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パナソニック LUMIX DMC-TZ3【第3回】
鈴鹿サーキットでスーパーGTに挑戦

Reported by 奥川 浩彦


 今回は鈴鹿サーキットで3月17〜18日に開催されたスーパーGTのうち、GT300クラスに参戦する「トイ・ストーリーレーシング」を中心に撮影した。筆者の本業である広報業務でお世話になっているラナがサポートするチームで、年間チャンピオンの有力候補だ。

 以前このコーナーで紹介したIXY DIGITAL 900 IS(以下900 IS)のデビューも鈴鹿サーキットだったが、主役はデジタル一眼レフカメラで、900 ISは動く被写体に関してはお試し程度の撮影だった。LUMIX DMC-TZ3(以下TZ3)は、光学10倍ズーム、EXズームなら15倍なので、35mm判に換算すれば420mm相当となる。ここまで焦点距離が長いと、マシンの撮影も不可能ではない。

 スーパーGTは国内モータースポーツでもっとも人気が高いイベントだ。2006年の観客動員は32万人、毎年入場者は増えている。一見順調にみえるスーパーGTだが、開幕前に発売されたレース専門誌によると運営団体は2億3,000万円の債務超過に陥っており、広告代理店への支払いを含めると負債総額は4億円になるという。特に毎週日曜の夕方に放送されているスーパーGT番組に関するプロモーション費用が要因になっているらしい。そのプロモーション活動のお陰で観客が増えているのだが、今年から運営団体も代わり、予算の見直しが図られ、番組打ち切りの可能性も囁かれている。熱戦を繰り広げているスーパーGTの応援も兼ねて、TZ3で動く被写体をどこまで撮れるか評価してみたい。

 一眼レフと異なりコンパクトデジカメはオートフォーカスが遅く、シャッタータイムラグも大きい。動く被写体にまともに追従することは不可能だと思っている。特にオートフォーカスの遅さは致命的で、動く被写体を撮っても実際の撮影されるのは通り過ぎた後だったりする。そこで撮影ポイントにフレームを合わせ、事前にシャッターを半押しして、フォーカスロックをかけて撮影することにした。

 最初の印象は「そこそこ撮れる」。一眼レフと比較すれば難しいが、液晶モニターで見る分には予想以上に撮れそうな雰囲気だ。2年ほど前、他社の10倍ズーム機で同じような撮影を行なったことがあるが、そのときはすぐに諦めた。シャッタータイムラグが大きく、撮影ポイントの数10m手前でシャッターを押さないと間に合わないのだ。仮にタイムラグが0.5秒あったとすると、90km/hのマシンは12.5m、180km/hなら25m、270km/hでは37.5m手前でシャッターを切らなければならない。現在のコンパクトデジカメはそれほど遅くはなさそうだが、一眼レフと比較するとあきらかにタイムラグがある。TZ3はキビキビ動くデジカメではないが、なんとか写せると感じた。

 TZ3にはシャッター速度を選択する機能がない。動きを表現する場合、ある程度シャッター速度を遅くしたいがこの点は諦めるしかないだろう。それでもできるだけシャッター速度を遅くするため、ISO感度を最低のISO100に設定して撮影を続けた。できれば1/200秒以下で撮影したいが、この日は晴天で1/400秒が限界だ。近付いてくるマシンをフレーミングしながら追いかけ、撮影ポイントの少し手前でシャッターを切る。


液晶表示にもタイムラグがある。表示部分の色が違うのはタイメックスの時計が角度によって緑色に光るため
 この際気になったのは液晶表示の遅れだ。被写体の動きと液晶モニターの映像にもタイムラグがあり、追従させる際に違和感を感じる。この時差のため、マシンを追いかけてもフレーム内でフワフワ動き、撮影するとフレームアウトすることも多い。画面いっぱいにマシンを入れようとすると切れてしまうので、少しゆとりを持ったフレーミングにした方がよさそうだ。またマシンがいない路面でフォーカスロックを行なったため、やや露出がオーバー気味になってしまった。

