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連載バックナンバー
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[2007/03/19]

【Case-40】廣瀬友香の場合
[2007/03/05]

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[2007/02/19]

【Case-38】朝日桂宜の場合
[2007/02/05]

【Case-37】佐藤恵子の場合
[2007/01/22]

【Case-36】足立浩美の場合
[2007/01/15]


2006年

【Case-25】窪貴子の場合



 東京で生まれ育ち、父と母と弟の四人家族。長女の私は本当に愛されて大事に大事に育てられてきたのだと大人になって気付きました。小さい頃から食べない、寝ない、やんちゃでいつも傷だらけ。どれだけ母に心配をかけてきたか。

 4歳の時に弟が生まれ、私はさながら2人目の母のようにして口うるさく弟を育ててきました。反抗期には両親とは普通に会話していたのに私が無視されてしまうほど(笑)。それも今となっては良い思い出かなあ。

 とにかく負けず嫌いで有言実行しないといられない性分。考えてる暇があるなら行動しちゃえばいいじゃん!! やらなきゃわかんないでしょ?って(笑)。

 今となってはこんな姿ですけど元々は超ネガティブ悲劇のヒロイン少女だったんです。そんな過去の自分を消してしまいたくて小学校、中学校の同窓会とかにも行かず、成人式にも参加せずこの歳まで見ないようにしてきました。でもね、もぉ許してあげてもいいかなって思えるようになって

 つい先日、プチ同窓会に参加してきました。なんてことなく参加できました。なんてことなく壁突破です。越えてしまえば楽だけど、越えようと考えてる時間が苦しかったな。うん。でももぉ大丈夫だわ。

 いくつになってもいろんなことを諦めない大人でいたいなって思うんです。初めての場所とか初めて会う人とかお構いなしに人間関係作っていきます。寂しがり、甘えん坊、負けず嫌い……まるで子どもみたいな性格ですね。


 子どもといえば、職業は保育士をやっています。5歳の時に将来絶対になると決めてから、よそ見をすることなく15年後に夢を叶えました。このことは自分にとって大きな自信のひとつ。何の保障、何の根拠もなくとも夢は叶うのだということを証明できたのだから。

 「子どもが好き」だけでは続けられる仕事ではないけれど私にとって最高の仕事。今では胸を張って言えるんです。保育士の仕事は天職ですって!! 子どもって本当にすごい。毎日、毎日、いろいろなことに気付かされます。小さな花を見つけたり、面白いかたちの雲を見つけたり、大人になったら見過ごしてしまいそうなことを子ども達と一緒に見て感じて「あーーーーー幸せ♪」って思えちゃうのがこの仕事なんです。

 子どもって本当に本当にすごい。寝ているだけの幼い時から寝返りができるようになり、座れるようになり、ハイハイができるようになって、何度転ぼうと何度失敗しようと諦めることなく2本の足で歩き始める。理屈で考えたら成長するのだから当たり前かもしれないけれど本当にすごいことだと思うんです。大人になっていく中でいろいろな失敗を経験しては諦めることが当たり前になっていく私たち。子どもの諦めずにチャレンジし続ける姿を見てると、私はいつもたくさんのことを教えられます。

 今の私がしていきたい保育とは「諦めない大人」に子どもたちを育てていくことです。この前とても心に響くことを子どもに言われました。私が子どもたちに「大きくなったら何になるの?」と質問した時のこと。「先生は大きくなったら何になるの?」私が次になりたいもの……? いい年だからとか保育士だからとか、そんなの関係なく次に進んでもいいのだとそんな風に言われた気がしました。いくつになっても諦めず夢(目標)を持って生きていく。その姿こそが子どもたちに見せるべき大人の姿なんじゃないのかなって思う。


 20歳になって保育士の資格も手に入れた時、次に何をしようかと始めたのが歌うこと。ボイストレーニングに2年ほど通い、ユニットやソロで歌ったりしてきたけど現在はEternal Bless Choirと言うグループでゴスペルを歌っている。歌うことも確かに特別なんだけれど、私にとっては今の仲間たちが本当に特別なんだと思う。生きているといろんなことが起きてくる。 辛くて苦しくて思うようにいかなくて、1人でどうにかしようとして乗り越えられる時もあれば、どうにもならない時もある。壁の高さは人それぞれに違うけれど、どれも低くはない。ここの仲間たちは 悩んでいる人がいると自然と互いに気付く。そしてそっと「大丈夫?」の一言。1人で乗り越えようとしている時には黙ってそばにいてくれる。どうにもならなくて話し始めれば やさしく受け入れてくれる。ただ甘やかしてくれるのとは違う。必要な言葉を真っ直ぐに伝えてくれる。こんな人間関係素敵でしょ? ゴスペルを歌ってはいるのだけれど、まだまだ本物のゴスペルを理解できてはいなくて、そのことで立ち止まってしまう時もある。

