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キヤノン IXY DIGITAL 800 IS【第8回】
花火の撮影に挑戦、結果は驚くほど……

Reported by 奥川 浩彦


 前回は熱田まつりで縁日の撮影をした。そのまつりの最後を飾るのが今回撮影した花火だ。一般的な花火の時期には少し早いが、読者の皆さんが参考にするにはいいタイミングだと思う。筆者はフィルム時代から一眼レフで花火の撮影をしたことはあるがコンパクトカメラで撮った記憶はない。IXY DIGITAL 800 ISのシーンモードには「打ち上げ花火」の選択があるが、本当にコンパクトデジカメで花火が撮れるのか疑心暗鬼で撮影に出かけた。

 一眼レフの場合、ISO100、F8、バルブ撮影が基本だが、IXY DIGITAL 800 ISではこうした細かな設定はできない。出かける前に「打ち上げ花火」で試し撮影をしてみると、ISO感度はオート(推定80)、絞りは焦点距離8.6mmでF6.3、10mmでF7.1あたり、シャッター速度は基本が1.6秒で露出補正で0.4〜6秒まで変更可能、画質はファイン、オートフォーカスは無限遠になっていた。

 「打ち上げ花火」に設定すると、長秒時撮影のノイズリダクションがメニューの選択から消え、強制的に働くようだ。そのため1枚撮影するとシャッター速度と同じ1.6秒待たされる。これは撮影画像と同じシャッター速度で真っ黒な画像を取り込みCCD自身が発生するノイズを引いてノイズを低減する機能だ。

 シャッター速度1.6秒となると手ブレ補正があっても手持ち撮影は不可能だ。当然三脚を立てての撮影となる。筆者は数台の三脚を持っているが一眼レフの場合はスリックのマスターシリーズ、コンパクトデジカメの場合はベルボンのULTRA MAXi Fを主に使用している。三脚は重くてガッチリしている方がいいのだが当然重くなり機動性を欠くことになる。会社帰りにチョット撮影をと考えた場合は通勤カバンにも入れられるベルボンのULTRA MAXi Fを利用している。足も細く決してガッシリとはいえないが、5段の足をたたんだときにコンパクトにできるのは魅力的だ。今回の撮影もこの三脚を使用した。

 打ち上げ花火が始まった。住宅街での撮影で電線などが写らないように、ある程度望遠側にズームして撮り始めた。花火が上がる位置は一定ではない。なかなかフレームの真ん中に収めることは難しい。花火玉が上がる時のうっすらと見える軌跡をたよりに三脚の雲台を振ってタイミングを合わせてシャッターを切る。シャッターを切ると1.6秒の露光が済み、その後「処理中」の表示がでるので3〜4秒は次の撮影はできない。実際の撮影ではこの時間は思ったより長く感じられ、イライラ感の募る撮影となった。

 背面の液晶モニターでは細かなノイズなどは確認できないが、露出は問題なさそうだ。後はしっかりフレームに入れることと、タイミングよくシャッターを切る、要するに腕の問題だ。シャッター速度を0.4秒など速めにすると、花火の開くタイミングに合わせるのが難しくなる。かといえって遅くして6秒などにすると、次の花火が多重露光され白っぽい絵になる。バルブ撮影なら花火を見て判断しシャッターを閉じればいいが、一定時間となると1.6秒くらいが適正だと思われる。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、撮影モード/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


シーンモードを「打ち上げ花火」に設定して撮影。予想以上に撮れてビックリ。コントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1
打上げ花火 / 2,816×2,112 / 1.6秒 / F7.1 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 9.97mm
打ち上げ花火モード。これくらい撮れれば充分であろう。コントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1
打上げ花火 / 2,816×2,112 / 1.6秒 / F7.1 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 9.97mm

筆者が設定したマニュアルだと少々オーバー気味に撮れる傾向がある。コントラスト、シャープネス、色の濃さはすべて標準
マニュアル / 2,816×2,112 / 1秒 / F3.5 / -2EV / ISO80 / WB:オート / 9.97mm
コントラスト、シャープネス、色の濃さはすべて標準
打ち上げ花火 / 2,816×2,112 / 1.6秒 / F6.3 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 8.64mm

似たような画像でカスタムカラーの効果を比較。コントラスト、シャープネス、色の濃さはすべて標準
マニュアル / 2,816×2,112 / 1秒 / F3.5 / -2EV / ISO80 / WB:オート / 9.97mm
コントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1。暗い部分のノイズ感が減少するはず
マニュアル / 2,816×2,112 / 1秒 / F3.5 / -2EV / ISO80 / WB:オート / 9.97mm