 液晶表示の遅れといってもピンと来ない方も多いだろう。そこで執筆にあたり、ストップウォッチを撮影して確認することにした。ストップウォッチの表示は55秒03だが、TZ3のモニターでは54秒91と表示している。つまり、実際の被写体より0.12秒遅れているのだ。例えば野球やゴルフでインパクトの瞬間を撮影しようとした場合、液晶モニターで見ている映像はすでに0.12秒遅れた映像なのである。仮にシャッタータイムラグが0.001秒だったとしても、ボールを捕らえた瞬間が写ることはない。

 メーカーのリリースを見ると「ヴィーナスエンジンIII搭載で、高速レスポンス、レリーズタイムラグ:最短0.006秒」とあるが、普通に撮影すると「最短」にはならないようで、筆者が実測すると0.1〜0.2秒、液晶表示の遅れが加わるので実質0.2〜0.3秒の遅れが出る。この時差を考慮してシャッターを切る必要がある。

 便利だと思った機能も紹介しよう。「ズーム位置メモリー」という設定があり、ONにしておくと、起動した際、電源オフ時のズーム位置に復帰する。今回の撮影は一眼レフとTZ3を交互に撮影していたので、かなり快適な機能だと感じた。元々広角28mmからのズームを搭載し、電源オンでいつも28mmというのは必ずしも優れているとは思わないので、常時この設定を有効にして使用してる。


ピットウォークの列は、観覧車から坂を下りトンネルを抜けてコースに入りピットまで続く
 予選日の17日午前中にS字の撮影を終え、ピットウォークに向かった。有料のイベントだがマシンやレーサー、レースクイーンを間近で見ることができる。長蛇の列に並びトイ・ストーリーレーシングチームのピットにたどり着いた。静止しているマシンの撮影には広角28mmが威力を発揮する。低いアングルからグッとよってシャッターを切った。

 午後は西コース、ヘアピンに移動した。ヘアピンのクリッピングポイントを解像度を3M(2,048×1,536)に落とし、EX光学ズームで15倍(35mm判換算で420mm相当)に設定して撮影した。動く被写体であり、正面アングルの場合できるだけ速いシャッター速度で撮りたいので、ISO感度を200に設定した。ここでも一眼レフとは撮りやすさも撮った画像も比べるまでもないが、コンパクトデジカメとしてはそこそこの撮影ができたと思う。

 予選の結果は期待の若手レーサー大嶋選手が頑張り、トイ・ストーリーレーシングは2位をゲット。翌日の決勝が楽しみだ。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


広角28mmはマシンがかっこよく写る
3,072×2,304 / 1/320秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm
チーム関係者の配慮でピット内に入れてもらい背後からも撮影
3,072×2,304 / 1/40秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm

ピットエンドから1コーナーを望む。セナもシューマッハもこの信号を見てコースへ出て行った
3,072×2,304 / 1/1,000秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 256mm
ピットウォールも28mmで撮影。露出補正など全てオートで問題ない
3,072×2,304 / 1/640秒 / F3.3 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm

 2日目は130Rで撮影開始。前日の反省を活かし、露出補正をかけて撮影する。コースまでの距離があるので解像度を5Mに設定し、EX光学ズームを使用した。シャッター速度は1/800秒になってしまい、この手の写真としては動きがなく寂しい感じだ。

 そのまま西コース、ヘアピンの少し先へ。決勝レースが始まる。ヘアピンから立ち上がってくるマシンを焦点距離100mmくらいにズームしての流し撮りと、EX光学ズームによる12倍での正面斜めからの2アングルで撮影する。ここであることを発見する。ほとんどの場合、TZ3のプログラムAEは絞り開放になるが、まれに絞ることがある。この場所では通常F4.7がたまにF11となる。当然シャッター速度も1/1,300秒が1/250秒に下がる。

 色々試した感じでは、置きピンする時の画像の条件によって変化するようだ。たまたま撮影ポイントと同じ距離の芝生とアスファルトの切れ目でピント合わせを行なうと、遅いシャッター速度になることがわかった。まだまだ流し撮りのシャッター速度としては速すぎるが、これまでの画像と比べると少し動きを付けられるようになった。

 決勝、GT500は最終ラップにトップを快走するART NSXがマシントラブルで後退し、ZENT CERUMO SC430(レクサス)の劇的な逆転優勝となった。GT300はトイ・ストーリーレーシングがスタートから15周まで2位でトップに迫るが、パワステのトラブルが発生しペースダウン。最終的に3位となった。

