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ベルボンの“新生カルマーニュ”を試す
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~ブラッシュアップした定番カーボン三脚
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Reported by
藤井智弘
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国産三脚を代表するメーカーのひとつ、ベルボン。そのカーボン三脚といえば、ご存知カルマーニュだ。これまでネオ・カルマーニュとエル・カルマーニュをラインナップしていたが、この2つのシリーズ名は新たに「ジオ・カルマーニュ」として統一する。発売は4月の上旬だ。
ナット式ロックを持つネオ・カルマーニュは「ジオ・カルマーニュN」に。レバー式ロックを持つエル・カルマーニュは「ジオ・カルマーニュE」にそれぞれリニューアルした。今回はジオ・カルマーニュEの中型モデル、「ジオ・カルマーニュE645」のレポートをお届けしたい。
なお、新カルマーニュシリーズの全ラインナップは下の表をご覧いただきたい。
ジオ・カルマーニュN(ナットロック式モデル)
型番 |
段数 |
全高 |
パイプ径 |
雲台 |
価格 |
ジオ・カルマーニュN830 |
3段 |
2,000mm |
36mm |
別売 |
125,370円 |
ジオ・カルマーニュN840 |
4段 |
2,010mm |
36mm |
別売 |
128,940円 |
ジオ・カルマーニュN840S |
4段 |
1,650mm |
36mm |
別売 |
123,900円 |
ジオ・カルマーニュN730 |
3段 |
1,910mm |
32mm |
別売 |
101,430円 |
ジオ・カルマーニュN740 |
4段 |
1,730mm |
32mm |
別売 |
105,000円 |
ジオ・カルマーニュN635 |
3段 |
1,790mm |
28mm |
3ウェイ |
101,220円 |
ジオ・カルマーニュN645 |
4段 |
1,700mm |
28mm |
3ウェイ |
104,790円 |
ジオ・カルマーニュN535 |
3段 |
1,720mm |
25mm |
3ウェイ |
77,175円 |
ジオ・カルマーニュN545 |
4段 |
1,540mm |
25mm |
3ウェイ |
80,640円 |
ジオ・カルマーニュE(レバーロック式モデル)
型番 |
段数 |
全高 |
パイプ径 |
雲台 |
価格 |
ジオ・カルマーニュE730 |
3段 |
1,910mm |
32mm |
別売 |
101,430円 |
ジオ・カルマーニュE740 |
4段 |
1,770mm |
32mm |
別売 |
105,000円 |
ジオ・カルマーニュE635 |
3段 |
1,760mm |
28mm |
3ウェイ |
101,220円 |
ジオ・カルマーニュE645 |
4段 |
1,690mm |
28mm |
3ウェイ |
104,790円 |
ジオ・カルマーニュE645L |
4段 |
2,010mm |
28mm |
3ウェイ |
107,940円 |
ジオ・カルマーニュE535 |
3段 |
1,690mm |
25mm |
3ウェイ |
77,175円 |
ジオ・カルマーニュE545 |
4段 |
1,530mm |
25mm |
3ウェイ |
80,640円 |
ジオ・カルマーニュE545L |
4段 |
1,740mm |
25mm |
3ウェイ |
83,790円 |
ジオ・カルマーニュE435 |
3段 |
1,440mm |
22mm |
3ウェイ |
49,560円 |
ジオ・カルマーニュE445 |
4段 |
1,300mm |
22mm |
3ウェイ |
53,025円 |
ジオ・カルマーニュE445L |
4段 |
1,660mm |
22mm |
3ウェイ |
56,175円 |
ジオ・カルマーニュE433 |
3段 |
1,430mm |
22mm |
自由 |
47,566円 |
ジオ・カルマーニュE443 |
4段 |
1,290mm |
22mm |
自由 |
51,030円 |
ジオ・カルマーニュE335 |
3段 |
1,460mm |
19mm |
3ウェイ |
42,565円 |
ジオ・カルマーニュE333 |
3段 |
1,470mm |
19mm |
自由 |
44,350円 |
■ 滑らかで調整しやすい脚パイプ
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ベルボンの新シリーズ、ジオ・カルマーニュEの中型4段三脚、E645。雲台PHD-61QとSuper 3Wayポシェットが付属で、価格は104,790円。高価だがカーボンとマグネシウムを使用し、軽量ながら堅牢に仕上がっている
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ジオ・カルマーニュE645は4段三脚。脚をたたむと全長574mmで、中型三脚としては短い。脚パイプのレバー式ロックは、エル・カルマーニュから受け継ぐエル・ロック機構。レバーが大きく、快適で確実な操作ができる。しかもソケット部にもカーボンを使用し、感触や強度にも優れている。
