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左からF30、F11。なんとも形容しがたい今風の複雑なデザインになった
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3月の発表から約2カ月半。次々発売される新製品を尻目に、ようやくFinePix F30が5月27日に発売された。前モデル「FinePix F11」の実力に惚れ込んでいただけに、このときをどんなに待ったことか。同じ想いのFinePix F10/F11ユーザーや、買い替えを検討中の読者の参考になるレポートを心がけたいと思う。
さて、第1回は外観を中心にFinePix F11との簡単な比較を。基本スペックについては製品発表時の記事などで紹介しているので、ここでは実際に手にして感じた印象を説明しよう。
まず、液晶モニターの画素数が約15.3万画素から約23万画素になったことについて。実際のところ、撮影時および再生時とも、FinePix F11に比べて精細感に大きな差は感じられない。液晶モニター関連では、それよりも次の新機能の方が強烈だ。
その機能とは、メニュー内「セットアップ2」の「モニター表示」で「なめらか2」を選ぶと、フレーミング時のフレームレートが飛躍的に向上すること。未確認だが、兄弟機の「FinePix Z3」と同じく60fpsでの表示と思われる。カメラを大きく振ったとき、モニター内のなめらかな動きには感動すら覚えた。大げさにいえば、実際の光景をスルー画で見ているよう。動体を細かく追うときなどに威力を発揮しそうだ。
もうひとつ感激したのは、液晶モニターが裏面から突出していないところ。FinePix F11もそうだったが、2.5型などの大型液晶モニターを装備する機種の場合、本体裏面で最も突出しているケースがほとんど(保護パネルのせいでもあるが)。そのため、裏面を接地させるのには気が引ける。一方、レンズ周りが比較的傷つきやすいスピンドル加工になっていることも多く、表面を下にするのもためらわれる。
結局立てて置くことになるが、薄型モデルだとちょっとした振動で倒れて、大あわてすることもある。昨年の今頃からずっと「液晶モニターを引っ込めるか、モニター周囲にゴム足でもつけてくれれば」と考えていたのは、私だけだろうか。といってもFinePix Fシリーズはいまどき珍しいほど分厚いので、普通に立てて置けば倒れることはないのだが……とにかく、液晶モニターを下にして安心して置けるのは気楽だ。分厚い本体だからこそ、液晶モニターを引っ込めることが可能だったのかもしれない。
また、FinePix F10/F11の弱点ともいえたマルチコネクターがなくなり、本体から直接充電ケーブルを挿す方式になった。ACアダプターは従来と同じもの。AVケーブルも本体に直挿しできる。バッテリー室内にバッテリー用のストッパーが設けられたのも特徴。以前は下向きにしてバッテリー室を開けると、バッテリーが簡単に抜け落ちてあせったものだ。改良と引き換えに、バッテリーの形状は変化している。FinePix F11は500枚以上を軽く撮影できる優秀機だったので、新バッテリーの撮影可能枚数についてもいずれ調査したい。
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左からF30、F11。以下同
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F30の右下に露出補正ボタンが。なぜ今までなかったのだろう
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グリップはなくなったが、レンズ収納部が飛び出している
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三脚穴が右端に移った
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厚みはほぼ同じ。ストラップ取り付け部が安っぽくなった
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これまであった中途半端なグリップ部は、すっぱりとなくなった。その代わり、アクセサリー状のクロームメッキパーツが取り付けられている。これに中指の側面をを引っかけろということだろう。薄型モデルでよくあるパターンだ。グリップ感を補償する意味か、右手親指部分に、ゴムの突起も新たに設けられている。グリップについては好みもあるので何ともいえないが、メッキパーツに右手中指の爪をかけるようにすれば、無理矢理ギュッと握ることができる。ただ、少々疲れる。深爪しないように気をつけようと思う。
Fシリーズでよくいわれるボディの厚みについては、角度によっては多少薄くなったように見える。ツートンカラーの効能だろう。しかし寸法的に大きな変化はなく、結局のところ他機種よりボテッとしている印象は否めない。人ごとながら、エビちゃん世代に受けるかどうか心配だ。これまでのデザインよりは今風になったけど……。シャツの胸ポケットには入るものの、薄着になるこれからだと出っ張り具合が少々気恥ずかしい。ネックストラップで堂々と吊るすか、ベルトに取り付けるケースを購入するか思案している。
操作面において興味深いのが、十字ボタン右下に新設された露出補正ボタンだろう。FinePix F11では、十字ボタン中央で表示する撮影メニューからでないと、露出補正を設定できなかった。FinePix F30では、露出補正ボタンを押すと露出補正メニューが現れる。その後、十字ボタンの上下で補正をかけることが可能だ。ほかの設定を行なわないなら、露出補正メニューを出したまま撮影が続けられるので、手動ブラケットも行なえる。
露出補正ボタンを押すというワンアクションが存在するものの、これまでに比べると圧倒的に使いやすくなった印象。FinePix F11は、時として部分的な白飛びを恐れない、少々思い切りのよいAEだったので、露出補正がやりやすくなったのはありがたい。
さらにA(絞り優先AE)モード、S(シャッター速度優先AE)モードにおいては、絞り値、またはシャッター速度の設定メニュー表示の呼び出し方が変わった。FinePix F11の十字ボタン下ではなく、新設の露出補正ボタンで表示。その後、十字ボタン左右で設定する。露出補正も同メニューで可能なので、左右で絞り値/シャッター速度、上下で露出補正が可能だ。
FinePix F11にA/Sモードが追加された際、撮影メニュー内に押しやられたセルフタイマー設定は、FinePix F10と同じ十字ボタン下に復活した。三脚との組み合わせ時など、セルフタイマーを多用するケースで使いやすくなっている。ただし、1枚撮影するごとにリセットされ、セルフタイマーOFFになるのは今まで通りだ。
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露出補正表示。M(マニュアル)モード時
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A/Sモードでは露出補正と絞り/シャッター速度を変更可能
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60fpsの「なめらか2」はすごい。「節電」が従来品質と思われる
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ISOオートの増感上限は1600まで。3200は手動で設定する
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細かいところでは、シャッターボタンの押し心地が幾分軽くなっている。軽いというより、ストロークが短くなった印象。ズームボタンを含め、操作ボタン類は全体的に軽い力で押せるようになった。十字ボタン周囲のFメニューボタン、再生ボタン、DISPボタンはわずかに大きくなり、押しやすくなっている。FinePix F11でレンズ真下だった三脚穴が、端に寄ったのは改悪だろう。バッテリーストッパーのため、バッテリー室の幅が長くなったためでもある。ストッパー三脚穴は引き続きプラスチック製だ。金属製で回転式だったストラップ取り付け具は、FinePix Zシリーズのようなただの穴になった。
