デジカメ Watch、Car Watchの読者の皆様、初めまして。普段は自動車専門誌を中心に写真を撮っておりますカメラマンの田中秀宣と申します。JRPA(日本レース写真家協会)会員でもあり、モータースポーツの写真は1983年のWEC in Japanから撮っています。また、ルマン24時間は1991年マツダ優勝の年から、途中何回か行けなかったこともありますが、ほぼ毎年通っていて、現在では主にSUPER GT、SUPER FORMULAを追いかけています。

今回は人気の超望遠ズーム、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSMを使ってSUPER GT 第6戦鈴鹿1000km(関係者の間では通称“センキロ”と呼ばれています)を撮影してみないか?というお話をいただきました。

JRPA(日本レース写真家協会)会員の田中秀宣氏。今回は一般ユーザー視点でのレビューをお届けするため、SUPER GT鈴鹿1000kmにて一般観客席からの撮影を依頼した。ボディはCanon EOS-1D X Mark IIとEOS 7D Mark II

撮影にもってこいのSUPER GT 鈴鹿1000 km

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSMについては、以前にもテストで短い時間ながら使った事はありましたが、今回はレースウイークの間ずっと使わせてもらえるとのこと。ただし、今回の依頼では「最大600mmまでカバーする超望遠ズームを生かして観客席からお客さまと同じ条件で撮影してほしい」とのことでした。普段はコースサイドのカメラマンエリアで撮影しているので、観客席からの撮影というのはいささか緊張させられました。鈴鹿の観客席から撮影するなんて、いつ以来でしょう?

一般観客席でも結構マシンに寄れるのが鈴鹿サーキットの魅力。でも一番近いのは岡山ですかねと田中氏

プレスエリアでは絶対にないフェンス越しの撮影スポットも。こういったところでは手前のフェンスをぼかすためにも超望遠がうれしいところ

さて、今回撮影を実施したSUPER GTは、国内のレースの中でも最も人気を集めるツーリングカーレースです。勝ったマシンにはハンディウエイトが搭載されるため、そのシーズン速いマシンが一人勝ちすることがなく、毎戦ごとに激しいバトルが期待できる仕組み。加えてGT500クラスとGT300クラスが混走するため、マシンの接近戦も必然的に増え、写真を撮るのにも魅力的なレースと言えます。また、複数のタイヤサプライヤーが混在しているため、路面の温度や状況によってもレースの流れが変わることも。撮っていても見ていても楽しめるレースです。

車種のバリエーションが多く、異クラスの混走でパッシングも多いのがSUPER GTの魅力(Canon EOS-1D X Mark II+SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Sportsで撮影)

加えて“センキロ”と呼ばれる鈴鹿1000kmは、SUPER GTシリーズの中でも最も長丁場のレース。日本でも数少ない夕陽や暗くなってからのヘッドランプ点灯が撮影できるレースとしてカメラマン仲間にも人気があるイベントです。長時間にわたって撮影できる上に、明るいときはもちろん、夕暮れや暗くなってからの撮影までテストすることができる、レビューにはもってこいのレースと言えます。

鈴鹿1000kmはライトオンの写真が撮れる数少ないレース。天気がよければ夕焼けの中を走るマシンも撮れます(Canon EOS 7D Mark II+SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Sportsで撮影)

150mm-600mmをカバーするから、これ1本でサーキットはOK!

