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ペンタックス K10D【第3回】
DA Limitedレンズの魅力

Reported by 中村 文夫


装着中のレンズはDA 40mm F2.8 Limited。下段中央がDA 21mm F3.2 Limited、下段右がDA 70mm F2.4 Limited
 ペンタックスの交換レンズのラインナップは発展途上だ。デジタル一眼レフカメラの発売が他社に比べると遅かったことに加え、フィルムカメラ用レンズの無鉛化が進んでいなかったので、ここに来てカタログから姿を消す製品が急増。フィルムカメラの全盛期には50本以上を誇ったラインナップが、今ではたったの23本しかなく、その時代を知る者として寂しい限りだ。またレンズメーカーもペンタックスKマウントを後回しにする傾向が強く、選択肢は決して広くない。

 だが、この春には超音波モーター内蔵レンズや中判デジタルカメラ用レンズが登場する予定。さらにK100DとK10Dの売れ行きが好調なので、レンズメーカーのペンタックスに対する評価も上昇中だ。また21日にはHOYAとの経営統合という電撃的なニュースが駆け抜けたばかり。恐らく桜の花が咲く頃にはペンタックスのリベンジが始まるはずだ。

 ペンタックスの場合、Limited(リミテッド)レンズやフィッシュアイズームなど、他社にない分野は突出している。第3回目となる今回は、ペンタックス独自の路線として人気の高いLimitedレンズを選択。K10Dと組み合わせることにした。

 Limitedレンズに共通した特徴は、測定器で得られるデータだけでなく、実写評価を尊重した設計を採用していること。いわば「レンズの味」を追求した高級レンズだ。描写性能だけに止まらず、金属製鏡筒を採用するなど、マニア心を刺激する魅力も満載している。


撮影に使用した3本のsmc PENTAX DA Limitedレンズ。左からDA 21mm F3.2 Limited、DA 40mm F2.8 Limited、DA 70mm F2.4 Limited。APS-CサイズのCCDに合わせて設計されたデジタル専用レンズだ。レンズ鏡筒だけでなく専用フードやキャップも金属製。所有する喜びも味わえる
 もともとフィルムカメラ用レンズとして誕生した製品だが、後にAPS-Cサイズの撮像素子を搭載するデジタルカメラ専用レンズへと進化。現在では21mm、40mm、70mmがラインアップしている。フィルム用の製品が大口径化に重点を置いていたのに対し、デジタル用のDAタイプではコンパクト化を重視。なかでも40mmは鏡筒厚が薄いパンケーキ仕様になっている。開放F値は暗めだがK10Dなら手ブレ補正が使えるので、暗い場所でも安心して手持ち撮影が可能。また単焦点レンズなので、ズームレンズに比べるとレンズ交換をする回数が増えCCDにゴミが付く危険性が高まるが、K10Dはこの点もでも優位に立つ。まさにLimitedシリーズはK10Dのために生まれて来たようなレンズと言えるのではないだろうか。

 今回の撮影地は新宿御苑。遅ればせながら紅葉の撮影をしようというわけだ。「紅葉なんて、もう季節はずれだ」と思われる方も多いかも知れないが、温暖化が進む東京都心では、12月が紅葉の本番。特に今年の冬は暖かい日が続いたので未だに紅葉が楽しめる。

  • 作例のリンク先のファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
  • 作例下の撮影データは、使用レンズ/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランスを表します。


smc PENTAX DA 21mm F3.2 Limited

 35mm判に画角を換算すると、焦点距離31.5mmに相当する広角レンズ。28mmと35mmの中間に当たり、常用するのにちょうど良い焦点距離だ。また最短撮影距離も0.2mと短く、被写体にグンと近づいて遠近感を強調した表現もできる。


遠近感を強調するため紅葉の手前にアジサイを入れて撮影。露出補正はしていないが、全体にややオーバー気味になった
DA 21mm F3.2 Limited / 3,872×2,592 / 1/25秒 / F9 / 0EV / ISO400 / WB:オート