 本物のゴスペルってなんだろう? 私にとってのゴスペルってなんだろう? 今ははっきりとした答えが見えないけれど一生付き合っていくものであろうことは間違いないです。自分が幸せである為はもちろんのこと、自分にとって大切な人々や歌を聴いてくれた人たちの幸せにもつなげていけるような歌を歌っていけたならいいと思うのです。



 今一番やりたいことは自分で撮った写真で写真集を作ること。長時間の飛行機とかは得意ではないけれど、いろんな国にも行ってみたいし、いろんな風景とか人とか撮りたい。撮り方とかカメラの扱い方とか全然素人なんだけれど、今の自分を一番表現できるものだと思ってる。

 決して綺麗だとか上手だとか言われたいわけじゃなくて、私の撮った写真を見て、誰かが何かを感じてもらえたならただうれしい。ゴスペルの方は2年後にL.A遠征が目標かな。それまでにもっともっと成長してライブもたくさんやっていこう。保育園とかでもライブしたい!! 子どもたちの心にも響くような歌が歌いたい。野望としていうならば、私が仕事に成功したらスタジオのある家を建てて、メンバーがいつでも入り浸れる空間を作ること。そんな場所があったら最高に楽しいだろうなぁって思う。

 保育の仕事で私自身の野望とかはないけど、ただただ子どもたちが笑顔でのびのびと成長できる保育園がもっともっと増えていけばいい。大人の都合で決められるのではなく、子どもたちの為の保育園が。

 そしていつか……まぁ、「いつか」なんて日はないの知ってるんだけど、いつか結婚して子どもを産んで幸せな家庭を築けたらいい。全部をまとめて言うならば、「いくつになってもやりたいことになんでもチャレンジできる諦めない大人である」っていうのが最大の野望かもしれないな。25歳を過ぎて、やっと自分の中の子どもな考え方と大人な考え方を見つめられるようになってきたなって感じてて、いつでも大人な選択ができるわけじゃないけれども(笑)。


 ボクのホームページから応募してきてくれた貴子ちゃん。かなり前向きな生き方をしている。町を歩いていて保育士の先生と幼い子ども達が散歩してるのをよく目にするんだけど、小さな子どもの動きは予測がつかないほどかなりデタラメだし、危険なことも多い。子どものいないボクが想像するにも保育士って仕事も相当ハードそうだと思う。

 撮影初日は秋祭りの日だった。縁日の外でボクの知り合いがバーベキューをやっていたけど、のっけから彼女はすぐにとけ込み、前からの仲間みたいに振る舞える前向きな陽気さを持っているのはさすがだ。困った問題はただひとつ、かなりの雨女である(笑)。超晴れ男のボクも彼女の雨女っぷりパワーには遂にかなわなかった。

 ゴスペルというものはアメリカの黒人達の中で生まれた、当時の辛い奴隷制度からの開放の想いを唄った「光」の歌だと思う。これからも子ども達との仕事で一緒に成長をしながらも、この「光」を世の中に向けてもっと輝かしていって欲しいなあ。


使用機材
Nikon D2X
AF-S DX Zoom Nikkor ED 12~24mmF4G (IF)
Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17~35mmF2.8D (IF)
Ai AF Nikkor 50mm F1.4D
SIGMA 18~50mm F2.8 EX DC
Sandisk Extreme III
Lexer 80X




HARUKI
(はるき)1959年広島市生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。広告、雑誌、音楽の媒体でポートレートを中心に活動。
1976年 個展「FIRST」を皮切りに、多数の個展、グループ展を開催。1987年朝日広告賞グループ入選、表現技術賞受賞。1991年パルコ期待される若手写真家展選出。コラボ作品がニューヨーク近代美術館に、「普通の人びと」シリーズ作品が神戸ファッション美術館に永久保存。
2005年に個展「Tokyo Girls♀彼女たちの居場所。」を東京 渋谷、2006年に京都で開催。 主宰するグループ展「ERORISTS XXX・vol-2」2006年10月23~28日、東京都中央区銀座3-11-16創画廊 Tel.03-3541-4506

2006/10/16 00:01
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