今回レビューするSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSMは、その名のとおり、150mmから600mmまでをカバーするシグマの超望遠ズームレンズです。価格が手ごろで軽量な「Contemporary」と、防塵防滴性能を備えたハイエンドの「Sports」の2種類をラインナップ。詳細については、デジカメ Watchの関連記事インタビュー記事で紹介されているので参照いただきたいですが、今回のレビューでは「Sports」を使っています。

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Sports

SIGMA 150-600mm F5.0-6.3 DG OS HSA | Contemporary

サーキット、特に今回のように観客席から撮影する場合は、可能な限り焦点距離が「長い」望遠レンズが欲しいところです。そうかと言って天体望遠鏡のようなレンズでは動くものを追いかける事は事実上不可能だし、600mm程度のレンズが「長さ(焦点距離)」と「取り回し」という点で現実的だと思います。1.4xのテレコンバーターを装着する事によって、「長さ」を稼ぐ事は可能です。ただし、F値が暗くなってしまいカメラによってはAFに制約が出てくる場合があるので、注意が必要です。キヤノンだったらEOS 7D Mark IIなどAPS-C機を使えば実質960mmの望遠レンズになるので、カメラを振る事に自信があって、より「長い」レンズが欲しい場合はこちらの組み合わせがおすすめです。

一方であまり「長い」レンズだけを使っていると車両の「アップ」ばかりになってしまい単調な絵作りになりがちなので、風景を入れた「広い」絵も考えたいところ。その点、このレンズはワイド端を150mmまでカバーしているので、サーキットのたいていの場所はこれ一本でいけるはずです。レンズを複数本持たなくて済むので、移動の多いサーキット撮影ではありがたい。

本機は150-600mmのズームレンズなので、よいアングルを見つけたものの、あとちょっと「短ければ」、とか「長ければ」といった場合にも対応ができます。特に観客席からなどの撮影という制約がある場合は重宝するでしょう。

また、この「Sports」は直進ズームにも対応しており、レンズの先端部からくびれた部分に滑り止めのゴムがあるので、ここを持って前後させる事であたかも直進ズームのような使い方もできます。ズーミングによって全長が変わるタイプで先端部を持つ事は強度的にも不安がありましたが、摺動部に剛性感があり気になる様なガタは感じませんでした。

2コーナーにて600mmで撮影。超望遠があることで撮影できる場所が広がる

こちらは2コーナーイン側の激感エリアにて150mmで撮影。2コーナー立ち上がり側は半逆光でボディ手前はシャドウになるが、フレアーも気にならないし、十分にコントラストは高い

同じく激感エリアで600mmで撮ったBRZ。同じ場所からの撮影でもズーミングでバリエーションが増やせる。望遠側でも半逆光によるコントラスト低下は心配しなくてよさそうだ

直進ズームのように動かしても壊れないように設計されているのはSportsのみ

600mmという超望遠を活かして、130Rからダンロップコーナーを狙ってみた

メインスタンドがグッと引き寄せられた望遠らしい絵になる。600mmという超望遠だからこそ撮れる作品だ

“振り下ろす”流し撮りにも対応するインテリジェントOS

レーシングカーという「動いている」ものを撮影する場合、そのスピード感を表現する意味でも「流し撮り」と呼ばれる手法はモータースポーツの写真表現にとって欠かせません。本機にはその流し撮りを強力にサポートしてくれる手ブレ補正「インテリジェントOS(Optical stabilizer)」が装備されています。上下左右のブレを抑えてくれるモード1と共に、流し撮りにも対応したモード2の2種類が用意されます。

インテリジェントOSは通常のモード1に加え、流し撮りに対応したモード2を用意

流し撮り対応のモード2について、従来は縦軸と横軸の補正を持っていて、この横軸の補正をキャンセルさせることで、流し撮りでレンズを振ることに対応させていました。しかしこの場合、コーナーの撮影などでレンズを斜めに振り下ろすような場合、あるいはカメラを傾けて撮影するような場合には期待通りの動きをしてくれないことになります。

そこでSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSMでは、手ぶれ補正を縦横の2方向ではなく、新搭載の加速度センサーが流し撮りの動きを検知して360度すべての方向に自由に補正できるようにしたとのこと。モード2ではレンズを振る方向を検知して、その方向の補正をキャンセルさせるので、カメラを斜め方向に動かした場合や、ボディを縦や斜めに構えての流し撮りにも対応できたとのこと。実はこの機能、シグマ社内のモータースポーツ写真好きの社員からの声で実現した機能なのだとか。