カーボンファイバー製のパイプは「Inner Jut Pipe」を採用。パイプ内部に凸状レールを持ち、空回りを防いでいる。おかげで、どの段でもスムーズに高さ調節が可能だ。今回のジオ・カルマーニュはパイプに研磨を施し、従来と比べて出し入れがスムーズになったとのこと。確かにパイプの出し入れは引っ掛かることもなく、とても滑らかだ。しかも適度な抵抗感もあるので、微妙な調整が行ないやすい。
また脚に目盛りがプリントされているので、3本の脚の長さを揃えるのも楽だ。この目盛りも、前モデルより細かくなり、より扱いやすくなっている。さらにパイプの伸縮比も前モデルより増えている。全高は1,365mm。エレベーターは325mmなので、すべて伸ばすと1,690mmにもなり、ハイアングル撮影も可能だ。ジオ・カルマーニュは確実な進化を遂げているのを感じた。
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パイプには目盛りがプリントされていて、3本の脚をスピーディーにセットできる。大型レバーのエル・ロック機構も使いやすい
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石突はゴムとスパイクの可変式。荒れ地のような場所でも安定したセッティングが可能だ
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新機構のイージーロックレバー。これを上げるとエレベーターのロックが解除される。ロックはガッチリしていて、重い機材を載せても安心だ
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ジオ・カルマーニュは、エレベーターにも新機構を採用している。それはイージーロックレバーだ。レバーを跳ね上げるだけでロックが解除。高さを決めたらレバーを下げてロック。このロックは強力で、エレベーターのパイプがガッチリ止まる。エレベーターのパイプは2分割でき、ローポジションのときは下のパイプを外す。脚はセミオートラチェット機構。ローポジションにする場合は、脚の付け根のスライドレバーをスライドさせる。すると地上高234mmのローポジションが可能だ。脚を閉じていくと、“カチッ”という音と共ににセミ開脚位置でロック機構が働き、さらに閉じると標準開脚位置に戻る。
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脚を伸ばした全高は1,365mm。4段であることと、伸縮比も増したことで、中型としては小柄ながら十分な高さを持つ
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エレベーターをいっぱいに伸ばすと1,690mmになる。これだけ高さがあれば、ハイアングル撮影も可能だ
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開脚のロックはスライド式。一度右にスライドするとロックが解除され、ローポジションができる
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E645は、脚がカーボンファイバー製なだけでなく、本体基台部は軽量で堅牢なマグネシウム合金を使用。さらに付属の雲台、「PHD-61Q」もマグネシウム製だ。E645の重さは2,370gで、耐荷重4kgを実現している。
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ローポジションでは、エレベーターのセンターポールを分割させる。これはセミ開脚している状態
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ローポジション時は最低地上高243mm。ネイチャーフォトに便利だが、パンするとパン棒が脚にぶつかってしまうことがあった
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■ 完成度の高い雲台
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雲台はPHD-61Qを標準装備。マグネシウムを使用し、カメラの取り付けはクイックシューで行なう
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PHD-61Qは、パン、ティルト、サイドティルトが独立して操作できる3ウェイ式雲台だ。クイックシュー付きで、スペアシューは「QRA-35L」を使用する。このシューには背当て付きで、縦位置でカメラがおじぎしないように配慮されている。ちなみにシューもマグネシウム製だ。
このPHD-61Qは、従来からエル・カルマーニュにも採用されていたり、また単体で売られていたりもする。ところがよく見てみると、E645付属のPHD-61Qは形が違う。パン棒とサイドティルト用ハンドルのグリップ短く、そして丸くなっているのだ。短くなったことで携帯性がアップし、しかも丸いグリップで手のひらにしっかり収まり、優れた操作性も維持している。見た目はサイドティルトがやりにくいのでは、と想像したが、実際に使ってみると非常に扱いやすい。また各動きも滑らかだ。水準器も付いていて、完成度が高い。
