デジカメアイテム丼

1つのロック操作で脚を伸縮/スピーディに設置できるカーボン三脚

SmallRig「FreeRover カーボンファイバー三脚キット AP-100(4353)

SmallRigから「FreeRover カーボンファイバー三脚キット AP-100(4353)」が登場した。新発想のアイデアを盛り込んだカメラアクセサリーで知られる同ブランドの新モデルらしく、様々な機構を搭載していて、”進化形三脚”とでも呼ぶべきアイテムになっていた。

ジャンルとしてはミドルレンジの4段カーボン三脚ということになるだろうか。直販価格は3万5,190円(税込)となっている。

1カ所のナットで全てのロックが可能

最大の特徴は1カ所のロックナット(1番下の金色の部分)で全ての脚を伸ばせる「FreeSpeed」機能を搭載していることだ。これまでの三脚では全てのロックナットを開け閉めする必要があるので、4段三脚なら9カ所のロックが必要だった。その点AP-100は、3カ所のロックで3本の脚を伸ばすことができる。

1番下のロックナットはラバーで回しやすい

1カ所の操作で全ての脚ロックをコントロールする機能は、業務用の動画向け三脚では流行の機能となっている。だが、小形軽量が特に好まれる写真用三脚の場合、これまであまり採用例が無かった。

実際試してみると、やはりセットアップがかなり早くできる。ロックナットもグルグル回す必要は無く、180度強回すだけでリリースとロックが可能だ。これに慣れると従来タイプの三脚はまどろっこしく感じる。

足を伸ばした姿はほかの三脚と変わらない

上側2つのロックナットも独立して機能するので、これまでの三脚のような脚の伸ばし方もできる。また下のロックナットで一度伸ばした後で上側のナットを回して高さの微調整も可能だ。

雲台にも革新性が

雲台はいわゆる自由雲台で、アルカスイス互換形状のクイックシューを備えている。センターポールと一体になるデザインなので、一般的なほかの雲台と交換はできないようだ。

ボールの固定はレバー式だ

見所としては、クイックシューのロックが雲台外周のダイヤルで行える点だ。そのため、自分と雲台の位置関係にかかわらずどこからでも回しやすい。

横にロックノブが出ているタイプが多いが、ノブと逆側の手で回しにくかったりと多少ストレスがあったのは正直なところ。ダイヤル式にしたことで小型化というメリットもあり、ノブが出ていない分、収納性も良いと思う。

シューを外すと水準器がある

また、ボールのロックがレバー式というのもこのクラスでは珍しい。これも迅速なフレーミングに寄与するところで歓迎したい。レバーを締める際に構図が動いてしまうといったことは無かった。

また、同社を含めてアルカスイスタイプの溝を備えたL型プレートなどをよく見かけるようになった。そうしたアクセサリーとの親和性も良いと言うことだ。

こうしたブラケットをそのまま使える

初めての三脚にも

全高は125cmで、アイレベルよりはだいぶ下にはなる。エレベーターを伸ばすと150cmとなる。エレベーターのロックもレバー式になっており素早く操作できる。縮長は49cmだ。

脚は3段の開脚ができ、開いて使う際は内蔵六角レンチでセンターポールを外してローポジションにセッティングできる。センターポールの取り外しに六角レンチが必要なのは、ちょっと面倒な部分かもしれない。この六角レンチは、脚の付け根のネジを増し締めする時にも使える。

最低高の状態
センターポールのフック内部が六角レンチになっている
取り出した六角レンチ

AP-100は、少し前に流行った脚を反転して収納できる”トラベルタイプ”ほどではないが、FreeSpeed機能を搭載しながらもそれなりにコンパクトな収納性を実現していると言えそうだ。重さは1,380gとことさら軽いわけではないものの、やはり色々なギミックが入っていることを考えると、妥当な重さだと思う。

脚の付け根に1/4ネジ穴が3カ所あるのでアームなどを接続可能
スパイクも内蔵している
付属のケースも安っぽさがないスタイリッシュなもの

70-200mm F2.8クラスのレンズを使うとなると心許なくなるが、もう少しライトに使うユーザーになら向いているだろう。写真用として初めての1本を迷っているなら、検討して良いと思わせる三脚だった。

ちなみに同社では、このシリーズで「ビデオ三脚キット」も近日中にリリースすることを明らかにしている。動画ユーザーはそちらも注目したいところだ。

1981年生まれ。2006年からインプレスのニュースサイト「デジカメ Watch」の編集者として、カメラ・写真業界の取材や機材レビューの執筆などを行う。2018年からフリー。