今回はこの「インテリジェントOS」のモード2を試してみましたが、たしかに縦位置での撮影や、コーナーで斜めに振るような場合でもちゃんと機能している印象。ただ、同じ方向に振っている間はよいのですが、そこから戻そうとしたときに像がカクっと動いてしまうのに違和感を覚えてしまいました。この動きと補正効果はトレードオフの関係であるそうですが、こうしたちょっとした動きが気になってしまうのは、私がこういったスタビライザーがない時代からモータースポーツ撮影をしていて、普段の撮影ではあまりこの手のスタビライザーを使っていないせいなのかもしれません。デジタル一眼になってから始めたような方なら、きっとこの「インテリジェントOS」は強い味方になってくれると思います。

マシンはぴたっと止めながら背景が流れる。スピード感を表現する上で、流し撮りは必須のテクニック

サーキット撮影では斜め下に振るような流し撮りも多いが、SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM のインテリジェントOS モード2は、そうした流し撮りにも対応する

こちらは縦位置での作例。従来のスタビライザーでは対応できなかった縦位置の流し撮りにも対応

自分好みのセッティングができるUSB DOCK対応

本機は別売りのUSB DOCKによるカスタマイズにも対応しています。USB DOCKの一番のメリットは、ファームウェアのアップデートや、自分でピントのセッティングを細かく調整できることにありますが、そのほかにもSIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM は、Sports、Contemporary のいずれも、AFスピードの調整ができたり、手ぶれ補正動作時のファインダー像の見え方を変える事ができたりします。

例えばサーキットでの撮影であれば、AFは標準よりももっと速くする。ただし速くするとピントが外れる可能性も増えるので、フォーカスのリミットを30m~無限遠に設定しておくことで、ピントが外れた時のリカバリー時間を短縮する、といった使い方が考えられます。さらに、こうして作ったオリジナルのモードをカスタマイズモードとしてレンズ本体の2つのカスタムモードスイッチに登録しておけるので、スイッチを切り替えるだけでいつでも自由に選ぶことが可能です。

せっかくなので、いくつか試してみたのですが、標準の仕様がとてもよくバランスできているので、個人的には標準のモードで撮るのがいちばんしっくり来た印象です。まぁメーカーが考えたもっとも基準となる設定なのですから当然かもしれません。私の場合は手ぶれ補正などは前述したとおりで普段からあまり使っていないし、AFスピードの調整はカメラボディ側のAF設定などでも調整可能なところなので、ユーザーが普段通り使ってみて、もし不満がある場合に調整するという使い方でよいのかなと感じました。ただし、カメラは設定も撮り方も人によってさまざまなので、買って使ってみて、もしもっとカスタマイズしたいと思った時に選択肢があるというのは、間違いなくこのレンズのメリットだと思います。

パソコンと接続してレンズの設定を変更できるUSBドック(オプション)

AFの速度やフォーカスリミットの範囲、手ぶれ補正時のファインダーの見え方など、自分好みの設定を2パターンメモリーしておき、レンズのスイッチで呼び出すことができる

いざという時には瞬時にマニュアルフォーカスに

走っているマシンを撮影する場合は、オートフォーカスで撮影するのが一般的です。コンティニュアスAFサーボや、AIサーボAFと呼ばれる動体予測AFにすることで、近づいてくる(あるいは遠ざかっていく)マシンにピントを合わせ続けることができます。

しかし、サーキットで撮影していると、例えば手前のフェンスにピントが来てしまうといったこともある。そんな時に役立つのがマニュアルオーバーライド機能です。FOCUSのスイッチを「MO」にしておけば、普段はAFとして普通に使いつつ、やっぱりマニュアルでフォーカスを調整したい場合に、ピントリングを回すことで自動的にマニュアルフォーカスに切り替えられます。今回は遭遇しませんでしたが、コースアウトしたマシンを撮ろうとしたら、手前のフェンスにピントが来てしまった、なんて時には有効でしょう。

レンズのフォーカス設定。オートとマニュアルのほか、普段はオートだが、フォーカスリングを動かすことでシームレスにマニュアルフォーカスに移行できるマニュアルオーバーライドがある

フェンス越しの撮影など、ピントが外れてしまった場合に役立つ

フェンス越しに撮影した日立オートモティブシケインの写真。これで焦点距離は481mm

オプションの三脚座が秀逸でおすすめ!

