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カシオ EXILIM Hi-ZOOM EX-V7【第3回】
横須賀で望遠スナップ

Reported by 本誌:折本 幸治


 久しぶりに晴れ渡った週末。「EXILIM Hi-ZOOM EX-V7」(以下EX-V7)を持って、ぶらりと横須賀市に出かけてみた。今回はほかの仕事の関係で、焦点距離12~24mmの超広角ズームレンズを付けたデジタル一眼レフカメラと、中型のカーボン三脚も持参。これまでのように手ぶらではない。

 それでも焦点距離266mm相当(35mm判換算)まで対応するEX-V7のレンズのおかげで、デジタル一眼レフカメラ用の望遠レンズを省略できたわけだ。しかもEX-V7はポケットの中。望遠に強いコンパクトデジタルカメラの面目躍如といったところだ。

 JR横須賀駅を出て、ヴェルニー公園をぶらぶらと歩く。気持ちのよい海風に当たりながら散歩していると、対岸に海上自衛隊の潜水艦を発見。横須賀に来るたびカメラに収めている被写体で、デジタル一眼レフカメラだと焦点距離300mmくらいの望遠レンズが欲しくなる。まず、ここでEX-V7を使ってみる。予想通り、望遠端で潜水艦を大きく引き寄せることができた。3倍ズームの機種だと、立ち止まって撮る気にならなかっただろう。

 さらにHDズームを試してみる。他社でいう「EX光学ズーム」、「セーフティズーム」、「ファインズーム」などに相当する機能で、カシオでは2006年5月発売の「EXILIM ZOOM EX-Z1000」(以下EX-Z1000)で初搭載。解像度設定を下げた際、撮像素子の中央部分だけを切り出すことで、劣化のない望遠撮影を可能にする機能だ。

 EX-V7はもともと望遠に強い。さらにHDズームを使うと、はるか遠くの被写体を引き寄せることができる。望遠端の焦点距離は、7M(最大解像度)が266mm相当、5Mが319mm相当、3Mが399mm相当、2Mが509mm相当、VGAが1,262mm相当(Exifには記録されないので、それぞれ解像度ごとのズーム倍率から割り出している)。PCでトリミングしても同じことなのはわかっているものの、現場で構図をあれこれ試すのは楽しい。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
  • 強調のため一部の項目を1行目に抜粋した場合もあります。


3,072×2,304 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F4.6 / -1EV / ISO64 / WB:オート / 38mm
3,072×2,304 / 絞り優先AE / 1/800秒 / F6.5 / -1EV / ISO64 / WB:オート / 266mm

2,560×1,920(HDズーム) / 絞り優先AE / 1/800秒 / F6.5 / -1EV / ISO64 / WB:オート / 319mm
2,048×1,536(HDズーム) / 絞り優先AE / 1/500秒 / F6.5 / -1EV / ISO64 / WB:オート / 399mm

1,600×1,200(HDズーム) / 絞り優先AE / 1/400秒 / F6.5 / -1EV / ISO64 / WB:オート / 509mm
640×480(HDズーム) / 絞り優先AE / 1/160秒 / F6.5 / -1EV / ISO64 / WB:オート / 1,262mm

 港湾内でひとしきり望遠で遊んだ後は、ムーミンの巨大イラストがインパクト大のショッピングモール、ショッパーズプラザで買い物。そういえば、この日はインド海軍の艦艇が寄港中とのこと。やたらとそれっぽい人たちの集団を見かけた。その後は定番のドブ板通りから諏訪公園、若松町へと市街地を行く。要するに街スナップを試みたわけで、ここでやっぱり広角側の狭さが気になり出した。

 広角側の画角については個人の好みがあるので、どの焦点距離がベストかは人それぞれだろう。私の場合は35mm、または24mm。EX-V7のような38mmスタートの機種だと、「あと少し広ければ」と思うことも多い。結局、デジタル一眼レフカメラ+超広角ズームレンズをメインに進んだ。EX-V7だけで広角域から超望遠域までカバーできれば、もっと愉快だったのかもしれない。しかし、小さなボディにそこまで望むのは酷だろう。

 それより気になったのは、広角側のタル型の歪み。これまで広角側を使ってこなかったので気づかなかったが、かなり目立つ。望遠端は、これまたはっきりとした糸巻き型だ。これも高倍率ズームレンズの弊害だろう。最近は画像処理で歪みを自動的に補正する製品がいくつかあるようなので、EX-V7も便乗してほしかったところ。そのうち、SILKYPIX Developer Studio 3.0など、JPEGに対して収差補正を行なえるソフトを試してみたい。

