子ども向けのソニー製品といえば「My First Sony」が思い出されるところだが、odoは「商品としてだけでなく、環境問題やユニバーサルデザインを含めた価値の提案」(同社クリエイティブセンター クロスオーバーグループ サステイナブルデザインチーム プロデューサーの長坂佳枝氏)で、デザイナーが提案するスタディモデルだ。
同イベントに展示されているodoプロダクトは、デジタルスチルカメラ「Spin N'Snap」、ディスプレイ「Push Power Play」、デジタルビデオカメラ「Crank N' Capture」、ステレオヘッドホン「Pull N'Play」、太陽電池「Juice Box」の5つ。
太陽電池のJuice Boxは、充電してから折りたたむと、ほかのodoプロダクトのバッテリーとして機能するようになっているという設定。Push Power Playは本体をおもちゃの車のように床の上で転がし、Pull N'Playはコードをひっぱるなど、おのおの違った発電の方法が採用されている。
デジタルスチルカメラ「Spin N'Snap」は、本体のふたつの穴に両手の指をかけて、全体をクルクル回すことで発電する。液晶モニターはなく、ふたつの穴がファインダーとして機能する。液晶モニターがないのは、キネティックエンジンによる発電量では、バックライトなどの電力をまかなえないと想定されているため。また、撮影したデータをPush Power Playで表示する、Juice Boxで電力を補うなど、複数の製品を組み合わせて使う面白さを子どもに発見してもらう目的もある。
キネティックエンジンの発電量の少なさを逆手にとった特徴はデジタルビデオカメラのCrank N' Captureにもあり、こちらはあえてパラパラアニメのようなムービーしか撮れないようになっている。もちろん電力が足りないせいでもあるが、同時にパラパラアニメの面白さも提案している。「つい“ソニー製品は高画質でなければならない”という製品企画になってしまいがちだが、パラパラアニメのような画像も面白いと提案できるのは、デザイナーならでは」(サステイナブルデザインチーム シニアプロデューサーの中村光宏氏)と、デザイナーによるプロジェクトの意義も感じさせる。
いずれもモックアップで、実際に動作させることはできないし、展示もケース内のため、触ることができないのだが、動作イメージのビデオを見ているだけでも楽しい気分になれる。このままの商品化は無理としても、省電力でローファイな楽しみを持った製品の可能性はあるように思われる。My First Sonyが大人にも愛されたように、odoも子どもに独占させておくのは惜しいと思わせる展示だった。
上がディスプレイのPush Power Play、左下がデジカメのSpin N'Snap、右下が太陽電池のJuice Box