アングルで次々にやってくる車両を撮影するので、一脚などを活用するのがおすすめです。c超望遠レンズとなればたいていは重量級でモータースポーツの撮影では、狙ったアングルで次々にやってくる車両を撮影するので、一脚などを活用するのがおすすめです。超超望遠レンズとなればたいていは重量級で、今回試用させてもらうSIGMA 150-600mmのSportsの場合、レンズだけでも重さは2.86kg(Contemporaryは、1.93kg)。ボディ(キヤノンEOS-1D X Mark II)を含めれば4.3kgほどとなってしまいます。それほどの重さの機材を、ブレを気にしながら手持ちでアングル固定させるのはかなり大変で、撮影以前の問題になってしまいます。

SIGMA 150-600mm F5-6.3 DG OS HSM |Sportsの三脚座には、通常のレンズフットが採用されていますが、私は普段から一脚のネジを3/8のいわゆる「大ネジ」と呼ばれる方にしているので、オプションで用意されている「TRIPOD SOCKET TS-81」に付け替えています。脱落防止のセイフティストップスクリューが備わっていたり、標準装備のレンズフットよりもレンズとの間隔が広がったりしているで「キャリングハンドル」としても活用できるなど使い勝手はこちらの方が私には合っていて気に入っています。

一脚の装着ネジ穴も複数の位置に用意されているので、一脚の取り付け位置を変えて自分の「振り方」にしっくりくるところ調整することも可能です。さらにアルカスイス式にも対応しているので、適合する一脚と組み合わせれば、レンズの伸ばし具合に合わせて、素早く自在に装着位置を変えることが可能になります。

オプションの「TRIPOD SOCKET TS-81」を装着。標準の三脚座よりも長くてキャリングハンドルとしての使い勝手もよい

ねじ穴は一般的なサイズに加えて、3/8のネジにも対応。また、アルカスイス式の接続にも対応する

左がSportsに標準の三脚座。右がオプションの「TRIPOD SOCKET TS-81」。三脚座が長いので、ズーム(レンズを伸ばした)状態でもバランスが取りやすい

雨の中でしか撮れない写真がある

今回の「センキロ」もそうでしたが、レース中に突然雨に見舞われる事はままあること。最近は防塵防滴機能のあるレンズも出て来ましたが、本レンズ(Sports)にもその機能が備わっています。レースにおいて言えば、雨の振り出し始めには何かとドラマチックなシーンが生まれがち。そんな時にレインカバーの装着をしていて撮れない、なんていう事態はできれば避けたいところ。今回の「センキロ」決勝でも何度か雨に見舞われることがありましたが、比較的すぐに上がったこともあってそのまま撮影を続けられました。もちろん防塵防滴とは言え、土砂降りの中でそのまま使い続けるのはおすすめでませんが、マシンがタイヤ交換でピットに入りまでの間、撮影を続けられるメリットは少なくありません。

また、レンズも撥水/防汚コーティングがほどこされているとのこと。今回はそこまで大雨には見舞われませんでしたが、雨が続く中で撮影していると、レンズに水滴がついてしまい、拭いてもレンズ表面に水幕が残ってしまって、ぼんやりした写真になってしまうことも少なくありません。しかし撥水/防汚コーティングされたレンズは、雨水を強力にはじくので、汚れも付きにくく、かつ拭けば簡単にぬぐえるとのこと。今回はそこまでひどい雨には見舞われませんでしたが、モータースポーツ写真は、雨の中でしか撮れない写真があるのも事実。撥水/防汚コーティングには期待が持てます。

