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カシオ EXILIM Hi-Zoom EX-V7【第2回】
動物園でシャッター優先AEを試す

Reported by 本誌:折本 幸治


 おっかなびっくり使い始めた「EXILIM Hi-ZOOM EX-V7」(以下EX-V7)。本格的に使う前に、いろいろ試したいことがあったけど、ぶっつけ本番で動物園に出かけてみた。もちろん今回もEX-V7はポケットの中。相変わらず手ぶらだ。

 出かけたのは東京恩賜上野動物園と東京都多摩動物公園。順番に土曜日と日曜日に赴いた。両日とも気分はほとんど行楽状態。手ぶらは人を解放的な気分にさせるようだ。

 動く被写体ということで、さっそくシャッター速度優先AEを試すことにする。EX-V7は、プログラムAEのほかに、シャッター速度優先AE、絞り優先AE、マニュアル露出が選べるのだ。

 EX-V7のシャッター速度優先AEは結構シンプル。ダイヤルを「S」に回し、左右ボタンでシャッター速度を選ぶだけ。SETボタンを押すと、今度は露出補正が左右ボタンで行なえるようになる。さらにSETボタンでシャッター速度の変更に戻る。設定可能なシャッター速度は60秒~1/800秒まで。この手のコンパクト機としては低速側が充実しているので、スローシャッターも得意といえる。

 やっぱりシャッター速度を選べるのは面白い。といっても各動物の動きに対し、どんなシャッター速度が有効なのかよくわかっていないので、設定は結構あてずっぽうだ。それでも、試行錯誤しながら設定を変化させ、いろんな動物の動きを追うのは楽しいものだ。


モードダイヤルで存在を主張するA、S、Mの各露出モード。今回はS=シャッター速度優先AEを使ってみる
シャッター速度優先AEのときの撮影画面。左右ボタンでシャッター速度を調整できる

シャッター速度優先AEでは、感度が400まで上がる「被写体ブレ軽減」が使用できない 固定感度設定も不可能。「ISOオート」しか動作しない。最高感度はISO250と思われる

 しかし天候が悪くなるにつれ、シャッター速度が上がらなくなってきた。1/250秒以上にすると「露出アンダーです」との表示が出て、真っ暗に写る。ならばISO感度を上げるかとメニューを探ってみると、予想だにしない事実が判明した。シャッター速度優先AEだと、強制的にISOオートに固定されるのだ。というか、今まで感度を意識せずに撮っていたのかオレは。解放感も場合によりけりだ。ちなみにマニュアル露出(M)にすると、ISO感度はISO64に固定される。

 さらに、ベンチに座り込んで研究すること10数分。どうやら、ISOオートの感度範囲はISO64~ISO250までらしい。ここで、ブレ軽減モードを「被写体ブレ軽減」(感度アップで被写体ブレを軽減する)、または「オート」(光学式手ブレ補正のみの「手ブレ補正」と「被写体ブレ軽減」を同時に実行する)にすれば、ISO400まで上がる。どうやらEX-V7の最高感度は、ISO固定設定を除くと、ISOオート(ISO250まで)→被写体ブレ軽減(ISO400まで)→高感度(ベストショットモード、ISO1600まで)という序列があるようだ。

 そこで、シャッター速度優先AEに被写体ブレ軽減を組み合わせれば、「少なくともISO400までは増感するはず」と思いきや、被写体ブレ軽減は強制的に無効。ISOオートのみとなる。つまり、どうやってもISO250までが限界ということ。

 悪いことに、上野動物園の天候はどんどん悪くなってくる。結局、シャッター速度優先AEをあきらめて、プログラムAEを多用することにした。これなら被写体ブレ軽減を組み合わせることで、ISO400までいける。プログラムAEの方がシャッター速度が稼げるとは……事前の勉強不足が招いたこととはいえ、ちょっと衝撃的な1日だった。

 次の日、天候に恵まれた多摩動物公園では、シャッター速度優先AEが大活躍。望遠端の焦点距離266mm相当も充分で、手のひらに収まるコンパクトなデジタルカメラとしては、驚くほど被写体を引き寄せることができる。

