デジカメ Watch

【新製品レビュー】ソニー「サイバーショット DSC-T200/70」

~幅広いユーザーにお勧めの高機能コンパクト
Reported by 上田晃司

T70(右上)とT200
 「ハイ、ソニー。」のTV CMでおなじみのサイバーショット DSC-T200(以下、T200)と同DSC-T70(以下、T70)は、両機ともに有効画素数810万画素の1/2.5型CCDを搭載し、ほとんどの操作を大型のタッチパネルで行なうため、カメラには電源と再生以外のスイッチがなく、とてもスタイリッシュだ。そして両機とも、シーンモードに新機能である「スマイルシャッター」を搭載している。

 T200もT70も、メニューの構成や操作感にほとんど変わりはない。スライド式のレンズカバー、電源ボタン、ズームレバー、再生ボタンの位置も同じだ。電源起動時間も、T200が約1.5秒、T70が約1.4秒と、体感するほどの時間の差はない。

 大きな違いは、光学ズームレンズの倍率、液晶モニターの大きさの違いぐらいだ。T200は、35mm判で35~175mm、F3.5~4.4の光学5倍ズームレンズを搭載している。液晶モニターは3.5型を搭載。T70は、35mm判換算で38~114mm、F3.5~4.3の光学3倍のズームレンズを搭載し、液晶モニターは3型。


T200の背面
T70の背面

バッテリーはどちらもNP-BD1
 そのほかに、標準撮影可能枚数に若干の差がある。T200がCIPA準拠の連続撮影枚数約250枚、T70の方が約270枚となっている。どちらもバッテリーは同型のNP-BD1だから、液晶モニターの大きなT200の方が、若干持続時間がが短くなっているのだろう。

 T200とT70の大きさを比べてみると、T200が約93.5×20.4×59.3mm(幅×奥行き×高さ)、撮影時重量約186g、T70が約90×20.7×56.4mm、約156gとなっている。実際に触ってみると厚みはほとんど気にならないが、T200の方がひと回り大きく感じる。

 ホールド感に関しては、背面がほぼ全面液晶になったため、カメラをホールドする場所がなくなったように思えるが、両機種ともにストラップフックがグリップとして使用できる。どちらも滑り止めが付いており、とても持ちやすくなっている。


精度の高いスマイルシャッター

 T200とT70は、新たにシーンモードに顔検出機能「顔キメ」を応用した「スマイルシャッター」を搭載している。スマイルシャッターは、被写体の人物が笑顔になったのを検出して、連続で6枚までの写真を自動で撮るれる機能だ。メニュー画面で「シーンモード」→「スマイルシャッター」を選ぶだけで使用できる。

 笑顔の検出感度を「スマイルレベル」で3段階に設定可能だ。微笑みくらいで感知する「強」、普通の笑顔で感知する「中」、大笑いで感知する「弱」から設定できる。

 スマイルレベルは、撮影シーンによって使い分けるといいだろう。実際にスマイルシャッターを使用してみて、期待以上の笑顔検出の精度に全くストレスなく使用できた。両機種共にスマイルシャッターの精度や感度に大きな差などは感じられなかった。

 また、被写体が複数いる場合でも、メインの被写体をタッチパネルで指定すれば、メインの被写体が笑顔になった時に自動的に撮影される。

 スマイルシャッターを使用した場合は、顔キメと同様にピント、追尾、明るさ、ホワイトバランス、美肌コントロール、ストロボ発光、赤目軽減、最大8人までの同時顔検出まですべて自動で調整してくれるので、初心者でも簡単に綺麗な写真を撮ることが可能だ。

 そのほかにも自分撮りや、集合写真のセルフタイマーの代わりなどにも使えるだろう。

 次の作例は、T200とT70のスマイルシャッターでモデルを撮影している時の、液晶画面をムービーで撮影したもの。両機種ともにスマイルレベル中で撮影している(モデル:原田実智)。

※下記作例動画を含め、再生環境に関するお問い合わせは受け付けておりません(編集部)

T200
MPEG-1動画(約7MB)
T70
MPEG-1動画(約18MB)

※作例のリンク先のファイルは撮影した画像です。クリックすると、等倍の画像を別ウィンドウで開きます。


T200
3,264×2,448ピクセル / F4 1/125秒 / ISO250 / オート / スマイルシャッターで撮影
T70
3,264×2,448ピクセル / F4.3 / 1/125秒 / ISO320 / オート / スマイルシャッターで撮影