何度となく、突然の雨に見舞われた今年の「センキロ」。しかし「Sports」は防塵防滴仕様な上、比較的短い時間で降り止んだので、レインカバーを掛けることなく撮影を続けることができた

マウント部は「Sports」、「Contemporary」ともに防塵防滴仕様となっている

今回はそこまで土砂降りには見舞われなかったが、レンズ部も撥水/防汚コーティングがほどこされているので、雨で濡れても絵がにじむようなことがないという

プロカメラマン仲間も納得の仕上がり

今回、1000km、6時間という長丁場のレースを通して試用させてもらい、改めてその使い勝手のよさを実感することができました。150mm-600mmという焦点距離をカバーしているので2コーナー外側や逆バンクの観客席からでも車体アップの写真が撮れるし、2コーナーイン側の「激感エリア」に行けば150mmで観客席を入れた写真や600mmを生かしたアップの写真も撮れるなど、同じ場所で複数パターンの写真がレンズを変えることなく臨機応変に撮影可能というのが魅力的でした。

最初はF値が5-6.3という暗いレンズに不安を憶えましたが最近のカメラは感度を上げても以前ほど画質に影響を受けないので、躊躇せず感度を上げて撮影すればよいと思います。ズームレンズ、と言う事で画質に不安を憶える方も多いかと思いますが、プレスルームで他のプロカメラマンにも仕上がった画像を見てもらいましたが、等倍に拡大したりしても「何ら問題はない」や「いいね」という感想でした。しかも150-600mmの範囲をこれ一本でカバーできて画質に問題がなく、しかもリーズナブルとくれば、現実的に購入を考えたくなるのもわかります。…私も欲しくなりました。モータースポーツ撮影を楽しんでいて、これから望遠レンズを検討している人にはおすすめの一本です。

日中の走りの撮影から夜の表彰台までコレ一本で楽んだ。600mmという超望遠とワイド側150mmという幅が作例に可能性を持たせてくれる

最終コーナーの観客席(R席)から600mmでピットを撮影。陽炎さえでなければこんな写真も撮れる

こちらは600mmいっぱいで撮影。グランドスタンドからでもここまで寄れる

グランドスタンドのV2席から撮影した表彰台の模様。こちらは150mmで観客まで入れた物

こちらはEOS 7D Mark IIと組み合わせて960mm相当。ISOを1600まで上げることで夜でも撮影が楽しめる

鈴鹿サーキット撮影場所別作例集

①ホームストレート

最終コーナーのR席からホームストレートが狙える。ここはピットレーンが見渡せるので、走行が始まる時にはマシンが密集した絵が撮れる。またレース中ピットインのタイミングなら面白い絵が狙えるかもしれない。また、ここからはホームストレート越しに遠く伊勢湾を見霽かす事ができる。この日は薄曇りだったが、天気のよい日は海が光って綺麗な絵を撮ることができる。

②2コーナーイン側(激感エリア)

この場所は近くでマシンを見られるため、お客さまも多く場所取りが厳しい。脚立を用意しておいて、少し高い位置から狙うのがよいだろう。コースとの距離も近く1コーナー側を600mmで狙えばドライバー(中山 雄一選手)の表情までわかる様なアップめが撮れる。

③2コーナーアウト側

2コーナーのポスト裏はフェンスの隙間があり、この辺りに陣取れれば観客席にすわったままで撮影できる。ただし距離があるので超望遠レンズは必須。鈴鹿屈指のバトルポイントなので、600mmでそういう瞬間を狙って欲しい。縦位置の写真はもう少し広めで430mmで撮ったもの。こうしたバリエーションが増やせるのがこのレンズの魅力だ

④S字

観客席が立ち上がっているため、かなり上からのアングルになるが300mm前後で車両が狙える。イン側、アウト側ともに縁石があり、あまり速くないシャッタースピードで縁石を流して撮るとよいのではないだろうか。

