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キヤノン PowerShot G7【第2回】
G7のメリットを考える

Reported by 小山 安博


マニュアル操作が魅力のPowerShot G7
 PowerShot G7は、フルマニュアルの撮影が可能なコンパクトデジカメだ。最近のコンパクトデジカメはシャッタースピードや絞りを変更できる機種自体が少なく、コンパクトデジカメでマニュアル撮影したいと思うと、選択肢があまり多くない。

 PowerShot Gシリーズは、もともとフルマニュアル撮影可能な点が大きな特徴だったが、G7でもそれは継承されており、これまでの機能は削られずに、さらに高機能になっている。

 G7の魅力はこの高機能な点だ。P/Tv/Av/Mという撮影モードに加え、PowerShotシリーズの特徴であるカスタムモードも2つ用意。カスタムモードでは、シャッタースピードや絞り、ホワイトバランスといった撮影設定からズーム位置までを登録できるので、素早く設定を切り替えて撮影したいときに効果を発揮する。

 シャッタースピードは15秒から1/2,500秒まで設定でき、絞りはF2.8~F8まで。Gシリーズはこれまでシャッターボタン付近にダイヤルを配置していたが、G7では背面のコントローラーホイールでダイヤル操作を行なう仕組みになる。どちらもEOS Kiss Digitalシリーズをのぞくキヤノンのデジタル一眼レフカメラで採用されている電子ダイヤルに近く、操作性は高いので優劣はつけがたい。


モードダイヤル。ダイヤルの質感もいい。動画やシーンモードも選べる。ただし、筆者はシーンモードはほとんど使ったことがない
背面はボタン類も多め。コントローラーホイールと十字キー、さらにFUNC/SETボタンが一体化していて、慣れないとホイールと十字キーを押し間違えることもあるが、慣れると快適に操作できる

 ただ、G6までのダイヤルだと、ダイヤルを回転させてシャッタースピードを変更、ダイヤルを押し込むと絞りを変更できたのに対し、G7では露出補正ボタンを押してシャッタースピードと絞りを切り替える方式になっており、これはG6までの方が使いやすかった。

 それでも、シャッターボタンから手を離さずにダイヤル操作ができるほか、総じて親指で回転させるコントローラーホイールの方がなめらかに操作できる感じがするので、この操作性は結構気に入っている。


目盛り表示。これはプログラムシフト時の表示で上段がAvバー、下段がTvバー。シャッタースピード変更時はTvバーのみ、絞り変更時はAvバーのみが表示される
 とにかく便利なのが、シャッタースピードと絞りの目盛り表示。定規のメモリのように設定できるシャッタースピードと絞りが表示されるので、快適に、直感的に数値を設定できる。プログラムシフトの場合はシャッタースピードと絞りの目盛りが同時に表示されるのもわかりやすい。

 マニュアル撮影モードの場合、同時に露出値の目盛りも表示される。今までは露出が適正かどうかは(液晶の表示の明るさを抜きにすれば)シャッターボタンを半押ししないとわからなかったが、G7では、シャッタースピードや絞り、ISO感度を変えると露出値の目盛りがリアルタイムに変動し、露出が適正かどうかすぐに分かるようになった。リアルタイムヒストグラムも表示できるので、露出設定がやりやすい。

 ISO感度ダイヤルも便利だ。ダイヤルを回してISO感度を設定するので、電源オフ状態でもあらかじめ設定できるし、直感的に素早い設定が可能になる。逆に、ソフトウェア制御ができないのでカスタムモードにISO感度を記憶させておく、というワザは使えない。

 フェイスキャッチテクノロジーによる顔認識機能も使い勝手がいい。勝手に人の顔にAFを合わせてくれるので、ピントの中抜けや逆光時の露出不足などが解消でき、集団(9人まで)同時に認識してくれるので、気軽なスナップ撮影に向いている。顔を認識できない場合は、自動的に9点AiAFになるのも便利だ。