 後半に向けて打ち上げの間隔が短くなってきた。そうなるとイライラ感も当然高まる。そこでシーンモードの「打ち上げ花火」の設定をマニュアルに切り替えて撮影することにした。ISO80、露出補正-2EV、AF距離モード遠景、画質ファインに設定。マニュアルで一番「打ち上げ花火」モードに近いと思われる設定だ。カメラ本体が自動的に設定したシャッター速度は1秒。「打ち上げ花火」の1.6秒とは若干異なるが、そこそこ近いところになった。

 実際に撮影すると、次々に上がる花火をタイミングよくシャッターが切れるので気持ちがいい。液晶モニターで確認するとやや明るめに写っているのが気になるが、絞りをコントロールできないのでこれ以上暗くする方法がない。スターマインの際にはシャッターボタンを押しっぱなしにすれば連写も可能となり、撮りやすさは圧倒的に向上した。

 過去にEOS 20Dで花火やライブハウスの撮影時に経験したことを思い出し、途中からカスタムカラーの設定を変更した。この手の撮影では画像の真っ黒につぶれる部分は問題ないが微妙に明かるさの残る部分にノイズが目立つ傾向がある。コントラストを上げてその部分をより暗く落としてやった方が結果としてノイズが目立たなくなるはずだ。カスタムカラーをコントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1に設定変更してみた。最後は動画も撮影して花火は終わった。

 結果を見ると筆者が予想していたほどのノイズもなく、そこそこのクオリティで撮影できた。「打ち上げ花火」モードは最適化されているだけのことはあり、露出も適正だ。撮影時の待ち時間が気にならなければ「打ち上げ花火」に設定して撮影すればいいであろう。マニュアル設定で撮った画像もそれほど悪くはない。ややオーバー気味の画像が多く、もう少し絞って撮れればよかったと思う。カスタムカラーでコントラストを上げたのは正解で、似たような画像で比較すると若干効果が見受けられる。理想を言えば「打ち上げ花火」モードで長秒時ノイズリダクションをオフに設定できれば、快適な撮影ができただろう。

 残念だったのは多くの画像にブレが写っていること。花火の光の軌跡、特に先っぽの方がギザギザと揺れている画像はカメラ自体が揺れてしまったことが原因だ。レリーズケーブルなしで直接カメラのシャッターボタンを押すため、三脚に固定していても筆者自身の振動がカメラを揺らしてしまった。特に連写の場合、シャッターボタンを押しっぱなしにするのでどうしても揺れてしまう。三脚の強度と重量を上げることで改善されると思うが、肩から担ぐ大型の三脚を持ち出すなら一眼レフで撮影する方がバランスが取れてる。2秒のセルフタイマーを使えばさらにストレスを感じる撮影になるし、このクラスのデジカメにレリーズケーブルを付けられるように望むのは難しいであろう。


コントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1
打上げ花火 / 2,816×2,112 / 1.6秒 / F7.1 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 9.97mm
コントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1
打上げ花火 / 2,816×2,112 / 1.6秒 / F7.1 / 0EV / ISOオート / WB:オート / 9.97mm

コントラスト、シャープネス、色の濃さともに標準
マニュアル / 2,816×2,112 / 1秒 / F3.5 / -2EV / ISO80 / WB:オート / 9.97mm
コントラスト、シャープネス、色の濃さともに標準
マニュアル / 2,816×2,112 / 1/8秒 / F3.5 / -2EV / ISO80 / WB:オート / 9.97mm

コントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1。手の振動が伝わりブレている
2,816×2,112 / 1秒 / F3.5 / -2EV / ISO80 / WB:オート / 9.97mm
コントラスト+2、シャープネス-1、色の濃さ+1
マニュアル / 2,816×2,112 / 1秒 / F3.5 / -2EV / オート / 9.97mm

 最後に動画も撮影した。IXY DIGITAL 800 ISの動画は筆者が以前から使用していたIXY DIGITAL 55と比較すると暗いシーンではかなり低ノイズだ。水族館の撮影でもかなり綺麗に撮れていたが、今回の花火も動画の撮影としては充分な画質で撮れていた。静止画と違ってタイミングを気にすることもなく難易度も低い。暗いシーンでの動画撮影はこの機種の魅力の一つだと思う。

AVI形式(18.9MB)
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URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/800is/
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( 奥川 浩彦 )
2006/06/30 00:42
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