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ニコンCOOLPIX P5100【第2回】
1度使うと離れられない「ゆがみ補正」

Reported by 本誌:折本 幸治


 前回の執筆時から1週間経ったこともあり、いろいろと気になる点が見えてきた。例えば、再生画像の表示が少し遅いのと、バッテリーが200枚前後で警告表示になることなど。後者はこまめに充電すれば問題なさそうだが、計画している2泊旅行に充電器を持参する必要がありそうなので、少しメゲているところだ。まあ根が心配性なので、500枚撮れたとしても充電器を持って行くだろうが。

 一方、画質はかなり気に入った。これまでスケジュールの都合上、屋外では曇天などで撮ることが多かったが、晴天順光だと期待以上の抜けの良さと発色になることがわかった。他社の1,200万画素機に比べて無理矢理なシャープネス処理がなく、黒側を急峻に沈めていないところも好印象。絞りはF4近辺が一番キリっとするようだ。いずれは「仕上がり設定」をカスタマイズするなどして、セッティングを見極めていきたい。

 さて、機能が豊富な本機だが、その中でも今回は「ゆがみ補正」という機能に着目してみた。こいつを常時ONにするか決めかねていたのだ。せっかくなので三脚を使用し、同一の構図をゆがみ補正ON/OFFで撮影、その差を比べてみた。

 COOLPIX P5100の広角端は35mm相当(35mm判換算)とあって、それほど歪みが目立つわけではない。しかし、よく見るとタル型の歪曲収差が認められる。それを撮影時にまっすぐ補正するのがゆがみ補正だ。ON/OFFの設定は撮影メニューの中にあり、Fn(ファンクションボタン)にも割り当てられる。


「ゆがみ補正」の設定はSETUPではなく撮影メニューの中。ニコン的には比較的頻繁にON/OFFすることを見込んでいるようだ 素早い操作が可能なFnボタンにも割り当てられる。ますます切り替えの多用が予想されるが、なぜかというと……(以下本文)

 さっそく試してみると、確かに画像の周辺がビシッと真っ直ぐになる。これは気持ちが良い。OFFとONを見比べると、「こんなに歪んでいたのか」とショックを受けるとほどだ。まるで単焦点レンズで撮ったかのようなので、建物を撮る人や、被写体を正面から撮る人には見逃せない機能だろう。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算の焦点距離を表します。


ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/81秒 / F4.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/77秒 / F4.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/230秒 / F5.4 / +0.7EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/242秒 / F5.4 / +0.7EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

 ちなみに現行機種のうち、撮影時に歪曲収差を補正していると思われるコンパクトデジタルカメラがいくつか存在する。これらは公式に補正の事実を明らかにしていないが、そのうち何機種かは撮影時に判別できる。撮る前、液晶モニターに表示されている被写体の線が、撮った後のプレビュー画像で真っ直ぐになるからだ。

 一方COOLPIX P5100は「ゆがみ補正」をONにすると、液晶モニターに補正後の状態が常時表示される。撮影後の画質低下もほとんどない。見比べてみても差がわからないだろう。ならば「そもそも常にONで良いのでは?」と思いきや、ゆがみ補正には少々やっかいな制約が存在した。

 まず、ONにすると画角が若干狭くなる。せっかく単焦点レンズに近い使い心地なだけに、きちんと35mmで撮れないのはストレスの溜まる話だ。ただし、35mmが40mmや42mmになるほど変化するわけではなく、OFFと比べて違いはごくわずか。個人的には目くじらを立てるほどではない気がする。

 もうひとつは連写が使えないこと。それに伴い、ブラケティングも使用不可になる。COOLPIX P5100のブラケティングは、±0.3EV、±0.7EV、±1EVの3種類を設定でき、いずれもシャッターボタン1回で3コマを撮影する優れもの。シャッターボタン1回とはいえ露光は3回なので(画像処理ではない)、つまり連写の一種だ。

 連写機能に含まれる「BSS」も使用できない。COOLPIXユーザーならBSSはおなじみだろう。連写した中で、ブレの少ない写真をカメラが自動的に選んで保存するというもの。COOLPIX P5100では、モードダイヤルでセットするだけで手ブレ補正=ON、連写=BSS、ISO感度=ISO64〜1600になる「ブレ軽減モード」も利用できるが、これもゆがみ補正と併用できない。連写関連のうち使えるのは、インターバル撮影(30秒〜60分)だけだ。

 連写と併用できないのは、ゆがみ補正に時間がかかるためだろう。検証のため、連写OFF、最大解像度、シャッター速度1/125秒、撮影後のプレビュー表示ONの条件で、ストップウォッチを撮影してみた。ストップウォッチの計測と同時にシャッターボタンを押し、1枚目の写真を撮影。その後シャッターボタンをすぐ押して、2枚目の写真に写るストップウォッチの秒数を見てみる。ゆがみ補正OFFだと、2枚が撮影できるまでにかかった時間は2秒535。2枚目の撮影時、強制的にAFが再測距するので、まあこんなものだろう。一方ゆがみ補正ONだと、2枚目のストップウォッチ表示は4秒324となった(いずれも数回試した平均値)。ほぼ倍ということになる。


 まあ、自分的には連写、ブラケティング、BSSは滅多に使わないと思うので、基本的に常時「ゆがみ補正ON」でいくことにする。なお、ゆがみ補正ONのときに連写関連の機能を設定すると、一時的にゆがみ補正がOFFになる。連写を単写に戻すと、ゆがみ補正が自動的に復活する。

 今回撮り比べてみたところ、歪曲収差が目立たないといわれる斜めからの構図でも、それなりに差が出ることがわかった。いわれてみれば当たり前だが、斜めから撮ろうが遠景だろうが、目立たないだけで像はしっかり歪んでいる。一度気づくともうダメで、歪みのある広角ズームレンズにはもう戻れない気がした。といっても「見比べれば」というレベルの被写体や構図もあり、なかなか勉強になった。今回は35mm相当なのでそれほどでもないが、超広角ともなると場合によっては、「歪むレンズで歪みを目立たせない」テクニックも必要なのだろう。

 それにしても、改めてホロゴンやディスタゴンといった、光学設計の巧みさによる「歪曲収差ゼロ」の世界に惹かれるが、デジタル処理による歪曲収差補正もなかなかのもの。低コストで小型なレンズでも歪みがなくなるのなら、ぜひほかのコンパクトデジタルカメラにも採り入れて欲しいものだ。さすがに四隅の流れまでは直せないだろうけど、現在もてはやされている28mm相当からの機種にこそぴったりだと思うが、どうだろうか(すでにそういう機種も一部にあるが)。


ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/338秒 / F6.1 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/258秒 / F6.8 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/310秒 / F6.1 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/324秒 / F6.1 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/234秒 / F5.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/233秒 / F5.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/329秒 / F6.8 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/326秒 / F6.8 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/247秒 / F6.1 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/250秒 / F6.1 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/223秒 / F5.4 / -0.7EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/244秒 / F5.4 / -0.7EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/278秒 / F6.8 / -0.7EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/281秒 / F6.8 / -0.7EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/78秒 / F3.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/76秒 / F3.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 35mm

ゆがみ補正OFF
4,000×3,000 / 1/8秒 / F2.7 / 0EV / ISO64 / WB:蛍光灯 / 35mm
ゆがみ補正ON
4,000×3,000 / 1/8秒 / F2.7 / 0EV / ISO64 / WB:蛍光灯 / 35mm


URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/compact/coolpix/p5100/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm2007.htm

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本誌:折本 幸治

2007/11/19 00:02
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