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連載バックナンバー
【Case-41】橋詰雅代の場合
[2007/03/19]

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[2007/03/05]

【Case-39】今泉麗香の場合
[2007/02/19]

【Case-38】朝日桂宜の場合
[2007/02/05]

【Case-37】佐藤恵子の場合
[2007/01/22]

【Case-36】足立浩美の場合
[2007/01/15]


2006年

【Case-05】鈴木薫の場合



 父の転勤先の名古屋で生まれたのですが、小学生の時に千葉県へ引っ越して高校を卒業するまで過ごしました。そして今の実家は都内です。

 現在、大学の夜間コースに通って日本文学を専攻している4年生です。学校の授業が夜間なので、時間のある日や平日の昼間はちょっと前まで洋服販売のアルバイトをしていました。友人の事や家庭内であまりにもいろいろな事が起り過ぎて、疲れが溜まっていた私は、バイト中に頭の思考回路が停止したり肉体的にも動けなくなったりして、電車にさえ乗れなくなったりして、泣き出してしまったりしていた時期がありました。

 が、バイト先の仲間が支えてくれたりしたので、随分と助けられました。ただのアルバイト店員だったのに「優しくしてくれたから」という理由でお客さんから手作りのケーキをプレゼントしていただいた時には、本当にこのバイトしてて良かったって思いました。そこで知り合った人たちには本当に感謝しているし、辞めちゃった今でも交流があります。

 大学の春休みを利用して沖縄・石垣島での「リゾート滞在型アルバイト」というものを体験してきました。そういうとなんだか聞こえが良いですが、簡単に言うとリゾート地のスナックで観光客相手にお酒を出したり、話し相手をするという、臨時のナンチャッテホステスさんのバイトです(笑)。実は東京での生活や町や人の多さにもちょっと疲れていたから、何処か知らない土地で自分を癒しながら働ける方法はないかなあって探していて、偶然見つけたのがソレ。2月から3月いっぱいを石垣島で過ごしましたが、いろんな事がありました。

 普段は眼鏡をかけてる私。だけど店のママから眼鏡は禁止っていわれたのでしかたなく初日は裸眼で働いたら、ひどい頭痛とストレスで使い物にならなかったので、見かねたママの「メイド服なら眼鏡をかけてもいいよ!」というアイデアで、猫耳まで付けて浮いたまま働いてました。そしたら「萌え?」を連呼する人もいれば、店へ入ってからひいて帰ってしまう人、お客さんたちの反応も様々だったです。お店で働く仲間の女の子の誕生日は全員でコスプレしたり、2週間を過ぎた頃には体育会系の合宿で来てた学生さんたちとの飲み会では泡盛をコップにドバドバ注がれて、うまい断り方を知らない私はイッキしてしまい、仕事中なのにトイレで眠ってしまったりとか。一番得したなあって思ったのはお店のお客さんでダイビングインストラクターの方がいて、タダで教えてもらったことかな。晴れた日の西表諸島は最高でした。光に満ちあふれて、海はエメラルドブルー。石垣で知り合った本土から旅に来てる女の子が「この島からは生きるパワーをもらえるよ」って云ってましたが、その通りだと私も思います。また行きたいなあー。


 今回はメガネッ子企画の第1弾。薫ちゃんは、普段は趣味で熱心に写真を撮っている女の子。ボクが友人のプロカメラマンと作った写真クラブの仲間でもある。撮る方から撮られる側になったわけだが、撮影終了後に感想を訊いてみたら、本人曰く「体当たりな感じでハラハラしたり(笑)、体力的にキツイところもあったけど面白かったです!」って事だったので安心した!

 今週掲載したカットのうち2点はそれぞれ80~200mmの200mm側(300mm相当)、12~24mmのワイド側。その他はすべて50mmの単焦点とニコン&シグマのワイドズーム。

 スタジオカット以外は彼女の育った千葉県での撮影がメインだったが、渋滞にハマり、せっかく天気の良い日だったのに、到着した頃には陽が傾きかけていた。そこで妙にホワイトバランスで調整するのはやめて、敢えてオートのままで撮影した。当然、肌は赤くなる。自然なのだから仕方がない。

 ボクの場合、よほどの目的がない限り屋外や室内でもミックス光での撮影は基本的にホワイトバランスはオートが多い。ポジフィルムメイン時代でも、色温度を測る高価なカラーメーターや色補正用のCCフィルターなどをたくさん買い揃えてはみたが、人物の肌色や商品の色味がよほど重要なCMポスターなどを除いてほとんど使わなかったので、すぐに友人に売り飛ばしてしまった。基本的には「その時間、そこにある光が創る独特の色味」が好きなんだ。


 もうひとつの理由は、撮影の迅速性。時間や太陽は写真家のためには待ってくれないのである。モデルだって同じこと。「木陰で緑カブリする」からとか「雪の反射で青いから」ちょっと待ってーなんて、彼女たちにとっては関係ない。乗ってきたところで撮影をストップし、せっかくの表情を変えたくはない。90年代に入ってからつい最近デジタルへ移行するまでの撮影のほとんどが、ブローニーカメラ(ハッセルかペンタ67)+ネガカラーフィルム+三脚なし、の組み合わせで撮影し、自家処理カラープリントでやってきた。今でも時々使っている。

 なんといってもデジタルの利点は感材費がかからない他に、上記方法を上回る機動性、迅速性だろう。だからこそ大抵はWBオート、そして記録モードはJPEGファイン、と決めている。もちろんすべてではなく、条件によっては様々な道具や方法を用いる、それがプロだから。時々失敗もする、そりゃ人間だからね(笑)。

 先週号の答え、実は彼女の写真、すべてロングヘアーのウィッグでした。撮影前に見せてもらった写真が長い髪だったので、そのイメージ設定で考えていた。その後、打ち合わせで実際に会ってみたら髪を短く切ってしまっていたので、彼女にお願いして手持ちのウィッグを全カット被ってもらったというわけだ。今度はボクも被ってみよう。それではまた来週。

使用機材
Nikon D2X/D200
Sandisk Extreme III
Lexar 80x Speed WA
AF-S DX Zoom Nikkor ED 12~24mm F4G(IF)
Ai AF-S Zoom Nikkor ED 17~35mm F2.8D(IF)
Ai AF Nikkor 50mm F1.4D
SIGMA 18-50mm F2.8 EX DC
Ai AF Zoom Nikkor ED 80~200mm F2.8D




HARUKI
(はるき)1959年広島市生まれ。九州産業大学芸術学部写真学科卒業。広告、雑誌、音楽の媒体でポートレートを中心に活動。
1976年 個展「FIRST」を皮切りに、多数の個展、グループ展を開催。1987年朝日広告賞グループ入選、表現技術賞受賞。1991年パルコ期待される若手写真家展選出。コラボ作品がニューヨーク近代美術館に、「普通の人びと」シリーズ作品が神戸ファッション美術館に永久保存。
2003年に「Tokyo Girls♀彼女たちの居場所。」撮影スタート。2005年に同名の個展を東京 渋谷で開催。

2006/05/01 00:00
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