
2,992×2,992 / 1/15秒 / F4.5 / +0.7EV / ISO64 / WB:晴れ / 8.5mm
1:1
2,992×2,992 / 1/7秒 / F5.3 / -1EV / ISO100 / WB:曇り / 26.3mm

16:9
3,968×2,232 / 1.4秒 / F2.9 / -1EV / ISO64 / WB:晴れ / 8.5mm

16:9
3,968×2,232 / 5秒 / F4.3 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 7.5mm

16:9
3,9682,232 / 1秒 / F6.1 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 15.7mm

16:9
3,9682,232 / 1秒 / F5.8 / 0EV / ISO64 / WB:晴れ / 26.3mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/p5100/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー(2007年)
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm



本誌:折本 幸治

2007/12/17 00:02
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