 とはいえ、街中での望遠撮影は結構面白い。要らないものを切り取る感覚で、気になったものをどんどん撮れる。ボケこそデジタル一眼レフカメラに敵わないものの、望遠レンズらしい圧縮効果はちゃんとかかるし、コンパクトなボディなので人目もあまり気にならない。これがデジタル一眼レフカメラの望遠レンズだと、もともと巨大だったり、長く伸びたりと、気弱な私は少々気恥ずかしくなるときがある。


広角端
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/200秒 / F3.4 / 0.33EV / ISO64 / WB:オート / 38mm
望遠端
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/200秒 / F5.3 / 0.33EV / ISO200 / WB:オート / 266mm

 集中力は2時間でつきた。そこであとは喫茶店でだらだらしたり、公園で文庫本を読んだりと、休日らしく暇つぶし。ようやく陽が傾く頃、夕日に染まる海を撮りに三笠公園へ。海からの風が心地よい。どんどん日が陰る中、手ブレ補正は心強い。日が落ちるまで、実質的に三脚はほとんど必要なかった。

 日本人もアメリカ人もインド人も、連合艦隊司令長官、東郷平八郎の像との記念撮影にいそしんでいる。その穏やかな光景を、ベンチに座ってボーッと眺める。東京に戻るのがおっくうになってきた。


M=マニュアル露出モードの撮影画面。OKボタンを押すごとに、絞り→シャッター速度に選択が移る。感度は強制的にISO64に固定
 その後は夜景を探してうろうろ。EX-V7はマニュアル露出モードにすると、最長60秒のスローシャッターに設定できる。これまで使ってきたコンパクトデジタルカメラの多くは、シャッター速度の下限が2秒程度。少し明るくしたいときは、涙ながらにISO感度を上げたものだ。しかしEX-V7なら、最低感度のISO64で夜景に充分な長時間の露光が可能だ。

 というよりマニュアル露出モードでのISO感度は、自動的にISO64に固定される。ほぼ、長時間露光専用かも知れない。また、絞り値やシャッター速度を変化させても、液晶モニターに変化は現れないし、リアルタイムヒストグラムも変わらない。シャッターボタンを半押しすることで初めて測光する。測光を常時行なっているわけではないので、いくらシャッター速度を変化させても、リアルタイムヒストグラムは動かないわけだ。また、余りにもオーバー、あるいはアンダーになることが予想される設定だと、シャッターボタンの半押し時に警告表示が出る。

 ようやくマニュアル露出に慣れた頃は、夜9時を廻っていた。アルコールが主食の食事をして外に出ると、人通りも少なくなり、街の灯りも暗い。まだまだこの街の雰囲気に浸りっていたいところだが、明日は明日の予定がある。後ろ髪を引かれる思いで東京に戻った。

 帰宅後、写真を確認する。ここで初めて、最近のカシオ機に比べて画質がかなり良くなっていることに気づいた。これまで撮っていたのは、近年のEXILIMでは不可能だった望遠ばかりだった。今回は広角端を含めて多様な画角を撮ったおかげで、今さらながら画質の変化に気づいた次第。EX-V7から搭載された「EXILIMエンジン2.0」の効果だろう。

 現在手元にカシオのカメラがないので、厳密な比較はできない。なので、記憶を元にした適当な印象になるが、全体的に単色面がすっきりとしたようだ。それでいて微妙な階調も残っている。青空に乗るノイズも減った。これは期待できる。正直、EX-V7を本格的な撮影に連れ出す発想はなかったが、今後はもっと作品っぽい被写体にもチャレンジしたい。


3,072×2,304 / プログラムAE / 1/500秒 / F4.6 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 38mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/640秒 / F4.6 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 38mm

3,072×2,304 / プログラムAE / 1/400秒 / F3.9 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 71mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/250秒 / F4.4 / -0.33EV / ISO64 / WB:オート / 133mm

3,072×2,304 / 絞り優先AE / 1/500秒 / F4.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 239mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/320秒 / F4.4 / -0.67EV / ISO64 / WB:オート / 152mm

3,072×2,304 / プログラムAE / 1/320秒 / F4.6 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 38mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/200秒 / F3.4 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 38mm

3,072×2,304 / マニュアル露出 / 1.3秒 / F4.9 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 47mm
3,072×2,304 / マニュアル露出 / 15秒 / F6.5 / 0EV / ISO64 / WB:昼光 / 266mm


URL
  カシオ
  http://www.casio.co.jp/
  製品情報
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_v7/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 本誌:折本 幸治 )
2007/04/23 00:02
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