大型のタッチパネル液晶

 T200は、前機種のDSC-T100(以下、T100)の3型よりも大きな約23万画素の3.5型のクリアフォト液晶プラスを搭載している。T70は、前機種のDSC-T20の2.5型よりも大きい23万画素の3型のクリアフォト液晶プラスを搭載している。両機種ともワイド液晶だ。

 画面が大きくなったことで指先でも操作しやすく、スポットAFなどさらに使いやすくなった。しかしながら、タッチパネルのデメリットとして、指で直接画面を触っていると画面が指紋だらけになってしまい画面が見にくくなってしまうので、気になる方は付属のペイントペンを使うとよいだろう。

 T200とT70の液晶を比べると、T70の方が解像感があり、明るくかなり見やすく感じた。T200は、液晶の大きさの割に解像度が低いせいか、粗くどこにピントが合っているのかわからない場合が多々あった。野外での視認性も明らかにT70の方が見やすく感じた。

 両機種ともに、再生時のズームは便利で、拡大したいところを指で触るだけで拡大してくれるのでとても操作しやすかった。タッチパネルならではの便利機能だ。


慣れるまで迷ってしまうメニュー操作

 T200とT70は共通のメニューを持っているが、意外と操作しにくい。慣れるとそうでもないが、使い始めはMENUボタンとHOMEボタンの操作に混乱してしまう。撮影モードの変更、再生の設定、カードのフォーマットなどはHOMEで行なうが、ホワイトバランスやブラケットなどの撮影の設定などはMENUで行なう。HOMEで撮影モードをシーンモードを選択しても、シーンのセレクションはMENUから選ぶようになっていたりして混乱してしまう。慣れるまでに少し苦労するだろう。


ISO400までは常用レベル

 T200とT70では、共にプログラムオートで撮影した際に手動でISO AUTO/80/100/200/400/800/1600/3200から設定することが可能だ。どちらもISO400までは常用できそうな印象を受けたが、ISO800あたりからやはりカラーノイズが発生する。ISO1600、3200になってくるとかなりのノイズ量になるが解像感は保持されてるように感じた。

 T200/T70ともにISO400までは違いは現れないが、ISO800~3200になると、T200の方がカラーノイズは多いがシャープに描写されているように感じた。T70は、画像処理のせいかすこしノイズが減っているが、解像感が低下しているように感じた。T70はどちらかというと前機種T100の高感度に近い印象を受けた。両機種とも、ISO1600、3200は最終手段として使用した方がよいだろう。

 プログラムオートでは1秒以上のシャッタースピードで撮影できないので、次の感度の比較作例では、低感度で撮影した画像は光量不足で暗くなったため、ISO400以上の掲載とした。

 夜景などを綺麗に撮影する場合は、プログラムオートで感度を高めるよりも、1秒以上のシャッタースピードで撮影できる夜景撮影モードをオススメしたい。

  T200 T70
ISO400
ISO800
ISO1600
ISO3200


3倍または5倍ズームレンズを搭載

 T200は35mm判換算で35~175mm、F3.5~4.4の光学5倍ズーム、T70は35mm判換算で38~114mm、F3.6~4.3の光学3倍のズームレンズを搭載している。両機種とも広角側が弱いが、別売のワイドエンドコンバージョンレンズ(VCL-DE07TB)を使用することにより、広角側を35mm判換算で27mm相当(T200の場合)にすることができる。


T200:広角端
T200:望遠端

T70:広角端
T70:望遠端

ストレスを感じさせないAF

 T200とT70は顔検出機能「顔キメ」を搭載する。顔検出は非常に速く正確で、全くストレスを感じさせない。人物より前に物があってもピントがずれたりしないので、とても重宝する。そのほかにもマルチAF、中央重点AF、スポットAFがあり用途に応じて使い分けることができる。

 特に使用感抜群だったのはスポットAFとタッチパネルの組み合わせで、コンパクトデジタルカメラでは難しい構図などを思い通りに撮影することができた。さらにマクロ撮影にも力を発揮し、昆虫などカメラを動かすと逃げてしまうような被写体も、スポットAFでピント合わせをすることにより最大限に近づいて撮影することが可能だ。拡大鏡モード撮影も正確なAFで思い通りの写真を撮ることができた。

