【フォトキナ】サムスン、「NX100」のローンチイベントを開催


 ドイツ・ケルンで9月21日から開催される世界最大のカメラショー「フォトキナ2010」の前日、サムスンはワールドワイドのNX100ローンチイベントを開催した。

世界初のAPS-Cサイズセンサー搭載のレンズ交換式ミラーレスカメラを発売。今後、この分野に注力していく。グラフはミラーレス機の市場拡大予測サムスンデジタルイメージング代表理事社長の朴商鎭
サムスンのレンズ交換式デジタルカメラ最新モデルのNX100

 すでにスペックやデザインは明らかになっていたNX100だが、新たな機能アプローチも盛り込まれており、完全自社製品としては初のレンズ交換式カメラだったNX10に比べ、大幅に完成度が上がっていた。コンパクトデジタルカメラの分野で猛烈に日本メーカーを追い上げているサムスンだが、サムスンエレクトロニクスのデジタルイメージング事業部長は「ミラーレスのレンズ交換式カメラに力を入れていくことで、2012年には世界一のカメラメーカーになる」と成長戦略への強い自信を示した。

 NX100は約1,460万画素のサムスン製APS-CサイズCMOSセンサーを搭載。常用感度設定はISO100〜3200で、拡張設定でISO6400に設定が可能。720PでのH.264ビデオ記録に対応する。背面液晶のみのフレーミングでビューファインダーは搭載しないが、オプションでEVFユニットも用意している。

目の前に座っていたナショナルジオグラフィックスのフォトグラファーが使用していたNX100NX10に比べると軽量、コンパクトに。フランジバック25mmでここまで薄くできたのは、AMOLEDによるところが大きそうだ
センサーサイズの大きさとアスペクト比の一眼レフとの共通性を訴えるのは、図らずもソニーNEXと同じ3インチのAMOLEDディスプレイはVGA解像度で1万対1のコントラスト

 マウントはNX10と共通だが、大幅なコンパクト化が進められている。282gの重量はソニーのNEX-5よりは重いものの、NEX-3よりは軽い。レンズ交換式カメラの重さはレンズの割合が大きいとはいえ、この軽さは武器だろう。奥行きもソニーNEXシステムに比べフランジバックが5mm長いにもかかわらず、奥行きもグリップ部を除くと34.5mmしかない。これは薄型のAMOLEDディスプレイを採用したためだ(ディスプレイのチルト機能はないが、サムスンは視野角が広い点を訴求している)。

 しかし、サムスンが発表会で最も強調していたのは、難しいカメラの操作をシンプル化することだ。撮影したい写真のイメージを持っていても、具体的にカメラの操作につなげることができない人が多い。そこで、より簡単に操作する手法として、iFn(アイファンクション)という機能を提案。今後、発売するレンズにはすべて「iFn」ボタンを搭載する。

撮りたい写真のイメージはあるのに、カメラは考えることが多すぎて思い通りに撮影できない今後、投入されるレンズにはiFn(アイファンクション)ボタンを搭載
ボタンでパラメータを選択し、リングで調整するユーザーインターフェイス完全なる写真をあなたの指先で! とiFnを訴求
iFnは写真上級者と初級者の両方に対して、より良い操作性を提供するiFnのファンクション表。ダイアルモードによって設定できるパラメータが変化する

 iFnボタンを押すと画面下にiレンズダイヤルで調整するパラメータの種類と設定値が表示される。ダイヤルを回すと設定値がアニメーションで変化し、iFnをボタンを押すたびに設定パラメータが切り替わる。キヤノンPowerShot S95のRING FUNCTIONボタンにも似ているが、モード選択時に決定ボタンを押す必要がなく軽快なアニメーションで操作できる。ボタンとリングの位置もレンズ内蔵だけに使いやすそうな印象だ。

 iFnで操作できるパラメータはダイヤルポジションによって変化し、マニュアルや絞り優先、シャッタースピード優先といったモードではエキスパート向け、オートモード時にはシーンモードの切り替えなどに利用する。エキスパートから初級者まで、幅広いユーザーに対して有効な操作性だと訴求していた。

 このほか、サウンドピクチャーという機能も、なかなかユニークだ。記録開始をすると5秒分の音声情報をバッファしておき、レリーズ後5秒間の音もキャプチャー。写真データにレリーズ前後10秒分の音声情報を埋め込む。

レンズラインナップ。年内に5本、来年だけでさらに5本を追加予定サウンドピクチャー機能はレリーズの前後5秒づつの音を写真に埋め込む
リアルタイムにデジタルフィルタをかける、スマートフィルターを搭載。ビネッティング、ハーフトーンなどを搭載。もやを綺麗にするデフォッグなどもあるこちらはハーフトーン効果
GPSユニットなど豊富なオプションを用意システム全体の一覧

 NXマウントレンズはすでに発売済み(ただしiFn非対応)の3本に加え、iFn対応の20mm/F2.8、20-60mm/F3.5-5.6の2本をNX100と同時発売。来年、iFn対応レンズを5本追加する予定で、85mm F1.4、手ブレ補正機能付き60mmマクロレンズや16mm F2.8、手ブレ補正付き18-200mmの高倍率ズームレンズなどを発売する。

 なお、念のため日本での発売予定を伺ってみたが、現時点での計画はないという。



(本田雅一)

2010/9/21 00:00