露出値の目盛りは画面右端に表示されている。露出アンダーなのが一目でわかる ISO感度ダイヤル(写真左)。モードダイヤルと同じくアルミ削り出しの高い質感

AFモードは背面のAFボタンを押すだけで変更できる。これは顔認識モード。風景メイン、マクロ撮影などの場合を除いて、たいていはこのモードにしておけば間違いない
1点AFは、測距点を十字キーで自由に動かせる点が便利。マクロ撮影などにも活躍する。SETボタンを押すと顔認識が行なわれ、人の顔にAFが移動するのも面白い

ちなみに、手ブレ補正の設定はメニューから行なうしかないので少々面倒。頻繁に変える場合は、背面左上にあるショートカットボタンに手ブレ補正を割り当てるといい
 個人的に非常に大きな魅力と感じているのがコンパクトなところ。前回の繰り返しになるが、(これまでのGシリーズに比べれば)筐体がよりフラットになり、薄く、軽くなって持ち運びしやすくなった。

 レンズの光学手ブレ補正機能も強力で便利。レンズシフト式の手ブレ補正で、シャッタースピード換算で3段分の効果があるという。常時動作する「入」と、シャッターボタンを押しきった瞬間にだけ動作する「撮影時」、上下方向のブレだけを補正する「流し撮り」の3パターンが設定できる。個人的にはバッテリーの消耗も考えて撮影時のみに設定しているが、望遠での撮影時は「入」に設定してもいいかもしれない。

 さて、これまでG7を使ってきて感じたメリットはこのあたり。逆に不満に感じた部分もあるので、そちらも見てみたい。

 個人的に一番不満に感じたのはバッテリ残量表示。そもそも、普段はバッテリ残量が表示されないのだ。表示されるのバッテリ残量が減って撮影できなくなる直前の警告表示だけ。使っているといきなりバッテリ警告が表示される印象で、正直困る。

 CIPA規格による撮影可能枚数は液晶表示時で約220枚。決して多い方ではないので、毎日充電するか予備を持ち歩けばいいのだろうが、それにしてもバッテリー残量の表示は常時して欲しい。

 もう1点は、最近のキヤノンのコンパクトデジカメに共通しているのだが、Exif内のISO感度表記が一般的でない点。どうやらExifのメーカー独自領域に書き込まれているためのようだが、一般的な画像管理ソフトやExif表示ソフトではISO感度が確認できないのだ。付属のZoomBrowser EX/ImageBrowserを使えばいいのだが、普段、別のソフトを使って管理しているため、ちょっと面倒なのだ。EOSシリーズは特にそんなことはないため、なぜこういった仕様にしたのかはちょっと分からない。

 さて、PowerShot Gシリーズの特徴だった開放F値がF2スタートの大口径レンズ、バリアングル液晶モニターの2つが省かれた今回のG7。

 この2点に関しては不満とともにある程度の理解を感じている。このあたりの詳細については、次回のG3との比較の時に。


  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。

  • すべて記録解像度は3,648×2,736ピクセル、露出補正なし、オートホワイトバランスで撮影しています。

  • 作例下の撮影データは、撮影モード/露出時間/絞り値/ISO感度/実焦点距離を表します。



プログラムAE / 1/250秒 / F4 / ISO80 / 7.4mm
絞り優先AE / 1/500秒 / F4 / ISO80 / 7.4mm

プログラムAE / 1/125秒 / F4 / ISO80 / 7.4mm
NDフィルター利用
絞り優先AE / 1/4秒 / F5.6 / ISO80 / 7.4mm

プログラムAE / 1/30秒 / F2.8 / ISO80 / 7.4mm
プログラムAE / 1/1,000秒 / F4 / ISO80 / 7.4mm

プログラムAE / 1/10秒 / F2.8 / ISO100 / 7.4mm
プログラムAE / 1/20秒 / F2.8 / ISO800 / 7.4mm

プログラムAE / 1/10秒 / F2.8 / ISO100 / 7.4mm プログラムAE / 1/640秒 / F4 / ISO80 / 7.4mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/powershot/g7/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 小山 安博 )
2007/01/29 17:19
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