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写真で見るニコン「D700」

Reported by 本誌:折本 幸治

D700に別売のマルチパワーバッテリーグリップ「MB-D10」を付けた状態
 ニコンが25日に発売するデジタル一眼レフカメラ「D700」を借りることができたので、ここでは外観写真とメニュー画面を中心に、新機能などを紹介する。

 フルサイズの撮像素子をD3から受け継ぎながら、DXフォーマットのD300に近い外観を持つD700は、いわば「ボディ下部を切りとったD3」といえる存在。D700の位置付けをフィルム一眼レフカメラで表すとすれば、「F5に対するF100の関係」が適しているだろう。

 店頭予想価格は33万円前後。D3の大きさと重さに手を出しづらいと感じていた人に加え、価格面でD3に手が届かなかった人にも待望の新製品だ。

 シャッターフィーリングをはじめとした、各部の動作感は価格に見合うもの。レリーズタイムラグは、D3の約37msに対して約40msを実現。シャッター音はD3とは異なり、D3が持つ切れの良さは幾分薄くなる。音質的にはD3とD300の中間のイメージで、さらに音量を若干上げた印象だ。

 少々違和感を感じたのが、約992gという重さからくる重量感。D300やD200に慣れていると、思いのほか重く感じるかもしれない。D300との差は170g。グリップの形状はD300とほぼ同じで、D300譲りのスイッチ類の動作感もしっかりしている。


外観

 ボディの剛性感は高く、表面もD3、D300に通じる高級感のある仕上げ。コマンドダイヤル、サブコマンドダイヤルがラバーで覆われているところも、D3やD300と同様、高級感がある。

 操作ボタン類はD300の配置を踏襲。細かいところでは、マルチセレクターがD3と同じく、中央にOKボタンを設けたタイプになった。また、ミドルクラス以上では初となる、独立したinfoボタンを設けている。

 メモリーカードカバーは手前にスライドして開けるタイプで、D80などの操作感に近いものがある。メディアの挿入時には、撮影者側を表面にする。また、本体上面の表示パネルはD80に近いサイズで、D3、D300より面積が狭い。





操作スイッチ類、インターフェイス

フォーカスモードセレクトダイヤルの脇に、「FX」の金バッジが マルチセレクターにはD3と同じく、中央ボタンが付く

レリーズモードダイヤル上のボタン類は、D300に準じた内容 再生ボタン、削除/フォーマットボタンの配置もD300と同じだ

D3と同じく、アイピースシャッターを搭載 視度調整ノブをペンタ部右側にある

CFスロットは1つ。ラベル面の向きはD300と同様だ バッテリーはEN-EL3e。D300、D200、D80と共用できる

HDMI端子は小型のタイプCになった シンクロターミナル(上)と10ピンターミナル(下)

貸出機の生産国名は日本だった

D3(右)との比較






D300(右)との比較






エプロン下部の意匠がD300(右)と異なる 内蔵ストロボ。D300(右)に比べると発光面が黄色い

シンクロターミナルカバーと10ピンターミナルカバーの形状が、いずれもD300と異なる

CMOSセンサー、ミラーボックス

 CMOSセンサーは36×23.9mmの有効1,210万画素。D3と同じ撮像素子を採用する。

 ミラーボックスはマグネシウム合金製。反射防止のため、植毛処理も施されている。最高シャッター速度は1/8,000秒。ミラーバランサーも搭載する。


フルサイズセンサーに合わせたサイズのクイックリターンミラー 撮像素子。D3と同じFXフォーマットを採用

ファインダー

 ファインダーにはガラスペンタプリズムを採用。視野率はD3の約100%に対し、約95%にとどまる。AFセンサーはD3、D300と共用。51点の測距点はDXフォーマットのD300より中心に集まっている。

 もちろん、視野の広さはDXフォーマットのD300を大きくしのぐ。アイポイントは18mmだが、D300のアイポイント19.5mmより、眼鏡をかけた状態でも見やすく感じた。


格子線表示なし 格子線表示あり

クロップ時。「フォーカスポイントの照明」を「オート」、または「する」にした状態 クロップ時。「フォーカスポイントの照明」を「しない」にした状態

D3のファインダー内 D300のファインダー内

※ファインダー内の写真は、Caplio GX100で同じ焦点域、同じホワイトバランスで撮影したもの。各機種のアイピースと液晶モニターカバーをはずし、Caplio GX100のレンズをファインダー接眼窓に密着させた状態で撮影した。いずれもノートリミング、無補正。タル型の歪みはCaplio GX100固有のもので、実際のファインダー内に歪みが生じているわけではない。


D3とD300にない新機能

◆ライブビュー

 D3では光学ファインダー使用時に限られていた電子水準器が、ライブビューでも可能になった。手持ち撮影モード、三脚撮影モードのいずれでも使用できる。infoボタンで表示が可能。ファンクションボタンなどへの割当も行なえる。

