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キヤノン IXY DIGITAL 800 IS【第7回】
縁日の撮影

Reported by 奥川 浩彦


 今回は縁日の撮影に出掛けてみた。もうすぐ夏祭りのシーズンなので参考にしていただければと思う。場所は名古屋の熱田神宮。毎年6月5日(今年は月曜日)に熱田まつりが開催される。その前の週末には境内は縁日モードに突入し屋台が出て賑わっていた。少し早いが気分は夏祭りだ。横浜中華街、山下公園、名古屋栄とIXY DIGITAL 800 ISの手ブレ補正は夜に活躍してくれた。はたして今回はどうだろう。

 熱田神宮の境内は屋台が並び人波で溢れていた。撮影を始めるにはまずは腹ごしらえってことで牛串の店に立ち寄った。注文して焼き上がりを待つ間に……。せっかくなので撮影することにした。美味しそうに見えるだろうか。美味しそうに見えたら写真としては合格だろう。もちろん牛串の味も合格だった。ズームは11.8mm(35mmフィルム換算でおよそ70mm)、シャッター速度1/13秒で撮れるのは手ブレ補正のお陰だ。手の動きがブレているのも縁日の雰囲気が出ていいだろう。

 この日は出掛ける前から水流で回るスーパーボールをスローシャッターで撮ることをイメージしていた。手ブレ補正のないカメラなら高感度で速いシャッターを切るか三脚を立てての撮影になる。シャッター速度を速くすると動きのイメージを表現するのは難しい。作例はISO200でシャッター速度は1/15秒だ。勢いよく回るスーパーボールの動きがイメージ通りに撮影できた。三脚なし、手持ち撮影でこの作例が撮れるのは手ブレ補正ならではだ。今回の縁日の撮影ではお気に入りの1枚となった。これまで玉砕した水族館や剣道の撮影には高感度に強いデジカメの方に部があったが、三脚なしのスローシャッターの撮影では手ブレ補正を搭載したデジカメの方に部がある。両方あれば問題ないのだが……。現実を見るとコンパクトデジカメはまだまだ発展途上だと感じられる。

 境内を進むと灯籠が並んでいた。やや望遠にして、手を上げてノーファインダーで撮影してみた。灯籠の明るさに合わせて露出補正は-1EV、人並みは暗く沈んでいるが灯籠の明かりの雰囲気はこれくらいがベストだろう。不安定な姿勢での撮影だが、焦点距離18.6mm(35mmフィルム換算でおよそ112mm)シャッター速度は1/15秒、この作例でも手ブレ補正の効果は充分出ている。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


まずは腹ごしらえに牛串。美味しそうに見えるだろうか。70mm相当、シャッター速度1/13秒で撮れるのは手ブレ補正のお陰だ
2,816×2,112 / 1/13秒 / F4 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 11.82mm
水流で回るスーパーボールをスローシャッターで手持ち撮影。手ブレ補正ならではの作例。今回のお気に入りだ
2,816×2,112 / 1/15秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO200 / WB:オート / 5.8mm

手を上げてノーファインダーで撮影。不安定な姿勢での撮影だが、この作例も手ブレ補正の効果は絶大
2,816×2,112 / 1/15秒 / F5 / -1EV / ISO400 / WB:オート / 18.63mm
実際にはかなり暗かったが、露出補正を-2EVまで落としても肉眼より明るく写った
2,816×2,112 / 1/8秒 / F2.8 / -2EV / ISO400 / WB:オート / 5.8mm

 熱田神宮の本殿は、毎年7月に行われる大相撲名古屋場所の際に横綱の奉納土俵入りを行なう場所だ。本殿に通じる参道は屋台が禁止されているようで、それまでの人混みが嘘のように閑散としていた。