⑤逆バンク

鈴鹿の定番ポイントのひとつで、レースが始まれば望遠レンズを構えた人がずらりと並ぶ。600mmを使えば、観客席に座ったままで撮れる。場所を選んで縦位置にして、車両を入れ込んでも面白い。こういう時に超望遠ズームレンズのありがたさを感じる。

さらにAPS-CのEOS 7D Mark IIにこのレンズを装着すればテレ端は換算960mmという途方もない長さのレンズになる。これだけの長焦点になると、被写体を追いかけるのに「慣れ」が必要だが、いままで諦めていた様なアングルにも挑戦できるのはありがたい。

ちなみに夜間もここで撮影した。暗くなり始めてヘッドランプが点灯されているが、真正面にヘッドランプを受けない限り、気になる様なゴーストもコントラスト低下も気にならない。

⑥ダンロップ立ち上がり(130R側から)

130Rイン側の土手の上から600mmで観客席をバックにした写真が撮れる。グランドスタンドがグッと引き寄せられ、超望遠らしい作品が撮れる。雨が降れば水煙が上がって面白い絵になるのだが、この日は水煙が上がるほどの雨は降らなかった。

⑦ヘアピン(進入側)

コースに近く、コーナーの進入、立ち上がりも狙える鈴鹿の定番ポイントのひとつ。写真は立ち上がり側のバックショット。速度が遅いのでスローッシャッターでは辛いかもしれない。

⑧ヘアピン(立ち上がり側)

ヘアピンの立ち上がり側。最前列に立てばプレスエリアとほとんど変わらないところから狙える。300~400mm程度あれば十分にアップの写真が撮れるしバトルシーンも狙える。さらに立ち上がり側では横走りっぽい写真やバックショットも狙いやすい。

⑨スプーンカーブ

鈴鹿サーキットでグランドスタンドから最も遠い所にあるスプーンカーブ。コースまでも遠いが、600mmあれば車両のアップも狙える。遠くから車が見えるので、スローシャッターに挑戦するのもよいだろう。ここは夕陽のバックショットが狙えるポイントでもあるのだが、今回は終盤小雨が降る様な状況で、夕陽は狙えなかった。

⑩西ストレート

G席から撮影。晴れていればバックの南カートコースに駐車している車が太陽を反射して綺麗なのだが、残念ながらこの日は曇り空。それでも150~300mm程度の焦点距離で1/40秒程度のシャッタースピードで撮ってやれば、バックの車も適当に流れてくれて手前のフェンスもそれ程目立つ事はないだろう。こういう時には斜め振りにも対応するというシグマの手ぶれ補正OSが心強いに違いない。G席の前まで行けば低い位置からも撮影できる。

⑪130R

130Rイン側の土手から。上からのアングルになるが横走りの写真が撮れる。焦点距離は500mm程度。スピードの速いブラインドコーナーで見えない車両を狙う事になるので、スローシャッターなど「挑戦のしがい」はあるが「歩留まり」は上がらないだろうし、それ程よいアングルだとは思えないのでおすすめはしない。

⑫シケインコーナー

予選日のみ自由席となるR席から500mm程度で車両のアップが撮れる。速度も遅いので撮りやすいところだ。車間が詰まるところなので、車両のアップだけでなく、バトルシーンも狙いやすい

また、R席の最前列から撮影すれば、2重のフェンス越しになってしまうが、低い位置からも狙える場所がある。600mm絞り開放で撮ればフェンスの影響は最小限にできる。このレンズは開放からでも十分にシャープだが、撮影後にコントラストを上げる必要はあるだろう。

⑬表彰式

メインスタンドからは5~600mmで狙えば表彰台も十分に狙う事ができる。またワイド端まで引けば手前の観客も入れ込む事が出来る。この2枚を一本のレンズでカバーできるのはありがたい。