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コダック EasyShare V570【最終回】
少々の不満と期待

Reported by 本誌:伊達 浩二


 V570についての連載も今回で最後となる。これまで2カ月ほど使ってきた感想と、こうなってほしいという希望を述べて終わりにしたい。


やっぱりストロボのオン/オフぐらいはおぼえてほしい

 コダックのデジタルカメラの欠点としてよく語られるのが、電源をオフにしたときに設定した撮影条件を覚えてくれない、ということだ。起動時には必ずストロボがオンになってしまう。

 個人的にはストロボをほとんど使わない撮り方なので、やはり残念に思っている。もちろん、起動直後にストロボの設定ボタンにさわって設定をオフにするという儀式にも慣れたし、カスタム設定をストロボオフに設定しておいて、電源スイッチではなくシーンモードボタンを2度押しして起動するというワザも知ってはいるが、やはり本筋ではないと思う。

 コダックのカメラは、誰でも失敗なく写真が撮れるということを重視していて、それは昔のインスタマチックカメラとか110カメラのように、フィルムから作ってしまうぐらい深い思い入れからもわかる。それは、わかるんだけど、もうちょっと融通を利かせてくれても、と思ってしまう。

 たとえば、「この操作をすることによって私が写真撮影に失敗しても、それは自己の責任であり、いっさいKodakとは無関係である」というような趣旨の英文で3画面ぐらいの承諾書が表示され、それを最後までスクロールして、3度ぐらい承諾を確認するような手間をかけてもいいので、メニューの最後に、「最後の撮影条件を覚える Yes/No」とか出てこないものかと思ってしまうぐらいだ。

 たぶん、本当に不便というよりも、カメラが自分の思うようにならず、なじんでくれないことが、気になってしまうのだと思う。ノラで拾ってきた猫が、いつまでも怯えていてなつかないような、そんな気分になることもある。


プレビューとお気に入りを逆にしてほしい

 V570本体の上面には、電源スイッチと並んで、シーンモード/動画/お気に入りの3つのボタンが並んでいる。シーンモードボタンを押すことで起動できるのはさっきも述べた。

 一番用途がわからなかったのは「お気に入り」ボタンだった。他のデジタルカメラでは、こういう位置には、最後に撮影した画像を表示する機能を割り付けるものだが、そうではない。それは液晶モニターの左に「プレビュー」という名前で割り付けられている。


上面 背面

 取扱説明書を読んでわかったのは、これは撮った画像のうち、人に見せたいようなお気に入りの画像を表示するためのボタンなのだという。しかも、これに設定するのはカメラ単体ではできず、PCにインストールしたEasyShareソフトで設定する必要がある。

 自分自身の使い方からすると、プレビューの方がずっと多用するので、ここに割り付けてほしいと思う。また、これは本当に好みの問題だが、カメラはできるだけカメラ単体で成立してほしい。PC側のソフトウェアにくらべて、カメラの寿命の方が長いことが多いからだ。

 ついでにいうと、液晶左側のボタンは同じ形のものが5つ並んでいるので、各機能がおぼえにくい。一番上のストロボと、一番下でLEDがついているshareボタンは覚えたが、delete/menu/reviewあたりは毎回文字を読まないと選べない。

 このあたりはデザインが優先されすぎていると思う。私なら、メニューボタンは右で操作できる位置に、独立した形で移したい。また、shareはドック側で操作できるのでなくしても良いと思う。


メニューも改善の余地あり

 シーンモードのメニューについていいたい。前にも書いたがメニューのアイコンが小さく、カーソル位置の表示もわかりにくいので、結局文字を読まないと選択できない。項目を減らすか、メニュー構成を考え直した方が良いと思う。

 機能設定のメニューも同様の問題があり、操作しているとやたらと文字を読まされるカメラだという印象がある。もうちょっと直感的に操作できてほしい。


こうなるといいのにという願望

 あと、これは欠点ではなく願望なのだが、二眼のもう片方も単焦点にした機種もほしい。現状の23mmと組み合わせるなら35mmぐらいだろうか。さらにいえば、21mmと28mmのセットとかも魅力的だ。販売台数の問題もあって難しいとは思うのだが。

 地道なところでは、デジタルによる歪み補正の量を調整できるようにしてほしい。現状では補正しきれないことがあるのだ。何かまっすぐの線を見ながら、調整できるとありがたい。

 また、クローズアップレンズ類を使っていて思ったのは、レンズ周辺の丸い部分を37mm径に合わせて、ネジも切って欲しい。フィルター関係が使えるようになるので、撮影の楽しみが広がるだろう。


それでもすばらしいカメラ

 日常的な不満はいくつかあっても、それを補ってあまりあるのが、23mm相当の単焦点という広角レンズと、コダック独自の色合いの魅力だ。

 なんといっても、23mmレンズを載せるという決断をし、2つのCCDを載せた二眼デジカメという形にした関係者の方々は賞賛したい。どこかと同じモノではなく、ここにしかないモノを作るには勇気がいるものだ。コダックという会社の制約やEasyShareシリーズの一員という制約を越えて、魅力的な製品になっているのは独創性の魅力だ。

 少なくとも私はこれまでのコダックのデジカメにはない魅力を感じたし、2カ月使っていても飽きずにいる。また、できるだけ多くの人に触れてほしいと思っている。


23mm単焦点レンズで撮影
ズームレンズの117mmで撮影

コダック独自の色合いも魅力


URL
  コダック
  http://wwwjp.kodak.com/
  製品情報
  http://wwwjp.kodak.com/JP/ja/digital/digitalcamera/stylish/v570oe/

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【新製品レビュー】コダック EasyShare V570(2006/01/19)


( 本誌:伊達 浩二 )
2006/03/27 00:58
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