 本殿を撮影してみると肉眼よりかなり明るい画像となった。露出補正を-2EVまで落としても、空の部分は思ったように暗くはならない。お賽銭を済ました後、すぐ脇の提灯を撮影してみた。普通に撮ると提灯の明かりだけになり、その他は真っ暗になっていまう。すぐ横の柱の部分にファインダーを向けて露出を調整してからフレーミングし直してシャッターを切った。提灯とそこに書かれた紋はややオーバーだがうっすらと人の姿も背景に残っている。本殿正面もその脇の提灯も肉眼と画像の差が出ている。人間の目の自動露出機能が優れすぎていると言えばそれまでだが、写真撮影の限界を感じるシーンだ。

 本殿からの帰り道、水路に反射する照明が綺麗だったので撮影条件はかなり厳しそうだが撮ってみた。ISO800まで感度を上げてもシャッター速度は1/5秒。当然ノイズもブレも厳しく、撮影された画像には照明のフレアも出てしまった。手持ちでの撮影ではさすがに限界だろう。この作例も空だけ妙に明るく写っている。

 再び人混みを進み、お面や笛など目に付くものを撮影しながら進んだ。照明の明るい屋台は普通にシャッターを切れば手ブレ補正もあり気楽に撮れるだろう。牛串の後、お好み焼き、じゃがバターも完食したころに鮮やかな発色の「イチゴ飴(って言うのだろうか?)」に出会った。筆者は別腹を持ち合わせていないので食欲はわかなかったが写欲をかき立てられた。作業するおばさんも味があったが、でき上がった「イチゴ飴」の色は実に見事だ。マクロに設定しぐっと近付いて撮ってみた。この作例も美味しそうに見えたら写真としては合格だろう。

 フラフラと縁日を歩きながら、所々で足を止め撮影してみたが手ブレ補正を搭載したIXY DIGITAL 800 ISはやはり夜に強いと実感した。


提灯を普通に撮ると背景は真っ暗になってしまう。柱の部分にファインダーを向けて露出を調整してからフレーミングし直して撮影
2,816×2,112 / 1/15秒 / F3.2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 8.64mm
ISO800まで感度を上げても1/5秒。水路に反射する照明が綺麗だったが、手持ちでの撮影ではさすがに限界だ
2,816×2,112 / 1/5秒 / F2.8 / -1EV / ISO800 / WB:オート / 5.8mm

色鮮やかなイチゴ飴をマクロで撮影。美味しそうに見えれば合格
2,816×2,112 / 1/15秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO200 / WB:オート / 5.8mm
縁日の定番「お面」。明るさもそこそこ、多少暗めの方が屋台っぽいかと-0.6EVで撮影
2,816×2,112 / 1/25秒 / F2.8 / -0.67EV / ISO200 / WB:オート / 5.8mm

ボリューム感を出すようにマクロでよって撮影。露出補正-0.3EV
2,816×2,112 / 1/25秒 / F2.8 / -0.33EV / ISO200 / WB:オート / 5.8mm

 ところでIXY DIGITAL 800 ISの連写には疑問がある。筆者の手元にあるSDメモリーカードはノーブランド512MB、MyFlash512MB、アイ・オー・データ機器SD-1G、同じくアイ・オー・データ機器SD20H-1GAの4枚。HDベンチで測ったそれぞれの書込速度は次の通りだった。

  • ノーブランド:2,014KB/sec
  • SD-1G:4,357KB/sec
  • MyFlash:6,902KB/sec
  • SD20H-1GA:10,893KB/sec


 アイ・オー・データ機器のSD-1Gはメーカー公表値は2MB/secだが、筆者の手元にある製品はもう少し速いものになっている。実際に連写テストを行なうとノーブランドの2MB/secは連写10枚目で書込が間に合わず、処理中の表示が出て連写速度が落ちる。そのほかは速度が遅くなることなく連続撮影ができた。ここまでは普通なのだが、時として撮影を開始してすぐに連写が遅くなり、処理中の表示が出ることがある。これはどのSDメモリーカードでも発生し、突然連写速度が遅くなる。カメラ本体の問題なのかたまたま個体の問題なのか分からないが、筆者としては疑問を感じている。



URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/800is/
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( 奥川 浩彦 )
2006/06/22 00:35
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