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プロレベルの空撮体験をVlog撮影シーンにひろげる

DJIがMavic Air 2のオンライン説明会を実施

DJI JAPANは5月19日、ドローンMavicシリーズの新製品「Mavic Air 2」の製品説明会をオンライン上(YouTubeによるライブ配信)で開催した。説明会では同機の進化点のほか、デモフライト、キャンペーン等の今後の施策に関して説明があった。具体的な撮影性能を中心に説明会の模様をお伝えしていきたい。

Mavic Air 2の製品スペックをおさらい

Mavic Air 2は、4月28日に発表された同社が民生用ドローンとして展開する機種のうち、より一般ユース向けを意識した階層に位置づけられる機種だ。

製品の外形寸法は、収納時で183×253×77mm、展開時でも180×97×84mm、重量約570gとなっている。小型なつくりとなっており、成人男性が片手でつかめてしまう程の大きさに収められている。

Mavic Air 2を手にするDJI JAPANの川中良之氏

搭載するイメージセンサーは1/2型CMOSを採用。最大4,800万画素(8,000×6,000)の記録に対応するほか、同ピクセル配列内でも露光時間を調整できるという、Quad Bayer配列技術を用いている。

ジンバル部は3軸モーターとなっており、制御精度の高さもポイントだという。

このほか最大飛行時間は約34分となっており、5月14日に同じくオンライン上で開催された産業用ドローン製品「MATRICE 300 RTK」にて、パネルディスカッションに登壇した水沼和幸氏(NSi真岡)が言及した、“あわてることなく次の作業内容を考えながら使用していくことができる”飛行時間に近い稼働時間を実現。また、最大通信距離も10km(日本国内では6km)となっている。

この他の製品スペックについては既報記事に詳しいので、あわせてご覧いただきたい。

プロレベルの空撮をすべての人に

本機の特徴的な撮影性能についてみていきたい。

Mavic Air 2では、操縦支援システム「APAS 3.0」を搭載しており、周囲をリアルタイムでマッピングして障害物回避に対応するほか、多様な飛行に対応できるとしている。これにホバリング飛行の安定性などが加わり、様々な撮影を自動制御飛行で楽しめる点をポイントとしている。

障害物センサーは前・後・下方向に搭載している

この障害物検知機能は、障害物に接近するとコントーラー側に赤色の警告表示を出すほか、ぶつかりそうな場合は自動で静止するようになっているという。“自動ブレーキのような機能”なのだという。

接近前(左)、接近時(右)
岸壁接触前に自動で静止した状態

撮影機能では、被写体を認識・ロックすることで、一定距離を保ちながらの旋回飛行を実現する「POI 3.0」(Point of Interest)を搭載。高度な操縦技術を必要とする周回動作であっても機体任せで対応可能としている。建造物のほかにも人、車、ボートなど動いている被写体に対して有効だという。

POI 3.0を利用している場面。グリーンのマーカーがでているポイントでロックオンして、機体がせり出した岸壁と等距離を保ちつつ、旋回飛行していた

また、障害物を避けながら被写体を追尾・撮影できる「ActiveTrack 3.0」も搭載。被写体をロックオンすることで、常に画面内に被写体を収め続ける「Spotlight 2.0」などとあわせて、様々なバリエーション撮影に対応する。

Spotlight 2.0の利用デモ

様々な撮影バリエーションに自動制御で対応

高度な操縦技術を要求する撮影内容・シーンが誰でも撮影できるようになった、という点が大きくフォーカスされていたが、これらの機能を利用した、バリエーション撮影についても紹介があった。

サークル、ヘリックス、ブーメラン、アステロイド、といった撮影セットがプログラムされており、サークルでは文字通り円周軌道を描くようにして撮影がおこなわれる。先にも触れたとおり、特別な操作なしで被写体を画面内に収めながら、周回撮影動画を手軽に楽しむことが可能となっている。被写体との距離も任意で設定できるのだそうだ。

下の画面は、ブーメラン飛行のデモだ。被写体を選択してロックオンした状態(グリーンのプラスマークがでている)から、イエローの方向に向かって機体が旋回。ズーム動作を伴いながら、ぐるりと円周軌道で飛行して再びスタート位置に戻ってくる内容となっていた。

ブーメラン飛行のデモ

旅+Vlog施策を強化

発表会では、今後の施策に関する紹介もあった。現段階では、新型コロナウィルスの感染拡大抑制に向けた政府・自治体をはじめとした環境から、実施時期については、注視していきたいとしながらも、今後は旅+Vlog+空撮に力を入れていくとの発表があった。

ドローンによる動画記録と旅を組み合わせた撮影体験については、2018年の「ソラタビ with MAVIC AIR」で静岡県浜松市と神奈川県葉山町と共同で取り組んできているとして、2019年にはツアー形式でドローン撮影が楽しめる施策を実施。多くの反響が得られたと事例の紹介があった。

旅とVlogの親和性は極めて高いとコメントした同社。今後はSNSメディアの動画対応とともに、より一層動画の撮影や消費が身近になっていくだろうとの分析を示した。また、ドローンによる通常の視点を超えた撮影内容により、“旅を2度たのしめるようになる”こともまた、ポイントになっていくだろうと述べた。

これらの実績と展望をもとに、2020年は自治体等との連携によりドローンの撮影スポットに関する情報や安全な飛行に関する啓発を推し進めていきたいという。情報の打ち出しについては、状況を注視しつつ、進めていくとの考えが示された。

2020年の施策「ソラタビマップ」

なお、この発表会の模様は、後日一般への公開を予定しているという。

本誌:宮澤孝周