画面を縦位置にすると画面の奥行きがさらに強調できる。被写界深度を深くするため、もっと絞りを絞りたかったが、あまり絞りすぎるとシャッタースピードが遅くなり手ブレの危険性が増す。そこでシャッタースピード表示を見ながらF5.6で撮影した
DA 21mm F3.2 Limited / 3,872×2,592 / 0.4秒 / F5.6 / 0.3EV / ISO100 / WB:曇天
開放F値はF3.2と決して明るくないが、近距離で撮影すると被写界深度の浅い表現も可能。やや二線ボケの傾向があるようだ
DA 21mm F3.2 Limited / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F4 / 0EV / ISO400 / WB:オート

smc PENTAX DA 40mm F2.8 Limited

 35mm判に画角を換算すると60mmに相当。カタログ上では標準レンズに分類されているが、標準レンズと呼ぶには画角が狭く、中望遠レンズにしては焦点距離が短い。DA Limitedシリーズの中で発売がいちばん早く、鏡筒厚はわずか15mm。クラス最薄、最軽量を誇っている。

 デジタル専用レンズだがイメージサークルは意外と大きく、フィルムカメラでも使用できることで有名。ただし四隅は少しケラレる。この点についてはメーカーの保証外だ。


色づいた紅葉を逆光で撮影。細かい葉の1枚1枚が良く解像し、1,000万画素の面目躍如といったところ。だが拡大率を上げて見るとパープルフリンジが発生している。実用的にそれほど問題にならないレベルだ
DA 40mm F2.8 Limited / 3,872×2,592 / 1/15秒 / F4.5 / 0.3EV / ISO100 / WB:オート

RAWボタン
 WBオートで撮った画像を液晶モニターで確認したら不自然な色だったので、マニュアルで日陰に変更。今度は画面全体が黄色っぽくなってしまった。

 下手にWBを調節するより、RAWで撮った方が手っ取り早い。その点、K10DはRAWボタンを押せば、すぐにRAWデータが記録できるので、とても便利だ。

 右下の写真のみPhoto Laboratory 3.10で現像している。設定は、色温度5,560K、微調整A-B Blue1、微調整M-G Green1。


DA 40mm F2.8 Limited / 3,872×2,592 / 1/30秒 / F3.5 / -1.3EV / ISO400 / WB:オート DA 40mm F2.8 Limited / 3,872×2,592 / 1/25秒 / F5 / -1.3EV / ISO400 / WB:日陰 DA 40mm F2.8 Limited / 2,592×3,872 / 1/25秒 / F5 / -1.3EV / ISO400 / ―

smc PENTAX DA 70mm F2.4 Limited

 35mm判の焦点距離105mm相当の画角が得られる中望遠レンズ。開放F値も明るく、しっとりした質感描写と美しいボケ味が特徴。全長はわずか26mmしかなく、望遠レンズとは思えないほどコンパクトだ。


まだらに色づいた紅葉の質感が見事に再現された。背景の木漏れ日が丸く均一にボケて、ボケ味の美しさを証明している
DA 70mm F2.4 Limited / 3,872×2,592 / 1/50秒 / F2.4 / 0.3EV / ISO100 / WB:日陰
木の幹の質感描写が美しい。背景のボケ味が良く、画面全体が立体的に見える
DA 70mm F2.4 Limited / 3,872×2,592 / 1/60秒 / F3.2 / -0.7EV / ISO400 / WB:オート

ダストリムーバルについて

 今回は単焦点レンズを使用したので、いつもよりレンズ交換を頻繁に行なうことになった。この日にレンズを交換した回数は12回。K10Dにはダストリダクション機能の「ダストリムーバル」が付いているので、CCDに付くゴミについては全然気にせず、フィルムカメラと同じ感覚でレンズ交換を行なった。

 だが家に戻ってレイコール(宮本製作所)製のセンサーチェッカー「SC-1」(18,800円)で確認してみたら、想像以上にゴミがたくさん付いていることにビックリ。ちなみにこの日撮影したカット数は約200カット。これまでの分も合わせると、このカメラでは約600カット撮影している。もちろんダストリムーバルは、起動時に毎回作動するモードを選択。CCDは1回も清掃していない。幸いなことに、今回は撮影した画像に致命的な影響は出なかったが、ダストリムーバルの過信は禁物かもしれない。


レイコール製センサーチェッカー「SC-1」。ピンホールから入った光を凸レンズで平行な光束に変えCCDに照射。これをカメラに装着してシャッターを切れば微細なゴミまで検出できる SC-1で写し出されたゴミ。もしダストリムーバルが付いていなかったら、もっとすごいことになっていただろう。この後、ペンタックスが発売したスタンプ式のセンサークリーナーで慌てて清掃した(3,872×2,592ピクセル)


URL
  ペンタックス
  http://www.pentax.co.jp/
  製品情報
  http://www.digital.pentax.co.jp/ja/35mm/k10d/
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  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 中村 文夫 )
2006/12/22 14:38
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