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富士フイルム FinePix F30【第4回】
梅雨空にベスト? なアベレージ測光

Reported by 本誌:折本 幸治


 購入から1カ月が経ち、ようやくFinePix F30の操作に慣れてきた。我ながらずいぶん時間がかかるものだと情けなく思う。いいわけすると、もともと使っていたFinePix F11の癖が、何かの拍子に出てしまうからだ。よくあるのが絞りとシャッター速度を変える際、つい十字ボタン下を押してしまうケース。当然、意図していないセルフタイマーが始まりそうになり、その度に大慌てする。一度身に付いた習慣はなかなか取れないものだ。

 決してFinePix F30の操作体系がおかしいわけではなく、FinePix F11からすると立派な改良だと思うが、いかんせんFinePix F11を多用しすぎたようだ。いまでもほとんどブラインドで、ISO変更、絞り設定、露出補正ができる。それだけ気に入っていたわけで、早くFinePix F30にも慣れたいところだ。

 さて、今回のテーマは測光方式の違いという地味な内容。というのも、構図に白飛びしやすい曇り空が入りがちなこの時期、露出補正以外で白飛びを防ぐ方法がないかと考えてのことだ。最近のコンパクトデジタルカメラの例に漏れず、FinePix F30のAEは部分的な白飛びをあまり考慮せず、バーンと明るくする印象。全体的に暗い部分を上げる方向に判断するようで、その分、明部が犠牲になることが多いようだ。同じ傾向のAEは銀塩カメラやデジタル一眼レフカメラでも存在し、こうしたケースにはスポット測光や露出補正で対応するのが一般的だろう。

 FinePix F30の測光方式は、「マルチ(分割測光)」、「アベレージ」、「スポット」の3種類。そのうちマルチは「場面を判別し、露出が最適になるよう測光する」(説明書より)という、よくある方式だ。一方、アベレージは「場面全体を平均して測光する」という違いがある。

 アベレージの使いどころはというと、説明書では次のように説明している。「構図や被写体により露出が変化しにくい特徴があり、白や黒の服を着た人や風景の撮影に有効」――なるほど、マルチよりも容赦なく輝度差を平準化するらしい。これは白飛び防止に使えるかもしれない。

 実際に同じシーンを撮り比べてみると、アベレージは確かにマルチよりアンダーになることが多い。曇り空がバックだとその傾向が顕著だ。空の白飛びが防げたり、赤色や緑色が浮いたように薄くなる現象が減る上、白飛びの周りに発生しやすいパープルフリンジも防げる。さらに露出が下がるため、思わぬ増感や手ブレの被害も軽減する。極端に露出が変わった例を下に掲載する。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、測光方式/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


●マルチ測光とアベレージ測光


マルチ / 2,848×2,136 / 1/250秒 / F3.7 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14.1mm アベレージ / 2,848×2,136 / 1/400秒 / F5.6 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 14.1mm

マルチ / 2,848×2,136 / 1/350秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm アベレージ / 2,848×2,136 / 1/450秒 / F4.5 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm

マルチ / 2,848×2,136 / 1/80秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm アベレージ / 2,848×2,136 / 1/420秒 / F2.8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm

マルチ / 2,848×2,136 / 1/160秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 8mm アベレージ / 2,848×2,136 / 1/320秒 / F4 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 8mm

 もっとも、白飛びが完全に防げるわけではなく、あくまでもマルチよりは高い確率で防ぐ、という程度のときもある。夜景のようにあまりにも黒が多いと、今度はマルチよりも部分的な白飛びが生じやすくなることも。またハイライトを落とすため、マルチよりコントラストが下がったり、シャドーがつぶれやすいのは覚悟するしかないだろう。もっといえば、マルチでマイナス補正をすれば同じことなので、独立ボタンの新設で露出補正の手間が減ったFinePix F30では、その効力も薄いといえる。

 と、ネガティブな面も見られるアベレージ測光だが、FinePix F30なら暗部ノイズやディテールの喪失が比較的目立たないこともあり、積極的に利用してもいいのではないだろうか。ちなみに、スポットは測光面積が中央部重点なみに広いようで、デジタル一眼レフカメラの感覚で使うと意外にも難しい。AEロックとAFロックを分離して操作できないのも、スポット測光の使いにくさを高めている原因だと思う。

 とにかく、この時期のスナップに使える印象のアベレージ測光。曇り空、葉っぱの緑、川面、築地塀と、露出が難しいシーンでも気楽に撮影できる。上手い人からは「そんな悪い光のときに撮るなよ」といわれそうだが……。入梅中の現在はもちろん、梅雨が明けても多用しそうだ。

●そのほか


マルチ / 2,848×2,136 / 1/320秒 / F5 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 24mm マルチ / 2,848×2,136 / 1/350秒 / F4 / -0.67EV / ISO100 / WB:オート / 16.1mm

マルチ / 2,848×2,136 / 1/280秒 / F4.7 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 20.1mm 夜景モード
マルチ / 2,848×2,136 / 2.5秒 / F2.9 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8.9mm

マルチ / 2,848×2,136 / 1/600秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 24mm マルチ / 2,848×2,136 / 1/210秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 8mm

マルチ / 2,848×2,136 / 1/600秒 / F8 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 24mm


URL
  富士フイルム
  http://www.fujifilm.co.jp/
  製品情報
  http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixf30/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

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( 本誌:折本 幸治 )
2006/06/26 00:01
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