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カシオ EXILIM Hi-ZOOM EX-V7【第6回】
ひし形絞りの活用法

Reported by 本誌:折本 幸治


 今回は趣向を変えて、「EXILIM Hi-ZOOM EX-V7」(以下EX-V7)の変な特性と、それを活すための最近の取り組みを報告したい。

 発見したのは第3回の横須賀スナップにおいて。夜、港内に浮かぶ潜水艦を1段階絞って撮ったところ、水銀灯にクロスフィルターを使ったかのような光芒(光の筋)が出た。確かに、絞りが小さいコンパクトデジタルカメラで夜景を撮ると、異様に光芒が長くなるケースが見られる。しかし、EX-V7の光芒はひと味違う。

 例えば一眼レフカメラでクロスフィルターを使うと、光芒と光芒の間の角度は等しくなる。光芒の数はフィルターによって異なるが、光芒の頂点を結んだ場合、おおよそ正方形など正多角形になる。コンパクトデジタルカメラで出る光芒も、基本的にはこのパターンだ。しかしEX-V7の光芒は十字を傾けたX字型で、さらに縦に長く横に短い(横位置の場合)というイレギュラーな形状だ。「どこかで見たことあるぞ」と思ったら、ひし形の絞りを採用するビデオカメラと同じ現象だと気づいた。

 ひし形絞りは、矩形に切り欠きを入れた2枚の絞り羽根を向かい合わせ、それらを重ね合わせて開閉しながら光量を調整するもの。推測だがどうやらEX-V7も、そうしたひし形の絞りを採用しているらしい。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


3,072×2,304 / 13秒 / F5.9 / 0EV / ISO64 / WB:昼光 / 124mm 3,072×2,304 / 10秒 / F6.2 / 0EV / ISO64 / WB:昼光 / 172mm

 仕組みがわかったところで、光芒を活かす方法考えてみた。まず、光芒の性質について。光量が大きいほど光芒が伸びるのは、クロスフィルターを使ったときと同じだ。さらにX字の光芒は、写真の短辺方向に長くなる。横位置だと縦長、縦位置だと横長のX字になる。そして光芒が出やすいのは、1段階、または2段階に絞った状態。開放だとあまり出ない。

 簡単に大きな光芒を出すには、真昼の太陽を撮れば良い。最初はこのパターンで何点か撮った。しかし逆光になり、太陽以外はほとんどシルエットになる。そのためパターンが限られそうだ。また、どうせなら光芒を画面内に複数入れたい。

 ならば夜景はどうか。光量の大きな点光源を写真の長辺方向に2~3個並べ、X字をまんべんなく画面に配置する。これをパターン1とすると、それとは別に、特別大きなX字を1つだけ入れるという、パターン2も良いかもしれない。シャープなので、都会的な建造物を絡めたいかも……。結局、潜水艦と同様の状況を意識して再現すれば良いという結論に落ち着いた。

 というわけで潜水艦を撮って以来、思いつくままに都内で夜景を撮るようにしている。しかし、三脚が必要なので、通勤のついでに気軽に撮れないのが残念。場所の選定にも悩んでいる。大きめの光源が並んでいるところとなると、まず首都高のジャンクション付近が思いつく。しかし、下から見上げて上手く切り取るとなると、意外にも場所が限られる。またX字は普通の光芒よりあざといので、複数の光源の大きさが同一だと、通常のクロスフィルターを使う以上にうるさい写真になりがちだ。どちらかというとパターン2の方が格好良く決まりそうな予感がしているが、適した場所がまだ見つかっていない。

 それにしても、EX-V7での夜景撮影は面白い。マニュアル露出だと最長60秒の長時間露光が可能なため、コンパクトデジタルカメラで良くある「低感度だとスローシャッター側が足りない」という事態に陥ることがないからだ。暗い被写体も適度に明るくして表示するので、液晶モニターも見やすい。


セルフタイマー設定。「×3」は3回連続で撮影。橋梁の上など、ブレが気になって数を抑えておきたいとき、2秒より便利。ただし、1回目のカウントダウンが10秒になるのでチャンスに弱い
 なお、夜景を撮影するとき、セルフタイマーを2秒にして、レリーズ時のブレを防ぐテクニックがある。そのとき、電源をOFFにするたびにセルフタイマーがOFFになるカメラが多いが、それだと電源を入れ直すたびにセルフタイマーの設定が必要で、ストレスが溜まる。EX-V7では「モードメモリ」の「セルフタイマー」項目を「入」にしておくと、電源をOFFにしても設定がリセットされない。いくつかの撮影スポットを巡ったり、アングルを変えて何パターンか撮るような撮影では、いちいち起動のたびにセルフタイマーを設定しなくて良いので役に立つ。

 そういえば他機種だと、セルフタイマーの設定は十字ボタンに割り付けられていることが多い。EX-Vではメニューからだ。ただし、EX-V7でも「左右キー設定」を「セルフタイマー」に変更すれば、十字ボタンから設定を変えることが可能。もっとも、現在私は左右キーにEVシフト(露出補正)を割り付けており、セルフタイマーの操作のために、EVシフトをメニューから行なうのは考えられない。上下キーにも何かを割り当てられれば良いが、上下は「DISP」と「フラッシュ」(再生モードでは削除)」となっており、変更は不可能だ。

 ストロボ禁止の場所が多いことから、ストロボのON/OFF設定を瞬時に行ないたいというニーズはわかる。しかし、高感度対応が進んだ現在、常時強制OFFでも問題ないのではと思う。そこで左右キー設定に加え、「上下キー設定」を加えて欲しい、というのがEXILIMシリーズに対する私の目下の願い。ストロボ設定はともかく、左右と上下のそれぞれに好きな設定をアサインできれば、それだけで大きく操作性が変わると思うのだが……。例えば左右でEVシフト、上下でISO感度、といった具合だ。今のところ上ボタンに割り付けられて変更できない「DISP」(画面表示の切替)がやっかいだが、こいつもそれほど頻繁に切り替える必要はないだろう。再生メニューの長押しとかに変更し、上下方向をフリーにできないものだろうか。

 夜景とは別に、最近は朝日や夕日もいいなあと思い始めた。X字が何かのシルエットにうまく重ねられれば、絵的にキマリそう。太陽を撮るので手持ちでも充分に撮れる。ただやはり、X字の鋭いエッジの扱いが難しい。例えば平和な朝の遠景に上方からの鋭いエッジが加わると、核攻撃を受けた瞬間にも見える。一度そう感じてしまうと、その印象はなかなかぬぐい去れない。小手先だけの写真って、つくづく難しい。

 そんなこんなで、最近はひし形絞りでどう遊んでやろうかと悩む日々。まだこれはという写真は撮れずにいるが、面白いものが撮れたら折りをみて掲載したい。今からイルミネーションや夜祭りの時期が待ち遠しい。


3,072×2,304 / 1/250秒 / F9.6 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 44mm 3,072×2,304 / 1/500秒 / F9.2 / +0.67EV / ISO64 / WB:オート / 38mm

3,072×2,304 / 2秒 / F4.6 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 38mm
3,072×2,304 / 15秒 / F5.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 66mm

3,072×2,304 / 15秒 / F5 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 53mm
3,072×2,304 / 8秒 / F4.6 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 38mm

3,072×2,304 / 5秒 / F6.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 219mm
3,072×2,304 / 1/200秒 / F6.5 / 0EV / ISO64 / WB:昼光 / 255mm


URL
  カシオ
  http://www.casio.co.jp/
  製品情報
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_v7/
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( 本誌:折本 幸治 )
2007/05/21 12:40
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