そういえばレリーズ時、FinePix F11ではシャッターボタンが斜め下方向にフワフワと大きく動いたが、FinePix F30ではわずかしかグラつかない。好みの問題だが、個人的にはFinePix F30の方が気持ちよくレリーズできると感じる。手ブレ低減にも効果がありそうだ。
以上、とりとめなく従来機種との差異を述べたが、最後に高感度ノイズについて。個人的な印象では、おおよそFinePix F11のISO800=FinePix F30のISO1600、FinePix F11のISO1600=FinePix F30のISO3200と、SN比で従来の-1段分弱に相当するノイズ低減に成功している印象。SNを除いた描写傾向はあまり変化していないようだ。
使い勝手の向上、高感度ノイズの低減など、フルモデルチェンジにふさわしいリニューアルを遂げたFinePix F30。画質も期待できるし、A/Sモードも使いやすくなった。これから日常のスナップカメラとして、そしてデジタル一眼レフカメラのサブとして使い込むつもり。面白いことを発見次第、報告したい。
■ FinePix F11とのISO感度別比較
FinePix F30の最低感度はISO100。ISO200からCCDハニカムらしいボソボソとした描写が現れるのは、FinePix F30でも同様。条件にもよるが、カラーノイズや輪郭の崩れ具合に限定してみると、ISO400からF11との差がはっきりとしだすようだ。結果として、ISO800以上になるとFinePix F30の方が荒れが少ない。高感度については、いずれじっくりと採りあげたい。
以下は左がFinePix F30、右がFinePix F11の感度別作例。下段にいくほど高感度となっている。FinePix F30はISO80、FinePix F11はISO3200の設定がないので掲載していない。
※作例のリンク先ファイルは、JPEGで撮影した画像をコピーおよびリネームしたものです。
※写真下の作例データは、機種名/記録解像度(ピクセル)/露出時間/絞り値/露出補正値/ISO感度/ホワイトバランス/実焦点距離を表します。
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FinePix F11 / 2,848×2,136 / 3秒 / F3.2 / 0EV / ISO80 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 2秒 / F3.2 / 0.3EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
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FinePix F11 / 2,848×2,136 / 2.5秒 / F3.2 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1.3秒 / F3.2 / 0.3EV / ISO200 / WB:オート / 8mm
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FinePix F11 / 2,848×2,136 / 1.3秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/6秒 / F3.2 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 8mm
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FinePix F11 / 2,848×2,136 / 0.6秒 / F2.8 / 0EV / ISO400 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/4秒 / F3.2 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 8mm
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FinePix F11 / 2,848×2,136 / 1/3秒 / F2.8 / 0EV / ISO800 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/8秒 / F3.2 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 8mm
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FinePix F11 / 2,848×2,136 / 1/6秒 / F2.8 / 0EV / ISO1600 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/15秒 / F3.2 / 0EV / ISO3200 / WB:オート / 8mm
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■ そのほか
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/280秒 / F5.6 / -0.7EV / ISO200 / WB:オート / 16.1mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/280秒 / F4 / 0EV / ISO100 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/200秒 / F2.8 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 8mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/250秒 / F3.2 / EV0.67 / ISO100 / WB:オート / 10.4mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/400秒 / F3.7 / -1.3EV / ISO200 / WB:オート / 14.1mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/160秒 / F4.9 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 22.1mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/340秒 / F2.9 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 8.9mm
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FinePix F30 / 2,848×2,136 / 1/320秒 / F4 / -1EV / ISO200 / WB:オート / 8.9mm
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■ URL
富士フイルム
http://www.fujifilm.co.jp/
製品情報
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/finepixf30/
■ 関連記事
・ 富士フイルム、ISO3200で撮影できる「FinePix F30」(2006/03/16)
( 本誌:折本 幸治 )
2006/06/05 00:10
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