 ただし、動物が生息する野生の環境を再現したイーマジョン型展示の多摩動物公園では、「もう少し望遠側の焦点距離があれば」と思うことがしばしばあった。そんなときは、記録解像度を7Mから5Mや3Mに落としての「HDズーム」が有効だ。手ブレを連発しながらも、強烈な画角の狭さに酔いしれることができた。7Mで撮ってPC上でトリミングすれば同じことだとわかっていていも、こういうシチュエーションだとついつい使ってしまう。

 もうひとつ面白かったのが、EX-V7からの新機能「追尾AF」。「AFエリア設定」のひとつで、シャッターボタン半押しでピントを合わせた被写体に対し、半押しを続ける限り、被写体を追い続けるというものだ。

 動物園での撮影の場合、動物の顔に追尾AFを合わせ、液晶画面の中に収めるよう追いかければいい。顔に合わせた後、フォーカスロックのようにフレーミングし直して構図を整えることもできる。追尾能力は結構すさまじく、被写体がフレーム外に出ない限り、追いかけつづける。ペンタックスのコンパクトデジタルカメラにもある機能だが、液晶モニターを見ているだけでも面白い。


AFエリア設定。一番下が新機能の「追尾AF」
被写体が動くと、瞬時に追いかける。相手が動かなければフォーカスロックもできる

 だだし、動きの激しい被写体だと、ペンギンの顔からおなかにフォーカスフレームが移ったりと、一眼レフカメラのコンティニュアスAFほど過信はできない。動物の動きが読めるなら、素直に置きピンの方が確度が高いかもしれない。まあ、色々総合すると、動くかもしれない被写体に対しては有効だと感じた。

 結局、面白くて2日間で400枚くらいの写真を撮ったが、写真の出来はというと……思ったより手ブレが目立つ。撮影時に手ブレ補正が効いているのはわかるが、シャッター速度が焦点分の1秒でもブレている。そういう意味では、ISO400に増感して焦点分の1秒以上になるプログラムAEの方が確度が高い印象だ。持ち方をもっと研究する必要があるかもしれない。さらに、動かない動物を不必要に増感して撮ったりと、まだまだカメラにも被写体にも慣れていない。あとなぜか、撮影結果のほとんどが鳥だった。実は気がついていないだけで、鳥が好きなのかもしれない。

 とはいえ、色んな機能を試しながら撮るのは楽しかったし、ポケットに入るコンパクト機で、ここまで撮れれば個人的には充分。シャッター速度優先AEには少々とまどったけど、流し撮りや花火など、スローシャッターを要するときなら威力を発揮しそうだ。来週もいろいろ楽しんでみたい。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出モード/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/35mm判換算での焦点距離を表します。


3,072×2,304 / シャッター優先AE / 1/200秒 / F4.7 / 0EV / ISO250 / WB:オート / 210mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/200秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 162mm

3,072×2,304 / プログラムAE / 1/320秒 / F4.7 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 219mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/320秒 / F5.3 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 266mm

3,072×2,304 / シャッター優先AE / 1/200秒 / F5.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 266mm
3,072×2,304 / シャッター優先AE / 1/200秒 / F5.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 266mm

3,072×2,304 / シャッター優先AE / 1/200秒 / F4.5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 162mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/320秒 / F4.7 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 210mm

3,072×2,304 / シャッター優先AE / 1/250秒 / F5.3 / 0EV / ISO125 / WB:昼光 / 266mm
2,560×1,920(HDズーム) / プログラムAE / 1/320秒 / F5.3 / 0EV / ISO200 / WB:昼光 / ―

3,072×2,304 / プログラムAE / 1/320秒 / F4.6 / 0EV / ISO400 / WB:昼光 / 190mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/125秒 / F4.6 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 181mm

3,072×2,304 / プログラムAE / 1/400秒 / F5.3 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 266mm
3,072×2,304 / プログラムAE / 1/250秒 / F4.7 / 0EV / ISO400 / WB:昼光 / 219mm


URL
  カシオ
  http://www.casio.co.jp/
  製品情報
  http://dc.casio.jp/product/exilim/ex_v7/
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( 本誌:折本 幸治 )
2007/04/16 00:01
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