デジカメ Watch
最新ニュース

キヤノン IXY DIGITAL 800 IS【第5回】
花が綺麗なシーズンになりました

Reported by 奥川 浩彦


 今回のテーマは花。季節的にも撮影に適した素材であるのと、前回は水族館で苦戦したので「撮る」だけなら無難な花を撮影してみた。そう、撮るだけなら無難なのだが、センスを発揮するとなるとそれなりに難しい。筆者は正直どう撮ったら一味違う写真が撮れるのかイマイチ理解していない。センスの面では期待できないが、こんな風には撮れると割り切って撮影してみた。

 撮影に出掛けたのは名古屋の西、木曽川と長良川の中間に位置する「なばなの里」だ。2005年Optio S6のレビューの際にもライトアップの撮影に出掛けた場所だ。季節は移り、花々が咲き乱れるシーズンになった。なばなの里は常設のベゴニアガーデンに加え、5月からバラ園がオープンしている。花ひろばにはパンジー、サルビアなどがあふれ、花を撮影するにはうってつけの環境だ。

 と謳い文句はそんな感じだが筆者はどちらかと言えば花より団子で興味は薄い。なばなの里もオジサンが一人で来る場所ではないように思える。とはいえ若いカップルやご年配の女性が多い場所なので、来場者が手にしているカメラは大袈裟な一眼レフよりコンパクトデジカメが圧倒的に多い。IXY DIGITAL 800 ISでどれくらい花が撮れるか試してみたい。

 まずはバラ園での撮影だ。撮影場所は屋外、この日は快晴で直射日光が被写体に強く当たっている。どうも直射日光が当たっているバラは雰囲気がでない。加えて花自体も元気がない感じがしたので日陰に咲いているバラを撮影してみた。そこそこ近付いて撮影しているのでマクロモードに設定。撮影中の絞り値は表示されないが、撮影後に確認してみるとシャッター速度1/400秒、絞りはF2.8になっていた。できればもう少し絞り込みたかったが、この辺りはカメラ任せにせざるを得ない。

 バラ園を進むと背丈ほどの高さのバラを見つけたので、青空をバックに撮影してみた。構図的には気に入っているが微妙に後ピン。広角端での撮影なのでもう少し被写界深度があるかと思ったが、マクロ撮影ならではの難しさであろうか。同じような構図でもう1枚撮影。こちらは青空を強調するためにマイカラーモードをあざやかブルーに、露出補正も液晶モニターを見ながら-0.3EVとした。

 この頃から風が強くなりバラは大きく揺れていた。風待ちをしつつも、揺れが完全に止まることはなさそうなのでISO200に変更し、できるだけ速いシャッター速度で撮影してみた。空の色は前々回でも書いたようにあざやかに青くなった。こちらも撮影後にPCで確認するとシャッター速度が1/1,600秒となっており、被写体ブレを考えてもISO100のままでよかったかもしれない。

※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。


日陰の方がいい感じで撮れた。もう少し絞り込んでもよかったと思うがカメラ任せにするしかない
2,112×2,816ピクセル / 1/400秒 / F2.8 / ISO100 / 0EV / WB:オート / 6mm
構図はお気に入りだが後ピンが残念。露出補正もなく誰でもシャッターを押せばこう撮れるはず
2,112×2,816ピクセル / 1/800秒 / F5.6 / ISO100 / 0EV / WB:オート / 6mm

マイカラーモードをあざやかブルーに設定して見事な青空。風が強く花が揺れるのでISO200に設定した
2,112×2,816ピクセル / 1/1,600秒 / F5.6 / ISO200 / -0.3EV / WB:オート / 6mm
逆光での撮影。何枚か撮影し液晶モニターで確認しながら露出補正を-0.3EVに設定。撮影時にもヒストグラムの表示が欲しい
2,112×2,816ピクセル / 1/250秒 / F4 / ISO200 / -0.3EV / WB:オート / 14mm

とにかく種類は豊富。こちらは黄色とピンクのツートン
2,816×2,112ピクセル / 1/160秒 / F5 / ISO200 / -0.3EV / WB:オート / 19mm
こちらは白とピンクのツートン
2,112×2,816ピクセル / 1/400秒 / F4 / ISO200 / -0.3EV / WB:オート / 12mm

 バラの撮影を終え、温室に移動してベゴニアの撮影を始める。ベゴニアガーデンはその名の通り無数のベゴニアで溢れている。実はここへ来て「これがベゴニアっていうんだ」と全く花に疎いのでどの花が貴重だとか、この色が……早い話がどれを撮ったらいいのか迷うくらいの量だった。明るいとはいえ室内なのでISO200に設定して撮影開始。ガラス越しに差し込む日差しに合わせて露出補正を変えながら撮っていく。

 前にも書いたがIXY DIGITAL 800 ISの露出補正は一旦メニューの中に入らないと操作できないので少々面倒に感じられる。そこそこ無難に撮れていると思うが、一部逆光での作例では花びらのエッジ部分に疑似色が見られる。だが全体的には誰が撮ってもこの程度の絵は撮れそうな感触だ。

 マクロは広角端でレンズ先端から2cmまで寄ることができる。花びらの中にレンズを突っ込むようにして撮影すると、被写界深度は浅いがアップの撮影も簡単にこなしてくれる。このような撮影はブレやすく、手ブレ補正の有無は重要だ。自分で絞り込むことができればさらに表現力は高まるが、それは無い物ねだりなのだろうか。

 ベゴニアガーデンを出て花ひろばに移る。そこは原色が絨毯のように敷き詰められまさに絶景だ。ここでマイカラーモードのあざやかレッドを使ってみた。前々回のレビューで赤レンガにはあまり効果のなかったあざやかレッドだが、今回は見事に赤が強調され、実際の景色より鮮やかな赤となっている。撮影後にレタッチしない場合、上手く使うと効果が期待できそうだ。

 こだわれば露出補正の操作性やシャッター速度、絞り表示がでないなど改善して欲しい面もあるが、被写体に寄れるし、手ブレ補正もあり、基本的な発色も悪くない。IXY DIGITAL 800 ISは手軽に植物を撮影するなら安心して使えるデジカメであろう。


強めの逆光で撮影。-0.3EVに露出補正。花びらのエッジに疑似色が出ている
2,112×2,816ピクセル / 1/80秒 / F5.5 / ISO100 / +0.3EV / WB:オート / 23mm
ベゴニアで溢れている感じを広角端で撮影。これくらいの花の列が何カ所もあり花の数は無数
2,816×2,112ピクセル / 1/80秒 / F2.8 / ISO100 / 0EV / WB:オート / 6mm

マクロでぐっとよって撮影。2cmまでよれるマクロと手ブレ補正で誰でも簡単に撮影できる
2,816×2,112ピクセル / 1/125秒 / F2.8 / ISO100 / 0EV / WB:オート / 6mm
マイカラーをあざやかレッドに設定して撮影。実際より鮮やかな赤になった
2,816×2,112ピクセル / 1/800秒 / F3.5 / ISO100 / 0.0EV / WB:オート / 10mm


URL
  キヤノン
  http://canon.jp/
  製品情報
  http://cweb.canon.jp/camera/ixyd/800is/
  気になるデジカメ長期リアルタイムレポートバックナンバー
  http://dc.watch.impress.co.jp/static/backno/longterm.htm

関連記事
【新製品レビュー】キヤノン IXY DIGITAL 800 IS(2006/04/20)
キヤノン、シリーズ初の手ブレ補正モデル「IXY DIGITAL 800 IS」(2006/03/07)


( 奥川 浩彦 )
2006/06/08 01:24
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2006 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.