 なお、コントラストAFの三脚撮影モードは、コントラスト検出信号の検出法を改善することで、合焦速度が約1.7倍に高速化したとのこと。

 また、D3も1日にニコンが公開した最新ファームウェアに更新することで、同様の機能が利用可能になった。


手持ち撮影モードの表示例 infoボタンを数回押すと、表示モードのひとつとして電子水準器が現れる

三脚撮影モードでの電子水準器。黄色は水平がとれない状態を表す 表示モードのひとつ、格子線

拡大表示もD3、D300から継承 三脚撮影モードでは最大10倍に拡大できる

◆撮影情報表示

 infoボタンを押して背面液晶モニターに撮影情報表示を表示、さらにもう一度infoボタンを押すと、10種類の機能のメニューを呼び出せる。D700からは、電源スイッチから撮影情報表示を起動する方法も新設された。


AFエリアモードセレクトダイヤルの下にあるのがinfoボタン 再度infoボタンを押すと、撮影情報表示の下部に並んだ機能表示がハイライトになる。ここから各設定のメニューを呼び出せる

配色はD3やD300と同じ。写真は白地に黒文字のパターン こちらは黒地に白文字。環境光に自動的に合わせてパターンを決める「オート」も選べる

◆アクティブD-ライティング

 D3とD300にあった「強め」、「標準」、「弱め」に加え、「オート」が新設されている。なお、D700の前に発売されたD60では、アクティブD-ライティングはON/OFFしか選べない。


アクティブD-ライティング

◆ファンクションボタンの機能
◆プレビューボタンの機能
◆AE/AFロックボタンの機能


 ファンクションボタン、プレビューボタン、AE/AFロックボタンに割り当てられる項目がそれぞれ増えている。項目ない用は各ボタンで同じ。

 新項目にはライブビューや電子水準器もあり、これらをボタン1つでダイレクトに呼び出せるようになった。このうち「マイメニューのトップ項目先へジャンプ」を割り当てた場合は、任意の機能のメニューを表示できる。

 増設項目のうち「プラスRAW記録」とは、ファイル形式をJPEGにしているときに作動させると、RAW画像を同時に記録する機能。1回の撮影を終えるか、ボタンを再度押すと、RAW同時記録を解除できる。


設定により、ライブビューをボタン1つで起動可能になった 一時的にRAWでの記録が行なえる「プラスRAW記録」

水準器表示もカスタムボタンから呼び出せる マイメニューのトップ項目に任意の機能を登録すれば、どんな機能でもカスタムボタンでメニューを出せるようになる

◆液晶モニターのパワーオフ時間

 表示内容ごとに消灯までの時間が設定可能になった。メニュー表示は20秒、撮影直後の画像確認は5分といった具合に指定できる。


4項目に対して個別にパワーオフ時間が設定できる 以前は一括してパワーオフ時間が決められていた

◆最近設定した項目

 D200までセットアップメニューにあった「最近設定した項目」は、D80から「マイメニュー」に置き換わった。D700ではマイメニューとの二者択一になるものの、復活を果たしている。


「マイメニュー」で「このタブの機能変更」を選ぶ すると、「マイメニュー」を「最近設定した項目」に置き換えられる

◆著作権情報

 画像のメタデータに撮影者名と著作権者名を添付できる。撮影者名は36文字まで、著作権者名は54文字まで。


セットアップメニューに「著作権情報」が加わった 撮影者名、著作権者名を個別に入力できる

D3にない機能

◆イメージセンサークリーニング

 選択項目はD300やD60と同じ。クリーニングを直接実行できるほか、実行タイミングを電源ON、電源OFF、電源ONとOFFの両方から選べる。

 D300より動作音が小さくなったようで、貸出機では耳を近づけてもほとんど聞こえなかった。


選択項目はD300やD60と同じだ

D300にない機能

◆撮像範囲設定

 D3と違い、「5:4(30×24)」が省略されている。


D3同様、DXレンズを装着すると自動的にDXに切り替わるほか、FXとDXを任意に選択できる

◆ヴィネットコントロール

 初期出荷の状態で、ヴィネットコントロールが使える。設定内容は、D3の最新ファームウェアと同等。


RAW、JPEGの両方に適用できる

◆シャッタースピードと絞り値のロック

 コマンドロックボタン(左手側上面のLのプリント)がないD700では、コマンドロックの指定をメニューから行なう方式をとる。

 なおコマンドロックボタンの位置には、D300と同様にISO感度ボタンがある。


コマンドロック機能はメニューから設定する 「?」ボタンによるコマンドロック機能のヘルプ表示

連写

 連写速度は、本体のみで5枚/秒、マルチパワーバッテリーグリップ「MB-D10」にEN-EL4a、または単3電池8本を装着した状態で8枚/秒。

 D300とは異なり、14bit RAW記録時でも連写速度は落ちない。また、クロップモードにしても連写速度が向上することはないという。


約5枚/秒

約8枚/秒

【2008年7月7日】「レリーズタイムラグはD3と同じ40ms」という記述を、「レリーズタイムラグは、D3の約37msに対して約40msを実現」に改めました。



URL
  ニコン
  http://www.nikon.co.jp/
  製品情報
  http://www.nikon-image.com/jpn/products/camera/slr/digital/d700/
  ニコンD700関連記事リンク集
  http://dc.watch.impress.co.jp/cda/dslr/2008/07/03/8783.html



本誌:折本 幸治

2008/07/07 00:00
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