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【新製品レビュー】オリンパス「μ1060」

~光学7倍ズームのスタイリッシュモデル
Reported by 飯塚直

 μ1060は、薄型ボディに光学7倍ズームレンズ、CCDシフト式の手ブレ補正機構、シーン判別、顔認識などを搭載。最近の製品トレンドを網羅しているのが特徴だろう。個性的なラインナップが揃うμシリーズのうち、最も万人向けといってよいバランスの機種だ。

 実勢価格は約4万円。カラーバリエーションとして、シルバー、ピンク、ホワイト、エメラルドグリーンの4色が用意されている。


便利な「顔検出パーフェクトショット」

 2月に発売された「μ1020」の後継モデルとなっており、光学7倍の高倍率ズームを継承しつつ、撮影支援機能が拡充されている。例えばオリンパスとして初めて搭載した撮影シーンの自動判別機能「おまかせ♪iAUTO」がその代表例だ。「おまかせ♪iAUTO」は、モードダイヤルで設定できる独立機能となっており、設定しておくだけでカメラが「ポートレート」、「風景」、「夜景&人物」、「スポーツ」、「マクロ」の5シーンを判別、状況に合わせた最適な状態で撮影できるというもの。





記録メディアはxDピクチャーカード。microSDカードアダプターも同梱する 充電器とバッテリー。撮影可能枚数は約170枚

 また、μ1020から引き続き「顔検出パーフェクトショット」を搭載し、顔検出とAF時における露出制御を行なう。背面の専用ボタンを押すことで作動し、このとき白トビと黒ツブレを調整する「シャドウ・アジャストメント・テクノロジー」も働く。想定されているのは、逆光下での人物撮影など、背景とメインの被写体とで輝度差の激しいシーン。背景は適正露出だが、人物は真っ暗といったときに利用できる。ストロボ撮影での背景落ちにも効果が見られた。ちなみに本機の顔検出数は、最大16名分。シーンモードにはμ1020に引き続き、笑顔を認識して連続シャッター(3枚分)を切る「スマイルショット」も搭載されている。

 なお顔検出パーフェクトショットは、メインの被写体と背景の露出差を自動で調整する「フェイス&バックコントロール」を含んでいるため、人物がいないシーンでも有効。ボタンひとつでオン/オフできるので、夕景で手前の被写体をシルエットにしたいときなどを除けば、積極的に利用してもよいだろう。ただし測光は「ESP」、AF方式は「顔検出」(顔がない場合は中央で合焦)に固定されるので注意。


新しく搭載された自働シーン判別機能「おまかせ♪iAUTO」は、モードダイヤルを「iAUTO」に合わせるだけで利用可能だ 顔検出はiAUTOやシーンモードのほか、AF方式で選択すれば、プログラムAEでも利用できる

笑顔を検知して自動でシャッターを切る「スマイルショット」。2007年秋モデルの「μ1200」から搭載されている 動画でのシーンモード「プリキャプチャムービー」。シャッターボタンを全押しする約2秒前を含む計7秒を記録する

楽しい3Dアニメーション表示

 レンズは35mm判換算で焦点距離37~260mm相当、開放F値はF3.5~5.3。奥行き25.1mmのボディに7倍ズームを搭載しているのが特徴だ。高倍率化が進むスタイリッシュ系コンパクトデジカメの世界でも、沈胴式で7倍ズームを達成しているのは珍しい。広角端から望遠端へはスムーズにシフトする。もたつきがないのは好印象だ。

 撮像素子には、1/2.33型(有効1,000万画素)のCCDを内蔵する。従来モデルでは、最大感度ISO1600だったのに対し、μ1060ではISO6400まで増感できるようになった。ちなみにフル解像度の3,648×2,736ピクセルで撮影できるのはISO1600まで。ISO3200以上は300万画素相当(2,048×1,536ピクセル)となる。

 液晶モニターはμ1020の2.7型から3型に面積が拡大している。ドット数は23万ドットと同じだが、視認性の面からいっても素直に歓迎したい。

 機能面を別にして、μ1060はユニークな進化を遂げている。GUIでのアニメーションの採用がそれだ。具体的にはメニューのアイコン選択、再生メニューでの画像送り、画像データの消去、カレンダー再生などのタイミングで利用されている。見た目に楽しい進化だが、動作が少しもたつくように感じられた。とはいえ派手な分、「待たされている」という感じはない。今後が楽しみな進化の形といえるだろう。