 2日間、デジタル一眼レフカメラとTZ3でほぼ半数ずつ撮ってみた。TZ3で撮った画像を見ると、もし一眼レフだったら筆者的には全部ボツ写真のレベルだ。撮りやすさ、設定の自由度、画質、どれをとっても一眼レフに軍配は上がるが、軽さはTZ3の方が優れている。クオリティの限界、撮影の難しさはあるが、動く被写体の撮影が不可能ではないと感じた。例えば運動会や少年野球などなら、一眼レフと高価な望遠レンズを買わなくてもそこそこ撮れるであろう。3倍ズームでは豆粒だった主役を10倍ズームで大きく写すことも可能だ。

 このクラスのデジカメには必要ないかもしれないが、できるならばシーンモードの一つとしてシャッター速度を遅くする機能を追加して欲しい。元々絞りが2段しかないTZ3だが、絞り込んだ状態でISO感度を50とか25まで落として昼間でも1/125秒とか1/60秒が切れると滝や噴水の撮影にも使えるはずだ。手ブレ補正もあるので、絵作りの幅が広がると思うのだがいかがであろう。

 最後も余談だがスーパーGT第2戦は4月8日に岡山で開催され、トイ・ストーリーレーシングは見事優勝した。第3戦は5月4日に富士スピードウェイで開催される。ここで本業。まだマシンのドア部分に空白があるので、興味がある企業の方はチーム・ラナまでご連絡いただきたい。


1/400秒では動きが表現できない。露出もややオーバー気味。初日に撮影
3,072×2,304 / 1/400秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 228mm
予選でタイムアタックするマシンをヘアピン正面から撮影
2,048×1,536(EX光学ズーム) / 1/500秒 / F11 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 420mm

130Rでシャッター速度1/800秒で撮影。スローシャッターモードが欲しい
2,560×1,920(EX光学ズーム) / 1/800秒 / F4.9 / -1.33EV / ISO100 / WB:オート / 336mm
シャッター速度を遅くする裏技?を発見。1/250秒でやや動きが出ている
3,072×2,304 / 1/250秒 / F11 / -1.33EV / ISO100 / WB:オート / 96mm

ヘアピンから加速するマシン。普通に撮るとシャッター速度は速めとなる
2,560×1,920(EX光学ズーム) / 1/1,300秒 / F4.9 / -1.33EV / ISO100 / WB:オート / 336mm
これくらいの角度になるとシャッター速度を遅くしたい
2,560×1,920(EX光学ズーム) / 1/1,300秒 / F4.9 / -1.33EV / ISO100 / WB:オート / 336mm

GT500クラスのマシン。液晶表示の遅れはフレーミングを難しくする
3,072×2,304 / 1/400秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 256mm
GT300クラスのマシン。由良拓也氏のデザインの紫電……かっこいい
3,072×2,304 / 1/500秒 / F4.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 238mm

2,048×1,536(EX光学ズーム) / 1/80秒 / F4.7 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 154mm 逆光でかなり眩しかったが問題なく撮影できた
3,072×2,304 / 1/320秒 / F10 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 43mm

サポートレースをヘアピンで広角28mmで撮影。脚立に乗り液晶表示をハイアングルモードに設定し、手を伸ばして撮影
3,072×2,304 / 1/250秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 28mm
逆光で反射する路面とマシンをモノクロで撮影
2,048×1,536 / 1/400秒 / F11 / -0.66EV / ISO200 / WB:オート / 393mm

ヘアピンから加速するGT500マシン
3,072×2,304 / 1/250秒 / F11 / -1.33EV / ISO100 / WB:オート / 103mm
大逆転で優勝し手を振りながらウイニングラップを周回するZENT CERUMO SC430
2,560×1,920(EX光学ズーム) / 1/1,000秒 / F4.9 / -1.33EV / ISO100 / WB:オート / 336mm


URL
  パナソニック
  http://panasonic.co.jp/
  製品情報
  http://panasonic.jp/dc/tz3/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm
  スーパーGT
  http://supergt.net/
  チーム・ラナ
  http://www.runat.co.jp/teamruna/

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( 奥川 浩彦 )
2007/04/11 01:31
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