山岳写真家菊池哲男が語る 低インクコストと高画質を両立した EPSON Colorio V-edition EP-10VAの魅力とは 山岳写真家菊池哲男が語る 低インクコストと高画質を両立した EPSON Colorio V-edition EP-10VAの魅力とは

山岳写真家の菊池哲男氏が「Colorio V-edition EP-10VA」で作例印刷に挑戦!

菊池哲男

フレンチアルプスにて

山岳写真家。
1961年東京生まれ。立教大学理学部物理学科卒。山岳・写真雑誌での執筆や、写真教室・撮影ツアーの講師、アウトドアメーカーのアドバイザーとして活躍。2016年7月に山と溪谷社より新しい写真集『アルプス星夜』を上梓。東京都写真美術館収蔵作家、日本写真家協会(JPS)会員、日本写真協会(PSJ)会員。

 私は仕事柄、様々なフォトコンテストで審査員を担当しているが「もう少しプリントが良ければ入選なんだけどなあ」と思うことがよくある。どんなに素晴らしい作品でも自宅のパソコンの中にあるだけでは、その作品は世の中的には無いものに等しい。

 最近流行りのインスタグラムやフェイスブックなどのSNSも手軽な発表の場の一つではあるけれど、フォトコンテストや写真展などに比べると投稿者による一方通行の発信になることもある。もちろん画像データで応募できるフォトコンテストも存在はしているが、全体から見ればまだまだ少ないのが実情だ。

 フォトコンテストや写真展まではいかなくても、やはりお気に入りの写真はプリントして見せたい。デジタルカメラ全盛の時代になっても、いやむしろ手軽に自分でカラー印刷できるデジタル時代だからこそ、写真の最終形はプリントでというのが写真愛好家本来の形だと思う。

 私たちプロの写真家にとってプリントは必要不可欠だ。昨年の7月に山と溪谷社より新しく上梓した写真集「アルプス星夜」では、作品セレクトの最終段階で300枚以上ものA4プリントを作成し、デザイナーや編集者と一緒に掲載する写真のセレクトだけでなく、写真集の流れそのものも決めていったという経緯がある。デジタル作品が増えた現在でも、写真集の制作段階でパソコンのモニター画面だけではなかなか前後の流れや全体像がつかめず比較もできないことから、大量のプリントを作成して机や床に並べ、何度も入れ替えながら最終的なページ組を完成させたのだ。

作品セレクトの最終段階では、プリントした作品を床に並べ試行錯誤しながらページ組を完成させた

「アルプス星夜」は、山岳写真家の第一人者である菊池哲男氏が「アルプスの夜景」を主題とし、15年に渡り撮りためた作品を収録

A3サイズで写真をプリントできる「Colorio V-edition EP-10VA」

 写真愛好家の方が自分でプリントする際にいつも問題になるのが、パソコンのモニター画面と実際に自分でプリントした作品とのギャップだ。実際のところ、パソコンのモニターを見ながら画像をレタッチしながらどれほど条件を追いこんでも、パソコンのモニターと市販されている一般的なインクジェットプリンターでプリントアウトした作品が、同じ見た目になることはなかなか難しい。

 それはパソコンのモニターがバックライトによる透過画像であり、インクジェットプリンターでプリントした作品は反射原稿であるからに他ならない。この違いにより、現場に何度も通い、一生懸命苦労して撮影した作品も最後の最後で大どんでん返しとなってしまう。ではどうすれば満足のいくプリントができるのだろうか?

 そこでお勧めしたいのが、エプソンの「Colorio V-edition EP-10VA」(以下、EP-10VA)だ。コピーやスキャナーなど普段使いに便利なコンパクトサイズの複合機ながらも、低インクコストによりインク代をあまり気にせず、最大A3サイズまで大きく伸ばして写真プリントの醍醐味が満喫できる。

Colorio V-edition EP-10VA

 私の得意とする山岳写真をはじめとする風景写真は、大きくプリントすればするほど臨場感が増し、迫力が出て見応えのある作品になる。お気に入りの作品が撮影できたら、ぜひ大きくプリントして家族や親しい友人に見せてほしい。他人に作品を見せることで、さらに良い作品を撮ろうという強いモチベーションに繋がるからだ。

【北穂高岳より残照の滝谷と雲表の笠ヶ岳】

気に入った作品は家族や友人に見せてほしい。それが良い作品を撮影しようというモチベーションに変わる

 EP-10VAは、基本の4色にレッドとグレーを加えた6色の「Epson ClearChrome K2インク」によって幅広い色再現性を実現し、染料インクならではの瑞々しさや高い彩度での色鮮やかな表現が可能になっている。また、パソコンを使わず簡単に作品作りを楽しめる「作品印刷機能」を搭載しており、色補正一覧印刷により実際のプリント用紙で直接、色味を確認しながら、自分のイメージに合ったプリントを最短距離で制作することができる。

作品撮影機能の色補正一覧印刷は、コントラストや鮮やかさなどの補正結果を一覧で確認できる便利な機能だ

低インクコストなので気兼ねなく色補正一覧をプリント

 Colorio V-editionに搭載された作品印刷機能はなかなかの優れ物で、作品完成前に1枚プリントする必要はあるものの、低インクコストなので気兼ねなくプリントできる。また、同じ材質の用紙で最終確認できるので、イメージした作品にたどり着くまで何枚もプリントする必要が無くなるのがうれしい。