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従来のPHD-61Qと異なるのが、パン棒とサイドティルトのハンドルだ。グリップがタマゴ形になっている
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サイドティルトのハンドルは短く、グリップもタマゴ形。優れた操作性を保ちながら、携帯性や収納性が大きくアップしている
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雲台には水準器も装備。水平、垂直がひと目でわかる。しかも縦位置にも対応している。風景写真にありがたい
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シューはQRA-35L。縦位置でカメラがお辞儀しないように背当てが立てられる。背当てを使用しない場合は、どちらが前後でも構わない
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シューをカメラに装着するには、シューの裏からネジ回しを外して、カメラネジを締め付ける
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■ 1個で3役のポシェットが付属
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ジオ・カルマーニュにはSuper 3Wayポシェットが付属。これは巾着タイプのレッグポシェットにしているところだ。街中の移動に便利
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ジオ・カルマーニュには、新たに「Super 3Wayポシェット」が付属する。これはレッグポシェット、ストーンバッグ、ポーチの3通りの使い方ができるポシェットだ。レグポシェットにすると脚をカバーすると同時に周囲への安全性も高まり、ストーンバッグは軽量なカーボン三脚に必需品といえるアクセサリーだ。
さらにポーチは小物を入れるのに便利。アイデア豊かだが、レグポシェットは単純なストラップ式に比べて移動の度にいちいち脚をポシェットに入れる必要があり、迅速性に欠けるのは気になった。
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3つのファスナーを下ろし、ストラップを脚に通すことでストーンバッグに変身する。ここに重石になるものを入れることで、安定性を増すことが可能だ。風の強い日に効果的。押さえのテープを外せば、さらにバッグを広げることもできる
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Super 3Wayポシェットは、それ単体でポーチとして使用することもできる。撮影現場で小物を入れておくのに重宝する
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高倍率ズームレンズを付けたミドルクラスのデジタル一眼レフを載せてみた。もちろん余裕で支えられる。フラッグシップクラスのデジタル一眼レフカメラに70~200mm F2.8クラスのレンズでも問題ない
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ほかに気になったのは、ローポジション時に雲台の位置によってはパン棒が脚にぶつかってしまう。この機種に限ったことではないが、ローポジション撮影が多い人は、自由雲台に交換した方が使いやすいだろう。そうした人のために、雲台なしモデルも発売してくれるとありがたい。
価格は中型カーボン三脚としてはやや高価な104,790円。カーボンとマグネシウムをふんだんに使っているのでやむを得ないだろうが、決断にはやや勇気がいるかもしれない。それでも実際手にすると、性能の良さが実感できるはずだ。
今やデジタル一眼レフカメラは1,500万画素や2,000万画素クラスの時代。ちょっとしたブレが作品に大きな影響を与えるので、しっかりした三脚の使用を検討したい。その点で、ジオ・カルマーニュはぜひ候補に入れたい三脚だ。
■ URL
ベルボン
http://www.velbon.com/
製品情報
http://www.velbon.com/jp/catalog/products.html
■ 関連記事
・ ベルボン、「カルマーニュ」シリーズをリニューアル(2009/03/23)
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藤井智弘 (ふじいともひろ)1968年、東京生まれ。東京工芸大学短期大学部写真技術科卒業。1996年、コニカプラザで写真展「PEOPLE」を開催後フリー写真家になる。現在はカメラ雑誌での撮影、執筆を中心に、国内や海外の街のスナップを撮影。社団法人日本写真家協会会員。ホームページはhttp://www.fujiitomohiro.com/ |
2009/03/23 15:00
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