紀成道写真展：Touch the forest,touched by the forest.

森にふれる、心にふれる──。

精神障害や心の病を抱える人たちの社会復帰への足掛かりとして、外部ボランティアを招いた森林で自然体験活動を取り入れる病院や施設がある。造園家による人の手が入った明るい森は、自然と人間を取り持つ中間地帯となり、心を解放的にする。そして人と人とのコミュニケーションが促され、患者と健常者をつなぐ場としても機能する。

「ベッドの上で天井ばかり見つめていると空しくなる」と、ある統合失調症の男性は話す。快方へ向かわせるための医療施設が、実はストレスの原因にもなりうるという矛盾を精神科は抱えている。そこで森林療法が単調な入院生活に彩りも添えることになる。森の中では健常者と何ら違いを感じさせない当事者と、彼らを支える人たちとの営みを、四季を通じて追った。

展示には、取材地域のナラ材にレーザーで焼き込んだ写真の板も並べる。木のぬくもりも体験してもらえる「ふれられる写真展」とする。　（紀 成道）

写真展情報

会場

銀座ニコンサロン
東京都中央区銀座7-10-1 STRATA GINZA 1・2階

開催期間

2017年7月5日（水）～7月18日（火）

開催時間

10時30分～18時30分（最終日は15時まで）

休廊

会期中無休

作者プロフィール

1978年　愛知県生まれ
2001年　アジアを中心に海外を放浪
2003年　京都大学工学部卒業
2005年　京都大学大学院を中退し、フォトグラファーに転向。現在に至る

＜受賞歴＞
2009年　「International Photography Awards」（米国）　honorable mention
2015年　「フォトプレミオ」　年度賞大賞

＜出版物＞
2015年　写真誌　風の旅人vol.49　巻頭「森と心」
2015年　写真誌　DAYS JAPAN１月号 「北国の森林療法」
2017年　ファースト写真集　「Touch the forest, touched by the forest.」（赤々舎）

日本の事象をドキュメンタリーとして捉える。インターネットによる拡散の力よりも、「写真展示」が持つ伝達の力を信じ、視覚以外でも感じ取れるよう、「Emotive & Creative」を基本理念に制作を行っている。