 AFの速度も速く、夜景の撮影や薄暗い公園の中での撮影もAFを大きく外すことなく、AFに関してはストレスを感じなかった。


まとめ

 両機種共にスタイリッシュなボディに光学式手ブレ補正、顔キメ、スマイルシャッター、高感度ISOなど多くの機能を搭載し、デジタルカメラを初めて買う人から一眼レフカメラ所有者のサイドカメラまで幅広いユーザーにお勧めできる。スライドショー機能を利用してHDTVで鑑賞したりできるので、撮るだけではなく撮った後も楽しむことのできるカメラだ。T200とT70のどちらを選ぶかは予算次第でいいだろう。


歪曲収差

T200:広角端
T200:望遠端

T70:広角端
T70:望遠端

カラーモード

T200:標準 T200:ビビッド

T200:ナチュラル
T200:セピア

T200:モノトーン

T70:標準
T70:ビビッド

T70:ナチュラル
T70:セピア

T70:モノトーン

作例

※写真下の作例データは、記録解像度/絞り/露出時間/露出補正値/感度/ホワイトバランスを表します。


T200
3,264×2,448ピクセル / F4.4 / 1/13秒 / +0.3EV / ISO80 / 曇り
T200
2,448×3,264ピクセル / F4 / 1/160秒 / +0.3EV / ISO80 / 晴れ

T200
3,264×2,448ピクセル / F4.5 / 1/250秒 / 0EV / ISO80 / 曇り
T200
2,448×3,264ピクセル / F4 / 1/25秒 / +0.3EV / ISO100 / オート

T200
2,448×3,264ピクセル / F4.4 / 1/200秒 / 0EV / ISO100 / 晴れ
T200
2,448×3,264ピクセル / F5.6 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / 晴れ
T200
2,448×3,264ピクセル / F4.4 / 1/20秒 / +0.3EV / ISO200 / 曇り

T200
3,264×2,448ピクセル / F4 / 1/8秒 / 0EV / ISO80 / 電球

T70
3,264×2,448ピクセル / F5.6 / 1/400秒 / 0EV / ISO100 / オート / 風景モード
T70
3,264×2,448ピクセル / F3.5/ 0.6秒 / 0EV / ISO100 / オート / 夜景モード

T70
2,448×3,264ピクセル / F3.5 / 1/13秒 / 0EV / ISO80 / 晴れ / モノトーン
T70
2,448×3,264ピクセル / F4 / 1/50秒 / 0EV / ISO80 / 曇り
T70
2,448×3,264ピクセル / F4 / 1/200秒 / 0EV / ISO80 / 晴れ

T70
2,448×3,264ピクセル / F7.1 / 1/160秒 / -0.3EV / ISO80 / オート
T70
2,448×3,264ピクセル / F7.1 / 1/200秒 / +0.3EV / ISO80 / オート

T70
3,264×2,448ピクセル / F3.5 / 1/50秒 / +0.3EV / ISO200 / オート


URL
  ソニー
  http://www.sony.co.jp/
  製品情報(T200)
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-T200/
  製品情報(T70)
  http://www.sony.jp/products/Consumer/DSC/DSC-T70/

関連記事
【実写速報】ソニー「サイバーショット DSC-T200」(2007/10/12)
【実写速報】ソニー「サイバーショット DSC-T70」(2007/10/17)



上田晃司
(うえだこうじ)1982年広島県生まれ。アメリカ、サンフランシスコに留学し、写真と映像の勉強をする。学生時代にTV番組やCMを制作するものの人物写真に目覚め、写真家を目指すことを決意。帰国後、写真家塙真一氏のアシスタントしながらフリーランスのカメラマン、ライターとしても活動を開始。

2007/10/30 00:14
デジカメ Watch ホームページ
・記事の情報は執筆時または掲載時のものであり、現状では異なる可能性があります。
・記事の内容につき、個別にご回答することはいたしかねます。
・記事、写真、図表などの著作権は著作者に帰属します。無断転用・転載は著作権法違反となります。必要な場合はこのページ自身にリンクをお張りください。業務関係でご利用の場合は別途お問い合わせください。

Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.