再生画面で撮影データを表示させたところ。画像を送ると絵がパラパラと切り替わる

カレンダー再生。背景にはその日に撮った写真がランダムで表示される


メニュー画面のアニメーション表示例

まとめ

 ボディは実際に薄くなっていることに加え、配色とデザインでより薄く感じる。適度な重量感もあり、使いやすさという点では◎だ。少し気になったのが電源ボタンが押しにくくなったこと。無意識に指の腹で押すと電源が入らないこともあり、意識して押し込む必要がありそうだ。

 といっても気になったのはそれぐらい。あとは広角撮影への対応(望遠側とのトレードオフになるが)と、相変わらずメインの記録メディアが少数派のxDピクチャーカードであることだろうか。要所をしっかりおさえつつコンパクトに仕上がっているμ1060は、薄型スタイリッシュ系の製品の中でも、機能を重視する層には気になる存在と言えるだろう。


 

  • サムネイルをクリックすると、リサイズなし・補正なしの撮影画像を別ウィンドウで表示します。


画角

広角端
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 37mm(35mm判換算)
望遠端
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F5.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 260mm(35mm判換算)

歪曲収差

広角端
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F3.5 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 37mm(35mm判換算)
望遠端
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/20秒 / F5.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 260mm(35mm判換算)

ISO感度

ISO64
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/10秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)
ISO100
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)
ISO200
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/30秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)

ISO400
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/60秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)
ISO800
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/125秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)
ISO1600
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/250秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)

ISO3200
μ1060 / 2,048×1,536 / 1/500秒 / F4.3 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)
ISO6400
μ1060 / 2,048×1,536 / 1/125秒 / F11 / 0EV / WB:オート / 52mm(35mm判換算)

顔検出パーフェクトショット

 人物の有無に関わらず、顔検出パーフェクトショットをオンにしておけば、AFのあった場所と背景の露出を調整してくれる。背景とメイン被写体の輝度差がある場合に有効だ。


顔検出パーフェクトショットOFF
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/320秒 / F5.3 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 260mm(35mm判換算)
顔検出パーフェクトショットON
μ1060 / 3,648×2,736 / 1/200秒 / F5.3 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 260mm(35mm判換算)

顔検出パーフェクトショットOFF
μ1060 / 2,736×3,648 / 1/800秒 / F5.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 260mm(35mm判換算)
顔検出パーフェクトショットON
μ1060 / 2,736×3,648 / 1/1,000秒 / F5.3 / 0EV / ISO200 / WB:オート / 260mm(35mm判換算)

自由作例

μ1060 / 2,736×3,648 / 1/200秒 / F5.3 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 260mm(35mm判換算) μ1060 / 2,736×3,648 / 1/250秒 / F5.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 260mm(35mm判換算)

μ1060 / 3,648×2,736 / 1/40秒 / F5.2 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 238mm(35mm判換算) μ1060 / 2,736×3,648 / 1/100秒 / F4.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 52mm(35mm判換算)

μ1060 / 3,648×2,736 / 1/15秒 / F3.5 / -0.3EV / ISO64 / WB:オート / 37mm(35mm判換算) μ1060 / 2,736×3,648 / 1/30秒 / F3.5 / -0.7EV / ISO64 / WB:オート / 37mm(35mm判換算)

μ1060 / 2,736×3,648 / 1/40秒 / F3.5 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 37mm(35mm判換算) μ1060 / 3,648×2,736 / 1/8秒 / F4.3 / 0EV / ISO64 / WB:オート / 52mm(35mm判換算)


URL
  オリンパス
  http://www.olympus.co.jp/
  製品情報
  http://olympus-imaging.jp/product/compact/mju1060/

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飯塚直
(いいづか なお)パソコン誌&カメラ誌を中心に編集・執筆活動を行なうフリーランスエディター。DTP誌出身ということもあり、商業用途で使われる大判プリンタから家庭用のインクジェット複合機までの幅広いプリンタ群、スキャナ、デジタルカメラなどのイメージング機器を得意とする。

2008/10/14 11:43
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