「色補正一覧印刷」を手にする菊池さん

 さらにColorio V-editionは、同社の他機種と比較してもインクコストが安くなっている。L判写真1枚あたりのコストは約12.7円(EP-979A3で増量の80L番インク使用時は約20.6円)、インクセット1個あたりのコストが約4,740円(EP-979A3 増量の80L番パックは約7,330円)というように、どちらも従来機種より40%ほど価格が下がっているのだ。

機種
EP-10VA

EP-30VA

EP-979A3
インクコスト 約12.7円(L判・写真用紙<光沢>) 約20.6円(L判・写真用紙<光沢>)

 なお下記リンク先のコストシミュレーションページでは、従来のインクジェットプリンターとのコスト比較ができる。A3、A4、それぞれの出力サイズを選んで、一か月間のプリント枚数を入力するだけでコストが自動計算される。写真愛好家なら、Colorio V-editionのコストの安さがすぐに理解できるだろう。

>>Colorio V-editionのコストシミュレーションはこちら

剱岳と北横岳で撮影した写真をA3プリント

 それでは作品の印刷を実践してみよう。まずは秋の仙人池より撮影した剱岳の作品から。なお3つの作品を印刷しているが、すべてA3サイズの用紙を使用している。

 この作品は真っ赤に染まるナナカマドの鮮やかな紅葉がポイントなので、プリントする用紙は高光沢のクリスピアを選択。色補正一覧印刷により「明るさ」「コントラスト」「鮮やかさ(彩度)」のほか、色調補正として「R(赤)」「G(緑)」「B(青)」の6つの条件をプラスマイナスに振った時のサムネイル画像がプリントされる。この中から自分のイメージに合う数値を選んで入力するだけで終了だ。今回はコントラストと鮮やかさを+1、他は0を設定した。

色補正一覧印刷による出力

 完成したプリント作品は、クリスピアという高光沢紙らしく、従来の写真用紙ではくすみがちなナナカマドの赤が鮮やかに表現されている。剱岳の圧倒的な質感も素晴らしい。せっかくなので比較のために用紙をフォトマット紙に変えて印刷してみた。全体にテカリが消えて、しっとりした雰囲気の作品になった。ナナカマドの鮮やかな赤味は多少抑えられてはいるが、落ち着いた色合いでこういう雰囲気を好む人もいるだろう。さらにペーパーをマット系のアート紙「Velvet Fine Art Paper」にするとまるで水彩画のような柔らかいタッチの作品になった。印刷する紙質でこれだけイメージが大きく変わるというのも面白い。少なくともカラーフィルム時代には気軽に体験できなかった楽しみ方と言えるだろう。

【仙人池より錦秋の剱岳】

クリスピアでプリントしたもの

フォトマット紙でプリントしたもの

Velvet Fine Art Paperでプリントしたもの

 つぎは、今年2月に撮影したばかりの北八ヶ岳・北横岳での作品「星月夜に浮かぶ北横岳」をプリントした。同様に3種類の用紙でプリントしてみたが、星や月のキラキラ感が最も伝わる高光沢紙のクリスピアが優勢か。

【月光浴の北横岳】

クリスピアでプリントしたもの

フォトマット紙でプリントしたもの

Velvet Fine Art Paperでプリントしたもの

 最後は、真っ白な霧氷に覆われたダケカンバの作品をプリント。これも2月に北横岳で撮影したもので、抜けるような青空と眩いほどの白い霧氷のコントラストがポイントなのだが意外にも、高光沢紙よりマット系の用紙の方が絵画的でしっとりくるように感じた。

【霧氷の花】

クリスピアでプリントしたもの

フォトマット紙でプリントしたもの

Velvet Fine Art Paperでプリントしたもの

 やはり、イメージするのと実際にプリントしてみるのとではだいぶ印象が変わってくる。これからはプリントする用紙選びにも気を使いたい。

 このようにColorio V-editionは、コピー・スキャン機能が搭載されている複合機タイプであっても、光沢系の用紙はもちろん、マット系、さらにアート紙にまで対応していることが特筆される。インクコストが安いので、様々な用紙でプリントすることを、気兼ねなくトライしてほしい。情景に合わせて用紙を変えることで、自分の作風にいつもと違う雰囲気が生まれてくるはずだ。

余黒、余白のフチも簡単に設定可能

 また作品印刷機能では、フチの種類や用紙のサイズなどを選択するだけで、余黒、余白のフチを設定できる。余黒、余白のフチがある写真とない写真では、印象が大きく変わってくる。

「A3」「A4」それぞれのプリントに対応したColorio V-edition

 今回、テストしたのはA3プリントにも対応している「EP-10VA」だが、姉妹機としてA4サイズまでに特化した「EP-30VA」も発売されている。基本的な機能や画質はEP-10VAと同じだ。EP-30VAはさらにコンパクトな設計となっているので、A4プリントで十分という方にはこちらがお勧めだ。

A3対応

A4対応

(Reported by 菊池 哲男)